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Photo byai_gazou

シニアライフを楽しもう!=厨房に入ろう!=

     皆様、こんにちは。
     私は、間もなく70歳になるチ~タラといいます。
     お金に関するアドバイスや提案等を行うファイナンシャル・プランナー(FP)をしています。
     本稿では、60歳以上の方々を「シニア」と呼ばせていただきますが、私は、自分自身がシニアであることもあり、シニア向けのライフプランニングなどを生きがいにしていこうかなと考えています。
     今回は、「厨房に入ろう!」をテーマとし、シニアと炊事についてお話しします。

    ”おうちごはん”とは?
     その前に、”おうちごはん”(家族と一緒に自宅で食べる料理)について、日本と諸外国では、料理に要する時間や手間のかけ方に大きな違いがあるようですので、まずこのことについてお話しします。
     ”おうちごはん”に役立つ情報を発信しているワカバ氏(注85)によると、「日本では手作りを重視しているため、平日も帰宅してから時間をかけて料理する家庭が多く」、「お米を炊いたり、下処理や調理をしたり、お椀や小鉢に分けて盛り付けたりと、時間のかかるメニューが多い」上、「栄養バランスを考えたり、飽きないように献立を変えたり、彩りも気にしたり」しなければならず、日本の食卓は料理する人(そのほとんどが女性です)の負担がとても大きいようです。
    (注85)https://xs892507.xsrv.jp/too-much-cooking/

     これに対し、日本以外の国々では、「スーパーマーケットで売っている食品をワンプレートに並べて出すだけ」で済ます場合、「屋台が充実している上安いため、屋台に出かけ」る場合、あるいは「テイクアウトを注文したり、前日の残りを翌日に食べる」場合が多いようで(注86)、調理に時間と手間をかけるよりも家族で過ごす時間を大切にする国々が少なくないようです。
     家族団欒(らん)を最優先というのは、素晴らしいですね!
    (注86)
    (米国・フランス・台湾)https://xs892507.xsrv.jp/too-much-cooking/
    (フランス・ポルトガル・ドイツ・デンマーク・スリランカなど)https://gendai.media/articles/-/67071
    (ドイツ)https://www.diamond.co.jp/arukikata/9784478823378.html

     上記のような違いに関して、noteクリエイターで編集者の岩佐文雄様は、次のように述べています(注87)。
    〇 見直すべきは「きちんとした食事を作らなければならない」神話ではないか。今や日本も共働き世帯が65%となっている。家事や料理の負担が、働く女性を苦しめストレスとなっているのであれば、新しい規範作りが必要である。
    〇 この新しい規範作りの鍵は、実は男性が担っているのではないか。
    〇 家事や料理が「女性のやるべきもの」から「一緒にやるべきもの」へ。そして「好きなこと」へ変わることで、女性にとっても男性にとっても、そして家族にとっても結果的に毎日の生活がより豊かになるのではないだろうか。
    (注87)https://note.com/f30103/n/n71292ec2cc2f

     料理研究家のコウケンテツ氏も、次のように述べています(注88)。
     「僕が海外ロケで多くのご家庭で取材させていただいたときに見た光景は、『食卓はみんなでつくる』ということ。それは他のアジア地域の山奥でも、ヨーロッパの大都市でも変わりありません。」
     「日本の家庭料理は見た目、味、栄養バランス。どれを取っても世界的に見ても最高だと思っています。でも毎日きっちり作るにはちょっとハードルが高すぎやしないか。もっとハードルを下げても良いのでは? むしろそんなに毎日毎日一生懸命ごはんを作らなくてもいいのでは? なんて最近思ってきたのですよね…。」
     「たしかに心のこもった手作りのごはんは大切です。家庭での食育も大切。栄養のバランスからさまざまな献立を考えることは理想的だけど、社会は大きく変わりつつあります。そんななか、日々の献立作りは本当に大変! それがストレスになるくらいなら、むしろ『今日はもうごはんを作らなくていい』という選択肢があってしかるべきだと思うのです。」
    (注88)https://gendai.media/articles/-/67071

     私は、毎日ではありませんが、家族のために一所懸命料理を作ります。
     作れる料理の種類は限られていますが、「豚汁」「豚バラと白菜のミルフィーユ風煮物」「鶏もも肉と葱のピリ辛炒め」「たらこスパゲッティ」「ペンネアラビアータ」などは自信作で、家族からも好評です。私は、岩佐氏やコウケンテツ氏の主張に賛同し、これからも家族のために料理を作り続けていきたいと考えています。
     現代に、紀元前の孔子の時代の「男子厨房に入るべからず」という考え方は当てはまりません。
     世の男性、とりわけリタイアして時間にゆとりができたシニア男性は、「僕、食べるだけの人」から、「僕、作る人&食べる人」に変身するくらいの意識改革が必要ではないでしょうか。

    「一汁一菜でよいという提案」が日本の食卓に与えた衝撃
     このような考え方に対しては、世の多くの男性から「私はあんたと違って仕事がとても忙しく、料理なんか作る時間はない。それに知識も技術もない。だから、いきなり料理を作れと言われても無理だよ!」という声が聞こえてきそうです。

     しかし、共働きの世帯であれば、あなたのパートナーは、毎日忙しく働く合間を縫って炊事その他の家事をしているでしょうから、「作る時間がない」という弁解は通りません。また、世の中には初心者向けの料理レシピ本等が出回っている上、最近のスーパーの食材には少し手を加えるだけで安全に美味しく食べられ、栄養豊富なものも多いことから、私の経験から言っても調理の知識技術はあまり必要ないと思います。
     加えて、「一汁一菜でよいという提案」という本(注89)の出版によって、日本の食卓には大きな変化の風が吹いたように思います。
    (注89)https://www.shinchosha.co.jp/book/103381/

