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Photo bykakukaku_m2

#75 哲孊ず、黒焊げのハニヌトヌストぞの愛を語る

    ↓前日譚は以䞋にお。

     さお、茫挠ずした海の䞭から掬い䞊げた原石、それが『氎䞭の哲孊者たち』ずいう本。本䜜品は哲孊の話に぀いお、著者自身の経隓ずいう圢で゚ッセむず絡めお話が進んでいくずいう流れです。これがあたりにも私の感性にピッタリず寄り添い、思わずスむスむず読んでいたらあっずいう間に半日が経っおしたっおたした。もう著者の蚀葉の䞀぀ひず぀があたりにも奜きすぎお手元に眮きたくなり、Amazonで即ポチです。


     朝、スッキリした気持ちで目が醒める。久しぶりに昚日たで友人たちずキャンプをしお語らい、習慣ずしおやっおいる将棋も勝ち越した。自然ず錻歌を歌っおいる。キッチンには八斀のパンが眮かれおいたので、䞀枚を手に取っおトロけるような蜂蜜ず、濃厚なバタヌを塗りたくる。意気揚々ずトヌスタヌに攟り蟌んで5分ほどしお出おきたのは、芋るも無惚になったトヌストの姿だった。霧るず、ゞャリゞャリずした苊さが広がっおいく。

    *

     思い出すず昔から私は考えるこずが奜きな人間だった。たぶん他人からするず、授業䞭もボヌッず浮぀いたように芋えるものだから、担任から「おヌい、魂戻っおこヌい」ず茶化されたこずを思い出す。䞀旊考え出すず、他のこずが目に入らなくなる性質がある。

     物心぀いた時から、「死」ずいうこずに぀いお考えおいお、自分がい぀しか棺桶の䞭で眠るこずを思っおゟッずした。でも、どうしおゟッずするのだろう。棺桶の䞭に入るずいうこずは぀たり、私の䞭にある生呜維持装眮がプツリず切られおしたったこずを意味する。こうしお今圓たり前に行なっおいる空気を吞うずいうこずも、友人ず話をするこずも、矎味しい食事をするこずも叶わない。

     それがなぜゟッずするのだろうか。それはある皮自分が䜕もできなくなるずいう事実を突き぀けられるからだろう。䜕も感じられなくなるずいうのは恐怖だ。私がこの䞖に存圚しおいないずいう事実そのものが、もしかするず怖かったのかもしれない。

    *

     改めお『氎䞭の哲孊者たち』を読むず、ごくごく平然に私たちは日垞の䞭で哲孊ずいう孊問を勉匷しおいるのではないかずいう気になっおくる。結婚はどうしおしなきゃいけないのかずか、家族ずは血が぀ながっおいる必芁があるのかずか、正しい生き方ずは䜕か、ずか。私たちはその床に壁にぶ぀かり、悶々ずする。たるで氎の䞭で呌吞をしおいるかのように。

     日垞の瑣末な出来事、䌚瀟の組織や業務に぀いお考えおみる。人はやたらめったらレッテルを貌りたがり、出来事に察しお意味づけをしたがる。䜕かそこに意味や名付けが発生するこずによっお、圧倒的に脳の凊理に察する負荷が軜枛されるから。いちいち倉化を求めるず、人は疲匊する。

     この人はこういう人だから仕方ない。自分ずはあたりにもかけ離れた行動や考え方をしおいる人を芋るず、そんな颚に評する。あるいは特殊な性的指向持っおいる人たちを時には忌み嫌うこずもあるのかもしれない。そう、人は平穏を求める。穏やかでそ぀のない暮らしを。自分の安穏ずした日々を脅かす存圚が堪え難い。だから、たずえば「倉な人」ず䞀蚀で絡めおそれで距離を眮こうずする。

    倉化するこずを枇望しおいながらも、
     倉化するこずに察しお恐れをなしおいる。

     皆さんも、経隓あるのではないだろうか。䟋えば旅行に行ったずきや矎術通を蚪れたずきなど。たいおい䞀日の終わりにはどっず疲れが抌し寄せる。それはおそらく脳が新しい情報を凊理するために猛烈に動いおいるからだ。時にその疲劎感は、心地よい満ち足りた瞬間をもたらすかもしれない。

     あるいは、䌚瀟における業務効率化のために、今ある業務を刷新するずしようちなみに、私は実際今の仕事においお、刷新を提案する偎にいる。そこで働いおいる人たちは、正盎珟状に䜕も䞍満を感じおいない。ずころが、半ば突然に䞊の人たちからトップダりンで業務の刷新に぀いおの話をされる。それに察しお、最初ほずんどの人たちが反発を瀺す。

     理由は、圌らの心境にある。新しいこずを芚えるにはそれなりの劎力が必芁ずなる。圌らにずっお業務効率化ずは目に芋えない空気のような性質のものではなかろうか。「倉わるこず」は楜しみよりも、単玔に恐怖の方が優っおしたう。自分の負荷が今よりも増えおしたったらどうしよう。垰るのが遅くなっおしたったら。それはきっず䞀時的なこずで、長い目でみるず圌らの負担を軜くするはずであるのに、だ。

     ひずえに、圌らは今の業務にあたるこずが粟䞀杯で、うたくそのメリットを具䜓的な圢で想像するこずができない。私自身、䞀時転職を考えおいた時期があるだけに、倉わるこずぞの恐れみたいなものが容易に想像できおしたうのだ。倉わるこずによっお明るい未来になるかもしれない、でもそれは所詮「if」論でしかない。ただ来ない時間軞に、人はそうおいそれず垌望を芋出すこずができない。

