
今日、一緒にいられてよかった
保育園に入る前から、「保育園の洗礼」という言葉を怖く思っていました。
熱を出す。
仕事を休む。
有給が減る。
頭では分かっていたつもりでした。
でも、いざ復職してみると、その現実は想像以上。
復職してまだ三週間。
まだ慣れない仕事と家事に追われながら、なんとか育児を回すだけで、一日があっという間に終わる。
そんな中、赤ちゃんが体調を崩しました。
夫が仕事を休んで病院へ連れて行き、私は出勤。
仕事に来たものも、夫から診断結果の連絡が来るまで、気持ちは落ち着きませんでした。
翌日は私が休んで看病しました。
心配でした。
もちろん。
それなのに、頭の片隅では有給残日数を数えている自分がいました。
まだ復職したばかりなのに。
これから先も何度もあると言われているのに。
赤ちゃんの体調より先に仕事のことを考えてしまう自分が嫌でした。
幸い症状は軽く、もう一日休んだ後の土日のうちに熱はすっかり下がりました。
残るのは下痢だけ。
月曜日は在宅勤務の日。
デスクの横に寝かせておけば、仕事ができるかもしれない。
有給を一日使わずに済む。
土日は機嫌も良かった。
抱っこを求めるのは夕方から夜くらいで、昼間は一人遊びもしていた。
お気に入りのおもちゃを渡しておけば大丈夫かもしれない。
ミルクの時間は休憩時間を削ればいい。
オムツ交換だって、急げば自分がトイレに立つ時間とそう変わらない。
そんな計算をしていました。
翌朝、いつも通り早起きをした赤ちゃんは、私の思惑など知るはずもありません。
目が合った瞬間、にっこりと笑ったのです。
ただそれだけ。
それだけなのに、私は夫に言いました。
「今日も休むよ」
結果として、復職後三回目の休みは、職場に申し訳なくなるほど幸せな一日になりました。
体調がほとんど戻った赤ちゃんは、ご機嫌でよく笑いました。
お気に入りのおもちゃを左右に動かすと、一生懸命目で追う。
メリーを見上げて目をまん丸にし、手足をばたばた動かす。
ミルクを飲み終えてもまだ元気だったので、膝の上で向かい合って手遊びをしました。
そのうち赤ちゃんのまぶたが少しずつ重くなっていく。
閉じかけては開き、閉じかけては開き。
眠いはずなのに、何度も私の顔を見て笑う。
「もう眠いね。ねんねしようね」
抱き上げると、温かい体が胸にぴたりとくっつきました。
ほどなくして、小さな寝息が聞こえてきました。
こんなに眠かったのに、一緒に遊んでいてくれたんだ。
私はその寝顔を見ながら、心から思いました。
今日、休んでよかった。
生後三か月で保育園に通い始めたこの子と、平日の昼間をこんなふうに過ごせる日は、あと何回あるのだろう。
有給は減った。
仕事も休んだ。
将来の不安だって消えていない。
それでも、この日のことを思い返したら、私はきっと同じ選択をする。
今日、一緒にいられてよかった。