灰都の中で 追憶―ラグ―|あとがき
前作では、ジンの目を通して世界を見ていました。
彼の静かな芯が灯り始める瞬間を、読者にも同じ場所で感じてほしかったからです。
今作では、物語の中心にラグを置きました。
外側から見える彼ではなく、
胸の奥に沈んでいた影や、言葉にならなかった揺れを、
初めて“内側”から描きたかった。
物語は、外側のラグから始まり、内側のラグへと沈み、
最後にもう一度、外側へ戻る形になっています。
その流れの中で、リザの光、ダンの影の強さ、ゼイルの痛みが、
ラグの中に静かに積み重なっていきました。
この物語の根底にあるのは、「光と影の継承」だと思っています。
リザが残した、やわらかな光。
ダンが示した、影の中の強さ。
ゼイルが抱えていた、影に飲まれた光。
ラグはそのすべてを受け取り、揺れながらも、自分の道を選んでいきます。
そして最後の、あの小さな笑み。
「はは」
その一行に、ラグが“光の側へ戻ってきた”気配を託しました。
ラグの歩いた光と影が、誰かの胸の片隅にそっと灯りますように。
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