メインコンテンツへスキップ

私の二年日記③-進路について-

    〇4月始業式の日
    3年生になりました。いつも通り陽名ちゃんと一緒に登校し下駄箱前に張り出されたクラスを確認します。
    自分の名前が吉原で最後の方だから探しやすい。
    クラスは・・・
    「え、1組!なんで?」
    去年も一昨年も2組だったので驚いた。
    中学のクラスがどう決まるかは知らないけれど、成績順とする話も聞いたことがある。成績自体はそんなに変わっていないはずなのだが。
    「陽名ちゃんは!?」
    陽名ちゃんの方を見ると、どこかあっけにとられた様子で。
    「私、2組。」
    小学校からずっと一緒だったのに。
    お互いのクラスの顔ぶれを見る。
    「あ、でも1組は橘さんいるじゃん。こっちは野崎さんいるし。」
    「え、あ、そこまで見てなかった。」
    私はクラス名簿の橘さんの名前を見つめる。
    「まあ、奈津と別れるのは悲し寂しいけど、とりあえずそれぞれのクラスに行こうか。」
    「そ、そうだね。」
    そうして自分のクラスに入り、自分の番号の席に座る。
    橘さんはまだ来てないらしい。
    4人同じクラスが良かったな。そう思いながら辺りを見渡す。
    「1組の生徒たち知らない子が多いよ・・・」
    うちの中学は1学年4クラスなのだが、知ってる子達は見事に2組以降に固まっている。何故か入学式の日以上に緊張し、気後れしているのが自分でもわかる。
    5分くらいして橘さんが入って来て席に座る。1人の時間がようやく終わる。
    「橘さんお早う。」
    私は彼女の席まで行き。挨拶をする。
    「吉原さん。お早うございます。同じクラスなのですね。嬉しいです。」
    と橘さんは立ち上がり挨拶を返してくれる。
    そのまま少し世間話などするが入ってくる生徒の何人かは橘さんにも挨拶をしていき、橘さんも挨拶を返す。
    橘さん、去年から1組だが元1組の子たちの間ではそれなりに交友関係があるらしい。それはそうだろう。いつもは放課後に合うだけだから日中どんな感じで過ごしてるか知らなかった。
    「1組知らない子ばっかりだから、橘さんが救いだよ。」
    私がそう言うと橘さんは小声で耳打ちするように
    「私も実はそんなに仲良い人いないんですよね。だから吉原さんがいて良かったです。」
    「え、そうなの?でもさっきから何人かと挨拶してるじゃん。」
    と耳打ちし返すと。
    「それは何と言うか不和にならないためにしてるというか、このクラスの人達個人主義の人が多いんですよ。だから必要最低限の交流というか、本当に仲良い2~3人のグループがいくつかあり、1人で過ごしてる子も多く。私もどちらかというとそのタイプなので落ち着くのは落ち着きますけどね。」
    「え、ええー。」
    そう言われると去年も1組てイベント事とかではあまり目立ってなかったな。
    「あ、でも・・・」
    そう言って橘さんは当りを見渡す。
    「まだ来てないようですね。斉田さんなら、とりあえずどんな相談にも乗ってくれると思いますよ。」
    「斉田さんて、去年の1組のクラス委員長?」
    「はい。去年は何も分からなかったので彼女に色々聞きましたが、嫌な素振りなく全て教えてもらいました。」
    「姉御肌的な?」
    「うーん?何かちょっと違う気がしますね。信頼できるというのが第一印象ではありますが。あと、姉御肌というと、それはどちらかというと野崎さんの方が。」
    「あ、確かにそうかも。」
    そう言ったところで担任が来て、朝礼からの始業式であった。

    さて、始業式なので午前中で学校は終わるのだが、今日は14時まで図書室が使えるとのことで4人で集合である。
    「私も橘さんと同じクラスが良かった。」
    第一声でぼやく陽名ちゃん。
    「どうして?」
    私が理由を尋ねると陽名ちゃんは1枚のプリントを出す。
    それは終業式後のホームルームで配られた進路希望調査書である。
    「だって、高校入試あるじゃん。橘さんに教えて貰えたらどれだけ楽か。」
    「いや、橘さんには橘さんの勉強があるんだぞ。」
    とツッコむ野崎さん。
    「そうだよ。陽名ちゃん。」
    「あ、やっぱり。」
    そんな話をしつつ、皆どこか空気が重い。やはり人生最初の進路決定ともなると気が重くなる。
    「・・・て、あれ?陽名ちゃんて志望校決まってなかったっけ?」
    「うーん、そうだよ。〇〇高校。」
    それを聞き野崎さんが
    「あれ、あそこて家政科と商業科だけだけど、どっち行くの?」
    と確認する。
    「うーん、それはその時の状況次第かな?」
    「は!どういうこと?」
    「説明すると、従姉妹のお姉ちゃんが商業高校行って推薦で有名大学の商学部行ったんだよ。で、普通科の勉強について行く自信がないのでそれを真似しようかと。勿論、入ってからの勉強は頑張るよ。」
    「考えてるような?甘く見てるような?だな。」
    と野崎さんは複雑そうな表情をしている。
    「実際、そういうのてありなのかな?」
    と私は橘さんに尋ねる。
    「うーん、専門学科推薦等と呼ばれる制度ですよね。詳しくないですが、確かにあるのはあるはずですが、総合選抜や学校推薦を利用してるのを専門学科推薦と混同してる可能性もありますし。なんとも。」
    「えー、じゃあ、駄目ってこと?」
    と焦る陽名ちゃん。
    「その高校が推薦枠を持ってるかにもよるかと。商業科だったら商学部や経済学部で家政科なら栄養士養成系や心理学系でしょうか。」
    「え、家政科て心理関係あるの?」
    疑問に感じ私は質問する。
    「はい。家政科の範囲には福祉・保育が入りますので。あとは住環境や服飾系をしたい人が入学してデザイン分野に進む人もいるのでは?地味ですが家庭経営等の内容も学習しますし、家政科は結構多才ですよ。食物系も化学や生物の内容が絡んで来ますし。」
    「ええー、じゃあ商業科にしようかな?」
    「商業科ですと、簿記などの会計、商品企画などの流通・マーケティング、ビジネス法規などのマネジメント、表計算やデータベースを覚える情報処理などですね。どちらもやりがいはありそうですが。」
    「うへー。」
    と陽名ちゃんがうな垂れる。
    しかし、すぐに顔を上げ
    「奈津は普通科志望だけど、野崎さんと橘さんは?」
    と質問する。
    野崎さんが
    「え、私も普通科だけど。」
    橘さんはというと
    「私も普通科ですね・・・」
    と返事を濁す。
    「これは、もしや一番偏差値高いところ受けるとかですか?」
    と陽名ちゃんがさらに質問する。少し悪乗りしているようにも見える。
    「陽名ちゃん、一応は個人情報だし、まだあくまで希望調査段階なんだからそこまで聞いたら。」
    と私が言うと
    「ああ、ごめん。」
    と少し申し訳なさそうな素振りを見せる。
    「あ、いえ、その志望校自体は決まってるというか、受験する予定なは〇〇のは〇〇高校でして。」
    と橘さんは答える。
    それを聞き全員ぽかーんとなる。全く知らない高校だ。
    「え!どこ?」
    と尋ねる野崎さん。
    「ええと、東京都の多摩地域になります。」
    「東京!?」
    三人の声が被る。
    「あの、私去年転校してきたじゃないですか。あれは父の仕事の都合というか、転勤することが多いんですよ。それで小学・中学なら引っ越した先の学校に行けばすみますが高校だと途中で転勤になると転校しにくいので、親戚が東京にいるので居候しながら通おうかと。」
    「な、なるほど。」
    と驚きつつも納得した様子の野崎さん。
    「とりあえず、事情があるのは分かった。ただ、そこて橘さんレベルが行く高校なん?」
    と陽名ちゃん。
    「一応、偏差値は高いんですよ。年によっては70近くになります。」
    「すごっ!?」
    と陽名ちゃんは驚いている。
    確かに橘さんの学力に合致しているのかというのもあるけど、私が気になったのは別の点だ。
    「橘さんはその高校行きたいの?」
    「えっと、カリキュラム的には文理両方の勉強した上で文系・理系を決められるので良いなというのがあります。」
    「そ、そうなんだ。大変そうだけど橘さんなら大丈夫かな。」
    「ありがとうございます・・・」
    空気がどことなく重くなったのもあり、その日はそのままお開きになった。


