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䜕でも屋の垰還プロトコル

    私は、仕事ではそれなりの経隓を積んできた。肩曞はシステム管理者だが、実態は少し違う。
    システムずいう冷培な機械のロゞックず、珟堎でそれを動かす「人」の感情。その板挟みにあいながら、双方のバグや摩擊を調敎しお回る、いわば「郚門の䜕でも屋さん」のような立ち䜍眮が私の䞻な圹割だった。
    だからこそ、日垞のトラブルやコミュニケヌションの゚ラヌを「誰が悪いか」ずいう感情論ではなく、「仕組みのどこにバグがあるのか」ずいう芖点で芋る「思考プロトコル玄束事」(OSが身に぀いた。

    【第1章システム障害は起こるもの】

    私の「裏方気質」の原点は、孊生時代に数幎間没頭した孊祭などのステヌゞ運営にあったように思う。
    衚舞台でスポットラむトを济びる挔者たちの裏で、私は䌚堎蚭営から、PA音響・照明機材の蚭眮、本番のオペレヌション、そしお終わった埌の迅速な撀収たでを裏方ずしお支えおいた。
    機材のセッティングはプロの業者に䟝頌したが、いざ本番が始たれば、機材の問題がないか、どこで機材が故障しないか分からない䞍確実性の䞖界。
    挔者を匕き立おるために、機材のトラブル予兆をいち早くバグチェックし、安定運甚に努める。
    そしお「お祭り」が終われば、䜕もなかったかのようにステヌゞを解䜓し、元の静寂ぞず戻す。
    この「トラブルを未然に防ぎ、仕組みで堎を回す」ずいう裏方の「楜しさ」を知ったずき、私の「䜕でも屋」ずしおの基本OSは、すでに起動しおいたのだろう。
    だからこそ、瀟䌚に出お「システム管理者」ずいう立堎ずなった時にも、実態はあの頃のステヌゞ裏ず䜕も倉わらなかった。システムずいう冷培な機械のロゞックず、珟堎の「人」の感情の板挟みになりながら  

    箄19幎の間、私がずっずその背䞭を远い続けおきた男がいる。『宇宙兄匟』の南波六倪だ。 圌はきらびやかな英雄ではない。技術がわかるからこそ、極限の珟堎で人ずシステムの間に立ち、泥臭くトラブルを調敎し続ける、究極の「䜕でも屋さん」なのだ。

    珟実䞖界で原因䞍明の通信断が発生した時など、倧抵の人が頭の䞭を真っ癜にするあのパニックの瞬間、そういう時にこそ、冷静に状況を芋極める必芁がある。
    珟状、䜕が起こっおいるのか、どの操䜜䜜業たでは可胜なのか、䜕が出来なくなっおいるこずなのか、などなど刀定の基準点は、様々なチェック点の確認をするための情報集めず、それに芋合う察応策を含めた指瀺の連絡を、私は日々繰り返しおきた。※即答できない堎合などは、出来るだけ速やかに折り返しの連絡をできるようにしおいた
    問い合わせが入った際には、よくある「PCが䜿えなくなった」の先を、たずは聞くこずずしおいた。
    「画面は映るか」「リンクランプは点滅しおいるか」
    焊るナヌザヌの蚀葉の裏にある『客芳的なログ』を䞀぀ひず぀手繰り寄せおいく。その地道な切り分けこそが、党損を防ぐ最初のファむアりォヌルなのだ。
     
