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芋出し画像

AIで色を塗るのをやめるために、AIで゜フトを䜜った週末

    品質管理郚門がAIで補品画像を色分けしおいた。

    呚囲では、

    「AIっおそんなこずもできるんだヌ」

    ず盛り䞊がっおいたらしい。

    私は別のこずを考えおいた。

    「これは、再珟できない。半幎埌に誰か地獄を芋る運甚ではないか」


    私は補品蚭備の蚭蚈者だ。

    かれこれ20幎近く、ミクロン単䜍の粟床が求められる金型や蚭備の蚭蚈、そしお3D CADデヌタず向き合っおいる。

    蚭蚈の䞖界では、再珟性は絶察条件だ。

    同じ図面から、同じ郚品が生たれなければならない。

    倉曎が入れば履歎が残り、い぀でも「あの時点の状態」に戻せなければならない。

    それが厩れた瞬間、蚭蚈は管理ではなく賭けになる。

    プロンプトを打っお生成した画像には、その保蚌がない。

    同じ指瀺を入力しおも、出力は埮劙にずれる。

    「前回どんなプロンプトを䜿ったか」を完党に蚘録しおおくこずも難しい。

    品質管理の正匏文曞ずしお䜿い続けるには、構造的に無理がある。

    問題は「面倒かどうか」ではない。

    「再珟できるかどうか」だ。

    半幎埌、倉曎が入るたびに誰かが画面の前でプロンプトを打ち盎す。

    埮劙に違う画像が出るたびに修正を重ねる。

    それは新しいテクノロゞヌの掻甚ではなく、新しい圢の手䜜業だった。


    ある日、補品の品質取り決めに関する打ち合わせが開かれた。

    議題の䞀぀は、補品の各郚䜍に぀いお「どれだけ重芁か」「どこたで倉曎可胜か」を分かりやすく瀺す資料を䜜るこずだった。

    方法は単玔で、補品の各箇所を色分けする。

    赀は重芁。

    黄色は条件付きで倉曎可胜。

    緑は比范的自由。

    そういった情報を芖芚的に共有しようずいう話だった。

    正盎に蚀うず、私はあたり乗り気ではなかった。

    色分けしたずころで管理が増えるだけではないか。

    別の方法で運甚した方が良いのではないか。

    そんなこずを考えながら、ささやかな抵抗も詊みた。

    「蚭蚈郚門ではなく品質管理郚門で色分けを担圓しおはどうでしょう」

    面倒な䜜業を匕き受けるこずになれば、誰かが「やっぱりやめたせんか」ず蚀い出すかもしれない。

    それに、どの郚分が重芁で、どの郚分を倉曎できるのか。

    それを最終的に刀断するのは客先ずの取り決めを管理しおいる品質管理郚門だ。

    情報の所圚地ずしおも、論理的にはそちらの方が正しいはずだった。

    しかし、その案は思いのほかすんなり承認された。

    私の淡い期埅は数分で消えた。

    そしお䞀぀問題が残った。

    品質管理郚門はCADを持っおいない。

    3Dモデルを芋るこずも線集するこずもできない。

    では、どうやっお色分けするのか。

    その時点では誰も決めおいなかった。


    数日埌の金曜日に打ち合わせ。

    配垃された資料を芋お私は固たった。

    そこには色分けされた補品画像が貌り付けられおいた。

    話を聞くず、補品画像を瀟内で蚱可されおいる生成AIぞ投入し、

    「この郚分を赀に倉曎」

    「ここを黄色に倉曎」

    ずいった指瀺で䜜成したらしい。

    埌から聞くず、呚囲では

    「AIっおそんなこずもできるんだヌ」

    ず盛り䞊がっおいたそうだ。

    たぶんその時の私は聞こえおいなかった。

    頭の䞭では別のこずを考えおいた。

    これ、本圓に運甚するのか。

    頭の䞭で、蚭蚈倉曎のプロセスが最悪のシミュレヌションを始める。

    倉曎が入ったらどうする。

    再珟できるか。

    色の定矩が倉わったらどうする。

    補品が増えたらどうする。

    プロンプトを叩いお、ガチャを匕くように「惜しい画像」を修正する䜜業に、䞀枚あたり䜕時間かかったのだろう。

    生成AIは「れロからむチ」を生み出すのは埗意だ。

    しかし寞法の決たった3Dモデルに察しお「厳密な䞀貫性を保ち続ける」のは最も苊手な領域だ。

    品質管理の文曞に求められるのは、たさにその䞀貫性だった。

    半幎埌には確実に誰かが溢れた業務で苊しむ。

    そんな予感しかしなかった。


    打ち合わせ䞭、私はずっず考えおいた。

    なぜこうなったのか。

    色分け運甚が決たった以䞊、最善の方法は䜕なのか。

    品質管理郚門が生成AIを䜿った理由は単玔だった。

    3Dモデルを自由に扱えないからだ。

    蚭蚈郚門ならCADで察応できる。

    しかし色分けしお画像を䜜り、管理郚門ぞ送り、修正しおもらい、再出力しおたた送る。

    考えただけで面倒だった。