    〇その次の日
    相変わらず陽名ちゃんと登校する。
    「橘さんの件驚いたね。」
    私がそういうと
    「だな・・・」
    とだけ返す陽名ちゃん。
    「ま、まあ、家庭ごとで色々な事情があるよね。」
    「だな・・・」
    そうして、学校に着くとまた別々のクラスへ向かう。
    私がクラスに入ると何人かクラスメイトはいるが知らない子ばかりなので、話ができる訳でもなく席につく。
    ボーっとしていると声を掛けられる。
    「あ、良かったら、来てくれない?」
    そこにいたのは・・・そうだ、斉田佳歩さんだ。そういえば始業式の日に推薦でまたクラス委員長にされているのを見て顔と名前を覚えた。1年生の頃からずっとらしい。
    「あ、うん、いいよ。」
    私はそう言って着いていく。
    場所は職員室だ。
    「おお悪いな斉田と吉原。」
    そういって担任から大量のプリントを渡される。
    「なにこれ?」
    そんな感じでポカーンとしている私をみて斉田さんは
    「ごめんね。今日のホームルームで使うけど多いから持って行ってくれ、だって。私1人じゃ持てないかもだから、お願いしたの。」
    「あ、そういうこと。」
    そうしてプリントを観ると、修学旅行についてとある。
    そういえば5月にあるんだった。
    何か予定表とか、宿泊する旅館についてとか、班決めについてとか、1人分で4~5枚くらいはある。これは1人じゃ持てないかも。
    斉田さんと一緒にクラスまで運ぶ。
    クラスに戻った時には橘さんも登校しており、
    「おはようございます。吉原さん・・・と委員長。」
    「役職で呼ぶの止めてて去年から言ってるでしょう。」
    「失礼しました。ところでそのプリントの山は?」
    「修学旅行関係のプリント。ホームルームで配るんだって。」
    「なるほどです。それで運ぶ役目を拝命したと。」
    「そうそう。クラス委員長なんてやるもんじゃないわ。」
    「お疲れ様です。」
    「ありがとう。そう言ってくれるのは橘さんだけよ。」
    橘さんと斉田さん仲良いんだな・・・
    2人を眺めながらそう思った。

    同じ頃、2組では
    「木村さん。おはよう。て、どうした?珍しく真面目な顔して。」
    と先に教室に来ていた陽名に野崎が挨拶をした。
    「あ、野崎さん、おはよう。いやね、あそうだ、野崎さん・・・」
    と陽名は真剣な表情を野崎に向ける。
    「な。なに?」
    「靴下てなんで靴下だかわかる?」
    「いや、いきなりなに?」
    「え?だってどちらかというと靴下は靴の上じゃん?」
    「まあ、そうかもしれないが、だから急に何?そんなこと考えてたの?」
    「うん?ああ、これを疑問に思ったのは私でなく奈津だ。」
    「吉原さん!?通学途中にでも聞かれたの?」
    「いや、奈津がこれを疑問に思ったのは小4の頃だ。」
    「小4!?それがまさか今解決したとか?」
    「いや、疑問自体はその頃に解決してる。」
    「全く分からん。何が言いたいんだ?」
    「ごめん、ごめん。」
    そう言ってから陽名は詳細を話始める。
    「私と奈津が出会ったのは小4の頃でね。不思議なことに2クラスしかなかったのにそれまで同じクラスにならなかったんだ。」
    「はあ、それで。」
    「4年生になってすぐくらいの昼休みに奈津が教室の本棚にある辞書取って見てたんだよ。一応辞書の引き方て小3位で習うじゃん。でも実際引くことてそうないじゃん。だから何やってるんだろうて思って声掛けたんだ。そしたら「靴下て靴の下じゃないのになんで下なんだろう?」て言うんだ。」
    「確かにその年齢だとふと疑問に思って気になることあるな。」
    「で、私はてっきり靴下を引くんだと思ってだんだけど奈津が見てたのはサ行のページでさ、「いや、行き過ぎ行き過ぎ」てツッコんだんだよ。そうしたら奈津は「え?なんで?」て言って、下のページを引いてたんだよ。」
    「ほう。」
    「それで、下の意味のなかに「覆われるなどして見えない部分」てのがあるてのを見つけて、「多分これかな?」て。こっちとしては「多分そうだね」としか言えないのだけど、何となく「この子凄い」て感じてね。」
    「凄い?何が?」
    「いや、普通なら靴下で引くだろう。でも奈津は靴下のページには靴下の説明しか載ってないから下の意味は分からないて予想してたんだ。」
    「確かに小学校にあるような辞書なら靴下の説明そんな詳しく載せないだろうな。そして、私だったら靴下で引いて載ってなかったら諦めると思う。」
    「だろ。子どもながらに呆気にとられたというか何というか。で、それから奈津によく話しかけたりしてたんだ。半分くらいはいざて時に勉強教えてくれそうとか考えてたんだけど。それもあってか、本当に仲良くなるのは秋くらいなのだが。」
    「ふむ、それで。」
    「で、まあ、それでしばらく話たりしてたらさ、疑問解けた時とか新しいこと知った時に嬉しそうに話すんだ奈津は。それが・・・少し可愛くててのもあるが、いつからかこの子といたら自分も色々知れるしそれが面白いて感じるようになったんだ。」
    「良い話だな。」
    「で、奈津はそういう子なのだが小学生でそんな話についていける子て少ないじゃん。だからか、奈津も学年上がる度にそういう話あまりしなくなっていってさ。」
    「まあ、本読んでただけで根暗とか言ってくる輩もいるしな。」
    「それでさ、橘さん来てさ、ようやく奈津もそういう話できる仲間が出来たのかて思って嬉しかったんだよ。でもさ、昨日の橘さんが東京の高校行くて聞いてさ、残念だなって・・・」
    「ああ、そういうこと。ようやく繋がったわ。」
    「まあ、そんなことを思い出してたという話。悪いね長話に付き合わせて。」
    「いや、別に。でもその靴下の話は良いな。妹に聞かれたら使おう。というか聞かれなくても使おう。」
    「おお、使ってあげて。」

