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指示が毎回長くなるのは、1つのAIに全部頼んでいたからでした。──「つくる・回す・決める」で担当を分ける


    毎晩、私はAIに向かって長い説明を書いていました。うちの会社は何をしていて、この作業は誰がいつやっていて、だから今日はこれを頼みたい。前置きだけで十行を超える日もありました。相手の物覚えが悪いのだと思っていたのです。違いました。私が、十徳ナイフを一本だけ握りしめて現場を回そうとしていました。切れないわけではありません。何をやらせても、そのつど持ち替えて、そのつど説明し直していただけです。仕事の種類で担当を分けた日から、私の指示は三行で済むようになりました。能力の話ではなく、割り当ての話でした。


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    毎日AIに相談している。それなのに、説明が毎回長くなる

    顧問先の社長と話していて、いちばん多く聞く言葉があります。「毎日使ってはいるんですよ」。使っていないわけではありません。むしろ朝から晩まで相談している。それなのに社内の作業量が減っていない。よく聞いていくと、症状はだいたい三つに分かれます。

    一つめは、同じ説明を毎回していることです。うちは看板屋で、社員は二十七名で、この作業は毎週金曜にやっていて──と前提を書いてから本題に入る。翌日、また同じ前提を書く。説明の総量だけが積み上がっていきます。半年続ければ、相当な時間です。

    二つめは、返ってくるのが文章だけということです。頼んだ内容には合っています。ただ、文章です。表にしたければ自分で貼り直し、資料にしたければ自分で並べ直す。清書をするのが社長というのは、順番が逆です。

    三つめは、使えているのが社長ひとりだということです。うまくいったやり取りを社員に渡そうとしても、渡せるものがない。手順が社長の頭の中と、その日の画面の中にしか残っていないからです。翌週になると、社長自身も同じやり取りを最初から組み立て直しています。

    この三つは、別々の問題に見えて根が一つでした。窓口を一つしか持っていない、というだけのことです。


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    私も、1本の万能ナイフで現場を回そうとしていました

    私も同じことをしていました。

    去年の前半まで、私は思いつく仕事をすべて同じ場所に投げ込んでいました。顧問先向けの提案資料の下書き、月次の数字の集計、社員に配る手順書、登壇の台本。全部、同じ相談窓口です。便利でした。行き先が一つしかないので、迷いようがありません。

    ただ、毎回こうなりました。提案資料を頼むと、よくできた文章が返ってきます。私はそれを読み、パワーポイントを開き、自分で貼り直します。集計を頼むと、表の形をした文章が返ってきます。私はそれを見ながら、表計算ソフトに手で打ち込みます。手順書を頼むと、立派な手順書の文章が返ってきます。私はそれをワードに移し、体裁を整えます。

    はっきり覚えているのは、去年の三月の夜です。翌日の商談で使う資料を作らせて、返ってきた文章を読みながら、私は二十三時から一時間半かけてスライドに流し込んでいました。文章そのものは悪くありません。むしろ私が書くより整っていました。それでも、翌朝までに人前で開ける形にするのは私の手作業でした。あのとき私が頼んでいたのは「考えてほしい」であって、「作ってほしい」ではなかったのだと、あとから分かりました。頼み方の言葉は同じでも、どこに持っていくかで返ってくるものの形が変わります。私はその違いを知らないまま、言葉のほうだけを丁寧にしようとしていました。前置きが十行になっていた理由が、そこにあります。

    ある晩、日付が変わるころに同じ作業をしながら気づきました。私がやっているのは、AIが出した文章を人間が清書する仕事だ、と。

    これが十徳ナイフです。缶も開くし、栓も抜けるし、ドライバーにもなる。何でもできます。ただし、何をやらせても必ずひと手間かかる。刃が悪いのではありません。缶切りとして使いたいときに、まず「今からこれは缶切りです」と持ち替えて、用途を説明し直しているだけです。私は毎晩それをやっていました。

