【1分小説】 絶対消滅兵器
夜中、物音がして目を覚ますと、ぼくの部屋に見たこともない生き物がいた。全身が金ぴかに光るロボットみたいなやつで、頭からアンテナが生えている。
明らかに普通の人間じゃない。身長はぼくとあまり変わらないけど、多分宇宙人だ。
宇宙人は、胸のライトをチカチカと点滅させながら、機械みたいな声で言った。
「この星のあらゆる物質を無慈悲に飲み込み、跡形もなく消し去る『絶対消滅兵器』のことを教えてほしい」
「絶対消滅兵器?」
「とぼけても無駄だ。既にこの星に存在することは調べが付いている」
ぼくは「絶対消滅兵器」ってなんだろう?と考えた。地球を守るすごいロボットのことかな。でも、うちにある一番何でも飲み込んじゃう黒くて丸いヤツなら知っている。
「それなら、リビングのすみにいるよ」
ぼくが案内すると、暗闇の中に静かにたたずむ黒いお掃除ロボットがあった。
宇宙人は息をのんだ。
「ぶ、不気味だ……まったく生命反応を感じない。それなのに、全身から尋常ではない圧力を感じる……!」
恐る恐る近づき、アンテナから青い光を出して調査を始めた。そのとき、ぼくの足がうっかりお掃除ロボットの「スタート」ボタンを踏んでしまった。
「ピピッ!」
という電子音とともに、黒い円盤が大きなモーター音を立てて動き出した!
お掃除ロボットは一直線に進み、宇宙人の足に「コツン」とぶつかった。
宇宙人は「ギャァーッ!」と叫んでひっくり返った。
それでもお掃除ロボットは、宇宙人の存在なんて最初からなかったかのように、クルッと向きを変え、ゴーッと音を立てて床のホコリを吸い込みながら去っていった。
床にへたり込んだ宇宙人は、ブルブルと震えていた。
「な、なんという余裕だ……!私など眼中にもないというのか……!」
顔を引きつらせながら、後ずさった。
「い、いったん撤退する。あの兵器について、至急対策を考えなければ……!」
そう叫ぶと、窓からすさまじいスピードで飛んで逃げて行った。
次の朝、ぼくが起きたとき、宇宙人の姿はどこにもなかった。
お母さんが「あれ、掃除機のダストボックスがパンパンだわ」と言いながら、本体のお手入れをしていた。
「あら?」
お母さんが中を覗き込んだ。
ぼくも覗いた。
そこには、小さな金色のアンテナが一本入っていた。