    そして、その日のホームルームにて。
    「修学旅行の自由行動の班は3~5人か・・・」
    修学旅行の行先は東京である。
    橘さんは誘ってみるとして・・・でも斉田さんとかのグループに行っちゃったらどうしよう?
    そんなことを思っているとだ。
    「吉原さん。同じ班になって貰ってよろしいでしょうか?」
    橘さんの方から誘われる。
    「え!勿論だよ!」
    正直嬉しかった。しかし、もう1人いないと班が成立しないので別の班と合併されるかもしれない。それだとやりにくい。
    「今までだと陽名ちゃんがいたからな・・・」
    私は声を漏らした。陽名ちゃんと一緒の班だと陽名ちゃんが別の子を誘って来てくれるので助かっていた。
    「木村さんですか?そういえば付き合い長いんでしたっけ?」
    「うん。小学4年生の頃からだね。クラス2クラスしかなかったのになんでかそれまで一緒にならなかったんだよね。」
    「それでどうやってお友達に?」
    「えっとね。同じクラスになってからちょこちょこ陽名ちゃんが声掛けてくれてたんだけど、仲良くなるのは秋の遠足がきっかけかな。山の中にあるアスレチック施設ていうの?運動公園みたいなところに行ったんだけど、私は運動苦手だし花とか見てたんだよね。陽名ちゃん運動とか好きそうなのに1人だと思われたのか私について来てくれてたんだよ。それで2人で花眺めてたら、はめ外して走り周ってた男子が後ろからぶつかって来てね。私転びそうになって両手ついちゃったんだよね。」
    「手首捻ったりしませんでした?」
    「それは大丈夫だったんだけど、両掌とも擦れちゃって血が出てね。そうしたら、陽名ちゃんが怒ってくれたの。「何してんの。担任と保健の先先生呼んで来て。」て。それで先生達が来るまで一緒にいてくれた。」
    「優しい人なのですね。」
    「そうだよ。それで、何かお礼をて思って遠足終わってから声かけたら、私の家遊びに行って良い?てなって、お互いの家遊びに行くようになった感じかな。」
    「素敵なお話です。今でもお互いの家に行ったり?」
    「うん。土日とかにたまに。でも今は2人で買い物とかの方が多いかな。」
    「そうなのですね。」
    「私今もちょっとしか見ないのだけど、小学校の頃はテレビて教育テレビくらいしか見てなかったから、芸能人とか全然分からなかったんだよね。それで陽名ちゃんが「アニメやドラマ見ないの!」てなって色々教えてくれてるようになった。それで歌番組とかは見てるんだけど、いまいち分からないから陽名ちゃんにはよくそういうの質問させてもらってる。」
    「なるほど、たまに木村さんが吉原さんのことを「うちの奈津」て言ってますがあれはどういう意味で?」
    「え、あれね?いつの間にか言うようになってたから実は私もよく分かってないんだよね。陽名ちゃんだから言ってても良いかなとは思ってるけど。」
    そんな話をしていた時だ。
    「お2人さん。班は決まったかしら?」
    と声を掛けられた。斉田さんだ。
    「あ、すいません。まだです。あと1人探してます。」
    橘さんが答える。
    「早く決めてね。進まないから。」
    「ごめんなさい。」
    私がそういうと、橘さんは何か思いついたように私に耳打ちする。
    「委員長誘って良いですか?多分、他の人よりは絶対良いと思いますよ。」
    「そ、そうなの?私は知ってる子いないからそこは橘さんに任せるけど。」
    と耳打ちで返す。
    私がそう言うと橘さんは「では」と言わんばかりに斉田さんに
    「ところで、斉田さんは班はお決まりで?」
    「うーん?私は最後に仲良い子がいる班に適当に入るわ。」
    「あら、やっぱり。」
    「そうよ。私がいたらはめ外した時に先生に密告されると思ってる子もいるからね。班の顔ぶれ見て適当に入るわ。」
    「また御冗談を。それで、相談なのですが、よろしければ?3人で班組みませんか?」
    「え?」
    斉田さんは少し考え私の方をちらりと見る。そして
    「別に良いけど」
    と答える。
    こうして無事班は決定した。