    もう一つ、こたえたことがあります。社員に「この作業、AIに頼めば早いよ」と言っても、渡せなかったことです。私の頭の中には手順があります。でも、外に出した形が残っていない。十徳ナイフは私のポケットの中にしかありませんでした。社員に「じゃあ社長やってください」と言われて、返す言葉がありませんでした。

    あとで自分の作業時間を数えてみたら、この清書と貼り直しだけで週に六時間ほど使っていました。六時間というのは、私が会うべき人に会える時間から、そのまま引かれていた分です。AIを入れて生産性が上がったつもりでいて、実際には仕事の形が変わっただけでした。

    分かれ目は、仕事を「つくる・回す・決める」に分けたこと

    変わったきっかけは、新しい道具を買ったことではありません。仕事のほうを三つに分けたことです。

    つくるは、会社の仕組みをつくる仕事です。毎週やっている手順をそのまま自動で動く形にする。提案資料やレポートを、そのまま人に渡せるファイルとして出す。ここは Claude Code に任せています。受け取るのは文章ではなく、動く仕組みと、社員向けの手順書と、開いてすぐ使えるファイルです。

    回すは、すでに在るものを回す仕事です。たまった大量のファイルをまとめて処理する。動いているプログラムの不具合を直す。ここは Codex に任せています。受け取るのは、処理が終わったファイル一式と、直したあとのプログラムです。

    決めるは、私の仕事です。決める、会う、売る。この三つは渡しません。受け取るものは判断だけで、ファイルは出てきません。

    分けた瞬間に何が起きたか。指示が短くなりました。理由は単純です。窓口が一つしかないときは、「今日の依頼はどちらの種類か」を毎回こちらが説明しないと伝わりません。作りたいのか、処理したいのか、意見がほしいのか。その説明が前置き十行の正体でした。担当が分かれていると、渡す先そのものが説明の半分を引き受けてくれます。つくる側に持っていった時点で「これは仕組みにしたい仕事だ」と伝わっている。だから本文は用件だけで足ります。

    十徳ナイフを畳んで、缶切りと栓抜きを別々に机に置いた、という感覚に近いです。道具の性能は変わっていません。持ち替えの説明が要らなくなっただけです。

    ここで一つ、はっきりさせておきたいことがあります。道具は二つ、判断は自分の手に残す。つくると回すは道具に割り当てます。決めるは道具ではありません。社長の手の中に残す仕事です。三つ並べて書くと三等分に見えますが、性質がまったく違います。ここを混ぜると、判断まで機械に預けたつもりになって、あとで誰も責任を取れなくなります。


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    分け方が合っているかどうかは、頭の中で考えるより、一度書き出したほうが早いです。私は最初、今週やった作業を思い出しながら口で話して、それを仕分けてもらいました。社長ご自身が最初に使うなら、この一本からで足ります。

    あなたは、中小企業の社長の仕事を整理する相談相手です。
    これから私が、今週やった作業を思いつくまま話します(音声入力のまま貼ってかまいません)。
    
    【ここに今週やった作業を話す/貼る】
    
    内容を、次の3つに仕分けて、表で返してください。
    ・つくる:手順が決まっていて、仕組みにすれば毎回同じ結果が出る作業
    ・回す:すでにあるファイルやデータを、まとめて処理すれば終わる作業
    ・決める:採否・価格・人の配置など、私が決めなければならない仕事
    
    表の列は「作業/担当/そう判断した理由/次の一手」の4つにしてください。
    点数づけや評価はしないでください。仕分けだけで結構です。
    迷ったものは「保留」の行にまとめ、迷った理由だけを書いてください。
    最終的な担当の決定は私がします。

    担当①「つくる」──会社の仕組みと、そのまま渡せるファイルを作らせる

    先に線を引いておきます。AIに会社のフォルダそのものを開かせて、その場で作業させる話は以前に一度書きました。ここではその先、開いた場所で誰に何を任せるかという割り当てだけを扱います。渡すときに何を添えるか、という材料の話も別の機会に書きました。ここでは何を添えるかではなく、誰に渡すかに集中します。もう一つ、これらの道具には説明書きに「プログラム開発向け」と書かれていますが、実際には事務作業にこそ効きます。その食い違いにも深入りはしません。呼び方の話は脇に置いて、割り当てだけを見ていきます。

