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【創作大賞2026エントリー作品】 間合いの外側 #10(了)

    各話、マガジンで纏めています。


    ■ エピローグ

    糸島から着いた千紗は、駐車場誘導に従って白い建物の前で静かにZ4のエンジンを止めた。
    シルキー6はスムーズに吹け上がり、今日も機嫌がよかった。


    「へぇ、すごく綺麗やね、大化けやん」
    千紗が入ってきた控え室の奥には、数ヶ月ぶりにみる純白のウェディングドレス姿の利世。
    「受付終わったと?」

    「うん、終わった。あと3人くらいやからって渡辺さんが残ってくれた。って、苗字変わってんだっけ」
    「そっか、撮影のとき以来やもんね。もう3年も経つっちゃねぇ」
    「うん、すごくカッコよくなっててびっくりした」
    「あぁ、でも今日はわたしを褒めてよぉ」

    「リーゼ、本当におめでと。すごく綺麗」

    「ありがと。やっぱりチーに言われると、すごく嬉しい」
    「チーもまた綺麗になったやん。髪、また少し伸びた?」

    「うん、ようやく肩に掛かるかな?軽くて良いよ」
    髪に手をやりながら微笑む。

    「そうね、今くらいが似合うかな?…あれからはどう?」

    「そうねぇ、まぁホドホド、かなぁ。結構研究室忙しくってさ、寝不足でクマ出来とうけん化粧大変やった」

    「彼氏は?」

    「…ナイショ」
    千紗は戯けてはぐらかしながら窓の外に目を向けた。

    「…そっ。よかった。…でも今日の式、ホントは智惠さんにも見て欲しかったなぁって…」

    その言葉を聞いた千紗は、ハンドバックからあるものを取り出した。
    「大丈夫、連れてきとうよ」
    優しい笑みで千紗が差し出したそれは、まだ幼かったあの頃に、千紗と3人で撮った写真。
    写真を見た利世の手が、少し止まった。

    「…バカッ、今みせるんやないって。化粧崩れるやん」

    「だいじょうぶ、お母さんも喜んどうよ」

    「…うん」

    「ほぉらぁ!主役は笑顔!」
    「じゃ、会場もどるね。お腹減ったし、リーゼ独り占めしてたら篠原先輩になに言われるか。また後でね」


    式は滞りなく進み、木漏れ陽のチャペルの前で新郎新婦となった篠原と利世が祝福のライスシャワーを受けている。
    いよいよブーケトスが終われば、披露宴。

    「お腹ペコペコだよぉ」
    千紗は両脇に圭吾と慎吾を従えながら、笑顔で溢す。
    そこに、よく通る利世の声が聞こえてくる。

    「えぇっと、私は剣士ですので、ブーケトスは正面から振りかぶって投げちゃいますね」
    「それでは!」
    千紗を見据えながら、竹刀さながらにブーケを振り被る。

    「エイッ!」

    千紗とは全く違う方向に弧を描きながら飛んでいく白いブーケ。
    黄色い声が上がるなか、顔だけは千紗を向き、チョット悪戯っぽく舌を出して見せる利世。
    呆気にとられた後、口だけ動かし
    「ひ・ど・いぃ!」
    と返しながら屈託のない笑顔で返す千紗。

    6月の式場の外はこの時期に珍しい抜けるような青空。そんなお昼過ぎ。
    季節は穏やかにゆっくりと過ぎている。

                                   了

    #創作大賞2026
    #エンタメ原作部門



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    ■ おまけ

    ・結婚式出席時点の千紗、イメージプロット

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    26歳になった当時想定の作成プロット

    ・プロローグの阿蘇南登山道イメージ

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    H2が25年式ではない、ヘルメットがSHOEIで若干修正が必要ですが…

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