    〇その週末の土曜日
    この日は陽名ちゃんと近くのショッピングセンターに行ってた。
    小学校の頃はお互いの家で遊んだりが多かったのだが、中学になると買い物とかに行くことが多くなった。
    私があまりドラマとか見ないため流行の音楽とか芸能人とかが分からないので、一緒に出掛けると色々教えて貰える。
    ただ、今日は修学旅行で使うカバンとか(良いのがあれば)買いたいなという目的であるが。
    「でも奈津、橘さんと同じ班なれて良かったじゃん。」
    「うん。でも、斉田さんてよく知らない人も同じ。いや、悪い人ではないと思うけど。」
    「斉田さんてあのクラス委員長の?やっぱり、真面目だったりする?」
    「良い人なのは良い人なんだと思う。あと、橘さんと仲良いのか話してる。」
    「ほう。橘さん友達いたんだな。て、いや、そういう意味じゃないよ。いつも図書室いるから人付き合い狭いのかなって。」
    「あまり意味変わらないような・・・でも、そこは私もちょっとだけ意外に感じた。」
    「斉田さんか・・・でも多分学区的にはうちらと違って野崎さんとかと同じでしょう。どんな子か聞いてみるわ。」
    「ありがとう。お願い。」
    そんな話をしている時だ。
    「吉原さんと木村さん?」
    と声を掛けられる。
    「え?」
    と声をする方に振り向くと橘さんがいた。その横には知らない女の人。お母さんかな。
    「あ、橘さんこんにちは。そちらの方は?」
    と私が挨拶すると
    「あ、母です。」
    やっぱりお母さんだ。橘さんと2袋ずつ持ってるから、買い物のお手伝いかな?
    「彩花、お友達?」
    とお母さんからの質問に橘さんは
    「はい。」
    とどこか照れくさそうに応えてた。
    橘さんのお母さんは私と陽名ちゃんの顔を交互に見てから。
    「いつも娘にお世話になってます。彩花の母の和江です。」
    とお辞儀をする。
    「とんでもないです。こちらこそ。あ、私吉原奈津です。橘さんとは同じクラスで。」
    と私はいってお辞儀を返す。
    陽名ちゃんも
    「あ、隣のクラスの木村陽名です。」
    と真似して頭を下げる。
    「・・・あら、聞いてた通りの良い子たちじゃない。」
    と橘さんのお和江さんは満足そうに言う。
    そう言われて橘さんもどこか嬉しそうである。
    それから和江さんは
    「ところで、2人は買い物これからかしら?」
    と確認してきたので
    「はい。これからです。」
    と私が答えると
    「彩花、たまには友達と遊んできなさいな。」
    橘さんのお母さんがそう言った。
    「え!でも、お母さん。荷物持たないと?」
    と橘さんは少し慌てている。
    「大丈夫よ。今日は思ったより少ないし、車だから乗せたら終わりよ。あ、帰りのバス代がいるわね。」
    そう言って橘さんに千円札を渡し、橘さんが持っている買い物袋の一つを奪う。
    「でも、いきなりだと2人にも迷惑じゃ?」
    と橘さんがいうと
    「あ、大丈夫です。ちょうど修学旅行で使うもの見に来てたんで。」
    と乗り気な陽名ちゃん。
    「わ、私も大丈夫だよ。橘さんさえ良ければ。」
    私と陽名ちゃんがそう言うとお母さんは
    「本当に良い子たちじゃない・・・じゃあ、彩花、晩ご飯までには帰ってくるのよ。」
    そう言って和江さんは行ってしまう。
    「ちょっと、お母さん・・・」
    ここまで困ってる橘さん初めて見たかも。
    そうやって和江さんの姿を見送る橘さんに対して、陽名ちゃんは肩に手を置き「はい。ではご同行願います。」と語りかける。
    「陽名ちゃん、言い方怖い。」
    そう言って私は橘さんの方を向き
    「私たちは修学旅行で使うカバンとか服とか見に来たんだけど橘さんは?」
    「私は母の買い物の手伝いと、自分の買い物で・・・」
    橘さんがそう言うと
    「え、何買ったの?見せて。」
    と陽名ちゃん。
    「え?そんな面白いものじゃないですよ。」
    そう言って取りだしたのは英語の参考書と論理国語と書かれた参考書。あとはCDが1枚。今時CD!?しかしそれ以上に気になったのは・・・
    「論理国語?」
    私が呟くと
    「ああ、高校の国語の分類が今は論理国語と文学国語なので。英語も高校生向けのものですね。」
    「やっぱ、橘さんはそれくらい読むか!」
    と驚く陽名ちゃん。
    「たまにですが、読むのは読みますよ。」
    私は言い2つの参考書を眺めているとあることに気が付く。
    「あれ?英語と国語の参考書だよね?書いてる人同じ?」
    先生の名前には聞き覚えがなかったが、違う科目の参考書を同じ人が書いてて意外に感じた。
    「はい。言語学よりの文化人類学が専門の先生なので。高校生向けくらいならかけると思いますよ。論理国語の場合は論説文読むのがほとんどなので、専門云々に関わらず論文の読み方のような感じで書いてるみたいですが。」
    「へー。そういえば、文化人類学と民俗学て違うの?」
    「研究対象や方法は似ていますが、一般的に文化人類学が自分のいるコミュニティーとは外の集団に向けられるのに対して、民俗学は自分のコミュニティー内に向けられていますね。なので民俗学は史学科の日本史専攻と一緒にあったりしますが、文化人類学は社会学科にあったりします。」
    「なるほど・・・え、でも、その先生をなんで知ってるの?」
    「えっとですね・・・私が小学生の頃まだその先生は院生でして。家庭教師してもらってまして・・・」
    大学院生が家庭教師て、そりゃ橘さんも博識になる訳だ。
    「そうなんだ。それとそっちのCDは?」
    そう言って見せてもらうとそこには、合唱曲集とあった。
    「合唱曲?橘さん合唱するの?」
    「いえ、聴くだけですね。母が高校の音楽の先生をしていた時期がありまして家にクラシックと合唱曲のCDが多くて好きになってしまいました。」
    「え、じゃあ、炊飯器も分かる?」
    と急に陽名ちゃんが会話に入ってきた。
    「陽名ちゃん。それは去年同じクラスだった人にしか分からない。」
    「ええと?空駆ける天馬のアンドロメダを西南にのところですか?」
    「分かるの!?」
    「はい、あれそう聞こえる人特に男子で多いみたいですね。私はどちらかというとその後のスワンの星座を東南のを、スワンの星座をポーランドという聞き間違いに共感しましたが。」
    そんな話をしたあとに、服屋やカバン屋を周った。
    周りながら話をして分かったけど、橘さんも私と同じで芸能とかエンタメに疎いらしく流行の歌とか分からないとのことだった。
    ショッピングセンター内の広告用オブジェなどを指さして「ほらこの人」て陽名ちゃんが何人か教えてくれたりした。
    買物のあとはお昼ご飯兼おやつでセンター内のドーナツ屋さんへ行って、お開きとなった。

    その日の夜、陽名ちゃんからチャットアプリが来た。
    「今日の橘さんの話で知ってる先生てあったじゃん?」
    「あの家庭教師してもらってたていう?」
    「そうそう。1つ思ったんだけど、橘さん東京の高校行く理由てもしかして東京にその先生いるんじゃね?そして、その先生好きとかなんじゃ?」
    「え?そうなのかな?」
    「何となくそんな気がする。どことなく恋する乙女みたいな顔で話してたし。」
    「え、そ、そうかな?」
    そんな内容とやりとりであった。さすがに本人に聞くのも。違ってたら困るし。そんな気分になった。


    〇週明けの月曜日
    通学するとクラスにはほとんど人はいない。何となく1組の子達の習慣的なものが分かってきた。
    部活の朝練などがある子達はホームルームの5~10分前くらいに来る。橘さんは部活をしている訳ではないがそれくらいに来る。逆に早めに来ているのは私や斉田さん、そして日直などでその日だけ早く来る人くらいである。
    「吉原さん、おはよう。いつも早いわね。」
    「斉田さん、おはよう。私家ちょっと遠いのと、2組の友達といつも合流して来てるからね。遅れないようにこれ位で来てる。」
    「偉いわね。」
    という訳で周りに人がほぼいない中で毎日斉田さんと顔を合わせる訳だが何を話して良いかいまいちよく分からない。
    「そういえば、斉田さんて橘さんと仲良いよね?」
    他に話題がないので思い切って聞いてみた。
    「・・・まあ、去年から同じクラスだしね。あと、橘さんのお父さんと私のお父さんが仕事でちょっとだけ関係あるからね。それもあって話しはしてる。」
    「そうなんだ。」
    「というか、仲良いて言ったら吉原さんの方がそうじゃない?去年はよく図書室で会ってたんでしょう?それに職業体験も一緒だったみたいだし。。」
    「ま、まあ、そうか。変なこと聞いちゃったね。ごめん。」
    「いや、別に良いけど・・・そういえば吉原さんは橘さんの志望校知ってるんだっけ?」
    予想外の話題が出てきた。
    「東京の?お父さんが急遽転勤になっても良いようにてことだったよね。」
    「知ってるのね。このことは去年も1組だった子達は割と把握してる人が多いんだけど、去年2組だったでしょう。だからもし知らなかったらて今ふと思ってね。」
    「どういうこと?」
    「ほら、クラスの顔ぶれて成績とかでも決まるけど、誰かが孤立しないように仲良い子は一緒にすることあるじゃない。」
    「え!そうなの?」
    「そう。だから多分、吉原さんが今年1組にていうのは橘さんがこっちにいるのがあと1年だけだから仲良い子と一緒にていう学校側の考えかもて私は予想してるんだけど、その吉原さんが橘さんの進路知らなかったら本末転倒でしょう。」
    「な、なるほど。ところで、高校3年間でお父さんの転勤があるかどうかは分からない訳じゃない。こっちの高校受験する可能性てないのかな?」
    私がそういうと
    「さあ。それは私には・・・でもお母さんはこっちの高校受けることも考えてるらしいけどね。」
    「え?和江さん?」
    「あら、知ってたの?そう和江さん。」
    「そうなんだ・・・」
    何となくだけど、先日橘さんを私たちに預けてくれた理由が分かった気がした。