    つくる係に渡す仕事は、大きく二種類です。

    一つめは、毎週・毎月やっている業務手順を、そのまま動く形にすることです。毎週金曜の週報づくり、月末の請求書と入金の突き合わせ、毎朝の在庫確認。どれも手順が決まっていて、決まっているのに毎回人が手で並べています。この種の仕事を、手順のまま渡します。

    二つめは、提案資料やレポートを作らせることです。文章の下書きではなく、開いてそのまま相手に渡せるファイルとして出させます。

    受け取るものを先に決めておくと、話が早く進みます。私が受け取るのは次の二つです。動く仕組みと、社員向けの手順書。この二点セットが揃わないうちは、完成とは呼ばないことにしました。

    手順書がついてくることの意味は大きいです。仕組みだけ渡されると、動かせるのは頼んだ本人だけになります。手順書がついていれば、社員が引き継げます。押す場所と、失敗したときの戻し方まで書いてあれば、はじめて会社の資産になります。私が最初につまずいたのは、まさにここでした。

    もう一つ守っている条件があります。元のファイルを書き換えさせないことです。写しを作って、そちらで作業させる。これを最初に一行入れておくだけで、取り返しのつかない事故はほぼ消えます。


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    担当②「回す」──すでに在るものを、まとめて処理させる

    回す係の仕事は、新しく型を作ることではありません。すでに在るものを、まとめて通すことです。

    分かりやすいのは、大量のファイルの処理です。現場写真が数百枚たまっていて、日付と現場名の順に名前をつけ直したい。容量が重いので圧縮したい。数十枚のPDFを並べ替えて一つにまとめたい。取引先ごとにばらばらの形式で届くデータを、同じ形に整えたい。人がやると半日かかって、しかも途中で必ず一つ間違えるたぐいの仕事です。

    もう一つが、動いているプログラムを直すことです。以前つくった仕組みが、ある日から止まった。エラーの文字が出るようになった。この修理を頼みます。新しく作り直すのではなく、動いていたものを動く状態に戻す。ここが「つくる」との分かれ目です。

    受け取るのは、処理が終わったファイル一式と、直したあとのプログラムです。報告書ではありません。フォルダを開いて、中身が変わっていること自体が成果になります。

    進め方で必ず守らせている決まりが三つあります。写しで試すこと。処理の前と後で件数を数えて報告させること。元のフォルダには最後まで触らせないこと。件数を数えさせるのは、うまくいったかどうかを私が三十秒で判定するためです。処理前に二百四十件、処理後に二百四十件と言われれば、開かなくても抜け落ちがないと分かります。数が合わなければ、そこだけ見に行けばいい。

    この三つを書き添えるのに、十秒もかかりません。それで、事故のほとんどが起きなくなります。


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    担当③「決める」──社長の手に残す3つ

    三つめの担当は、社長です。渡さない仕事が、はっきりあります。決めること、会うこと、売ること。この三つです。

    ある仕事を渡していいかどうかは、三つの問いで決めています。

    一つめ。それは「決める」仕事か。採否、価格、人の配置。この現場を来週に回すか、今週のうちに人を足すか。会社の向きが変わることを決める仕事です。ここに当たるなら、社長が決めます。AIには、比べるための材料を先に整えてもらいます。判断そのものは渡しません。

    二つめ。相手の顔を見る必要があるか。商談、会食、交渉、値決めの場。相手の表情や間合いを読んで、その場で決める仕事です。ここも社長です。ただし、前後の準備と記録は全部渡してかまいません。