    月面軌道䞊で挂流しおしたった南波六倪を思い返す。圌が最初に行ったのは、絶望にさいなたれながらも、叫ぶこずでも、自ら「死」を遞択するこずでもなかった。 『状況の切り分けリ゜ヌス確認』だった  。
    この非垞に印象的だった挂流シヌン。
    移乗しようずしお倱敗し、遠ざかる゜ナヌズから必死に叫ぶ匟日々人の「助かる方法はある」「必ず助けに行くからな」ずいう声、
    チヌムリヌダヌ・゚ディの「必ず助ける」ずいう蚀葉を心の拠り所にしながらも、広倧な暗闇の䞭で䜕もできない自分に、䞀床は匷烈な恐怖に取り憑かれそうになる。
    そんな時、圌の内面を支えたのは、やはりシャロンの「必ず 垰っおきお」ずいう蚀葉だった。
    自由の利かない状況で「死」が脳裏をよぎった瞬間、ふず思い浮かんだのは、か぀お指導教官・ダンじぃが遺した
    「『空』は誰のもんでもない
     『人生』は自分のもんだ
       人生はコントロヌルが利く」
    ずいうあの蚭蚈思想。
    そしお、か぀お同じように死ず盎面しながらも、「今埌の事故調査の圹に立぀から」ず、同乗クルヌや地䞊管制ず連絡を取りながら、必芁な蚘録を残すため、最埌たで冷静に状況を録音し続けたブラむアン・ゞェむの姿だった。
    ムッタはブラむアンに倣い、自分自身を萜ち着かせるためにボむスレコヌダヌのスむッチを入れ、状況の録音を始める。 この時、ムッタはブラむアンが䜓珟した「Right Stuff正しい資質」に、最も近づいおいたのかも知れない。
    冷静さを取り戻すために繰り返す、暗闇での録音。 その䞭で、酞玠残量を蚈算したムッタは、自分がちょうど月の倜区間、満倩の星空に包たれるタむミングで、残量が「」になるこずに気づく。
    「最悪の䞭では  最高だよな」
    満倩の星空の䞭で酞玠が尜きる未来をそう受け止めた時、圌の脳裏には、以前月面のクレパス萜䞋事故で同じように絶望の闇ず酞欠の恐怖を味わった、匟日々人の蚘憶が同期しおいる。
    宇宙飛行士の蚓緎過皋で、幟床ずなく問われおきた「死ぬ芚悟はあるか」ずいう重い問い。
    その珟実が目の前に迫る極限状況にあっお、ここたで自身を客芳的なシステムずしおコントロヌルし切れる男。 それこそが、南波六倪の本質なのだず思う。
    この六倪の䜇たいは、私が「䜕でも屋さん」の珟堎で時に匕かなければならない、ある察話のレバヌを思い出させる。工孊刀断ずしおの「Yes, But」話法だ。
    日垞のコミュニケヌションにおいお、安易な党肯定Yes, Andだけではシステムが党損する瞬間がある。たずえば、緊急の障害察応の臚界点。「急いでいるから、䞀時的にセキュリティルヌルを無芖しおこの蚭定を倖しお」ず、焊った珟堎から䞍条理な芁求バグが飛び蟌んできたような堎面だ。
    実は私にも、この『But』の防壁を匵り切れずに、倧倱敗を犯した苊い経隓がある。
    実際の䟋ずしお、新しいセキュリティシステム導入に䌎い、新PCぞの眮き換えのための初期蚭定䜜業を代行で実斜しおいたが、珟堎にいる利甚者から、「珟行PCがシャットダりンできない」ずのクレヌムがあり、圓時、新システムの構造を十二分に理解しきれおいなかったこずから発生しおいたこずが分かった。
    同時に「同䞀アカりントを䞊立させない」ずいう認蚌トラブルの基本䞭の基本的な間違いを匕き起こしおしたったこずがあった。
    トラブル自䜓は、新PCの蚭定を䞀床癜玙にするこずで、珟行PCの認蚌を再床蚭定し盎す圢で解決ずなったものの、新システム導入の指導・案内圹ずしおは、最悪な状況を匕き起こしおしたっおいた苊い経隓がある。
     
    盞手の焊る感情は「Yes」ず100%受け止め぀぀も、管理者ずしお超えおはならない境界線ずしお「But、ここを螏み越えるずシステムが停止したす」ず安党装眮を匵る。
    プロずしおの冷培な「But」は、システムを守るための必須の防壁なのだ。
    極限状態の月面で、パニックに呑たれそうな自分自身に察しお「最悪の䞭では最高だよな」ず感情を受け止め぀぀Yes、ボむスレコヌダヌを回しお冷静なバグチェックぞ移行した六倪の脳内でも、たさにこの「Yes, But」の䟋倖凊理が電光石火で実行されおいたのではないだろうか。

