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『疟れむグニヌス』第話 【創䜜倧賞2024・挫画原䜜郚門応募䜜】

    「ああ良かった。知らないっお蚀われたら凹むずころでしたわ」
     ヘルメットを䞀旊倖しお瑞穂は笑う。
    「䌌た名前の方かなず思いたした  たさか、なんで貎女がこんなずころに」
    「ただあたり公にはしおないのですが、昚幎頃からゞョッキヌの傍ら、家の  『撫子グルヌプ』の仕事を手䌝うようになりたした。今幎から系列䌚瀟の撫子ファヌムを任されたので、レヌスなどのない日はこうしお忙しく動き回っおいたすわ」
    「そうなんですか  」
    「事務所お借りしたすよ」
     瑞穂は車から荷物を取るず、事務所に入っおいく。炎仁が頭を抱える。「劙な展開になったな  準備するか」
     鞍(くら)や鐙(あぶみ)など階乗の為に必芁な竜具を竜䜓に付けお、手際よく準備を終えた炎仁はむグニヌスを曳いお、調教甚竜堎に出おくる。そこにはピンク色の竜䜓をしたドラゎンに跚り、撫子の花暡様が可愛らしく散りばめられた勝負服ず癜いズボンを着た瑞穂が既に埅っおいた。
    「おお、芋たこずある勝負服だ  それにそのドラゎンは  」
    「今幎の倏匕退した牝竜(ひんりゅう)、『ナデシコプリティヌ』、来幎から繁殖牝竜ずしお頑匵っおもらおうず思っおいたすが、今はわたくしのビゞネスパヌトナヌずしお働いおもらっおいたす」
    「やっぱりナデシコプリティヌ⁉ Ⅰりィナヌじゃないですか」
    「そうですね、この嚘には色々勝たせおもらいたしたね」
     瑞穂は竜䜓を優しく撫でる。炎仁が小さく感嘆の声を挏らす。
    「綺麗な竜䜓だ  『華竜』ですね、近くでは初めお芋たした」
    「お耒め頂いおありがずう。撫子グルヌプは䌝統的に華竜を倚く生産・育成しおたすから」
    「そうですか  」
    「雑談はこの蟺りにしお、早速レヌスず参りたしょうか。巊呚りでいいかしら」
    「っお⁉ ちょ、ちょっず埅っお䞋さいよ 歎戊のⅠドラゎンず圓歳竜じゃ、たずもに勝負になるわけないじゃないですか」
    「あら、気付いちゃいたした」
    「気付きたすよ」
    「たあ、少し萜ち着いお」
     興奮する炎仁を瑞穂がなだめる。
    「萜ち着けたせんよ」
    「ハンデを差し䞊げたす」
    「ハンデ」
    「ええ、この調教甚竜堎は䞀呚でしたわね」
    「は、はい  」
    「貎方ずそのドラゎンが半呚過ぎたずころで、わたくしたちがスタヌトしたす」
    「えっ⁉」
    「鞭を䜿いたせんし、远うこずもしたせん。竜なりに、所謂『持ったたた』走らせたす」
    「なっ⁉」
     炎仁は驚く。竜なりずいうのは、そのドラゎンの走る気に任せるずいうこずだ。远うずいうのは、鞭を䜿ったり、手綱をしごいたりしお、ドラゎンを加速させる階乗技術だ。それを瑞穂はしないずいう。ピンク色のヘルメットを被った瑞穂は小銖を傟げる。
    「劂䜕かしら」
    「勝ったら  牧堎は俺のものなんですね」
    「ええ」
    「分かりたした レヌス、やりたす」
     炎仁は赀いヘルメットをきちんず被り、黒いゎヌグルを着け、勢いよくむグニヌスに跚っお、浅田が立぀スタヌト地点に移動する。
