
朝届いた1本のZIPが、夕方には「スライド工房」になっていた——AIに資料作りを任せるまでの全記録
朝、1本の圧縮ファイルが届きました。中身は「お手本どおりのスライドを描く」ためのAIの手順書です。それを自分のパソコンに入れて、その日の午後には15枚の資料を作り、翌日には管理画面のボタン1つで動く仕組みまで組み上がっていました。これは2026年8月11日に実際に行った作業の記録で、登場する数字はすべて実測値です。作る仕事が、頼む仕事に変わった一日を、順を追って書きます。

なぜ「スライド作り」の自動化に本気を出したのか
私は生成AI活用顧問として、これまで277社の経営者と伴走してきました。業種も規模もばらばらですが、社長の机の上に必ず載っているものがあります。スライドです。
営業先に持っていく提案資料。社員に方針を説明する資料。セミナーの登壇資料。金融機関に出す事業計画。銀行の担当者が変わればまた作り直し。中身は社長の頭の中にすでにあるのに、それを「見せられる形」にするところで時間が溶けていきます。
厄介なのは、この作業にほとんど判断が入っていないことです。四角い箱を並べる。文字がはみ出したから小さくする。色が前のページと違うから揃える。写真の位置を1センチ動かす。どれも、経営の意思決定とは何の関係もありません。それでも誰かがやらないと、資料は人前に出せない。

会議がすべて終わった夜、社長室でひとり、文字の大きさを直している。私自身にも覚えがありますし、支援先でも何度も見てきた光景です。次の日の朝いちばんに使う資料だから、今日中に終わらせるしかない。そういう夜が、たしかにあります。
もうひとつ、地味に効いてくる問題があります。作る人が変わると、見た目が変わることです。営業部が作った資料と、私が作った資料と、外注した資料。並べると、同じ会社が出したものに見えません。ロゴだけは同じなのに、色も文字の大きさも余白の取り方もバラバラ。資料の見た目は、そのまま会社の印象になります。
外に頼めば、時間とお金がかかる。社内でやれば、社長か社員の時間が消える。どちらを選んでも何かを差し出している。
だから私がずっと欲しかったのは、「一度決めた見た目のまま、中身だけ入れ替えられる仕組み」でした。デザインは固定。文章だけ流し込む。作るたびに悩まなくていい状態。
その仕組みが、たった1日で手に入るとは、その朝の私はまだ思っていませんでした。
朝届いた1本のZIPファイル——移植は30分で終わった
その日の朝、私の手元に1本の配布ファイルが届きました。ZIP形式の圧縮ファイルです。中身は「お手本のデザインを見せると、それと同じ見た目の16対9のスライド画像を作る」ためのAIの手順書一式でした。
ただ、こういうものは受け取っただけでは動きません。配布された手順書は、作った人のパソコン環境を前提に書かれています。画像を作る部分がどのサービスにつながっているか、出来上がった画像をどう切り出すか、最後にどうやってPDFにまとめるか。このあたりが環境ごとに違う。ふつうなら、ここで半日は溶けます。
私が打ったのは、たった一言でした。
「このデザインスキルを実装して」
そこから先は、見ていただけです。AIは圧縮ファイルを展開し、中身のファイルを一つずつ読んで何が書いてあるかを確かめ、私のパソコンで動くように配線を直していきました。画像を作る部分を私が使えるサービスにつなぎ直す。作られた画像を16対9の比率に切り出すための処理を、新しく1本書き起こす。最後に複数の画像を1つのPDFにまとめる部品を入れる。
そして、勝手にテストまでやりました。模擬の4枚組を作り、実際にPDFが出来上がるところまで確認して、「ここまで動きました」と報告してきたのです。
かかった時間は、約30分。
この30分で私が学んだことが1つあります。「入れておいて」と頼むのと、「動くところまで確認して」と頼むのとでは、返ってくるものが違うということです。前者だと、ファイルが置かれただけの状態で「完了しました」と言われる。後者だと、テストを1回通して、その結果を持ってくる。頼み方の差が、そのまま成果物の差になります。
ただし、その前にやるべきことがあります。何を任せるか決めることです。
私の場合はスライドでしたが、会社によって「毎回作っているもの」は違います。見積書かもしれないし、報告書かもしれない。ここを間違えると、動く仕組みは手に入っても、使う場面が来ません。