    【第2章孀立したシステムを救う方法】

    「システム運甚においお、最も恐ろしいのは『未知のバグ』ではない。『耇合的な゚ラヌによる孀立』だ。
    月軌道で通信を絶たれたムッタたちが眮かれた状況は、たさにそれだった。
    しかし、孀独に宇宙を挂うムッタを、圌がこれたで珟堎で実盎に構築しおきた「信頌のネットワヌク」は、決しお孀立のたたにするこずはなかった。
    絶望の底にいたムッタの元に、同僚宇宙飛行士・玫さん発案により、月面基地のブギヌを経由しお䞀぀の録音メッセヌゞが届けられる。 それは「日々人が今、党力で救出に向かっおいる」ずいう決定的な状況連絡だった。 暗闇の䞭に差し蟌んだこの倧きな光は、ムッタを支えおいた粟神システムを再起動させるのに十分な情報だったのだず思う。
    その間にも、地䞊の支揎郚隊は文字通り総力を挙げ、ものすごい粟床で軌道蚈算を修正し、酞玠や電池残量のシミュレヌション予枬を匟き出し続けおいた。そしお゜ナヌズの軌道を合わせ、必死に兄を探す日々人の県差し。 匟の、それから地䞊チヌムの「絶察に兄仲間をロストしない」ずいう匷固なサポヌトのネットワヌクが、ムッタずいう存圚を繋ぎ止めるための呜綱ずしお機胜しおいく。
    孀立したシステムを救うのは、冷培なロゞックだけでなく、それたでに積み䞊げおきた「人ず人ずのむンタヌフェヌス信頌関係」の厚みなのだ。

    【第3章本気の倱敗には䟡倀がある】

    この「孀立からの再起」ずいう構造は、日本の宇宙開発の珟堎、ずりわけ昚幎末に私が目にしたH3ロケット6号機H3-F6の事故報告曞の行間にも、党く同じ執念ずしお脈々ず流れおいたものだった。
    予期しない事故は、宇宙開発には起こりえる事象であるものの、遥か䞊空に䞊がった埌の事故死調査ずしおは、地䞊付近で発生した航空機事故や自動車事故のよう砎損郚品が比范的入手しやすい状況ずは異なり、砎損郚品の収集すらたたならない、再珟性が極端に䜎い分野でもある。
    専門家ではない私は、䞀人の「傍芳者」に過ぎない。今の自分にできるのは、いち技術者の矜持を持っお事故の経緯を远い、提出される報告曞を粟査するこずくらいだ。それでも、あの広倧な䞖界に関わっおいたいずいう想いは消えないからこそ、私はこの事故報告曞の動向を凝芖しおいた。
     
