80年代中盤、Duran Duranがバンドとしての活動を休止、メンバーが分かれて活動した時期があった。解散の危機となった一方、大きな転機にもなっているのは知るところ。
ギタリストであるAndy TaylorとベーシストのJohn Taylorが、Duran Duran結成当初のコンセプトであった『Chic×Sex Pistols×ハードロック』を具現化すべく、ChicのドラマーTony Thompsonに声をかけて結成された英米混成のロック・ユニットがThe Power Staion。
1984年、仮のユニット名"Big Brother"としてスタートしたプロジェクトは、当初、曲ごとにボーカリストを変える、ゲストボーカリストのスタイルをとる方針だった。実際、大御所Mick Jaggerをはじめ、Billy IdolやMick Ronson、The Psychedelic FursのRichard Butlerらが候補に挙げられたが、Andy Taylorのお気に入りだったRobert Palmerにオファーを出し、1曲歌ってもらったところ、思いのほかフィットしたのとRobert Palmer本人のモチベーションが高かったことからボーカリストを固定することになり、ユニット名もアルバムのレコーディングで使用した“ザ・パワー・ステーション・スタジオ”からThe Power Staionと命名された。
Chicのベーシスト Bernard Edwardsのプロデュースによる作品は、アルバム「The Power Staion」がビルボード6位、シングル「Some Like It Hot」がビルボード6位、「Get It On(Bang A Gong)」が9位を記録するなど成功を収め、Robert Palmerの躍進にもつながった。
Duran Duran残りのメンバー3人、ボーカルのSimon Le Bon、キーボードのNick Rhodes、ドラムのRoger Taylorで結成されたもう一方のユニットはArcadia。こちらはPink FloydのDavid GilmourをはじめHerbie HancockやGrace Jones、Sting、土屋昌巳ら豪華ゲスト陣との共演で、アルバム「So Red The Rose」がビルボード23位、シングル「Election Day」が7位、「Goodbye Is Forever」が33位を記録、The Power Stationに比べ地味だが聴きどころ満載だった。
この二つのユニットの成功が『Duran Duranはこのまま解散するのではないか』という憶測を呼んだのは言うまでもない。Arcadiaの曲のタイトル「Election Day」「Goodbye Is Forever」も勘ぐりたくなる。Duran Duranのメンバーも「解散」への意識について触れており、キーボードのNick Rhodesは英インデペンデント紙の新しいインタビューの中で、Mick Jaggerに救われたと語っている。
ミックは僕を見てこう言ったんだ。『君たちは本当に一緒にやっていくべきだ。それが君たちの未来なんだから』ってね。彼の言う通りだった。あの時は、本当にすべてがバラバラになっていてもおかしくなかったから。
Andy Taylorは脱退してしまったが、Duran Duranが解散しないことを選択する上で重要な役割を果たしたのが、メンバーがそれぞれの道を歩み解散の危機を招いた原因かもしれないThe Power Stationのボーカル候補でもあったMick Jaggerだというのが・・・この頃Mickもソロ活動中で、Keith Richardsとの確執が噂されていた時期、今考えると感慨深いなぁと思える。メンバーの変動はあったもののDuran DuranもThe Rolling Stonesも今でも元気に活動中でうれしい限りである。