次の文面は、経営者ご自身が15分でできる棚卸しのためのものです。そのまま貼り付けて、あとは音声入力で答えていけば終わります。移動中の車内でも構いません。
あなたは、中小企業の業務を整理する伴走コンサルタントです。
私は経営者で、専門用語には詳しくありません。音声入力で答えます。
【ここに、あなたの会社名と、事業内容を一言で話す】
以下を一問ずつ聞いてください。私が答えてから、次の質問に進むこと。
一度にまとめて聞かないこと。
1. 毎月または毎週、決まって作っている資料は何ですか
2. その資料は、誰に向けて、何のために出していますか
3. 作るのに毎回どれくらい時間がかかっていますか
4. 決まった型(ひな形)はありますか。それとも毎回ゼロから作りますか
5. 毎回変わるのは、どの部分ですか
すべて聞き終えたら、次の表にまとめてください。
| 資料名 | 頻度 | 型の有無 | 毎回変わる部分 |
最後に「AIに任せやすい順」で並べ替え、上位3つに理由を1行ずつ添えてください。
専門用語を使うときは、必ずカッコ書きで日本語の説明を入れてください。私の場合、この棚卸しの答えは最初から決まっていました。自己紹介の資料です。人に会うたびに必要になり、相手によって少しずつ中身を変えている。まさに「型はあるのに毎回作り直している」ものでした。
AIが日本語スライドを「誤字ゼロ」で描いた日
午後、いよいよ本番です。渡したのは3点だけでした。自己紹介の文章。お手本にしたいデザインのスライド3枚。そして自分の顔写真。
正直に言うと、私はあまり期待していませんでした。理由ははっきりしています。画像を作るAIは、日本語の文字が苦手だからです。これは業界の常識といっていい。漢字の払いが1本足りない、ひらがながよく似た別の字になる、意味のない記号が混ざる。だから私はこれまで、日本語の文字はプログラムで組んで、写真や絵の部分だけをAIに描かせる、という手間のかかるやり方を取ってきました。
ところが1枚目、表紙が出てきた瞬間に手が止まりました。
誤字が、ありません。
信じられなかったので、画面上の文字を1つずつ数えて照合しました。会社名、肩書き、名前、キャッチコピー、小さな注釈まで含めて16箇所。全部、一字ずつ目で追いました。全部合っていました。使ったのはgpt-image-2という画像生成AIです。日本語をここまで正確に描くのを、私は初めて見ました。
そこから先は流れるように進みました。最終的に15枚の自己紹介デッキが完成しています。

数字で書いておきます。画像の生成回数は総計19回。うち採用したのが15枚、作り直しが6回。そして重要なのは、その6回の内訳です。文字が理由の作り直しは、ゼロでした。
では6回は何だったのか。全部「枠ずれ」です。
ページの右下に入れているページ番号が、画像の下端でちょうど切れてしまう。数字の上半分だけが残って、下半分が消えている。見た目としては、かなり格好悪い。
最初はAIに頼みました。「ページ番号が切れているので、もう少し内側に描いて」。すると別の場所がずれる。「下の余白をもっと取って」。今度は文字が小さくなりすぎる。言い方を変えて4回頼みましたが、直らないページがありました。
ここで私は、頼み方を工夫するのをやめました。
代わりにやったのは、定規を当てることです。出来上がった画像のどこに何が写っているかを、プログラムで測る。ページ番号の位置を座標として取り出す。そして画像を切り出す位置を、数ピクセルだけずらす。それだけです。
一発で直りました。
4回お願いしても直らなかったものが、測ったら1回で片づいた。この差は、私にとってこの日いちばんの学びでした。AIは「だいたいこういう感じ」を作るのが得意で、「1ミリ単位で必ず同じ場所」は苦手です。逆に、昔ながらのプログラムは、だいたいの雰囲気は作れませんが、寸法を測って動かすことなら毎回きっちり同じ結果を出します。毎回同じ結果になる処理のことを、専門的には決定論的な処理と呼びます。
AIに何度もお願いするより、定規で測って直せる場所は、測って直す。これが原則です。
同じ考え方が、もう1か所で効きました。QRコードです。
最終ページに2つ入れたいものがありました。無料診断アンケートへのリンクと、30分の面談の日程調整ページへのリンク。どちらもQRコードにしたい。
QRコードをAIに描かせると、見た目はそれっぽい白黒の模様になります。ただし読み取れません。あれは模様ではなく、規則に従って並んだデータだからです。AIが描いているのは、QRコードの絵であって、QRコードではない。
