【3つのお題に…第62回】『思い出はいつまでも青いまま』【青春】
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ようこそ、皆さま!セイウチです。
波打ち際を歩いていたら、夕暮れ色のボトルがひとつ、流れ着いていました。
中に入っていたのは、少しセピア色に染まった誰かの甘酸っぱい記憶のようです。
皆さま、温かい飲み物でも片手に、この青い物語を読んでみませんか?
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放課後の体育館裏。
夕日が影を長く伸ばすなか、僕は意を決して声を張った。
心臓がうるさいくらいに鳴り響き、時間が止まったかのような静寂が二人の間に落ちる。
深々と頭を下げたまま待つこと数秒、耳に届いたのは「……はい」という小さな声だった。
弾かれたように顔を上げると、彼女は頬を真っ赤にして恥ずかしそうに俯いていた。

それから僕たちは、街外れにある喫茶店『ブルーライト』に通うようになった。
二人ともまだコーヒーの苦さは分からないから、決まって頼むのは色鮮やかなクリームソーダだった。
前に父親から借りてきた古いカメラで二人一緒で撮ったこともある。
レバーの回し方もよく分からないままシャッターを切った写真は、現像してみるとどれも見事にピンぼけしていた。
アイスが溶けるのも忘れて「全然写ってないじゃん」と二人でお腹をかかえて笑い合った。
あの他愛のない時間が、永遠に続けばいいと本気で願っていた。

「かなり古い写真ですね」
若いウエイターの声で、私はふと意識を引き戻された。
喫茶店『ブルーライト』のいつもの席。目の前には、あの日と同じ鮮やかな青色のクリームソーダがひとつ置かれている。
私の手元にあるのは、フチが擦り切れた一枚の写真。
「ええ、初恋の人と撮った大切な思い出の写真なんだよ。まあ、盛大にピンぼけしていて、顔もよく分からないんだけどね」
私は写真の中のボヤけた彼女に目を落とし、少し照れくさそうに微笑んだ。
グラスの中の氷が、ちりん、と小さく音を立てた。
写真の余白に残った青い記憶は、今でもあの日と変わらない鮮やかさで胸に残っている。
(了)
※この物語はフィクションです。
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最後まで読んでいただきありがとうございます!
昭和レトロの雰囲気を少しでも味わえたなら幸いです。
追記:第62回の企画作品です。期限が過ぎていたらすみませんm(_ _)m
【片桐 みかん】さん、素敵な企画をありがとうございます!
毎週火曜日に自分の作品を投稿、企画に参加させていただく時は不確定的に投稿します!
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