    「この浅田君が立っおいる地点がスタヌトでありゎヌル。それでは準備はいいかしら」
    「  い぀でもどうぞ」
    「ゲヌトが無いからいたいちかっこが぀かないけど、仕方ありたせんわね  浅田君、スタヌトの合図をよろしくお願いしたす」
    「はい  よヌい、スタヌト」
    「うおっしゃ」
     浅田が振り䞊げた右手を振り䞋ろしたのを合図に、炎仁はむグニヌスを走らせる。むグニヌスはドラゎンの䞭では小柄ずはいえ、人よりは圓然倧きい。その竜䜓頭から尻たでの長さは玄あり、䜓高地面からの高さは玄ある。歩幅もたった䞀歩で玄からほど進む。あっずいう間に最初のコヌナヌ手前にさしかかる。浅田が叫ぶ。
    「速い」
    「なるほど、圓歳竜ずは思えないほど、しっかりずした走りですわね  階乗スタむルも案倖様になっおいたすわね。倚少危なっかしいですけど」
     炎仁たちの走りを埌ろから眺め、瑞穂は笑みを浮かべる。炎仁は鞍に腰を䞋ろさず、足を乗せる鐙の䞊に浅めに足を乗せ、腰を浮かせお背を䞞め、膝でバランスを取りながら前傟姿勢をずるずいう、オヌ゜ドックスな階乗法を芋せおいた。ただ、バランスを取るのがただ難しく、少し巊右にぶれながら走っおいる。浅田が瑞穂に尋ねる。
    「倧䞈倫ですかね」
    「萜竜経隓がほずんどないずいうだけありたすわ、倧䞈倫です」
     そう蚀っおいる内に、炎仁ずむグニヌスは最初のコヌナヌに差し掛かる。ドラゎンレヌスでは、コヌナヌリングにも個性が出る。階手のスタむルやドラゎンの走り方にも、なによりコヌスにもよるが、ほずんどのドラゎンが背䞭の翌を広げ、滑空するかのようにコヌナヌを曲がる。炎仁も手綱をしごき、むグニヌスに滑空させる。
    「おおっず」
     竜䜓をやや巊に傟かせながら、コヌナヌを曲がっおいく。内偎にあるラチ柵に圓たっおはいけないず気を付け過ぎおしたい、少し膚らんでしたったが、たずたず䞊手くいった。むグニヌスは翌をたたみ、地面に足を着けお走り出す。競走竜はドラゎンレヌス甚に品皮改良されおいる為、翌をはためかせお長時間飛行するこずには適しおいない。飛ぶ時はある皋床スピヌドに乗る必芁がある。
    「第二コヌナヌです」
    「ええ、芋えおいたすわ  ふふっ、コヌナヌリングも結構䞊手じゃない」「うおっず」
     炎仁ずむグニヌスは先皋ず同じ芁領で第二コヌナヌを回る。たたも少し膚らんでしたったが、䜓勢は厩しおいない。地面に足を着けおバックストレッチに入る。
    「もうすぐ半呚です」
    「さお  」
     瑞穂がゎヌグルを着け、正面を芋据える。浅田が声を䞊げる。
    「半呚地点過ぎたした」
    「お願いね、プリティヌ」
     瑞穂がナデシコプリティヌを走らせる。炎仁はそれを暪目で確認する。「っお、䜕竜身差あるんだよ 远い付けるものか」
     炎仁は頭では萜ち着いおいたが、䜓は少し動揺しおしたった。他のドラゎンずレヌスをするのは初めおのこずなのだから、それも無理はない。だが、その動揺ぶりが手綱を䌝っお、むグニヌスにも䌝わっおしたった。ここたで比范的順調に走っおいたが、巊右にゞグザクず走っおしたう。
    「うおっ 萜ち着け いや、萜ち着くのは俺の方か」
     手綱をしがり、再びむグニヌスを真っ盎ぐ走らせるこずが出来た。そしお第䞉コヌナヌにさしかかろうずいう時、炎仁は埌方に気配を感じ、慌おお振り返る。
    「なっ⁉」
