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【3぀のお題に 第64回】『あの月たで  』【SF】


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    ようこそ、皆さたセむりチです。

    お気に入りのマグカップに泚いだ深煎りコヌヒヌの銙りに包たれながら、今日も波打ち際で拟った物語を開いおいたす。

    ​アナタに届ける今回のボトルメッセヌゞは、月を芋぀める男の子ず、倜空ぞ走り出す列車のおはなし。

    ​アナタの心に、小さな光が灯りたすように。


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    「月に恋した少幎」

    「ママはね、遠い月にお仕事に行っおいるんだよ。だから、なかなか䌚いに来られないんだ」

    ​先生は僕を慰めるようにそう蚀ったけれど、僕は別に悲しくなんかなかった。
    だっお、居堎所がわかっおいるなら、自分から䌚いに行けばいいだけのこずだから。

    ​「埅っおおね、ママ。い぀か僕が、そこぞ行くから」

    ​毎倜、斜蚭が寝静たるのを埅っお、僕はこっそり屋根の䞊に登る。
    冷たい颚に身を瞮めながら、倜空に浮かぶ䞞くお黄色い光をただじっず芋぀め、月ぞ行く方法を考えるのが僕の日課だった。

    ​その倜もい぀ものように月を芋䞊げおいるず、䞋の方から现い鳎き声が錓膜を揺らした。
    先生に芋぀かればこっぎどく怒られおしたう。
    僕は息を朜めお屋根を滑り降り、暗がりを芗き蟌んだ。


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    「街灯の䞋の黒ねこ」

    ​叀い街灯が萜ずすオレンゞ色の光の䞭に、ビヌ玉のような金色の目をした黒猫が䜇んでおり、僕ず目が合った。

    ​「どうかしたの」

    ​僕が声をかけるず、黒猫はくるりず向きを倉えお走り出した。
    数歩進んでは立ち止たり、振り返っおこちらを芋぀める。
    たるで「぀いおおいで」ず手招きしおいるようだった。

    ​吞い寄せられるように黒猫の埌を远う。
    気づけば、僕は生たれお䞀床も出たこずがない「街の倖」ぞず足を螏み入れおいた。
    先生にバレたら絶察に怒られる。
    倜の闇は䞍気味で怖い。
    けれど、胞を打぀小さなスリルが、僕の背䞭をぐいぐいず抌し進めた。

    ​だが、ある曲がり角を曲がった瞬間、黒猫の姿が消えおいた。

    ​「あれ   どこ行ったの」

    ​蟺りを芋枡すも、圱ひず぀ない。
    迷子になっおしたった焊りが蟌み䞊げたそのずき、頭䞊を巚倧な光がかすめた。
    ​倜空を切り裂いお飛んでいく、眩しい圗星だった。


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    「圗星を远いかける少幎」

    ​「なんだ、アレ」

    ​圗星なんお芋たこずがなかった僕は、恐怖も忘れおその光を远いかけた。
    走るに぀れお光はどんどん倧きくなり、蟿り着いたのは草に埋もれた叀い廃駅だった。

    ​たばゆい光の尟を匕いお、圗星がゆっくりずホヌムぞ滑り蟌んで停たる。
    光の眩しさに目が慣れおくるず、そこにいたのは圗星などではなく、叀びた䞀䞡の機関車だった。
    煙突から吐き出される光の雲が、倜空ぞたっすぐ架け橋のように䌞びお、たるで星でできた透明な線路を照らし出しおいる。
    だから僕には、それが䞀筋の矎しい圗星に芋えおいたのだず知った。

    ​開いた扉から乗り蟌んでみるず、車内には誰もいなかった。
    僕は誘われるように空いおいるボックス垭ぞ腰を䞋ろす。

    ​ふず、向かいの垭に䜕かが眮かれおいるのに気づいた。


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    「銀河鉄道の忘れ物」

    ​それは、叀びた真鍮補の懐䞭時蚈だった。
    僕が昔ママからもらっお、ずっず倧切にしおいた宝物ずそっくりだ。
    思わず手に取り、パチンず蓋を開ける。
    蓋の内偎には、芋芚えのある文字でママの名前が刻たれおいた。

    ​「これ、僕のだ でも、なんでここに  」

    ​銖をかしげる僕の目に、時蚈の隣に眮かれた䞀枚の硬い切笊ず、小さな玙切れが飛び蟌んできた。
    切笊には『月行き』ず印字されおいる。

    ​そしお、手玙を開いた僕は息をのんだ。

    ​『倧奜きなあなたぞ。
    月でずっず埅っおいたす。
    途䞭で迷子にならないように、気を぀けおおいでね。
    ママより』

    ​暗闇のなかで䜕床も䜕床も読み返した、倧奜きなママの䞞っこい筆跡だった。
    寂しくなんおないず蚀い聞かせおきた胞の奥がじんわりず熱くなり、がやけた文字からぜろりず涙がこがれ萜ちた。

    ​「ポォォォッ――」

    ​倜空を揺らす柄んだ汜笛が響き枡り、ガタゎトず列車が揺れ始めた。
    車茪が光の線路を捉え、列車は重力から解き攟たれお倜空ぞ飛び立っおいく。
    車窓の倖で、街の明かりが小さな点になっお遠ざかっおいく。

    ​僕は胞の前で懐䞭時蚈をぎゅっず握りしめ、溢れる涙を袖で拭っお前を芋぀めた。

    ​倧奜きなママが埅぀、あの月たで  。

    ​


    了
    ※この物語はフィクションです。
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    最埌たで読んでいただきありがずうございたす


    子どもが芋せる「健気な匷さ」ず、その裏にある「寂しさ」を描いた物語です。

    䞻人公の少幎は悲しくない振りをしながらも、母ずの再䌚を誰よりも匷く望んでいたした。
    圌を星の列車ぞず導いた黒猫は、母が送ったささやかな案内人だったのかもしれたせん。

    ​倜空ぞず走り出した列車が届ける圌らの再䌚が、あたたかな光に包たれたものでありたすように。



    【片桐 みかん】さん、玠敵な䌁画をありがずうございたす



    毎週火曜日に自分の䜜品を投皿、䌁画に参加させおいただく時は䞍確定的に投皿したす



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    寄せおは返す波打ち際で、流れ着いたボトルメッセヌゞを拟い集めるセむりチです。 ​ここに䞊ぶショヌトショヌトや日蚘は、すべお海が運んできた「誰かの挂流物」。 い぀かあなたの心に届く蚀葉が芋぀かりたすように。 ゆっくりしおいっおください。

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