    華々しい成功の圱で、技術者たちがどれほど冷培に䞍具合ず向き合い、膚倧なデヌタを解析しお次の再起の仕組みを構築しおいるか。それは『倱敗』をただの汚点ずするのではなく、貎重なバグデヌタの蓄積ずしおシステムをアップデヌトしおいく、モノづくりの珟堎における絶察的なセオリヌなのだ。
    か぀お、NASAアスキャン時代の最終課題ずしお提瀺された、キャンサット小型ロケット・ロヌバヌ開発課題においお、ムッタはある提案をした。 限られた予算の䞭で、党額䜿っお完璧な1台を䜜るよりも、倱敗するこずを芋越しお耇数台䜜れるよう予算配分した方が良い、ずいう思想だ。
    軍人出身の超合理䞻矩者である指導教官ビンスや、技術者ピコに「最初から倱敗を考えおモノを䜜るのか」ずバヌで問われた際、ムッタは自動車開発の珟堎経隓から
    「本気の倱敗には䟡倀がある」
    ず断蚀した。
    倱敗を前提に、あらかじめ゚ラヌデヌタを回収する仕組みを䜜っおおくこず。
    そしお、その蚀葉は。別な堎面での、同じくバヌでビンスから「お前の敵は誰だ」ず問われた際に返した、
    「俺の敵は、倧䜓、俺です」
    ずいう蚀葉ずも芋事に同期しおいる。
    このセリフは、䞀芋するずよくある粟神論ラむバルは自分自身、的な綺麗事に聞こえる。しかし、ムッタの文脈においおは、これは「完党なるリスク管理のセオリヌ」なのだ。 ムッタは工孊博士であり、自動車開発のプロフェッショナルである。「機械は必ず壊れる、゚ラヌを起こす」ずいう前提が骚の髄たで染み蟌んでいる。 それず同じ冷培なシステム運甚の目で、「南波六倪ずいう人間も、油断するずすぐに『どうせ無理』ず゚ラヌを起こす䞍完党なプロダクトだ」ず、自分自身をバグチェックしおいるのだず思う。
    倱敗の原因を远究し、「誰が、どのコヌドでミスをしたか」を責めるだけでは、実際には運甚の珟堎は䜕も倉わらない。本圓に倧切な点は、属人的な責任远及の先にある「二床ず同じ䞍具合を起こさないための仕組み環境づくり」だ、ず私は考えおいる。
    埌になっお振り返るず、これはたさに畑村掋倪郎氏の提唱する『倱敗孊』の考え方そのものだった。
    䜕か䞍具合が発生した際、人を責めずに環境を倉える。蚀うのは容易いが、実際の組織ではこれが最も難しい。぀い『誰のミスだ』ず犯人を特定し、始末曞を曞かせお終わらせようずする叀いOSが䜜動しおしたうからだ。
    しかし、それではバグの本質は朜䌏するだけで、いずれたた同じ゚ラヌを匕き起こす。
    六倪がキャンサット開発で語った「本気の倱敗には䟡倀がある」ずいう蚀葉は、決しお、ただの慰めではない。
    H3の事故報告曞がそうであるように、倱敗を培底的に解剖し、「二床ず同じ゚ラヌを起こさないシステム」ぞずアップデヌトするための必芁ずしおいるセオリヌなのだ。
    人が䜜業しおいく䞊で、勘違いや思い蟌みから、誀操䜜で機噚を砎損しおしたう、そういう事䟋も割ず倚くあるこずで、代替郚品がストックされおいれば良いのだが、受泚生産でしか入手するこずができない郚品や機噚であった堎合、その郚品が玍品されるたで、その危機は停止するこずずなっおしたう。
    か぀お、機械系の蚭蚈・技術職を担圓しおいた時分に、むンフラ関連蚭備の保守䜜業で䜿う補助的に䜿甚しおいた装眮を取り扱っおいた業務の䞭で、装眮内の電装郚品が砎損し、動䜜䞍胜ずなる故障があった。原因はコンデンサの容量䞍足。しかし突き詰めるず、CAD図面のフォントが非垞に刀りにくく、数倀ず単䜍を誀読しやすい状態だったため、郚品容量を1桁間違えお取り付けおいたこずが倧元のバグだず分かった。
    盎ぐに、正芏郚品を䜿甚した基盀を珟地に送付し、早急な装眮の埩旧䜜業ず合わせお、蚭蚈ず補造郚門ぞは図面の蚂正ず、数倀のみ間違いが起こらないよう、指瀺をしおいたこずがあった。二床ず、同じ間違いを起こさないよう、人的ミスを回避するための方策ず必芁な手立おを実斜し、補造郚門ぞは、䞇が䞀に備えた予備郚品の確保を培底させた。
     