    その日は久しぶりに陽名ちゃんと一緒に下校した。
    「野崎さんに聞いたら、斉田さんはやっぱり小学校同じだったらしい。」
    「どんな子て言ってた?」
    「「ああ、佳歩ちゃん?良い子だよ。お母さんがPTAの役員してるし委員長とか級長になること多いから真面目で怖いて思い込んでる人多いけど、人に合わせて接し方変えたりしてくれる子。」て言ってた。」
    「あ、でも何となく分かる。」
    「あと何か野崎さん家の誰かと斉田さんのお父さん?が仕事上の知り合いらしくて何回か斉田さん家に行ったことあるらしい。」
    「それで?」
    「それで初めて行った時に、当時年中さんだったのりちゃんと遊んでたらしくて一日でのりちゃんが膝の上に座るくらいに仲良くなったらしい。羨ましい。」
    「それは凄い!けど、羨ましいかな?」
    「だってのりちゃん可愛いじゃん。」
    「可愛いけど、隣に座るとかならいつでも良いけど膝の上に座られるの何か嫌だ。。というか、野崎さん家とも関係あるの?橘さんのお父さんとも関係あるて言ってたんだけど、どういう交友関係なんだろう?」
    「そうなん!?それは確かに気になるな。」
    斉田さん何者なんだろう?でも悪い人じゃなさそうで良かった。


    〇修学旅行当日
    新幹線に乗り東京へ向かう。
    市内の中学校は北陸や北九州に行くことが多いのであるが、うちは東京である。日程は新幹線で東京へ向かい1日目が10時くらいに東京へついてそれから夢の国である。2日目が午前中に国会議事堂や最高裁判所を見て、午後から自由行動。3日目に企業見学をして帰るというものである。
    「東京、初めてなんだよね。」
    「私は小学校の2年生まで東京でしたがよく覚えていません。」
    新幹線の席も橘さんの隣である。というより、他の人とさほど仲良くないので東京で使うバスなんかも同じ席である。自由行動の班と、ホテルの宿泊部屋には斉田さんもいるけど。
    「東京だったんだ!え、そのあとは?」
    「4年生までが宇都宮で、それから中学1年生までが札幌ですね。」
    「ずっと東日本なんだ。北関東と北海道てことはスキーとかできたり?」
    「・・・一応、初心者向けコースとかなら滑れます。」
    「凄い!」
    「さあ、そこは詳しくは分かりませんが、父が言うにはこの地域の担当の人が急に退職したのだけど、西日本の支社内で人を回せなかったとかで越してきましたね。」
    そんな話をして時間を潰す。朝早くに出発してるので寝てる子も多い。
    「そういえば、修学旅行て京都奈良のイメージなんですが、西日本の学校て東京行くんですね。まあ、それはそうですよね。京都奈良は普段から行こうと思えば行ける距離ですもんね。だったら東京とかになりますよね。」
    「そうだね。小学校なら行くところもあるみたいだけど、私の小学校は広島だったな。厳島神社とか。」
    「でも、京都奈良はちょっと憧れますよね。史跡とか神社仏閣も多いですし、あと和菓子ありますし。」
    「橘さんも甘いの好きなんだ。」
    「好きですね。」

    新幹線内では橘さんとほぼ話していた気がする。
    そうして東京駅に着き、京葉線で移動する。10時台けど人が多い。やっぱり東京だ。
    さて、到着してからは夕方まで自由行動でランドに行ってもシーに行くのも自由で、途中から移動しても良いとのことだった。そして、何より班やクラス関係なく動いて良いとのことだったので。
    「奈津、お久。」
    「いや、陽名ちゃん。朝一緒だったじゃん。」
    「まあ、そうだが。あ、橘さんもこんにちは。」
    「はい、こんにちはです。野崎さんもこんにちはです。」
    「こんにちは。何か木村さんに引っ張られて来てしまった。」
    「えー、班の他子達がテンション高すぎてついて行けないて言ってたの野崎さんじゃん。」
    「そうだけど。」
    私たち4人ともあまりこういう所に詳しくない。
    陽名ちゃんはちょっとだけ詳しいみたいなので、案内してもらう。
    何か舟にのるタイプのアトラクションは待たないらしいので、大きいのから小さいのまでいくつか船に乗った。
    食事もレストランは待つのとお金かかるのとで、ワゴン?で食べ歩きできるものを買った。
    そして、おみやげ売り場。
    「一日目で荷物になるけど、ここが一番買いやすい気がする。」
    「まあ、奈津のところは御両親だけだし。うちもだけど。野崎さんはのりちゃんに何か買ってあげるのでは?」
    「それが、ここではなく明日自由行動で行く動物園でコアラのキーホルダーをご所望というね。まあ家族用にお菓子は買って帰るけど。」
    「橘さんは?」
    「あ、うちは社宅のようなものなので配らないといけない人が何人かいるので。ここと、もう一つどこかで買います。」
    「大変だね・・・」

    夢の国が終わったとはバスでホテルへ向かう。
    18時から19時までが夕食(バイキング)、19時~20時半が入浴時間だ。ホテルで入浴時間?て思ったら、大浴場があるタイプのホテルみたいでそこを使える時間がその時間ということらしい。
    「ホテルて三人部屋なんてあるんだね。」
    私がそう言うと
    「え?普通にありますよ。」
    「え?あるわよ。」
    と橘さんと斉田さんの声が被る。晩ご飯も終わり。お風呂の時間であるが、部屋についてるのでも良いのだけど、陽名ちゃんたちと一緒に入る約束なので大浴場に向う。橘さんも一緒に行くことになったが、
    「私は後で行くわ。」と斉田さん。クラス委員達は先生に報告したり打ち合わせしたりすることがあるらしく、それが終わってから行くらしい。
    ちなみに、大浴場での会話も色々あったけど、恥ずかしいのでそこは省略で。