    三つめ。手順を一回書けば、誰でも同じ結果を出せるか。毎週の週報の並べ替え、請求書と入金の突き合わせ、現場写真の名前つけ。書き出してしまえば、誰がやっても同じものが出てくる仕事です。ここだけが、AIに渡していい仕事です。

    三つのうち、渡していいのは三つめだけ。この線を引いてから、私は迷わなくなりました。前の二つは、渡そうとすると必ずどこかで無理が出ます。逆に三つめに当たる仕事を自分で抱えていると、それは社長の時間を最も安く使っている状態です。

    道具は二つ、判断は自分の手に。同じことを繰り返し書いていますが、実務で崩れるのは決まってここです。忙しい週ほど、決める仕事まで誰かに預けたくなります。預けた瞬間、会社は誰の会社か分からなくなります。

    モデルケース:看板製作のN社長が、金曜の夜を取り戻すまで

    ここで一社、具体的な形でご紹介します。複数の支援先の事例を1社のモデルケースとして再構成しています。数字も一例として読んでください。

    看板・サイン製作施工業のN社。社員は二十七名。現場は日によって五件から十件動いています。

    N社長の悩みは、毎週金曜の夕方にありました。各現場の担当者が撮った施工写真と、手書きに近い作業報告が、共有フォルダにばらばらに入ってくる。それを一枚の週報にまとめて、翌週の朝礼で使う。この作業に、毎週二時間半かかっていました。金曜の十七時に始めて、終わるのが二十時前。写真を探し、名前をつけ直し、報告文を読んで要点を抜き、貼り付ける。金曜の夜が、毎週これで消えていました。

    N社長はAIを使っていなかったわけではありません。むしろ熱心なほうでした。ただ、最初の半年はこう言っていました。「AIに頼んだのに、結局こちらで貼り直しているんですよ」。頼み方はいつも同じでした。今週の写真と報告をまとめて渡し、「週報にして」と書く。返ってくるのは、よくまとまった文章です。N社長はそれを読み、自分でファイルに貼り直していました。清書係が社長になっている、あの状態です。

    担当を分けたのは、去年の冬でした。やったことは、二時間半の作業を三つにばらしただけです。

    一つめ。週報を作る仕組みそのものを作らせる。これはつくる係の仕事です。どのフォルダを見て、どの順に並べて、どの形で出すか。手順をそのまま渡して、動く仕組みと、社員が動かせる手順書の二点で受け取りました。

    二つめ。毎週たまる写真の名前つけと圧縮。これは回す係の仕事です。現場名と日付の順に整えて、容量を落とす。写しで試させて、処理前後の枚数を報告させる。

    三つめ。どの現場を来週優先するか。これはN社長が決めます。写真も報告も揃った状態で、判断だけを残す。

    切り分けたあと、最初の二週間は私も横につきました。うまくいかなかったのは二週目です。写真の名前つけを頼んだところ、現場名が入っていないファイルが二十枚ほど混ざっていて、そこで処理が止まりました。N社長は「やっぱりだめでしたか」と言いました。でも、止まったのは正しい動きです。判断に迷ったら勝手に決めずに手を止めるよう、最初の指示に書いてあったからです。その二十枚だけN社長が現場に確認して、残りはそのまま通りました。全部を任せきるのではなく、止まった一点にだけ人が入る。この形になってから、金曜の残業がなくなりました。

    もう一つ効いたのが手順書です。三か月目から、週報を出す作業そのものが工務の若手社員に移りました。N社長は出てきたものを開いて、翌週の優先順位を決めるだけになっています。

    半年たった今、N社長が金曜の夕方に打ち込む指示は三行です。今週分のフォルダを指定して、いつもの仕組みを動かして、出てきたものを開く。所要は十五分ほどだと聞いています。しかも、この十五分は社員の方でもできます。手順書があるからです。

    N社長が言った言葉が印象に残っています。「同じことをやらせてるのに、なんでこんなに短くなったんですかね」。同じことをやらせているからです。違うのは、どこに持っていったかだけでした。