そこでこうしました。スライド側には「何も描かれていない白いパネル」だけを描いてもらう。QRコード本体はプログラムで正確に作り、そのパネルの中にはめ込む。
さらに、出来上がった画像を、スマートフォンのカメラと同じ方式で読み取って、正しいページに飛ぶかどうかを確かめてから納品しました。ここまでやって、ようやく「使える」と言えます。
定規で測る話も、QRコードの話も、根っこは同じです。機械が測れることは機械にやらせ、雰囲気を作ることだけAIに任せる。この線引きができると、作り直しが激減します。
最後に、少し格好悪い話も書いておきます。
制作の途中で、載せるサービスの数が7個から8個になり、さらに9個になりました。私が「あ、これも入れておこう」と言ったからです。ところが、スライドのページ番号は「3 / 15」のように総数まで含めて画像に焼き込まれています。ページが増えるたびに、全ページの番号を振り直すことになりました。2回やりました。
この一件のあと、AIは私に対して先回りするようになりました。作業に入る前に「構成はこれで確定ですか」と聞いてくるようになったのです。手戻りの原因が、私の側にあることを学習したわけです。少し気まずいですが、正しい進化だと思います。
勝ちパターン——デザインを「資産」に変える考え方
ここからが、この日いちばん価値のあった部分です。
15枚のスライドが出来上がった時点で、私の手元には「見た目のルール一式」が残りました。紺色を土台に、差し色としてオレンジを使う。マスコットとしてロボットのキャラクターを登場させる。実績や事例は、実写の写真をカード状に配置して見せる。見出しは上から何割の位置に置き、本文は左からどこまでの範囲に収める。
これを、私は「勝ちパターン」と呼んで保存しました。

なぜわざわざ保存するのか。答えは単純で、次からは新しい文章を流し込むだけで、同じ見た目のスライドが出てくるからです。デザインをもう一度考える必要がありません。
ここが分かれ目です。多くの人は、AIで資料を1本作って「便利だった」で終わります。次に作るときは、また最初から指示を出す。その都度、少しずつ違うものが出てくる。これでは1回ごとの作業でしかなく、会社には何も残りません。
一度、人間の目で見て「これでいい」と承認したデザインを、そのまま次に持ち越せる形で保存しておく。この一手間が、単発の作業を資産に変えます。
資産になると、3つのことが起きます。
1つめ、ブレなくなること。誰が作っても同じ見た目になります。私が作っても、社員が作っても、深夜に急いで作っても、資料の顔つきが変わらない。会社の見た目というのは、センスの問題ではなく、ルールが決まっているかどうかの問題です。ルールが文字と数字で書き出されていれば、センスがなくても再現できます。
2つめ、速くなること。デザインを決める工程が丸ごと消えます。資料作りの時間は、実は「何を書くか」より「どう見せるか」で消えていることが多い。そこが最初から決まっていれば、残るのは中身を考える時間だけです。
3つめ、判断が要らなくなること。これがいちばん大きい。判断が要らない作業は、人に頼めます。AIにも頼めます。逆に言えば、判断が残っている限り、その仕事は社長の机から離れません。デザインを資産化するというのは、判断を1回で終わらせて、以後は判断しなくていい状態を作る、ということです。
ひとつ注意があります。勝ちパターンにできるのは、人間が実際に見て承認したものだけです。「たぶん良さそう」なものを保存すると、その中途半端さがそのまま量産されます。承認は必ず目で見て、1回だけ、丁寧にやる。そのかわり、その後は見ないで任せられる。ここが釣り合っています。
ボタン1つの「工房」になるまで——3層の仕組み化
さて、勝ちパターンが手に入りました。ここから先が、この記録のいちばん面白いところです。
私が翌日にやったのは、この一連の流れを、自社の管理画面のボタンに変えることでした。自作の経営ダッシュボードに、「スライド工房」という入り口を作ったのです。
仕組み化には、3つの層がありました。順番が大事なので、そのまま書きます。

第1層は、対面で承認しながら作る層です。AIと会話しながら、1枚ずつ見て、良い悪いを判断する。前の章までの話がここに当たります。この層はとにかく手間がかかりますが、飛ばせません。何が良くて何が駄目なのかを、人間が決める工程だからです。
