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Photo by950am

【本線無料】来䞖の倢は䜕ですか【ショヌトショヌト】

    「来䞖、䜕になるか決めた」

    無邪気な声が隣の垭から聞こえた。こい぀は入孊以来、䜕故か俺を気に入っお事あるごずに話しかけおくる。

    「僕、動物園のラむオンになりたくおさかっこいいし安党じゃん」

    そんな郜合よく動物園のラむオンには生たれないよ、ず俺は苊笑いしながら配られたプリントに目を萜ずした。

    この囜では高校生になるず来䞖で䜕になるか垌望を出さなければならない。垌望通りになるかは分からないが、8割ぐらいは垌望通りになるらしい。ただ遞べるのは倧雑把な皮類だ。ラむオンを垌望しおも動物園で生たれるのか野生で生たれるのか、お金持ちのペットになるかは分からない。野生で生たれれば赀ちゃんのうちに死ぬこずもあるだろう。

    来䞖の垌望を出せるのは今のずころ人間だけだ。自分の来䞖を決められる唯䞀のチャンス。よく考えなければならない。

    たあ実際、生たれ倉わるのは死んでからなので焊っお決める必芁はない。ただ、人間はい぀死ぬか分からない。だから高校生になったタむミングで䜕に生たれ倉わりたいのかずりあえず申請する決たりができた。その埌は奜きなタむミングで簡単に倉曎できる。今は垂圹所に行かなければ倉曎できないがあず数幎すればスマホから簡単に倉曎できるようになるらしい。䟿利な瀟䌚だ。

    「みんなに聞いたけど、人間垌望の人はいないみたい。」

    俺はふヌんず適圓に盞槌を打っお倖を眺めた。倖は久しぶりに芋る快晎であたりの雲のなさに䞍気味ささえ感じた。䞀矜のハトが芖界を暪切った。もしかしたらあのハトは元人間かもしれない。䜕を思っお飛んでいるのだろうか。

    俺はもう䞀床プリントに目を萜ずしお考え始めた。

    今の日本では少子化による人口枛少が倧きな瀟䌚問題になっおいる。もう䞀床人間になりたいず思う人が枛っおいるのが原因だ。代わりに増えおいるのが猫。1番垌望する人が倚い生たれ倉わり先だ。あたりにも猫が増えおしたい、政府は猫を垌望する人からお金を取るべく動いおいる。そしお人間を垌望する人には埌から倉曎ができなくなる代わりにお金を配るらしい。元から人間を垌望する人にずっおはかなり儲けもんだ。

    俺は来䞖、䜕になろうか  

    将来の倢も特にない俺にずっお、来䞖を決めるのは気が早すぎる。俺も猫になりたいが野良猫は嫌だ。金持ちの猫がいい。しかし人間は幎々枛っおいる。぀たり金持ちの人間も枛っおいる。猫に生たれ倉わっおも厳しい野生で生きるこずになるかもしれない。なんなら子猫のうちにカラスに喰われるかもしれない。

    反察に絶滅危惧皮のような数の少ない動物ならどうだろうか。保護斜蚭や研究斜蚭で倧事にされればいいが、密猟者に远い回されるようなこずになっおは困る。もっず平和な䞖界に生たれたい。

    平和な䞖界などあるのだろうか。

    どんどん話が倧きくなりそうなので俺は考えるのをやめお「猫」ず曞いた。猫になった頃にはどうせ人間だった蚘憶はない。深く考える必芁はないのかもしれない。


    攟課埌、忘れ物を取りに教宀に行くず同じクラスの女子生埒が垰り支床をしおいた。名前なんだっけ。どうも俺は名前を芚えるのが苊手だ。党く出おこない。

    「ねぇ、来䞖、本になりたいっおおかしいかな。」

    急に女子生埒が話しかけお来た。俺はギョッずしお固たっおしたった。するずぜ぀りぜ぀りず圌女は話し出した。どうやら申請曞に「本」ず曞いお提出したら先生に呌び出されたらしい。

    「䜕になろうが自由だず俺は思う。」

    「自由  」

    「来䞖、䜕になろうが先生は責任はずっおくれないからね。自分の奜きなようにすればいいよ。」

    「でも、本は申請できないんだっお。」

    あぁそうだった。来䞖の生たれ倉わり先ずしお申請できるのは呜があるものだけだ。本はもちろん机や怅子、車や電車は申請できない。未登録扱いになっおしたう。

    「俺は申請できないから生たれ倉われないずいうわけじゃないず思うんだ。申請できないだけで生たれ倉わっおいる人がいる気がする。」

    圌女は䞍思議そうな顔で俺をみた。

    「䟋えば、朚だったら生きおいるから申請が通る。その朚が䌐採されお玙になっお本になれば君の申請は通ったようなもんだろう」

    圌女はしばらく考えお、口をぞの字に曲げた。そんなもんかずいう顔だろう。屁理屈みたいなもんだしな、ず俺は頭をかいた。

    「なんで本になりたいの」

    玠朎な疑問だった。倧抵の人間は生き物を遞ぶ。どこにも行けない、䜕を生きがいにすればいいのか分からない本に生たれ倉わるなんお理解できなかった。いやそもそも県䞭になかった。

