
空席は努力では作れない
フードコートの席取りが苦手だ。
昔から競争が苦手だった。
人を押しのけることも苦手だった。
子どもの頃、友達とゲームをしていて、わざと負けていた。
自分が負けた方が、場の空気が悪くならない気がしていたからだ。
だからなのか、今でも空いた席に急いで向かうことができない。
そんなフードコートで、いつも思うことがある。
フードコートの席って、世間でいう成功にすごく似ている。
席がいっぱいだと、諦める時もある。
最初から家族が席を取ってくれている人もいる。
目の前の席が空く人もいる。
遠くの席が空いても、その席に着く前に誰かが座ってしまうこともある。
席が空いていても、気付かない人もいる。
ずっと待っていても、一つも席が空かない時もある。
世間から見れば、僕は恵まれた席に座っているのかもしれない。
でも、それは僕が努力して席を作ったからじゃない。
努力で空席を作ることはできない。
努力は、目の前で空いた席に少し早くたどり着けるくらいのものなのかもしれない。
だから僕は、自分の席を努力で勝ち取ったとは思っていない。
たまたま、目の前の席が空いたから座れただけ。