    さて、部屋に戻ってくると斉田さんはいない。打ち合わせなのか、終わってお風呂に行ったのかは分からないけど。
    「さて、何しよう?テレビでも見る?」
    まだ20時過ぎ、別の班の部屋へ行ってワイワイというのも定番だが。一日歩き疲れているので、そんな気分でもない。
    「そうですね。吉原さんてこの時間普段何してますか?私は音楽聞きながら勉強している時間ですが。」
    そう。いつもなら私も宿題したり予習復習している時間なので、何をして良いか迷う。
    「私も勉強だね・・・音楽て前言ってたクラシックとか合唱曲とか?」
    「ですね。」
    「ちょっと聴いてみたいかも。ていっても、今だと音源がないかな。」
    「あ、一応持って来ているのですが・・・これでして。」
    そういって橘さんはカバンから何かを取りだす。
    「なに?この機械?」
    「CDウォークマンですね。クラシックはダウンロードでも買えますが、合唱曲はなかなか好きな曲がダウンロードになくてCDになってしまいます。」
    「なんか聞いたことある気はするけどこんなのなんだ!イヤホンとかヘッドホンは?」
    「こちらですね。よろしければ聞きます?」
    そういってグレーの小さな袋から取り出す。ネックバンドというのだろうか?顎の下や首の後ろなどに線を通して両耳に当てるタイプのヘッドホンだ。よく見るとバンドの長さが調節できるようになっている。
    「うん。聞きたい・・・ああ、でも初めてだし聞いても何が何て感じだろうから・・・私ヘッドホン片方だけ当てるから、橘さんもう片方で聴きながら色々教えて欲しい。」
    「あ、良いですよ・・・」
    ベッドの縁に並んで座り、橘さんがウォークマンを操作する。
    「一番好きな曲は?」
    「これですね。」
    「おおー、しっとりしてるというか感傷的な感じ・・・て、あれもう終わっちゃった。」
    「はい。1分30秒くらいの短い曲なので。しかも、この曲と同じ題名の合唱曲がいくつかあって、ずばりこれが聞けることが中々なくて。」
    「そうなんだ。他に好きなのは?」
    「昔から嫌いではなかったですが、最近よく聞いてるのはこれですね。」
    「ラララて歌いだしが印象的だね。そういえば合唱てこういうラララみたいな歌詞多くない?」
    「これはスキャット?ヴォカリーズ?どっちでしょう?音程だけを歌うていうの結構ありますね。」
    そんな話をしながら何曲か聞いていく。
    橘さんのテンションが少し高い気がする。
    そんな時だ
    「・・・お二人さんは何をしてるの?」
    返ってきた斉田さんに声を掛けられた。
    「え、あ、橘さんが持って来たウォークマンでCD聞いてた。」
    と私が答えると
    「は!CDウォークマンてこと?・・・というか、何か邪魔しちゃったみたいね。」
    「邪魔?そんなことないよね?」
    「そうですよ?」
    「そうだ。お風呂上りといえば、皆は何着て寝てる?私はパジャマなんだけど。」
    私は何となく話題を変えたくて適当な話をした。
    「私はパジャマだったり、ジャージとTシャツだったりですね。」
    私の気持ちを知ってか知らずか、話に乗ってくれる橘さん。
    「はあ、まあ、何でも良いけど。私もパジャマかな。」
    と斉田さん。
    「そうなのですね。少し話変わりますが、ここが旅館だったら浴衣も着れたのですが。」
    と呟く橘さん。
    「ああ、確かにたまに着ると特別感あって良いのよね。」
    と斉田さん。
    「ああ、私は多分肌けるから良いかな・・・」
    そんな話をしてから就寝した。


    〇修学旅行2日目
    午前中には国会議事堂と最高裁判所見学。
    教科書や資料集でしか見られない光景が目の前に。係の人がする話を興味津々に聞く・・・のは私だけで、周りの子は「だから何?」「それで?」みたいな顔をしている。あ、違う。橘さんも真剣に聞いている。やっぱり仲間だ。
    その後は昼食でどこかのホールみたいなところで高そうなお弁当をみんな揃って食べる。
    そうして13時半からは皆待ちに待った自由行動である。自由といっても範囲は23区内で一応行き場所は担任に提出している。16時半までに宿泊しているホテルまで帰れば良いらしい。
    私たちは上野公園で、動物園とか博物館とか見ることにしています。陽名ちゃんと野崎さんのグループもそのはずなので、また合流するかも。
    斉田さんは喉が渇いたとコンビニに買い物に行ってしまったので橘さんと少し雑談していた時だ。私はふと思ったことを聞いてみる。
    「そういえば橘さんが行く高校て東京だよね?」
    「あ、はい、そうですが?」
    この話題が出るとは思ってなかったのか、どこか気まずそうに答える。
    「ここから近い?」
    「いえ、多摩になるので最寄駅まで一時間弱で、しかもそこからバスです。」
    「そっか・・・、あと、もう一つね。この間教えてくれた先生てもしかして今東京にいたりする?」
    「え?はい、東京の塾?で働いてるみたいですが。」
    「何で塾が疑問形?」
    「学習塾や進学塾みたいにテスト対策や受験対策を目的としない塾みたいなんですよね。なので、塾と呼んで良いのかどうか。例えば、歴史の授業なら苦手な子には学校の教科書の内容に立脚しながらも有名な研究事例などを元にこうゆう理由があるからこう教えてるという授業をします。得意な子には塾で作ってるテキストを元に大学で習うような内容にも触れる。そして、探究したい子には有名な史料のコピーなんかを読んで発表したり教科書の記述との違和感はないかとかて授業で考えるみたいですよ。」
    「うわ、楽しそうな、難しそうな。でも国英社はちょっと探究やってみたいかな。」
    「同じくです。」
    「ちなみに、その塾はここから近い?」
    「え?まあ、高校よりは・・・まさか行こうとしてます?」
    「え、いや、ちょっと気になるけど、さすがに行かないよ。さすがに斉田さんに迷惑でしょう。委員長いる班でそんな勝手な行動。」
    「ですね・・・あ、でも、吉原さんならお話ししても良いと思うのですが、私が受験する高校についてはその先生に家庭教師して貰ってた頃にも話はしててですね・・・」
    「まあ、そうか。家庭教師さんとはするよね。」
    「北海道の高校受けるか、東京のその高校受けるかという話になって、先生が言ってたのは高校て基本的に学習する教科は同じだけど、受験をどれくらい意識してるかで授業で触れられる範囲も違うし、生徒達の意識も違う。だから、大学進学を考えるならより進学実績がある高校にいくのが良い。」
    「ふんふん。」
    「しかし、高校というのは3年間あり、私たちの年頃の子からすると短いようで長い期間でもある。加えて、どの学校も部活動とか学校行事とかに多かれ少なかれ力を入れている。だから、学校生活の面も考えて進路は考えた方が無難・・・とのことです。」
    「部活する気ないのに部活動盛んな高校には行かない方が良いみたいな?」
    「そうですね・・・まあ、引っ越してきた為北海道の高校を受験することはなくなったので消去法で東京というのが私も家族もの考えではあります。」
    「和江おばさんも?」
    「そうですね。ただ、母はこちらで良い高校があるのならそこに行くのが良いと言ってはいますが・・・」
    「そうなんだ。そうだ、他にその先生は何か言ってたりした?」
    「そうですね・・・あ、進学実績とか学校生活面とか総合的に考えて行きたいと思える学校がその人に一番合ってる学校ではあるだろうと。」
    「確かにそうかも。」
    「あと、先生がですね。「彩花ちゃんが今まで通り勉強続けるならどの高校行ってもその先の進路選びには大差ないと思う。」と言ってくれたのはちょっと嬉しかったですね。」
    本当に嬉しそうに橘さんは話している。その先生にやっぱり好意を持っているのだろうか。
    「それと本筋からは逸れますが、先生が「ごめんね。私は中高一貫の女子高だったからそういう悩みすることがなかったから力になれてないかもだけど。」て申し訳なさそうにしてたのが少し可愛かったですね。」
    「うん!まってその先生て女の先生なの?」
    「はい。そうですが?吉原さんこの間参考書の名前見ませんでした?佐久間雅美先生ですよ。」
    「ごめん。名前が一緒だなとは思ったけどそこまで見てなかった。」
    陽名ちゃんが恋する乙女みたいとかいうから、勝手に男の先生だと思っていた。まあそうか。橘さん家て良いところぽいし、男の家庭教師はつけないか。よく分からないけれど、その話を聞いて安心した自分がいた。
    話が終わった頃、丁度斉田さんも返ってきて皆で。上野の博物館へ。
    動物園を先に周ってきた陽名ちゃん達と合流。
    野崎さんと斉田さんが「佳歩ちゃん」「詩織ちゃん」と呼び合っていたので本当に仲が良いようだ。
    皆で周っている途中で私はこっそり陽名ちゃんに「橘さんの先生て女の人みたい。」と伝えると、「え、なに、そうなん!」と言っていたので陽名ちゃんも男の人と思っていたらしい。