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    明日から使える5つの指示文

    一本目はすでに前の章でお渡ししました。仕事を三つに仕分けるための指示文です。ここには残りの四本を置きます。どれも、そのままコピーして使えます。

    まず、つくる係への発注文です。毎週やっている手順を一つだけ選んで渡してください。社員が二十名を超える会社なら、経理か総務の毎月の作業がいちばん効きます。

    あなたは、社内の業務手順を「動く仕組み」に変える担当です。
    これから、毎週うちの会社でやっている手順を1つ渡します。
    
    【ここに手順を書く:誰が/いつ/どのファイルを/どう処理して/何を出しているか】
    
    次の2点を作ってください。
    1. その手順をそのまま実行できる仕組み(毎週同じ結果が出るもの)
    2. 社員がひとりで動かせる手順書(画面で押す場所と、失敗したときの戻し方まで)
    
    条件があります。
    ・元のファイルは書き換えないでください。写しを作り、そちらで作業してください。
    ・仕組みが何を読み、何を書き出すのかを、手順書の冒頭に1行で書いてください。
    ・私が知らない専門用語を使うときは、そのつど1行で言い換えを添えてください。

    次が、回す係への一括処理の依頼文です。たまっている写真フォルダや、形式のばらばらなデータがあれば、その日のうちに試せます。

    あなたは、たまったファイルをまとめて処理する担当です。
    対象はこちらです。
    
    【ここに、どのフォルダの/どんなファイルを/どう処理してほしいかを書く】
    
    進め方を守ってください。
    ・いきなり本番を触らないでください。まずフォルダの写しを作り、写しで試してください。
    ・処理を始める前に、対象ファイルが何件あるかを数えて報告してください。
    ・処理が終わったら、もう一度件数を数えて報告してください。増減があれば理由を添えてください。
    ・元のフォルダは最後まで触らないでください。
    ・判断に迷ったら、勝手に決めずに手を止めて、私に質問してください。

    三本目は、受け取ったものを開く前に使います。成果物が届いてから「どこを見ればいいのか」で固まる時間が、意外と長いからです。

    あなたは、納品物を受け取る側の検品担当です。
    これから受け取る予定の成果物はこちらです。
    
    【ここに成果物の種類を書く:週報のファイル/提案資料/処理済みの写真フォルダ など】
    
    私がそれを開く前に、確かめるべきことを5項目だけ挙げてください。
    条件は次のとおりです。
    ・5項目は、開いて30秒以内に目で確かめられることに限ってください。
    ・「品質が高いか」のような曖昧な項目は入れないでください。件数・日付・名前・並び順など、目で数えられるものにしてください。
    ・各項目に、ずれていた場合の差し戻しの一言を添えてください。
    合否の判定は私がします。あなたは判定しないでください。

    四本目は、月に一度でかまいません。担当の割り当てがずれていないかを見直す棚卸しです。私はこれを月初の朝にやっています。

    あなたは、仕事の割り当てを見直す相談相手です。
    先月、私がAIに頼んだ仕事の一覧を貼ります。
    
    【ここに先月頼んだ仕事を箇条書きで貼る】
    
    一件ずつ、担当がずれていなかったかを見てください。見るのは次の2種類のずれだけです。
    ・私が決めるべき仕事(採否・価格・人の配置)を、AIに渡していないか
    ・すでにあるものを処理するだけの仕事を、新しく仕組みを作る側に頼んでいないか
    
    出し方の条件です。
    ・ずれていた件だけを挙げてください。合っていた件は書かなくて結構です。
    ・誰が悪かったという書き方はしないでください。仕事の置き場所の話として書いてください。
    ・最後に、来月ひとつだけ変えるとしたら何かを、1つだけ提案してください。2つ以上は出さないでください。