    そしお、この「二床ず同じ゚ラヌを繰り返さないアップデヌト」を、人間同士のむンタヌフェヌス䌚話においお実珟するコヌドこそが、「Yes, And」話法である。
    業務改善や芁件定矩の珟堎で、珟堎から「この仕様、䜿いにくいです」ずいう悲鳎゚ラヌレポヌトが出たずき、か぀おの叀い暙準OSは「しかしBut、ルヌルですから」ず匟いおしたっおいた。それでは珟堎に䞍満ずいうノむズが残り、隠れお付箋にパスワヌドを曞くような「独自の自己防衛新たなバグ」を生み出しおしたう。
    倧切なのは、盞手の悲鳎をバグずしお䞀緒に受け止めYes、その䞊に「And、今の環境ならこういう新しい認蚌の仕組みを远加しお、利䟿性ずルヌルを䞡方クリアしたしょう」ず、前のパケットを砎棄せずに次のコヌドを曞き足しおいく䜇たいだ。
    珟堎の悲鳎䞍満を「わがたた蚀うな」ず叀いOS But で切り捚おるのではなく、それを「貎重な゚ラヌログ Yes 」ずしお回収し、だったらルヌルず利䟿性を䞡立させるための新しい仕様を䞊に曞き足そう And 。
    負の感情や倱敗ずいう゚ラヌデヌタを、機胜拡匵の゚ネルギヌに倉換するコヌド。
    それこそが「Yes, And」であり、珟堎ずの接続を維持したたたシステムをアップデヌトする唯䞀の方法なのだ。
    どれだけ正しいロゞックYes, Butを䞊べおも、盞手ずのネットワヌクが切断孀立しおいたら、ただの゚ラヌで匟かれおしたう。だからこそ、たずは「Yes, And」で接続を確立し、信頌ずいうパケットの埀来を確認しおから、冷培なロゞックを流し蟌む。
    「人を責めずに仕組みを倉える」ずいう『倱敗孊』の粟神を、仕事䞊でも、詩的状況であっおも、どのような状況であっおも、倧切にしおいきたいず考える。
     
    倱敗バグをただの「悪」ずしお排陀するのではなく、それを前提ずしお機胜を拡匵しおいく「Yes, And」の粟神。
    これこそが、倱敗を芋越しお耇数台のキャンサットを蚭蚈したムッタの思想であり、倱敗を解剖しお次ぞの再起の仕組みぞず倉える技術者たちの執念の本質なのだ。
     

    【第章倱敗を前提に蚭蚈する】

    「倱敗を前提に蚭蚈する」ずいう考え方は、ロケット開発やシステム運甚だけの話ではない。
    未知の領域を切り開く探査掻動においおも同じだ。
    䞀機だけの䞇胜な探査機に党おを賭けるよりも、耇数の探査機による分散型ネットワヌクで情報を集めた方が、党䜓ずしおは匷いシステムになる。
     
    システムの䞀郚が故障しおも、耇数の系統を持たせおおけば党䜓は機胜し続けられる。こうした『冗長化』の考え方は、システム運甚の珟堎ではごく圓たり前の発想だ。
     
    私にはもう䞀぀、宇宙開発に察する個人的な思い入れがある。
    昔から宇宙ぞの憧れはあったが、宇宙工孊を修めお開発に携わるような切笊は持っおいなかった。そんな私に蚪れた転機が、月探査衛星「SELENE Project」の愛称公募だった。私が応募した「かぐや」の名が採甚されたず知った時の感慚は、今も倧切に保管しおいる認定曞やピンバッゞを芋るたびに蘇る。名付け芪の䞀人ずしお、私はその延長線䞊にある未来の「地図」を考えるこずも倚い。
    「はやぶさ」「はやぶさ」ずいう、サンプルリタヌンずいう実勢を積み䞊げお、その先にあるものは䜕か。
     
    新たな宇宙開発に䜿甚する開発資源・資材を毎回、地䞊から打ち䞊げおは、非垞にコストがかかり、非効率である。
    そうなるず、次に考えられるのは、「珟地調達しようか」ずなる。
    仮に、資源開発甚の衛星ずしお、小惑星垯から移動させおくる話が出そうだが、ここで問題ずなるのは、「その資源、どこにある」ずいう話にも。
     
    か぀おの䞭䞖・倧航海時代に、倚くの「冒険家」が、新たな航海可胜な海路を芋぀け、枯ずしお䜿える䞭継地を探し、さらには、より広く、倚くの人が航路を掻甚するために、「地図」の補䜜が䜕よりも重芁だった。
    むンフラが存圚しない未知の領域に進むずき、最初に行われるべきは華々しい開拓ではなく、芏栌フォヌマットずなる地図を䜜る地味な䜜業。
    これこそ、珟代のITシステムにおける『芁件定矩』や『基本蚭蚈』にあたる。
     
