
CodexのMulti-agent V2、何が変わった? SolからLunaへ仕事を任せられるように
※この記事は2026年8月16日時点のOpenAI公式情報を基にしています。モデル、設定、credit単価は変更される可能性があります。
CodexのMulti-agentに、気になる変更が入っていました。
ざっくり言うと、Solのような強いモデルを親にしながら、Lunaのような軽量モデルへ一部の仕事を任せやすくなっています。
ただ、ここは最初に分けておきたいです。
「Multi-agent V2が今回初めて登場した」という話ではありません。
Multi-agent V2自体は、2026年7月21日のCodex CLI 0.145.0ですでに安定化されています。この時点で、サブエージェントごとのモデルや推論レベル、同時実行数などを調整できる仕組みが入りました。
今回注目したいのは、その先です。
そもそもMulti-agent V2とは
Multi-agentは、一つのAIに全部の仕事をやらせず、メインのエージェントから複数のサブエージェントへ仕事を分けて進める仕組みです。
たとえば大きなコードベースを調べるとき、関連ファイルを探す担当、テストを確認する担当、ログを調べる担当に分けます。独立して進められる仕事なら、並行して動かせます。
OpenAIのSubagentsガイドでも、各サブエージェントがそれぞれモデルとツールを使い、最後にメインのエージェントが結果を集める流れとして説明されています。
一方で、サブエージェントを増やせば必ず省エネになるわけではありません。
それぞれがモデルとツールを動かすため、同等の仕事を単一エージェントだけで行う場合より、総token消費は増えるのが一般的とも書かれています。
今回、本当に変わったところ
2026年8月7日のCodex CLI 0.147.0の完全な変更履歴には、PR #36892として「Support leaf models in multi-agent v2」が掲載されています。
このPRは8月4日にOpenAIのCodexリポジトリへマージされました。変更内容は、Multi-agent V2の親が、Multi-agent対応を明示的に無効化されていない表示可能なモデルを起動できるようにするものです。
選ばれた子モデルがMulti-agent V2に対応していない場合、他のエージェントと協調するためのツールは渡されず、leaf worker、つまり末端の作業担当として動きます。
強いモデルだけでチームを作るのではなく、難しい判断をする親と、狭く明確な仕事を処理する軽量な子を分けやすくなりました。
たとえば、Solが全体を判断し、Lunaが調査・分類・抽出を担当して、その結果をSolへ戻す使い方です。
Luna同士が勝手に相談しながら進める、という意味ではありません。親側が仕事を分け、サブエージェントの結果を回収する構造として理解するのが安全です。
Sol・Terra・Lunaは何を任せ分けるのか
現在のOpenAI公式モデルガイドでは、GPT-5.6の3モデルは次のように位置づけられています。
Sol
曖昧で複雑な仕事、高価値な判断、深い調査、難しいコード変更。
Terra
日常的な実務、探索、大きなファイルの確認など、読む作業が多い仕事。
Luna
抽出、分類、変換、構造化要約など、狭く明確で反復しやすい仕事。
全部Solに投げるのではなく、「これは本当にSolが考える必要がある仕事か」で分けられます。
設計や最終判断はSol。少し軽い探索ならTerra。正解条件が明確な大量処理ならLuna。
今回の更新で大事なのは、単純にLunaが安いことより、この役割分担をMulti-agentの中で使いやすくなったことです。

設計と判断、資料探索、定型処理を、同じ作業台の別担当として分ける。
「Lunaなら1/25」の意味には注意
現在のCodexのcredit表では、1M tokenあたり次のようになっています。
GPT-5.6 Sol
Input:125 credits
Cached input:12.5 credits
Output:750 credits
GPT-5.6 Luna
Input:5 credits
Cached input:0.5 credits
Output:30 credits
同じtoken区分の単価だけを比べると、LunaはSolの1/25です。
ただし、「Sol+LunaにするとCodexの使用量が25分の1になる」という意味ではありません。
入力する文脈量、推論レベル、ツール使用、検索、キャッシュ、サブエージェント数などで、実際の消費量は変わります。しかもMulti-agentでは、複数のエージェントがそれぞれtokenを使います。
「単価が1/25」と「仕事全体が1/25」は別の話です。ここは混ぜないほうがいいです。
初心者なら、まず何をLunaへ任せる?
公式Subagentsガイドでは、最初は探索、テスト、トリアージ、要約など、読む作業が中心の仕事から使うことが勧められています。
Lunaなら、さらに範囲を狭くして始めると分かりやすいです。
ファイルや公開情報から必要項目を抽出する
一覧を条件別に分類する
ログから指定されたエラーを探す
大量の項目を決められた形式へ変換する
調査結果を決められたフォーマットへ整理する
「何を調べれば終了か」「どんな形式なら正解か」が先に決まっている仕事ほど、Lunaへ渡しやすくなります。

抽出、分類、ログ確認、定型整形。終了条件が分かる仕事から一つずつ試す。
Codexには現在、agents.default_subagent_modelなど、サブエージェント側のモデルを指定する設定もあります。公式Subagentsガイドには、Lunaを固定したカスタムエージェントの例も掲載されています。
逆にLunaへ任せないほうがいい仕事
何でもLunaへ渡せばいいわけではありません。
要件そのものが曖昧な仕事、大きな設計判断、複数の条件を比較して最終方針を決める仕事には、Solのような強いモデルを残す理由があります。
もう一つ注意したいのが、並列でのコード編集です。
OpenAIも、複数のエージェントが同時にコードを書くような処理は、競合や調整コストが発生しやすいと説明しています。
最初から同じコードをLuna数体に編集させるより、Lunaに調査させる、親が判断する、編集担当は絞る。この順で進めるほうが安全です。
まだ確認できていないこと
ここまで書いたのは、公式ドキュメントとOpenAIのCodexリポジトリで確認できる仕様です。
一方で、Sol単独と「Sol親+Luna子」を同じ仕事で動かしたとき、速度、品質、総使用量がどこまで変わるかは、まだ比較していません。
現在の自分の環境で同じ設定が表示され、そのまま動くかも未確認です。実際の使用枠や追加credit消費が何%減るかも分かっていません。
なので現時点では、「25分の1まで節約できた」とは書けません。
確認できたのは、SolとLunaを仕事に合わせて役割分担できる仕組みが整ってきたところまでです。
次は「Sol親+Luna子」を実機で比較する
次は同じ小さな仕事を、Sol単独と、Solを親にしてLunaへ一部を委任する2パターンで実行します。
速度、結果の品質、tokenやcreditなど確認できる使用量を比べれば、「仕様として使える」から一歩進んで、実際にどの仕事へ使うとよいかが見えてきます。
今回の変更は、Multi-agent V2が突然登場したという話ではありません。
強いモデルに全部やらせず、仕事の難しさに合わせてモデルを分担する。その選択肢が増えた更新でした。
次は実際に動かして確認します。