    〇修学旅行3日目
    修学旅行3日目は企業見学だ。修学旅行は総合的学習も兼ねており、昔だと伝統工芸の体験などが多かったが現在ではキャリア形成や現代社会理解のために企業見学等も増えているとか。
    といっても全クラスが1つの会社に収まる訳ではないので、クラスごとで行く企業は違うのだが。私のクラスはメーカー系のIT企業で、陽名ちゃんのクラスはお菓子とか医薬品とかを作ってる企業らしい。
    私としてはどの企業も知らないことが聞けるだろうから楽しいし、橘さんもそこは同じらしい。
    ただクラスの子の多くはこれが一番面倒臭いと思ってるようだ。
    内容は最初の30分くらいで会社の仕事内容や説明してくれる人の経歴を紹介。
    一つ驚いたのはその説明をしてくれた方の出身が経営学部ということだ。どうも私立大学を卒業したようであるが、在学当時副専攻制があったらしくそこで情報科目を選んだのがこの業界へ来たきっかけらしい。そのため、最初は小売業界向けのシステムを作るチームにいたのだとか。何がどこで結びつくかは分からないのだなと感じた。
    あとは、ワークショップを2つほどした。1つはITをつかった新しい商品やサービスを考えるというもので、もう1つはある課題がだされそれをITで解決できるかというものであった。
    皆発表とか嫌がってたけど、そこは委員長だからか斉田さんが大体やっていた。
    「委員長すごいですよね。私覚えてることとか話すのは得意ですけど、急に話すのとか得意でないので。」
    橘さんが漏らしていた。私もこういうのはあまり得意ではない。
    ところで、陽名ちゃんたちの会社の話も陽名ちゃんから聞かせて貰ったが、スーパーでも売ってるようなお菓子くっつけて別のお菓子作るようなやつ(知育菓子ていう?)の元になる材料の加工の実験とかしたらしい。
    ちなみに、企画部門(新しいお菓子とか考える部署らしい)の人と営業の人とが説明してくれたらしいが、前者が文学部卒で後者が工学部卒であったらしい。
    入社後の配属で部署をいくつか周り向き不向きが分かったのと、何より研修や先輩の指導がしっかりしていたので仕事に自信が持てたらしい。
    そういうこともあるのか。というより、大人になるとそういうことも多いのかもしれない。心得てることとするべきことが同じとは限らない。

    最後の昼食は新幹線の中で食べれるようにとお弁当であった。東京にはそういう団体向けのお弁当とかを提供している会社があるらしい。
    新幹線が帰るまでに食べれば良いので男子などはわざと夕方に食べてることもいた。
    「楽しかったね。」
    「楽しかったですね。」
    「そうだ橘さんお願いがあるんだけど?」
    「はい?はんでしょう?」


    〇6月のある日の放課後
    修学旅行の後、私は橘さんにお願いをした。それは、橘さんの家に行きたいというものであった。修学旅行中に聞かせて貰った合唱曲とかもっと聞きたくなったというのがあるのだけれど、何よりあと10か月くらいしか一緒にいられないので、もっといっぱい遊んだり勉強したりできたらと思ったのもあった。あわよくば、こちらの地域の高校へという考えもあるけど、そこは橘さんが行きたいところに行ってもらうのが一番だと思っている。
    以前にも聞いたが、橘さんのところは社宅のようなところらしくあまり騒げないのだが、橘さんがお父さんやお母さんと話をしてくれて「まあ、友達1人か2人なら良いだろう。」ということになり、今日が初めてお邪魔する日である。
    陽名ちゃんに伝えたら「頑張って来るんだぞ」と言われたが、何を?という気はした。橘さんは準備するからと先に帰っており、私も家に一旦かえって着替えてから聞いていた場所に向う。
    着いた場所にあったのは普通のマンションだ。社宅と聞いていたので、ドラマとかに出てくるアパートみたいなのを想像していた。建物の名板?を見ても〇〇コーポというよくあるマンションのような感じでどこの会社の社宅なのかは分からない。
    玄関で橘さん家の部屋番号と呼び鈴を押す。他人の家など陽名ちゃんの家と野崎さん家くらいしか行ったことがないので、緊張する。

    同じ頃。
    橘彩花は部屋の片づけやお茶の準備などをしていた。
    「フンフン、ララララ。」
    友達が家に来ることなど今までそうなかったので、緊張するものの嬉しさも大きい。無意識に時々鼻歌が混じる。
    そうこうしているうちに部屋の呼び鈴がなり、リビングのインターホン用モニターが映る。
    来た・・・

    家に上がらせて貰い橘さんの部屋へ行く。橘さんが言うには家族向けの借り上げ社宅らしく、この建物に住んでる人は基本同じ会社で働いている人とその家族らしい。
    橘さんの部屋を見渡す。何となくそんな気はしてたけどさっぱりとしているが、本棚があり新書や小説は勿論、〇〇学概論のような専門分野の入門書から古本屋で売ってるような堅そうな本なんかも置いている。マンガや児童文庫なども置いている。
    「何か変ですか?」
    「いや、思ってた通りだなて。」
    「え?どう思われてたんで?わたし?」
    「いろんな本があるんだろうなて。」
    「吉原さんは本読んでそうですが、お家には本ないんです?」
    「マンガは雑誌メインだから数か月おきに古紙回収出してるし、調べものとかに使うのは図書館室の使ってたから家にはないんだよね。辞書や図鑑は家にあった昔のそのまま使ってるし。」
    「なるほど。読みたいのあったら言ってくれたら貸しますよ。」
    「うーん、確かに気になるのはあるけど今は音楽聴きたいかな。」
    「それでしたら、どれ聴きます?」
    と橘さんは長さが30cm以上あてCDを何枚か取りだす。CDの収納ケースてこんなに長いのか。
    「じゃあ、合唱曲の橘さんのお勧めで。」
    「では、これで。」
    といってCDをデッキにセットする。ジャケットのタイトルを見た感じ誰か特定の作曲家さんの曲ばかり入ってるCDのようだ。
    ~30分後~
    「何曲か聞いたけど、友達について歌った曲多い?」
    「まあ、合唱曲はそういうの多いですよ。」
    そんな話をしていると部屋の扉がノックされた。
    「彩花、入るわよ。」
    和江さんだ。お茶とお菓子を載せたお盆を持っている。
    「彩花、お友達来てるんならお茶くらい出して上げなさいよ。」
    「タイミング見て取りに行くところだったの。」
    年頃の母と娘ぽい会話である。私もお母さんに言われると、妙な言い訳をする時がある。
    「なら良いけど・・・いらっしゃい、吉原ちゃん。」
    「あ、いえ、お邪魔してます。」
    「やっぱり、良い子じゃない。ところで、さっき「伝えたい、君に」が聞こえたけど、吉原ちゃんも合唱とかやるの?」
    「あ、いえ、橘さんにお勧めの聞かせてもらってて。やっぱり友達について歌った曲とか多いんですね。」
    私がそう言うと和江さんは橘さんの方をみてニヤニヤしている。そして私の方に再度向いて
    「そうね。確かに多いわね。あとは風景や自然を歌った曲とか、皆くらいの子の心情を歌った曲も多くてね。彩花も前はフレトイとかセミをよく聞いてたんだけど・・・」
    と話し出す。
    「もう、お母さん・・・」
    橘さんが怒ったようなぼやいてるような声を上げると、
    「ごめんなさいね。邪魔したわね。」
    そう言って和江さんは出て行った。
    「え、なに、フレト?何語?」
    私が素直に聞くと
    「確かアイヌ語です。そういう北海道の情景や人々の心を歌った曲があるんです。」
    とぎこちなく話す。
    「ああ、なるほど。確かに北海道にいたならそういう曲も印象に残るよね。」
    「です、です。」
    そんな話をしばらくして、私は本題を切り出す。
    「橘さんちょっと相談なんだけどさ?」
    「はい?なんでしょう?」
    「夏休み、どこか一緒にオープンスクールいかない?」
    「どういうことでしょう?」
    「実は2年生の頃は橘さんと同じ高校行きたいなて思ってたんだよね。でも、3年生になって色んな話聞いて、やっぱり橘さんの進路は橘さんが行きたいようにてのが一番良いと思った。それで、ここからは私の我がままなんだけど、東京の高校行くにしてもせめてこっちの高校と比較して選んで貰えたらなという気持ちがあってね。余計なお世話かもしれないけど。」
    「・・・確かに余計なお世話、ですかね・・・でも、良いですよ。そんなの誘ってくれるの吉原さんだけですから。」
    「本当!ありがとう。」
    そうして、しばらく雑談とかして凄して私は橘さん家を後にした。


