
リハビリはゲーム感覚で!15:焦燥《脳梗塞(脳卒中)の“前向き”闘病記 小説風》
第一話はこちらからご覧ください
はじめに
ある朝、突然倒れた和泉大輝(45歳・会社員)。
診断は、脳幹部の梗塞。
体は動かず、声も出ず、世界は一変した。
不安と絶望のなか、支えてくれたのは、
最愛の妻・花菜と3人の娘たちだった。
「家族のために、絶対に立ち上がる」
そう誓った男が始めたのは、“ゲーム感覚”のリハビリ生活だった。
そして訪れた検温の朝。
数字を見た瞬間、リハビリ担当者は小さく首を振った――。
焦り、迫る期限、そして募る不安。
果たして大輝は、この壁を乗り越えられるのか。
本作は、実際の経験をもとにしています。
※本編には、病気、身体の麻痺、生命への不安などセンシティブな描写が含まれます。
心身に負担を感じる可能性のある方は、無理のない範囲でお読みください。
🧠この話には、別記事で医学的見地からの解説があります。物語とあわせて読むことで、脳梗塞の理解がより深まります。ぜひご確認ください。
第二部本編(全11話)+妻視点のサイドストーリー(全6話)+脳卒中の知識を分かりやすく学べる解説(7話)、全てを最後までご覧いただけるマガジンを200円で販売しております。
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それでは、本編をどうぞ。
第二部 声か鼓動か ― 言葉を超えて、届いたぬくもり
第15話 焦燥
2025年3月8日
今日は“緊急ミッション”を達成するための、重要なステップの日。
期待を胸に朝を迎えた。
起きてすぐ、ベッドのリクライニングを上げて、首の角度を調整する。
昨日よりも、首がしっかり支えられている感覚があった。
右手のグーパー運動も軽く行う。
まだ力は弱いけれど、動きに迷いが少なくなってきている気がする。
目の焦点も、ぼやけずに合っている。
スマホ画面を確認する余裕もあった。
小さな積み重ねが、確かに前進に変わっている。
今日はいける!
そう信じていたのに・・・

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血圧測定で、170を超えていた。
その数値を見た時、リハビリの担当、森田さんが小さく首を振るのがわかった。
「今日は見送りましょう。無理は禁物ですから」
仕方ない。
血圧が高いと中止になることくらい、頭では分かっていた。
それでも、やっぱり悔しかった。
(あと2日やのに・・・)
何も考えたくなくなって、布団の端をギュッと握りしめながら、天井をぼんやりと見つめていた。