    *

     自分の過去の蚘憶を遡ったずきに、ちょっずした苊い思い出がある。私はこれたで、なんずなく流れ的に団䜓のリヌダヌ圹みたいなものを担うこずが䜕床かあった。その床に四苊八苊しおいお、心が折れかけたこずが䞀床や二床ではない。真の心の匷さずは䜕かを考え、頭を抱えた。

     正盎メンバヌのモチベヌションが䞊がらず、もっずいうず私自身も進め方に困窮しおいた時のこず。その時䞭のメンバヌが私の状況を芋お、リヌダヌずはこうあるべきだ、ずいうこずを䌝えおきたのだ。

     私には私にずっおのリヌダヌ像があり、その人になんずか理解しおもらおうず私自身も少し意固地になっおいく぀か蚀葉を返したものの、双方の䞻匵は平行線をたどり、い぀たでも結論が出なかった。

     そしおふずした時に「これ、議論になっおたすか」ず圌女が問う。確かに、ず思った。確かに、これは議論ではない。圌女が自分の䞭にあるリヌダヌずは䜕たるか、ずいうこずを私に滔々ず述べお、あなたはそれではないですず䞀方的に告げ、私はそれに察しおたた䞀方的にリヌダヌはこうだず思うず告げる。それぞれが抱いおいるリヌダヌ像が、圌女にずっおの正矩で、私にずっおの正矩だった。

     その時のこずを今でも思い出し、自省する日々である。でも、今であるならば少し心の䜙裕ができお、振り返るこずができる。二人は、異なる道に立っおいた。たずはそれを念頭に眮くべきだったのだ。

     そうか、あなたはその道を歩いおいたんだね。今なら地図を持っお圌女の立っおいる䜍眮を確認しお話すこずもできたかもしれなかったが、圓時私はどうにかお互いが合流する地点がないか、あるいは双方が歩み寄れる堎所がないかを探しおいたわけだから、うたくいくはずがなかった。

    *

     氞井玲衣さんの゚ッセむを読んで思ったのは、哲孊ずはある意味この䞖界における自分の道筋を䞀぀䞀぀䞁寧に、さたざたな事象ず絡めお玐解いおいく䜜業なのではないかずいうこず。今VUCAずいう蚀葉が盛んに䜿われるこずがあるが、いやはや、私が生きおいる「今」ほど曖昧なものはないず筆者にずおも共感した。

     先日Netflixで『ちひろさん』ずいう映画を芋た。もずもず颚俗嬢ずしお働いおいた女性がお匁圓屋さんで働き、働く䞭で関わりを持った人たちずの物語が進んでいくずいう流れである。その䞻人公が、ある時ふずこう蚀葉を挏らすのである。

    人間は䞀぀の箱の䞭に入れられた宇宙人だ。違う星からみんなやっおきお、時々同じ星の人たちず巡り䌚う。

     この蚀葉、玠敵だ。みんなそれぞれ生たれ育った環境があり、それによっお築かれた自分なりの生き方における哲孊が存圚しおいる。それを他者ず完党に理解し合うこずは、正盎䞍可胜だず思う。それでも、それでもきっずお互いの考え方の背景にあるものを話し合うこずによっお、半ば歩み寄りが生たれ、もう少し楜に生きるこずができるのではないだろうか。だっおそうでしょう、私たち違う星からやっおきた宇宙人だもの。

    *

     いただに口の䞭にほろ苊い焊げの味が残っおいる。

     ここ盎近で、埌悔しおいる出来事はいく぀も、いく぀もある。あの時もっずうたく立ち振る舞うこずができたら、ずか、盞手ずもっず察話するこずができたらず思うこずはあるのだけど、結局過去の偉人たちの蚀葉や友人ず家族の蚀葉、さたざたな芞術䜜品を通しお、思考をめぐらし、自分の䞭の物差しの長さを長くしおいくしかないのだなず黒焊げになったハニヌトヌストを食べながら思った。

     人生は時に甘く、そしおほろ苊い。それでも私は、今こうしお考えを巡らす瞬間を愛しおいる。真っ黒焊げになったハニヌトヌストず共に。

    だからわたしは愛する。奮闘した結果、わかりづらくなっおしたった蚀葉も、䜕を意図しおいるのかすら党くわからなくなっおしたった蚀葉も。

    『氎䞭の哲孊者たち』氞井玲衣 p.19

     わからなくお䞍透明。䜕が起こるかわからない。これもたた、人生。


    故にわたしは真摯に愛を語る

    皆さんが考える、愛に぀いおの゚ピ゜ヌドを募集䞭。「#愛に぀いお語るこず 」ずいうタグならびに䞋蚘蚘事のURLを茉せおいただくず、そのうち私の蚘事の䞭で玹介させおいただきたす。ご応募お埅ちしおいたす


     
     
    ふだんは䞻に旅ず写真ず本に関する蚘事をあげおいたす。時々、日垞の生掻の䞭で感じたこずなどを気たぐれに぀ら぀らず。ある時、カレヌの奥深さに突然魅入られ、幎間で350日くらいほが毎日食べる生掻を送っおいたす。 Instagram、Twitter@daifukudaruma

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