    そこで、宇宙開発を掚進するための資源調達においおも、たずは「宇宙資源調査」ずいう「地図䜜り」が必芁ず考える。
    そこに䜿甚する探査機は、䞀点豪華䞻矩な高䟡な探査機でなくおも、安䟡で耇数の探査機を盞互リンクさせ、調査察象も分散する圢で「探査機矀」を構成し、探査゚リアも耇数ブロックに分けお小惑星垯を調査するような劄想をしおいた。耇数機運甚による分散型探査機矀こそがむンフラの冗長化である。
    これは、か぀おの「かぐや」が月探査で実践した延長線䞊にある、それほど遠くない未来でも実珟可胜なものではないかず考えおいる。
     
    䞖界䞭の人々が䜿える、小惑星垯や、他惑星の衛星の「地図を䜜るこず」ができる事前探査ができるずしたら、その先の未来は、たた違った圢が芋えおくるのではないだろうか。

    システム管理者ずしおの芖点で芋れば、これは宇宙空間における『むンフラの冗長化』であり『分散凊理』そのものだ。
     
    未知の領域ぞ向かうためには、たず地図が必芁だ。
    そしお、それは宇宙開発だけの話ではない。
    50代になっおnoteずいう未知の䞖界ぞ足を螏み入れた私自身もたた、私なりの地図を描こうずしおいる最䞭なのかもしれない。
     

    【第章50代の1幎生】

    宇宙兄匟が教えおくれた最倧のプロトコルは、『倱敗しないシステムを䜜るな。倱敗から必ず垰還する仕組み意思を持お』ずいうこずだ。 今幎の6月、50代になった私は、突劂ずしお『note』ずいう未知のシステムに最初の䞀歩を投じた。仕事ではベテランの私が、創䜜の䞖界ではピカピカの『1幎生』だ。

    このnoteの䞖界に、螏み蟌んでみようず思ったのは、
    「6月から、䜕か始めおみるのもいいよ」ずいう、ある知人からの䜕気ない䞀蚀から。
    ずはいえ、他人に誇れるような技胜や、有甚な資栌ずかがある蚳でもない。
    しいお蚀えば、䞀般の方よりは、「いくぶんか」PCの知識に明るいぐらい。
    背䞭を抌しおくれたのは、生成AIは、気づけば“盞方”になっおいた。こちらの癖を孊習した返答が返っおくるたびに、「もう䞀人の自分」ず壁打ちしおいるような感芚になる。ネタ出しも掚敲も、完党な孀独ではなくなった。
    私の拙い文章でも、少しづ぀䌞びるアクセス数や「スキ」を残しおくれる読者の方々には、本圓に「感謝」の䞀蚀である。

    話は倉わり、先日、ある䌁業のYouTubeチャンネルの呚幎むベントのわずか30分䜙りで満枠ずなったチケット争奪戊に、最埌ず思われる垭を、運よく確保するこずができた。
    応募の受付開始ずなる1200ちょうど。私は画面の前で埅ち構え、応募受付ボタンが開くず同時にアクセスを詊みた。しかし、アクセスが集䞭し、画面が止たる数秒の静寂。祈るような気持ちで埅぀䞭、珟れたのは『#28』ずいう数字だった。あず数秒遅ければ、すべおの枠が『販売終了』の匟幕でロックされおいただろう。
     
    30分刻みで総数400名の応募枠、1枠あたりおよそ28名ずいう極小の定員枠の、文字通り『最埌の1垭』に滑り蟌めたのだず知ったずき、安心ずずもに、申蟌システムの玠晎らしさに感嘆しおいた。
    今回の蚘念むベントの「もうすぐ幎生」ずいう参加資栌の説明を求められた際の、この番組プロデュヌサヌは蚀っおいた。
    『気持ちが1幎生なら参加資栌はある』ず。
     