    〇7月のある週末
    「奈津すまないね、勉強見て貰って。自分の勉強もあるだろうに。」
    「まあ、たまにならね。」
    6月以降は橘さんと合うことが増えたけど、陽名ちゃんも大切な友達だ。
    高校は家政科に行くことに決めたらしく、確実に進路が分かれるので一緒にいられる間は出来る限り一緒にいたい。
    「奈津は成績的に学区内の普通科トップ3あたりのどれか受けるのか?」
    「そうかなとは思ってるけど・・・あ、そうだ夏休みにね橘さんとオープンスクール行くんだよ?」
    「え!こっちの高校受験するん?」
    「それは分かんないけど、東京の高校受けても良いけどせめてこっちの高校と比較した上で受けてて頼んでみた。」
    「おお、度胸あるな!」
    「こっちの高校受けてくれたら良いな。」
    「うん、橘さんの方が成績上だから私がちょっと頑張らなきゃだけど、一緒に高校生活してみたい。」
    「だな。うちの奈津を預けられるのは橘さんだけだと思ってる。」
    「もう、なにそれ。そういえば野崎さんは?」
    「野崎さんも普通科で〇〇目指してるらしい。」
    「あそこて去年の偏差値59くらいだよね。平均点にもよるけど、合格には7割以上くらい・・・野崎さんなら大丈夫かな。」
    「そこは私には分からん。そもそも偏差値が何か分からんし。」
    「あれね、私も感覚的にしか若ってないんだけど、偏差値50の人はぴったり平均点なんだよ。だから、平均点が55~60点だとすると、7割くらい必要なのかなて。」
    「はー。そういえば、修学旅行の時にちょっと話した委員長はどれくらいの子なんだ?」
    「え?斉田さん?この間の中間テストで初めて知ったけど、学年トップ5の1人みたいで、全教科満点か9割以上だよ。」
    「すごっ!やっぱり、1組が優秀な子集めてるの本当なのか。」
    「それは分からないけど・・・・でもここでいう成績順て上位層を集めてるというより、例えばうちは4クラスだから1位が1組、2位が2組、3位が3組、4位が4組、5位以降は同じように分けていくみたいなことじゃないの?」
    「え、あ、そういうこと?」
    「いや、分かんないけど。真実は先生達のみが知る。」


    〇夏休みのとあるオープンスクールの日
    橘さんとは2つ高校をめぐることになって、今回は2つ目だ。
    どちらも学区内公立のトップクラスの高校を選んでいるが、公立高校といえども校風や教育方針が違うのは分かった。
    前回の所は芸術系の学科もあったりしたし、今回の所は単位制でかなり自由に学習科目を選べるらしい。
    「大学みたいで良いですね。」
    と橘さんも言っていた。私もここに行きたいと思った。
    少なくとも私の志望校は決定した。
    あとはなるようになるしかない、そんな気分だ。


    〇年が明けて1月のある日
    受験合格の祈願のための初詣に来た。インフルエンザとかになっても困るので、人ごみを避けるため10日をすぎてからだ。といっても、このあたりに有名な天満宮はなく、地元の大きな神社で合わせてお祈りという人が多い。
    私と橘さんはwebで検索して小さい天神社があるのを見つけ、そこへお参りした。陽名ちゃんや野崎さんは家族と一緒に三が日でお参りしているらしい。
    「あ、そうだ、吉原さん・・・」
    「うん、何?」
    「受験する学校なんですが?」
    「ああ・・・やっぱり、東京?」
    「・・・はい。」
    「そっか・・・」
    「何か申し訳ないです。」
    「良いよ。もとから決まってたようなものだし。」
    「それで、なんですけど・・・離れてからもビデオ通話とかありです?」
    「え?ビデオ通話?」
    「はい、吉原さんとはお話ししたいので。」
    「え、勿論良いよ。そう言えばチャットアプリとかSNSとかでもできるもんね。チャットアプリはクラス用のグループあるけど、個人で繋ごう。」
    「はい。お願いします。」


    〇3月卒業式
    卒業式が終わった。
    全員志望校に合格である。ちょっと背伸びした高校を受験したため、なんだかんだで私が一番危なかったかもしれない。
    橘さんは来週には東京に経つらしい。
    陽名ちゃんは家政科が近くにないので、少し遠くの高校で通学に2時間くらいかかるらしいが頑張るとのこと。私よりタフだし大丈夫だと信じよう。
    野崎さんは高校の距離が一番近く、同じ普通科なのでお互いお世話になることもあるかもしれない。
    最後のホームルームで担任の話を聞きつつ、そんなことを考えていた。
    ホームルームが終わると私は橘さんと雑談をしていた。
    そんな中隣の教室から陽名ちゃんが駆けてくる。野崎さんも一緒だ。
    「ねえ、奈津も橘さんも、皆で写真撮ろう。」
    「良いけど、どこで?中庭の桜の木の下とか?」
    「違うって。図書室よ、図書室。」
    「え、いつもの机に4人座ってみたいな?」
    「そうそう。」
    「良いのかな?」
    「大丈夫。実は前もって司書の先生に許可貰ってたから。「まあ、図書室つここまで使ってくれた子達は珍しいから。」てOKくれた。司書の先生が撮っててくれるて。」
    「そうなんだ。じゃあ、行こうか。橘さん。」
    「はい。」


    終わり





    #創作大賞2026
    #エンタメ原作部門


     
     
    GNPとはGymnosperm(裸子植物)の略語。裸子植物のように創作の才能の花はないけど、思いついた創作内容を呟いていくページです。そのため書きなぐったようになっておりますがご容赦ください。また、タイトルなども話の方向性を提示するための仮のものと思ってください。

    あなたへのおすすめ