ダブルスをやってみたら練習意欲が新たに湧いてきた話
シングルスが好きだ。
コートに立てば、考えるのも、決めるのも、自分ひとり。
どこへ打つか、いつ前に出るか。
うまくいっても、失敗しても、自分のプレーとして引き受けられる。その自由さが心地よかった。
だから、以前の私は「やっぱりシングルスがいいな」と思っていた。
ダブルスでは、ペアに気を遣いすぎて、自分のプレーに集中できなくなることもある。
ミスをしたら申し訳ない。そう考え始めると、かえって身体が動かなくなる。
ところが、ダブルスの試合を重ねて、少し気持ちが変わった。
先日の大会では、一日に5試合を戦った。
準決勝は、2―5から追い上げたものの、4―6で敗れた。
悔しかった。
リーグ戦では、後に優勝するペアにも勝っていたから、なおさらだ。
追いかける展開でも、私は「諦めない」と決めていた。
ペアも最後の力を振り絞ってくれた。
自分が一本返せば、次の一本をペアが打てる。
ペアが粘ってくれたから、自分にももう一度チャンスが来る。
そんなやり取りのなかで、勝ちたい理由が、自分ひとりのものではなくなっていた。
試合が終わってから、不思議なことに気づいた。
悔しさと一緒に、練習したい気持ちが湧いてきたのだ。
次は、ペアが作ってくれたチャンスを決めたい。
苦しいときに、安心して任せてもらえるサーブを打ちたい。
返球をあと少し深くして、ペアが動きやすい時間を作りたい。
「ペアに迷惑をかけないために練習する」と考えると、重荷になる。
でも、「ペアともっと良いプレーをするために練習したい」と思うと、同じ練習が楽しみになる。
私がダブルスで発見したのは、この違いだった。
もちろん、コートの中では、自分が打つ一球に集中したい。
ペアの気持ちを想像しすぎて縮こまる必要はない。
むしろ、自分のプレーに集中できるよう練習しておくことが、ペアの力にもなるのだと思う。
シングルスには、自分のために戦える自由がある。ダブルスには、誰かと一緒に良いプレーをしたくなる喜びがある。
これまで私は、シングルスの自由に惹かれてきた。ダブルスをやってみて、練習に向かう新しい理由を見つけた。
次にコートへ立つときは、もう少し良い自分でペアの隣に立ちたい。
