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ドキメキを思い出す

    「そのTシャツ、サマソニですよね」

    6月のある日思い切って話を振ってみた。

    4月に初めて会った時には、

    穏やかそうな真面目な人という印象。

    三歳差と年は近かったが、

    個人的に話をする機会はなかった。


    職場にやってきたその人は、眼鏡姿の好青年。

    飾らない受け答えが年下からも慕われ、

    優しい眼鏡姿がまるでヨン様みたい!と

    年上の同僚からも気に入られた。

    「マフラーを巻くとよく言われます」と

    恥ずかしそうに答える姿が

    ますます一部のお姉さま方から

    人気を集めていた。


    当時職場には独身のアラサー男女が5名。

    そのうち2人には交際をしているお相手がいたが

    私を含め残りのメンバーは

    まだまだ仕事が恋人のような状態。

    そこへ降って現れた好青年。

    ただ

    若手同士親睦と称して飲みに行くことはあっても

    なかなか個人的な距離は縮まらない。


    「これはきっと

    公私混同するなということなんだ

    今はひたすら仕事に励むしかない」

    私は機会がないことをそう解釈して

    飲み会を企画してくれる先輩同僚に感謝しつつも

    ますます仕事に邁進していた。



    元々職場では皆、動きやすい服装をしていたが、

    ある日、彼の着ていたTシャツの

    背中のプリントに目が止まった。

    そこに見えたのは沢山のバンドの名前と

    有名な夏フェスの文字。

    SUMMER SONICサマーソニックのロゴが踊っていた。

    行ったことはない私ももちろん名前は知っている。

    「そのTシャツ、サマソニ、ですよね」

    「あっ、そうなんですよ!よく知ってますね」

    途端に嬉しそうな顔に変わる彼。

    「行きました?サマソニ」

    「えっと‥弟が」

    心の中で、弟にグッジョブと親指を立てる。


    「僕も、この時の⚪︎⚪︎が見たくて行ったんです」

    「あ、知ってます!家にアルバムあります!」

    「いいですよねー、⚪︎⚪︎!」

    急に距離が縮まったのを感じた。


    正確に言うと、そのアルバムも弟のものなのだが

    私は嘘をついていない。


    その後、洋画が好きでよく見ていることや

    漫画もかなり詳しいことなど

    仕事から離れた会話を

    ちょくちょくするようになり

    その都度私は

    昔読んだ漫画や見た映画の記憶を引っ張り出しては

    彼の好みを学習し

    また次の会話のキッカケを見つけることが

    できるようになっていた。


    その年の秋の終わりには二人で映画を観に行った。


    あの時の漫画やバンド、映画の情報は

    ほとんどが

    弟から借りたり教えてもらったりしたものだ


    もしかしたら

    夫は

    私の弟と結婚したらよかったのかも知れない。


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    うりもさんの企画 #ドキメキを記事にしよう  に参加しています🍌


    初めて記事をうりもタッチで仕上げてみました。本文のみで987字、何とか1000字以内に収まりました😆
    マガジンの他の方たちの記事を読むと、ドキドキトキメキ✨だったり、なかにはドキメキを越えてドギマギしてしまうようなお話も。

    春、ですね。

    記事募集は今月3/31までだそうです。興味のある方はぜひうりもさんの記事を読んでみてください😊



     
     
     
    1980生。日常の、些細なエピソードや思考を残したくて、長めの日記のつもりで書いています。

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