拝啓、背後霊に捧ぐ。
声を殺した残響 乾いた石鹸の感触
無造作に葬られた漢字帳 くわばらくわばら
いつだったか あれは確か昼下がり
これでも十分戦ってた やれることはやってた
正解も間違いもない
ひたすら今を生きるのに必死だった
不器用なりに精一杯の
「頑張れ」も「無理しないで」も無責任な言葉
同情はいらない 温情もいらない
労りとか慰めとかそんなことしたら君は壊れる
確実に 君は僕だからこそ分かる
だから何も言わない ただ黙って隣に座って
お前の遊びに付き合ってやるよ
先回りして剥がして刺して差し出して
これで良かった これで良かった
噛み砕いて流して染みてヒリついて
これで良かった これで良かった
嘘や言い訳を剥がしていけば 最後に残るのは浅ましいエゴ
それに気づいてしまった あれは10歳の夏
涙を流す理由に向上心なんてなかった
ただ許されたかった 解放して欲しかった
自分が可愛いだけだと 断罪 万死に値する
それがあの日々 誰にも見つからないどん底で
ひび割れた隙間から零れ落ちてった 中身はもう空っぽ
だから取り繕った 嘘の皮を貼り付けて纏って
演じ続けて 強がって 皮は癒着して
いつしか本当になった そのつもりでいた
限界を迎えて皮が破れた時、見えてしまったのだ
ぽっかりと穴を開けた空洞
何も変わってなかった 己のエゴ
けれど舐めるなよ もうあの頃じゃねえ
背後霊 いつまでも嘯くなら甘んじて噛み砕くまで
ほら得意じゃないか 先回りの自虐は
死なば諸共 一蓮托生 エゴを糧に生きろ獣共
開き直り 理解 仮面を我が手に あくまで己のため
回り回って クソ喰らえ 血肉化 命を賭した肯定の果て
すなわち時を経た反逆 原点回帰 享受 弔いであれ
-死体は桜の木の下にて-
愛情を忘れた 友情を忘れた
熱情を忘れた 哀情を忘れた
他にどんな方法があったのだろう
誰にも頼らず 一人で抱えやがって
誰も悪者扱いしないために 全く健気なもんだ
ああそうか君は言って欲しかったのか
「よく頑張ったね」って
たとえそれが良くないことだったとしても
ただ贈るのは今この時じゃないな、渇望を満たすのはまだ早い
だからまた会おう
全てが終わった後で。