     「一汁一菜でよいという提案」は、料理研究家・土井善晴氏の著書です。
     「一汁一菜」とは、家族に出す料理の品揃えのことで、土井氏の提案は「日常の食事は、ご飯と具だくさんの味噌汁で充分。あれば漬物を添えましょう。無理のない生活のリズムを作り、心身ともに健康であるために『一汁一菜』という生き方をはじめてみませんか」というものです。
     同書は2016年に出版されましたが、「毎日の食事作りを苦しみにしてはいけません」という土井氏の言葉は、主婦を中心として多くの方々の心に響いたようで、「この本を読んだおかげで、家庭料理のプレッシャーが減った」という声が数多く挙がったそうです。
     同書の出版後あまり時を置かずして、コロナ禍に伴うリモートワークなどにより自宅での食事・自炊の頻度が上がったことも、男女を問わず多くの人々が同書に目を通すきっかけになったかもしれません。

     別に他所(よそ)様のことをとやかく言うつもりはありませんが、日本では、「買ってきたものをそのまま食卓に並べるような“おうちごはん”は何だか味気ない」と考える人もおられるのではないでしょうか。
     この点、一汁一菜では、米を炊いて、味噌を溶き、肉や野菜や卵を味噌汁に入れるというプロセスの中に、作る人の愛情や食に対するこだわりをしっかり注入できると思います。
     シニア男性は、パートナーから米のとぎ方や味噌汁の作り方を習い、一汁一菜料理にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

    小説家水上勉氏は、厨房男子の先駆け
     さて、「男子厨房に入る」ということについて思い出される本には、小説家水上勉氏のエッセイ「土を喰(くら)ふ日々-わが精進十二ヶ月-」(注90)があります。
    (注90)https://www.shinchosha.co.jp/book/114115/ 
     同書は、水上氏が少年時代に京都の禅寺で精進料理の作り方を教わった記憶をもとに、軽井沢の山荘で自ら包丁を握って1年間にわたって食事を作り続けた料理について綴ったクッキングブックであり、同時に、香ばしい土の匂いを忘れてしまった日本人の食生活を悲しむ味覚エッセイでもあります(注91)。
    (注91)出典:フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」「土を喰う日々―わが精進十二ヵ月―」

     水上氏は、10歳頃に禅寺の小僧として入寺し、精進料理を覚えます。そして、材料が豊富ではない寺の台所で、その時々に寺の畑で取れる野菜を使って料理を作っていたそうです。 
     このような経験から、同氏は、精進料理とは「土を喰うものだ」と思うに至ったということで、何でも手に入る軽井沢での生活においても、少年時代に培われた、材料を無駄にせず大切に扱う姿勢を貫いたそうです。

     なお、同書の内容を原案として、2022年11月、中江裕司監督・脚本、沢田研二主演の映画「土を喰らう十二ヵ月」が公開されました(注92)。なお、この映画に登場する料理の数々は、土井善晴氏が同書に基づいて再現したものだそうです。
     私は、この映画を観て、「70歳を過ぎてジュリーもさすがに年を取ったなあ、太ったなあ」と思いつつも、その真剣に演じる姿がとてもカッコイイと思いました。
    (注92)https://youpouch.com/2022/11/11/880090/ 

    男子は厨房から人生を学べ
     作家で映画監督の辻仁成氏(フランス在住)は、高校生の息子さんに「男子たるもの厨房から人生を学べ」と教えているそうです。
     以下、ライフスタイル専門サイト「NIKKEI STYLE」(2023年閉鎖)の辻氏の記事の一部をご紹介します(注93)。
    (注93)https://www.nikkei.com/article/DGXKZO50036830Q9A920C1KNTP00/

    〇 息子は小学生の頃から父との二人暮らしなので、男親が料理をすることに違和感を覚えない。むしろ、「キッチンは世界を知る哲学の場所だ、料理は人間が生きる全てのコツを教えてくれる人生道場だ」と教えてきた。
    〇 息子には幼い頃から包丁を持たせ、包丁の怖さをきちんと知って、生き物を調理することを伝えることで、料理を通じて生きることの大切さを学ばせた。
    〇 鶏肉は一匹丸ごと買いそれを解体しており、息子にはその手順などもすべて見せ、「生きているものを食べるので絶対に残してはいけない」と教えてきた。
    〇 そうやって丁寧に丁寧に作った料理を息子と食べる。あるいは、息子と彼の恋人の話や学校の話なんかをしながら父子の絆を強化していく。そこは癒やしの場であり、人生を立て直す修行場でもあるのだ。男子たるものまず厨房に立て、と僕は言いたい。

     コウケンテツ氏が言うように、食材の調達から調理、配膳、そして食器洗いまでをも含め、「食卓は家族みんなでつくるもの」だと思います。
     そして、厨房を「人生を学ぶ場」にする辻親子は、とても素敵だと思います。

     以上、シニアと炊事についてお話ししました。
     ここまでお読みいただき、ありがとうございました。ご意見・ご感想がありましたら、コメントを付けていただければありがたいです。
     次回も、皆様から寄せられたご意見や近頃の巷(ちまた)の話題等を踏まえ、シニアライフを楽しむためのヒントなどについてお話しします。

    #創作大賞2026 #エッセイ部門

     
     
    間もなく70歳になるシニアです。 ファイナンシャル・プランナーをしています。

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