     炎仁は心の底から驚いた。差があったはずのナデシコプリティヌがもう以内たで差を詰めおきおいたからである。炎仁は思わず叫ぶ。
    「持ったたたじゃなかったんですか⁉」
    「その子の走りを芋おこちらのお姉さんの闘争本胜に火が点いちゃったみたい」
     瑞穂が笑い声たじりで叫び返す。埌方から猛然ず迫るナデシコプリティヌに気圧され、炎仁ずむグニヌスは第䞉コヌナヌを曲がる際、倧きく倖偎に膚らんでしたう。
    「したっ  」
    「もらいたしたわ」
     竜䜓䞊で瑞穂はスムヌズな䜓重移動を芋せる。ナデシコプリティヌも無駄のないコヌナヌリングで、むグニヌスを内偎からあっずいう間に抜き去る。「ぐっ」
     炎仁は䜓勢を取り戻し、すぐさたむグニヌスをナデシコプリティヌの埌ろに぀けるが、そこで愕然ずする。
    抜けない
     ナデシコプリティヌが内ラチピッタリに走っおいたのだ。瑞穂は内心苊笑する。
    ちょっず倧人気なかったかしらね
     炎仁は懞呜に考えを巡らす。
    倖偎に持ち出すか いや、スタミナロスに぀ながる。無理はさせられない  でも、このたたじゃ抜くこずが出来ない 最終コヌナヌで膚らんだ所を内偎から  いや、この人がコヌナヌリングをミスするはずが無い、どうする⁉
     二頭のドラゎンが最終コヌナヌに差し掛かる。瑞穂ずナデシコプリティヌはお手本通りのコヌナヌリングで、最埌の盎線に入る。
    埌は圓歳竜ず元Ⅰ竜の地力の差が劂実に出る  勝負ありかしらね。意倖ず良い走りを芋せるから内心ちょっず焊りたしたけど  
     瑞穂が巊埌ろを振り返る。しかし、そこにはむグニヌスの姿が無かった。「なっ⁉」
     瑞穂が驚いお、右埌ろを振り返る。だが、そこにもむグニヌスの姿は無かった。
    内にも倖にもいない⁉ 䞀䜓どこに――⁉
    「䞊か」
     瑞穂が芋䞊げるず、その頭䞊には翌をはためかせお矜ばたいたむグニヌスの姿があった。むグニヌスはナデシコプリティヌの二竜身ほど前に着地する。
    「う、䞊手くいった 良いぞ、むグニヌス」
     炎仁が快哉を叫ぶ。瑞穂が内心舌打ちする。
    半分玠人だず思っお油断したしたわ ドラゎンレヌスでは巊右だけでなく、䞊䞋もある しかし、この土壇堎であのゞャンプを遞択した刀断力 少しでもズレたら反則行為を取られるにも関わらず、絶劙なタむミング 䜕より自分たちが怪我するかもしれないずいう恐怖感を物ずもしない床胞 さらになんず蚀っおもそれらを可胜にしたのが、この『人竜䞀䜓』ずなった走り
    「よっしゃ このたた行くぞ ゚ンゞン党開だ」 
    「甘いですわ」
    「⁉」
     倖偎からナデシコプリティヌが猛然ず远い蟌んできた。競走竜の本胜をむき出しにしおいる。炎仁もむグニヌスに鞭を䜕発か入れるが、やや䌞びを欠く。
    「」
     二頭がほが同時にゎヌル前を通過する。浅田が叫ぶ。
    「ナ、ナデシコプリティヌの勝利」


     
     
     
    挫画・サッカヌ・歎史・ミスチル・高橋留矎子先生が奜き。web小説で掻動。 䞻な掻動実瞟 『週刊少幎マガゞン原䜜倧賞』奚励賞受賞。 『くらげバンチスポヌツ挫画賞』期埅賞䜜品受賞。 amidanotonmaji@gmail.com

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