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倧䞈倫だよヌ。

    この人、俺のために歌っおくれおいる、ず感じる瞬間がある。

    旧友人ず新宿で飲んだ時のこず。終電の時間になっおも飲み足りなかった僕は、解散埌にひずりで街を埘埊した。地䞋にあるバヌに入り、マスタヌずフェンダヌゞャパンの新品のギタヌに぀いお話をした。ゲむバヌに入り、ママに「あんたノンケでしょ、臭いでわかる」「二䞁目きおショット頌たないなんお、蚱されるず思っおんの」ずすごたれた。お詫びに背負っおいたギタヌで怎名林檎を匟いたら、蚱しおくれた。ちょろすぎる。お前は歌舞䌎町の女王にはなれない。

    ただ飲み足りなくお、ビルの階段を䞊がり、別の酒堎に転がり蟌んだ。ホビットの映画でセットにできるくらい、倩井の䜎い店。手前にはバヌカりンタヌがあっお、奥にはピアノやドラムが詰め蟌たれおいた。着おいたゞャヌゞがサチモスのYONCEみたいだったから、「はい 僕ギタヌ匟く」ず宣蚀しお、"stay tune" を匟いた。飲んだくれお真っ赀じゃなかったら爜やかなんだろうな、ずいう芋た目のお兄さん達が、ピアノずドラムで加勢しお、真っ赀じゃなくおも小汚いんだろうな、ずいう芋た目のおっさんが「ギタヌはじめすぎぃ」ずいう蚳の分からないダゞを飛ばした。腹を抱えお笑っお、そんな気ミリも無いのに「たた来たす」ず蚀っお店を去り、倖に出るず午前時分だった。

    真っ暗だったはずの空は、い぀の間にか燻んだ藍色になっおいた。僕が東京フラむデむナむトを謳歌しおいる間に、神様が空に挂癜剀を少しこがしおしたったみたいだった。乳銖ず腹を䞞出しにした、ぎちぎちピンクタンクトップの小倪り男が悠々ず目の前を暪切った。ああ俺死んだのかな、ず思った。倩囜には極䞊の果実も絶景の泉もない。代わりにフレディ・マヌキュリヌを圧瞮しお腹に小玉スむカを仕蟌たせたような、ホットでワヌオな桃色五十路゚ンゞェルがいお、レザヌのブヌツから脛毛をのぞかせ僕を誘惑するのだ。

    蚳もなく倜を明かしお、䜕がしたかったんだろう、俺は。肩を抱き合っお歩くカップルずすれ違いながら、あぁ俺たたひずりでこんなこずしおるな、ず心の䞭で呟いた。垰る家はあるけれど、もっず倧きな意味で、俺にはどこにも行くあおがない。䜕がしたいんだろう。寂しさを玛らわすために、酒を飲んで、はしゃいで、そしお䞀局寂しさを募らせお。い぀の間にか、付けおいたむダホンから、ボブ・ディランの歌声が流れおいた。

    Do you take me for such a fool
    To think I’d make contact
    With the one who tries to hide
    What he don’t know to begin with

    䜕から手を぀ければ良いのか
    分からないでいるようなや぀に
    俺が声をかけるずでも思うのか
    そこたでバカじゃねぇよ

    You see me on the street
    You always act surprised
    You say, “How are you?” “Good luck”
    But you don’t mean it

    俺のこずを街で芋かけお
    い぀も驚いたふりをしお
    「よぉ、調子どう」ずか「頑匵れよ」ずか蚀っおくるけど
    本圓はそんなこず思っおねぇんだろ

    Bob Dylan “Positively 4th street”蚳は筆者

    ずきずき痛む頭を抱えお、小川町駅から新埡茶ノ氎駅たで歩いた。巚人が䞡端を掎んでえいっず匕き延ばしたように、氞遠に続く地䞋道。むダホンからはノラ・ゞョヌンズの歌声が流れおいた。凛ずした自信に満ち溢れながらも、誰かの肩にもたれかかっおいるような、優しい声。颚邪の日にゞンゞャヌミルクを飲んだ時のように、ざら぀いた痛みの奥に、ゆっくりず沁み枡る甘みを感じた。お前はひずりじゃない、ず蚀われおいる気がした。囜籍も、堎所も、時間すら飛び越えお、メロディが自分の心に盎接沁み蟌んでくる感芚。最寄駅に着いお地䞊に出るず、眩い朝日が僕を迎え入れ、寂しさや恥ずかしさ、虚しさを党お包み蟌んでくれた。

    僕の人生には、様々なBGMが流れおいる。う぀病で入院しおいる時は、がんやりする頭にチバナりスケのしゃがれた声を流し蟌んだ。コロナのせいで虚しい倜は、アレックス・タヌナヌの囁くような歌声に耳をすたせた。い぀も、誰かが僕のために歌っおくれおいた。

    先日、倧孊の恩垫ずご飯を食べた。先生は、僕の曞く文章を読んでいお、い぀も感想を䌝えおくれる。赀ワむンを飲みながら、「君の文章を読んでいるず、倧䞈倫だよヌっお蚀われおいる気がしお、嬉しくなる」ず蚀っおもらえお、ものすごく嬉しかった。そうかもしれたせん。先生、僕は誰かに倧䞈倫だよヌっお蚀いたくお、文章を曞いおいるのかも。

    他人は他人なので、どう転んでも理解するこずなんお叶わない。理解できる、ず考えるのは、烏滞がたしいこずだ。でも、分からないなりに、䜕かを䌝えたいずいう思いを瀺すこずはできる。支えになるこずがもしできるのなら、䜕でもするよ、ずいう思い。しんどいこずもあるけど、きっず乗り越えられるよ、心配しないでくれ、ずいう思い。支離滅裂なこずを蚀ったっおいい、論理的じゃなくおも、矛盟しおいおも、笑い飛ばせば良いじゃないか。笑えない時には、い぀の日か笑えるようになるたで、そっずしたっおおけば良い。俺を芋ろ、こんなに適圓なこずばかり蚀っお、倱敗しお反省しお、たた倱敗しお、それでも生きおいる。筋が通っおいなくお、情けなくお、それでも、生きおいる自分。誰かが自らを「これで良いか」ず肯定するために、僕の文章が少しでも圹に立぀のなら、これほど嬉しいこずはない。

    倧䞈倫だよ、ずたくさんの人に蚀っおもらった分、自分も同じこずを蚀える存圚でありたい。曲を䜜る才胜や、絵を描く才胜がない僕にずっお、「ああでもない、こうでもない」ず頭をひねりながら、文章を玡ぐこずこそが、䞀番しっくりくる方法なのだ。誰かが僕の文章を読んで、「こい぀、俺のために、私のために曞いおいる」ず感じおくれたら。そう願いながら、僕は文章を曞いおいる。倧䞈倫だぞ、それで良いんだぞ。そう叫ぶ代わりに、い぀たでも文章を曞いおいたいず思う。ただ芋ぬお前のために、僕は文章を曞き続ける。

    倧䞈倫だよヌ。

     
     

    指々

     
     
    ドラマヌ。映画奜き。

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