『 天国行きの回数券 』
地獄に落とされた者がいた。
賽の河原で石を積み続け、
煮える血の池に浸かり続け、
鋭い針の山で眠り続け、
貯めたポイントで
やっと天国行きの回数券を手に入れた。
男は期待に胸を膨らませて、
天国に足を踏み入れた。
ー
天国は混み合っていた。
どの浴槽もギュウギュウで、
くつろげなかった。
子供連れの団体が来ていて、
とても騒がしかった。
学生が壺湯に
3人で入ろうとして、
ワチャワチャしていた。
露天風呂のモニターでは
興味のない食レポが流れていた。
サウナもギュウギュウだった。
しかし、
流石は地獄を耐え抜いた男。
誰よりも長く入っていた。
男は天国から上がった。
コーヒー牛乳は売り切れていた。
ー
天国から地獄に戻った男に、
亡者たちが群がった。
「天国どうだった?」
「金曜は混むから次は月曜に行くわ」
完
🦆💬 ガァ
( ↓こちらの企画に参加させていただきました )
