
東京駅がすき。
東京駅がすきだ。
数年前まで、東京駅の近くで働いていた時期があった。夜まで働き、東京駅をしばし眺めてから帰るのがすきだった。
当時の職場は良い人たちばかりだったが、
努力と結果が比例しない業務に疲弊していた。
今考えても、あれは勝てないゲームだった思う。
そんな日が続く中、職場の先輩と仲良くなり、
よく話すようになった。
先輩は博識で、当時私も観ていたドラマの考察なんかを話してくれた。もっと沢山の時間を色んな話をしていたと思うが、ほとんど思い出せない。
あの頃の私は、今思えば大して働いてもいないのに、閉塞感に苛まされていた。だからこそ、新しい気づきを与えてくれる先輩との会話や時間にとても癒されていた。
先輩のことは人間として好きであったが、年齢が離れていたこともあり、恋愛感情は特になかった。
先輩は数年前に亡くなった。お葬式には行かなかった。
そこからもう5年以上経つ。
私は久々に東京駅に降りたって、
東京駅をひとりでみている。
時間が遅く、ライトアップされていない東京駅。
薄暗いなか、数人の外国人観光客が東京駅の写真を撮っている。
東京駅の後ろのビル群はあの頃から少し増えた気がする。
最近視力が落ちたからか、ビルの名前がぼやけてしまって読めない。
あの頃、私は自分が望んでいた環境にいる。
優しくて優秀な同僚たち。
興味深いテーマに対し、無い頭を振り絞りながら考え、自分が頑張った分、数字という形で多少の結果はついてくるようになった。
だけど、
なんでこんなに寂しくて、心臓がぎゅっとなるんだろうね。
がんばっているのに忙しくて。
いや、忙しいから、がんばっているのか、
がんばる方向が間違っていたらなんの意味もないのにね。
帰り、駅近くのビルを通り抜ける。
エスカレーターで、前を歩く人の大きいバックから、分厚い小説がみえる。
私も本が好きだったはずなのに、
いつのまにか読まなくなってしまった。
自宅近くには図書館だってあるのに。
望めばいくらだって本を読むことはできるはずなのに。
自分らしく生きられなくなってしまったのは、
いつだって、自分の選択の積み重ねの結果なのに。
なんて思いながら。
ありがとう、東京駅。
久しぶりに昔を振り返ることができたよ。
なかなか自分を振り返る時間さえ持てていないけど、
なんだか少し気持ちが軽くなった気がする。