第2層は、そこで決まったものを保存する層です。承認したデザイン、文字の置き方、色の使い方、写真の扱い。これを「次も同じものが出せる形」で残す。前章の勝ちパターンです。
第3層が、ボタンです。管理画面に入り口を作り、フォームに本文を貼り付けるか、PDFを添付して、押す。あとは全部自動で流れます。ページの割り振りを設計し、全ページの画像を生成し、枠ずれがないかを検品し、QRコードをはめ込み、最後にPDFにまとめる。
この3層は、順番を飛ばすと必ず失敗します。第1層をやらずにいきなりボタンを作ると、「押すと何かが出てくるけれど、毎回使えない」という一番たちの悪いものが出来上がります。判断の基準が決まっていないまま自動化すると、間違いだけが速く量産されるからです。
私はこれを、3段ロケットだと思っています。1段目は重くて燃費が悪い。でも1段目がないと持ち上がらない。2段目で軌道に乗せ、3段目で初めて軽くなる。1段目の重さを嫌がって省略すると、そもそも飛ばない。
工房の初回テストの数字を書いておきます。
フォームに本文を投入してから、5枚組のサービス紹介デッキが完成するまで、26分。出来上がったPDFのサイズは9.4メガバイト。QRコードの読み取り確認も、人手を介さず自動で通りました。私がやったのは、貼り付けて押すことだけです。
その後、対応できる枚数を最大30ページまで広げました。5枚でも30枚でも、やることは同じです。貼って、押して、待つ。
ここで強調したいのは、26分という時間の中身です。この26分、私は別の仕事をしていました。工房の中で何が起きているかは見ていません。見なくていい状態を作るために、前日の1日を使ったわけです。
これは資料作りに限った話ではありません。会社の中で繰り返されている作業は、たいていこの3層に分解できます。人が判断しながらやっている段階。判断の基準が言葉になった段階。誰が押しても同じ結果が出る段階。多くの会社が第1層のまま止まっているのは、第2層の「言葉にして保存する」作業を誰もやらないからです。
そして、その第2層こそ、いまのAIがいちばん得意な仕事でもあります。「いまやった手順を、次から同じようにできる形で書き出して」と頼むだけで、書いてくれます。
社長がそのまま使える実践プロンプト集
ここからは、今回の一連の作業で実際に効いた頼み方を、そのまま使える文面にして4つ置いておきます。コピーして貼り付け、カッコの中だけ差し替えてお使いください。
1つめは、お手本のデザインを言葉に変えるためのものです。「この資料の見た目、好きなんだよな」というスライドが手元にあるとき、そのまま画像を貼って使います。何が良いのかを言語化できると、次からその見た目を再現できるようになります。
あなたは、プレゼン資料のデザインを言語化する専門家です。
【ここに、あなたが「これと同じ見た目にしたい」と思うスライドの画像を貼る】
この画像を観察し、デザインの決まりごとを次の4項目で書き出してください。
1. 色:使われている色を「主役・脇役・差し色」の3つに分け、それぞれの用途
2. 文字:見出しと本文の大きさの比率、太さ、書体から受ける印象
3. 余白:文字を置いてよい範囲。上下左右にどれだけ空いているか
4. 配置:写真・図・文字がどう並んでいるか。その並べ方の規則
各項目に「なぜそう見えるのか」を1文ずつ添えてください。
出力は表と短い文章のみ。感想や前置きは不要です。
専門用語を使うときは、必ずカッコ書きで日本語の説明を入れてください。2つめは、長い文章をスライドの構成案に変えるものです。事業計画でも、社内向けの説明文でも、講演の原稿でも構いません。私が「サービスの数が7個から9個に増えて2回やり直した」のは、この工程を先にやらなかったからです。同じ失敗を避けるために、最後に確認質問を出させるようにしてあります。
あなたは、経営者の話をスライド構成に落とし込む編集者です。
【ここに、資料にしたい文章をそのまま貼る(長くて構いません)】
この文章を、1ページ1メッセージの原則でスライドに割ってください。
1ページに2つ以上の主張を入れないこと。入りきらない場合はページを増やすこと。
出力は次の4列の表だけにしてください。
| ページ番号 | 見出し(20字以内) | 載せる数字・固有名詞 | 図解案(1行) |
表の後に、次の2点を必ず確認質問として出してください。
