「コギャルの主張」

夢の中で、私は10歳くらいの女の子である。
住んでいる場所は「アルプスの少女ハイジ」の舞台のような、
スイスや南フランスみたいな感じの牧歌的な村。
村人達が、山羊を飼ったり、チーズを作ったりして暮らしている、
貧しいながらも平和な村である。

ある日、その平和な村で殺人事件が起こる。
村人の誰かが殺されたようなのである。
何十年もそんな事が起きたことのない村なので、
みんなはパニックになり、不安になり、疑心暗鬼になる。
ところが、事件は次々と起こる。被害者は子供、お年寄り、主婦など。

私の父は牧師とか医者といったような職業の、村人達から尊敬され、
信頼されているような人物なのであるが、どうも犯人はこの父らしいのだ。しかし、村人達は夢にもそんな事は思わず、
むしろ父にどうしたらいいか相談に来たりしている。
父も「犯人はきっとどこかからこの村にフラリとやってきた、
よそ者に違いない」なんて言っている。

そして父は、自分に疑いがかからないように、
自分は犯人どころか、むしろ被害者であると村人に思わせるために、
娘である私を殺そうとする。
父は、優しそうな声で私を呼び寄せ、
錠剤のようなものを私に飲ませようとする。
私は飲むふりをして口に入れるが飲み込まず、
父が油断したすきに走って逃げ出す。

父がすごい形相で追ってくる。私は走りながら錠剤を吐き出し、
ものすごく急な山道を登って逃げる。
私は小さくて身体が軽いので、岩場を軽々と登って逃げ、
父はなかなか追いつけない。
まわりはお花畑のような美しい大自然。
しかし私はものすごい恐怖を感じて逃げている。
岩場には地下に通じる裂け目がある。
子供がやっと通れるくらいの大きさしかないので、
ここに逃げ込めば大丈夫だろうと思って逃げ込む。

地下の地面は砂地で、冷たい水が流れている川がある。
背後から父の声がする。裂け目のところから怒鳴っているのだ。
私は、父は入って来れないとわかっているのだが、
怖くて、その川の中に入り、冷たい水に身体を横たえ、
できるだけ小さく縮こまって隠れようとする。頬に砂があたる感触がする。私の身体はだんだん冷えていき、私は眠ってしまう。

目を覚ますと、私は日本にいる。
畳とふすまのある、普通の六畳間のような場所。
私は18歳くらいで、高校の制服を着ている。
短いスカートにルーズソックスという、
いわゆる「コギャル」の格好をしている。

ふすまの向こうには、マスコミがたくさん来ている。
ふすまの隙間からカメラやライトが見える。
この人達は「最近のコギャルの生態」というような番組を作っていて、
私の所にインタビューに来ているらしい。

よし、それならこのチャンスに、
私が父から殺されそうになってどんなに怖かったか、
地下水がどんなに冷たかったかを、カメラの前で話してやろう。
それが「コギャルの主張」だ、と私は思う。
そして、なぜコギャルの人たちが、
奇抜なメイクやファッションをしているのかがわかったような気がした。

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