    四本とも、狙いは同じです。頼む前に担当を決めておく。受け取るものを先に言っておく。この二つを書き添えるだけで、返ってくるものが変わります。

    つまずくのは、だいたいこの3つ

    分け方そのものは難しくありません。うまくいかない会社を見ていると、つまずく場所が三つに集中しています。私も三つとも通りました。

    一つめは、一度に全部まとめて頼むことです。「経理まわりを楽にして」と書いてしまう。気持ちは分かります。ただ、この頼み方をした瞬間に、相手はまた十徳ナイフに戻ります。何をどう出せばいいのか決まっていないので、無難な文章が返ってくる。対処は簡単で、一つの業務につき成果物を一つに切ることです。「毎月の請求書突合を、動く仕組みと手順書の二点で」。これなら迷いようがありません。

    二つめは、出てきた結果を開かずに信じることです。ファイルができたと言われて、そのまま社員に転送してしまう。中身が空だったことが、私は二度あります。転送してから気づくのは、なかなかこたえます。対処は一つだけです。必ず一回開く。開いて、件数と日付と並び順を見る。三十秒で終わります。前の章の検品リストは、この三十秒を型にしたものです。

    三つめは、うまく動いた手順を保存せずに閉じることです。これがいちばんもったいない。せっかく良い形で出せたのに、画面を閉じた瞬間に手順が消えます。翌週また一から組み立てる。私が半年やっていたのは、まさにこれでした。対処は、動いたその場で型にすることです。手順書として残す。ファイルの置き場所を決める。名前をつける。三分で終わる作業が、翌週から毎回の二時間を消してくれます。保存といっても、大げさなことはしません。私がやっているのは、うまく動いた指示文をそのままファイルに貼り、日付と業務名をつけて置いておくだけです。翌週は貼り付けて日付を変えれば済みます。三分を惜しんで毎週二時間を払い続けるのは、どう考えても割に合いません。

    三つ並べてみると、共通点があります。どれも「早く済ませたい」から起きています。急いでいるときほど、まとめて頼み、開かずに送り、保存せずに閉じる。急ぐときこそ担当を分けたほうが早い、というのが実感です。

    社長がやるのは、開いて、決めることだけ

    分けてから半年たって、私の一日は静かになりました。

    朝、つくる係に「今週の分をお願いします」と三行書きます。回す係に「このフォルダを整えてください」と三行書きます。あとは自分の予定に戻る。昼過ぎに戻ってきて、出てきたものを開きます。件数を見て、日付を見て、並びを見る。おかしくなければ社員に渡す。おかしければ、その一点だけ差し戻す。

    そして、私の手元には判断だけが残ります。この現場を来週に回すか。この見積もりで出すか。この人にこの仕事を任せるか。会いに行くか。この四つを考える時間が、以前より確実に増えました。

    十徳ナイフを捨てたわけではありません。今でも、ちょっとした調べものや、考えを整理したい夜には一本で足ります。ただ、会社の毎週を回すのに一本で通そうとするのはやめました。缶切りは缶切り、栓抜きは栓抜き。そして、どの缶を開けるかを決めるのは、いつまでたっても私の役目です。

    指示が長くなっていたのは、私の説明が下手だったからではありませんでした。行き先を決めずに全部を一つの窓口へ持ち込んでいたからです。行き先が決まれば、説明は要らなくなります。


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    経営者のあなたへ

    AIをもっと勉強しなければ、と思っている社長はたくさんいます。私もそうでした。でも、いま振り返ると、私に足りなかったのは知識ではありませんでした。仕事を三つに分けて、二つを道具に置き、一つを自分の手に残す。それだけの割り当てを、決めていなかっただけです。

    決めるのは五分で終わります。今週やった作業を十個書き出して、つくる・回す・決めるの札を貼るだけです。その五分が、金曜の夜を返してくれます。どうか、勉強を始める前に、割り当てから始めてください。

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    株式会社コミクス 代表取締役

     
     
     
    AI活用のご相談→ https://www.comix.co.jp/contact/ 株式会社コミクス代表取締役。生成AI活用支援実績304社(2026年9月末現在)。営業・資料作成の効率化、AIエージェント導入を支援。何から始めるか迷っている段階でもご相談ください。

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