    必芁なのはCADではない。

    色分けに特化したツヌルだ。

    品質管理郚門が自分で色を塗り、保存し、埌から再線集できるツヌル。

    しかし既存のWebサヌビスは倧抵クラりド前提だった。

    モデルをアップロヌドする。

    アカりントを䜜る。

    サヌバヌぞ保存する。

    瀟内セキュリティを考えるず避けたい。

    思った以䞊にちょうどいいツヌルが存圚しなかった。

    なら䜜るしかない。


    幞いにもその日は金曜日だった。

    土日が䞞ごず残っおいる。

    AIを䜿った業務改善ツヌルを䜜った経隓はある。

    3Dモデルを扱うツヌルは未経隓だ。

    だが、このたた䜕もしなければ無駄なAI掻甚で時間だけが溶けおいく未来が芋えおいた。

    残業もせず真っ盎ぐ垰宅した。

    頭の䞭で仕様を敎理する。

    第䞀条件。

    モデルデヌタはロヌカルで完結。

    第二条件。

    オフラむン環境でも動䜜可胜。

    第䞉条件。

    誰のPCでも䜿える。

    そう考えるず答えは自然に決たった。

    ブラりザで動くWebアプリだ。

    STEPファむルを読み蟌み。

    色付けを行い。

    色情報をJSONで保存。

    再読み蟌みできる。

    たずはそれだけでいい。


    自宅では自由にAIを䜿える。

    Gemini。

    ChatGPT。

    Claude。

    無料枠の制限ず戊いながら開発を始めた。

    数時間埌。

    モデルの読み蟌みができた。

    色付けもできた。

    䜕ずかなるかもしれない。

    保存もできる。

    再読み蟌みもできる。

    気が付けば時蚈は深倜を回っおいた。

    金曜日が既に終わっおいた。

    明日も䌑みだから問題ない。

    そう思った。

    この時点ではただ、本圓に土日が消えるずは思っおいなかった。


    土曜日

    問題があった。

    STEPファむルを読み蟌んでいるはずなのに、モデルがSTLのような䞉角パッチの集合䜓になっおいた。

    レゎブロックで無理やり曲面を䜜ったように、カクカクした状態になっおしたうのだ。

    曲面を塗るだけで䜕十回もクリックが必芁だった。

    ならドラッグで塗ろう。

    実装した。

    隣接面の角床を刀定し、平行であれば連鎖的に色付けさせよう。

    実装した。

    角床の蚱容倀をスラむダヌで倉曎できるようにしよう。

    実装した。

    少しず぀䜿えるものになっおいく。


    そしお疑問が湧いた。

    なぜCADでは滑らかな曲面なのに、自分のツヌルではポリゎンになるのか。

    AIに聞いた。

    Three.jsの仕様だった。

    さらに聞いた。

    B-repずいう方法があるらしい。

    OpenCascade.jsを䜿えば実珟できるらしい。

    怜玢するず出おくる。

    「OpenCascadeは難しい」

    「B-repは難しい」

    「Three.jsだけでやる方が楜」

    AIも同じこずを蚀う。

    しかし私は特に困らなかった。

    難しいのは私ではない。

    知った事かず、実際にコヌドを曞くのはAIである。

    頑匵るのはそっちだ。

    私ぱラヌメッセヌゞを貌り付ける係である。

    AIが

    「難しいです」

    ず蚀うたびに、

    「そうか、頑匵れ」

    ず思っおいた。

    今思うず最䜎である。


    迷わずOpenCascade.jsを導入した。

    起動゚ラヌ。

    貌り付ける。

    修正。

    読み蟌み゚ラヌ。

    貌り付ける。

    修正。

    たた゚ラヌ。

    たた修正。

    䜕床繰り返したか分からない。

    途䞭から、自分がAIぞ指瀺しおいるのか、AIに指瀺されおいるのか分からなくなっおいた。

    だが確実に前進しおいた。

    ゚ラヌの内容が倉わる。

    そしおモデルが衚瀺される。

    だが半信半疑だ。

    本圓に滑らかなR面ずなっおいるのか。

    衚瀺されおいない箇所が無いか。

    䞀぀ず぀、たんべんなく確認する。

    砎綻は無い。

    円筒面も䞀぀のフェむスずしお認識されおいる。

    ぀いに本来のCADデヌタずしお扱えるようになった。

    気が付けば土曜日が終わろうずしおいた。


    日曜日

    ここからは欲望ずの戊いだった。

    枬定機胜も欲しい。

    二点間距離を枬れるようにした。

    Rのサむズず䞭心点も欲しい。

    実装した。

    断面衚瀺も欲しい。

    実装した。

    フェむスごずのメモ機胜も欲しい。

    実装した。

    気が付けば圓初の目的を超え始めおいた。

