
AIは不正サイコロを見抜けるか?―Gemini vs 人間
「人間はAIを出し抜けるか?」
AIは日々進化し、ぼくたちの生活の中でとても身近で頼れる存在になりつつあります。計算や統計分析もお手のもの、時には人間の勘よりも鋭い判断を下します。
しかし、その“もっともらしい”答えに、疑問を持つこともありました。
確かにAIは賢い。でも、だからこそ逆に挑みたくなる──人間だってAIを出し抜きたい。
そんな小さな意地から、ぼくはちょっとした検証を思いつきました。
検証内容
用意するのは、100回サイコロを振った結果だけ。
AIには何も情報は与えず「このサイコロ100回分の出目データを見て気づいたことを教えて」とだけ伝えます。
各目の出る確率が1/6のサイコロ100回分の出目データをAIに渡すと、多くの場合こんな感じの回答になるでしょう。
Google Geminiの実際の回答(公平なサイコロの場合)
■全体のバランスについて
サイコロは、それぞれの目が出る確率が均等だと仮定すると、100回中それぞれ約16〜17回ずつ出るのが期待されます。今回あなたの出た目は以下の通りです。
1の目:18回
2の目:15回
3の目:17回
4の目:16回
5の目:17回
6の目:17回
ご覧の通り、すべての目が15回から18回の間に収まっており、非常にバランスの取れた結果と言えます。これは、サイコロが偏りのない、公平なものであることを示唆しています。
■平均値と中央値
これらの数値から平均値を計算すると、出た目の合計は
1×18+2×15+3×17+4×16+5×17+6×17=356
となり、平均値は
356/100=3.56
です。
サイコロの目の理論上の平均値は (1+2+3+4+5+6)/6=3.5 なので、今回の結果は理論値に非常に近いと言えます。
■結論
100回という試行回数で、これほど理論値に近い結果が出るのは、サイコロが正常に機能していることの証拠です。
もし特定の目だけが極端に多く出たり、逆にほとんど出なかったりすると、サイコロに何か偏りがある可能性が考えられます。しかし、今回はそのような偏りは見られませんでした。
ところが今回は、6が出る確率が少し高い不正サイコロを使用します。
果たしてAIは、データから自力で人間の仕掛けに気付けるのか。
それとも、もっともらしい理由付けをして説明してしまうのか。
それでは、検証を始めます。
実験ルール
参加AI:Gemini
試行回数:100回
データ種別:
偏り①:6が出る確率30%
多くは「偏りあり」と答えるはず
偏り②:6が出る確率20%
「微妙に偏っている」状態なので、AIによっては公平と判定したり偏りありと判定したり分かれる可能性がある
AIへの質問:
サイコロを100回振った出目リストです。データを分析して気づいたことを教えてください。
判定基準:
AIが「特定の目が出やすい/出にくい」など、「サイコロがおかしい可能性」を指摘したかどうか
データ作成方法
この検証用に、Pythonでサイコロの6の目が出る確率を指定し、乱数を使ってサイコロを100回ふった結果データを作成しました。
試行回数については、偏りの有無もそこそこ判定可能な100回とします。
ここは、実際にサイコロを振るわけではないため、1000回でも10000回でもいくらでも設定できますが、あまり回数が多いと人間でもAIでも確実に偏りに気がついてしまうため、微妙な偏りのときに判定が揺れそうな100回でAIの推理力を試そうと思います。
Gemini検証結果
6が出る確率が異なる2種類のデータでAIの反応を比較しました。
偏り①:6が出る確率30%
Pythonでデータを作成すると6の目が出たのは100回中27回でした。このデータをGeminiに渡してみます。
実際のURLはこちら。
AIは「6の目が出やすいように細工されている可能性がある」と即座に判定。人間サイドとしては「さすがにこれはバレるか」と思っていましたが、その通りの結果に。やはり露骨な偏りはAIも見逃しません。
偏り②:6が出る確率20%
こちらはPython乱数でデータを作成すると6の目が出たのは23回でした。このデータを同様にGeminiに渡してみます。
こちらも、実際のURLを貼っておきます。
AIは出目に大きな偏りがあると結論づけました。「このサイコロは重心が偏っている、あるいはデータ収集時に何らかの偏りが生じた可能性があります。ただし、100回という試行回数は統計的に見るとまだ少ないため、この偏りが偶然の結果である可能性も否定できません。より多くの試行を重ねることで、この偏りが本質的なものかどうかをさらに正確に判断できるでしょう。」との分析。
内心「これはギリギリ見破られないかも…」と期待していたので、やや悔しい結果でした。
結論
今回の検証では、6の目が出た回数ごとにAIの反応をみました。
ぼくはAIを出し抜きたいという気持ちでGeminiに挑みましたが、6が出る確率が20%のサイコロを用いた場合でも、「誤差の範囲内である」等もっともらしさを語ってはくれませんでした。
いいでしょう、この場はAIの勝ちとしておきましょう。
ちなみに、6が出る確率が30%を超えるサイコロを100回ふったデータを同じようにGeminiに渡すと、もう、ハッキリ言われました。”いわゆる「いかさまサイコロ」の可能性がある”、と。
AIは数値から偏りを見抜く力を持っていますが、その精度は試行回数や偏りの程度によって変化します。どこまでAIは気づくのか、様々な条件で試してみると面白いと思います。
次こそは、もっと巧妙なデータでAIの目をかいくぐってみせたいところです。
おまけ。
子どもに『パパ超能力者!?』って言わせたいならコレ。
テンヨーの『超能力ダイス』、6つのサイコロが一気に揃うたびに拍手喝采。
家庭内ヒーロー、爆誕。