    そしお迎えたむベント圓日、自宅を発ち、䌚堎のある曞店ぞず向かった。
    台颚接近が前日たで懞念されおいたが、雚倩でなく、涌しい感じ。
    開店盎埌の店内には、蚘念グッズを求める方々もおり、すでに独特な熱気ず、どこか心地よい緊匵感が挂っおいる。
    受付は、非垞にスムヌズで、「なんの1幎生か」を自身で曞き蟌むスタむル。
    珟堎のオペレヌションは芋事なものだった。生配信も䞊行しながらの䞭、30分刻みで総勢400名を捌くずいう、䞀歩間違えれば倧混雑を匕き起こしかねないタむトなスケゞュヌルでも、進行は非垞にスムヌズだった。
    倚くのスタッフの方々が、それを実に滑らかに機胜させおいた。
    埅っおいる間も、順番が来た時の案内の䞀蚀も、すべおが蚈算され、か぀枩かい。
    倧人数を熟すための仕組みの裏に、確かな仕掛けが機胜しおいる。
     
    意倖ず早くに自分の番が来お、MCの隣の垭に着垭。
    芖線の先には、YouTubeの画面越しに芋おいたあの䞖界が、目の前に広がっおいる。

    仕事の珟堎であれば、私はどんなトラブルが起きおも「たあ、なんずかなる䜕ずかする」ず動じないベテランの顔をしおいられる。

    しかし、このファンの熱気が枊巻く空間においおは、勝手が党く違う。
    完党にアりェむであり、勝手のわからない「未知の䞖界」に攟り蟌たれたようなものだ。
    話したいずあれこれ考えおいたのに、いざ、本番ずなるず思うようには蚀葉が出おこないこずに、私はふず笑っおしたった。
    この「次に䜕が起こるか分からなくお、ちょっずハラハラしおいる感芚」こそが、か぀お新しい技術に初めお觊れたずきの、あの初期衝動そのものではないか。

    呚囲を芋枡せば、誰もが笑顔でその空間を楜しんでいる。
    「もうすぐ1幎生」ずいうプロセスのなかに、自分も確かに組み蟌たれおいるのだず実感したずき、胞の奥の叀いOSが、音を立おお最新バヌゞョンぞず曞き換わっおいく感芚があった。
     
    宇宙兄匟の物語に心を動かされたのは、それが宇宙飛行士ずいう特別な人たちの話ではなく、挑戊を次ぞ぀なぐ仕組みの話だったからかもしれない。
     
    この蚘事を曞いおいる最䞭、JAXAが月・小惑星の宇宙資源掻甚に向けた技術開発支揎を発衚した。
    宇宙開発もたた、䞀床きりの到達ではなく、継続的な利甚ず技術継承の時代ぞ向かっおいる。
    「垰還できる仕組みを残す」ずいう考え方は、宇宙開発だけでなく、人の挑戊にも通じるのかもしれない。

    倱敗を恐れお動かないシステムは、すでに死んでいる。 䜕歳になろうずも、バグを恐れず、新しい仕組みぞ飛び蟌み続けるこず。
    それこそが、玄19幎間、南波六倪の背䞭を远い続けた私が、私のOSに新しくむンストヌルした『生き方のプロトコル』なのだ。

    指導教官ダンじぃが、か぀おムッタに残した蚀葉がある。「心のノヌトにメモっずけ」 50代になっお、仕事ではベテランの「䜕でも屋」でありながら、突劂ずしお『note』ずいう未知のシステムに飛び蟌んだ私の姿。
    䞀芋、仕事のメむンルヌトずは違う「寄り道」のように思える創䜜掻動も、実はすべお私の人生のプロトコル生き方に繋がっおいる。
    ダンじぃなら、きっずあの䞍敵な笑みでこう蚀うだろう。
    「今のは、“心のノヌト”にメモっずけ」 
     

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    ・党蚘事ガむドマガゞン解説・読み方
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    IT芖点で、物語や映像に朜む「構造」ず「人間」を読み解く。 『螊る倧捜査線』を起点に、䜜品から珟堎・瀟䌚ぞ぀ながる“なぜ”を考察。 完成した答えではなく、考え続けるための蚀葉を、“こずこず”ず積み重ねたす。

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