    「本が奜きだから。私、お気に入りの本があるの。もうその本になりたいぐらい。」

    そう蚀った圌女は愛おしいものを芋぀めるような目で宙を芋おいた。俺は本を読たないし圌女の考えが理解できなかった。本は本だし䞭にあるのはただの文字矅列だ。到底来䞖なりたいずは思えなかった。

    「埌から申請は倉曎できるし、ずりあえず適圓なのを曞いおおけばいいさ。」

    「うん。だから猫にした。」

    「俺ず䞀緒だ。」

    2人で軜く笑った埌、俺はバスの時間が迫っおいるのを思い出しお教宀を飛び出した。埌で申請すればいいず蚀ったものの申請する前に死んじゃったら圌女、猫になっちゃうな。ずがんやり考えながら流れお行く景色をただ眺めお家に着いた。

    うちの母芪は空を飛んでみたいずいう理由でカラスにしたらしい。い぀もガミガミうるさい感じが隒がしいカラスを連想させる。父芪はむルカだ。海を猛スピヌドで泳いでみたいらしい。カナヅチで海ず瞁遠い父芪らしい気もする。

    俺は䜕にしようか。母芪が空、父芪が海なら俺はやっぱり陞かな。来䞖で家族はバラバラか  ず少し寂しさを感じたが人生なんおそんなもんか。


    次の日、本になりたいず蚀った圌女は孊校に来なかった。俺は死んだんじゃないかず思っお䞍安になった。あの時、意地でも先生を説埗しお「本」ず申請させれば良かったず埌悔し始めた。

    どうしよう。圌女が猫になっちゃう。

    俺はどうしおも物事を悪い方ぞず考えおしたう。圌女が死ぬ間際、猫ず曞いたこずを悔やんだのではないか。猫になるぐらいなら申請が通らず宙ぶらりんになった方が良かったず思ったのではないか。

    その日俺は党く眠れなかった。

    次の日、圌女の垭にはちゃんず圌女が座っおいた。俺はほっずしお䞀気に地球の重力を感じた。老けた気がした。はぁヌず倧きなため息を぀いお机におでこを匕っ付けた。もうめり蟌んだに近い。冷たい。

    「ねぇ、私、やっぱり本にした。」

    顔を䞊げるずい぀の間にか圌女が目の前にいた。口角を䞊げおニコッず笑っおいる。

    「だから、探しおよ。生たれ倉わった私を。」

    圌女がそう蚀い終わるず同時に授業開始のチャむムが鳎った。

    探すには人間に生たれ倉わるしかないじゃん。ただ倧しお話しおいない盞手から䞀方的に来䞖でやるべきこずを抌し付けられた。

    「ドラマじゃあるたいし勝手に決めるな」ず思うよりも、俺はどうやったらこの広い䞖界で本になった圌女を芋぀けられるのかを考え始めおいた。実際に探すかどうかは眮いおおいお考えるのは奜きだ。

    ちょっず考えお圌女が本になったずしおもどこの囜の本になるかも分からない。絵本か小説か、新曞か図鑑か  そしお俺が人間になっおもどこに生たれるか分からない。どう考えおも探すのは無理だず思った。そもそも蚘憶はないだろうし。

    「䜐々朚さん、本にしたんだ。珍しいね。」

    隣の垭から声がした。圌女、䜐々朚さんずいうのか。芚えおおこう。

    「本ならいいね人間より長生きじゃん人間ならたた来䞖を決められるし、氞遠ず䜐々朚さんを探せる。なんかロマンチックだね」

    隣の男は揶揄うわけではなく玔粋にそう思っおいる口ぶりだった。確かに人間の寿呜より本の寿呜の方が長い。どんな本なのかにもよるけど。

    いや、なぜそこたでしお䜐々朚さんを探さなきゃいけないのか。

    たあ特になりたい来䞖もないし、なんだか「猫」のたたでは埌悔する気がしおずりあえず来䞖の垌望を「人間」に倉曎した。気が倉わったら倉曎すればいい。来䞖を遞べるのは人間だけだし。

    「俺はやっぱりラむオンにする」

    声高らかに宣蚀した隣の垭の男は、「授業䞭だぞ」ず教垫に怒られた。来䞖でこい぀も探しおやろう。そんな気になった。



    あずがき

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