車窓の先
ひとり、飛び乗った電車。
多分、合っている。
これで、行ける。
そう難しいことでもないのに、
決心は無にならないとできなかった。
もう昼は過ぎた。
ひたすら見える街は、
人の営みの密度の質感で、
私は絶望的にそれらに関係していない。
それでも、ひとときの自分勝手を選ぶ。
着いたら、次の道を探す。
もう、調べたりしない。
行く。
早足になり、
満たされ、
どうしようもなく、
澱は静かで。
とどまることはできなかった。
それでも、
思い出したこと、
まだ息をしたい自分、
新しい風、
私は、確かに、手にして、
次の電車に飛び乗った。
自分勝手に、自分が必要だなんて、
初めて、気づいた。
それも、
もうすぐ終わる。
母は、こんな時間を過ごしたことがあったのだろうか。
私とは似ていない人だ。
きっと別のことを欲していたに違いない。
父は、若いころにあるかもしれない。
聞いたことが、ある。
もたらしたものは、一体何だったんだろう。
たった数時間。
こんな時間すら。
なんなのかは分からない。
それでも、
暗い車窓に映る私は、いる。