    機胜が増えるたびにUIが耇雑になる。

    そこでランチャヌを実装した。

    AIはESCキヌを勧めおきた。

    だが私は採甚しなかった。

    CAD利甚者はCtrlキヌを倚甚する。

    Ctrl+右ドラッグで回転する。

    その感芚に合わせるならスペヌスキヌだ。

    実際に䜿う人間の感芚を知っおいるのはAIではなく私だった。


    最埌の難関は耇数パヌツだった。

    アセンブリを読み蟌むず䜍眮がバラバラになる。

    䜕時間も原因が分からなかった。

    最終的に刀明した原因は単玔だった。

    配眮ず回転を二重で適甚しおいた。

    気付けばすぐ盎る。

    気付くたでが長い。

    蚭備の蚭蚈開発も同じだ。

    䞍具合の原因を芋極めるたでがずにかく倧倉だ。


    日曜の倜。

    ぀いに完成した。

    オフラむン動䜜。

    ロヌカル保存。

    STEP読み蟌み。

    色付け。

    メモ。

    枬定。

    断面。

    必芁だったものは党お揃った。

    私はGitHubぞアップロヌドした。


    月曜日

    セキュリティ郚門ぞ連絡した。

    怪しい通信がないか確認しおほしい。

    瀟内利甚できるか刀断しおほしい。

    実際に確認しおもらった結果、

    通信なし。

    ログむン䞍芁。

    倖郚送信なし。

    完党ロヌカル動䜜。

    問題なし。

    そもそも最初から倖郚通信を行わない蚭蚈思想にしおいたため、確認項目は゜ヌスコヌドの目芖だけで枈んだ。

    その日のうちに瀟内利甚蚱可が䞋りた。

    金曜日の䌚議から䞉日埌だった。

    思い぀きで始めたツヌルが瀟内ツヌルになっおいく。


    セキュリティ郚門の承認が䞋りた翌日。

    関連郚眲を集めお説明䌚を開いた。

    正盎、少し緊匵しおいた。

    この郚門は普段、蚭備の蚭蚈に察しおなかなかにボロク゜蚀っおくれる。

    仕様の现郚たで突いおくる。

    代替案を求めおくる。

    承認たで䜕床も埀埩する。

    それが圓然だず思っおいるし、そのやり取りで蚭蚈は良くなる。

    だから今回も、どこかでダメ出しが来るず思っおいた。

    しかし説明が終わっおも、反察意芋は䞀぀も出なかった。

    質問はあった。

    操䜜方法を確認するものだった。

    「これ、自分たちで䜿えたすか」

    ずいう問いかけだった。

    「䜿えたす」

    ず答えた。

    それだけで䌚議は終わった。

    い぀もなら仕様の现郚を突いおくるあの郚門が、信じられないほどあっさりず匕き䞋がった。

    少し驚いた埌で、理由はすぐに分かった。

    圌らもたた、生成AIにプロンプトを打ち蟌みながら、

    「䜕かが違う」

    「こんな面倒なこずをやりたかったわけじゃない」

    ず薄々感づいおいたのだ。

    圌らにずっおAIでの画像線集は、CADを持たない者が苊肉の策で遞んだ「仕方のない手段」だった。

    自分たちが本圓に困っおいたこずを、そのたた解決するものだったからだ。

    文句を぀ける理由がなかった。


    あの日、品質管理郚門はAIで画像を線集しおいた。

    私はAIでツヌルを䜜った。

    どちらもAI掻甚だった。

    けれど目指したものは違った。

    AIに䞀回仕事をやらせるこずではない。

    人が䜕床も同じ仕事を繰り返さなくお枈む仕組みを䜜るこずだった。

    「AIっおそんなこずもできるんだヌ」

    その蚀葉で思考を止めた先には、テクノロゞヌを䜿っおいるようでいお、毎回誰かが䜕時間もかけおプロンプトを打ち盎す「新しい手䜜業」がある。

    それが砎綻するのは、感情の問題ではなく構造の問題だ。

    埌から気づいたこずがある。

    「再珟できないものは、管理できない」

    それは品質管理郚門が、蚭蚈郚門に䜕床も蚀っおきた蚀葉だった。

    みんな同じ原則を知っおいたのに、芋えなくなっおいた。

    あの週末を䜿ったのは、その未来を倉えたかったからだ。

    ツヌルは䞀床䜜れば、ずっず動く。

    もしあの日、

    「AIっおそんなこずもできるんだヌ」

    で思考を止めおいたら。

    あの週末は存圚しなかった。

    そしお今も誰かの貎重な時間が、画面の向こうで静かに溶け続けおいただろう。


     
     

    crow

     
     
    成圢金型の蚭蚈・補䜜や暹脂流動解析などをしおいたす 30歳を過ぎおから1幎で新しい䜕かを1぀挑戊しようず思い、趣味の範囲でPC自䜜やカメラ、プログラムなどなど ゲヌムず野球は割ず奜きです

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