・総ページ数はこれで確定してよいか
・削ってよい情報と、絶対に残す情報はどれか3つめは、新しい道具やAIの機能を自分の環境に入れてもらうときの依頼文です。今回の30分がうまくいったのは、ここに「テストで何を確かめるか」を書いたからでした。この一文があるかないかで、返ってくる報告の質が変わります。
あなたは、社内にツールを導入する担当エンジニアです。
【ここに、導入してほしいツール名・配布ファイル名・やりたいことを書く】
導入作業を進めてください。ただし、次の条件を必ず守ってください。
1. 導入後、本番と同じ条件で1回テスト実行すること
2. 「動くはずです」で報告しないこと。
出来上がったファイルを実際に開き、中身を目で確認してから報告すること
3. 報告には、次の実測値を必ず含めること
・テストに使った入力内容
・出来上がったファイルの名前・置き場所・サイズ
・かかった時間
・うまくいかなかった箇所と、その対処
4. 私の判断が要る分岐が出たら、勝手に決めないこと。
選択肢を2つに絞って、私に聞くこと
出力は作業ログではなく、上の3の実測値を並べた短い報告の形にしてください。4つめは、うまくいった作業を次回から一言で頼めるようにするためのものです。今回の「工房」も、出発点はこの頼み方でした。1回うまくいったその場で使うのがコツです。時間が経つと、何がうまくいったのか自分でも思い出せなくなります。
あなたは、業務手順を整理して再利用できる形にする担当者です。
【ここまでの一連のやりとりが、うまくいった作業です】
この作業を、次回から一言で頼めるようにしてください。手順書を作ってください。
含めること:
1. この作業の呼び名を1つ決める
2. 私が最初に渡す材料は何か
3. 作業の順番(番号つき。1手順1行)
4. 途中で私に確認すべきタイミングと、そのときの質問文
5. 作業が終わったことを目で確かめる方法(どこを開いて、何を見るか)
出力は手順書1枚だけ。前置きと感想は不要です。
最後に「次回、私が打つべき一言」を1行だけ示してください。資料作成が「作る仕事」から「頼む仕事」に変わった
この2日間で、私の中の何が変わったのか。はっきり書いておきます。

以前は、資料作成は「作る仕事」でした。材料を用意して、並べて、整えて、直す。時間の大半が、整える工程に消えていました。中身を考えている時間より、見た目を直している時間のほうが長い。そういう仕事です。
いまは「頼む仕事」になりました。私がやるのは、何を伝えたいかを文章にして、貼り付けて、押すこと。そのあと26分ほど別のことをして、出てきたものに目を通す。直したい箇所があれば、そこだけ指示する。
似ているようで、性質がまったく違います。作る仕事は、手を動かしている間ずっと拘束されます。頼む仕事は、頼んだ瞬間に手が空きます。
もうひとつ、思わぬ変化がありました。資料を作るハードルが下がったことで、「作ってみるか」と思える回数が増えたのです。以前なら「時間がかかるからやめておこう」と見送っていた場面で、いまは試しに1本作ってみる。使えなければ捨てればいい。26分ですから。
これは経営判断のスピードに直結します。提案の切り口を3つ試すことができれば、当てにいける確率は上がります。1つしか作れないなら、その1つに賭けるしかない。作る速さは、そのまま選択肢の数になります。
出来上がった仕組みは、その日のうちに社内のチャットで役員2名に共有しました。自分だけが使える便利な道具にしておくと、結局その人がボトルネックになります。押せる人が増えて初めて、会社の仕組みになる。
読んでくださっている経営者の方にお伝えしたいのは、ここです。AIの導入を「業務効率化」という言葉で捉えている限り、話は時間短縮で終わります。でも実際に起きるのは、それだけではありません。やってみる回数が増える。試せる案の数が増える。捨てられるようになる。動き方そのものが変わります。
そして、その入り口は驚くほど小さい。今回でいえば、朝届いた1本のファイルと、「実装して」という一言でした。
まとめ——最初の一歩は「1枚のお手本」から
長くなったので、この2日間で分かったことを3つに絞ります。
第一に、頼み方に「テストして実測値で報告して」を入れること。これだけで、返ってくるものが「たぶん動きます」から「これだけ動きました」に変わります。今回の30分も、26分も、実際に測った数字です。
第二に、AIに何度もお願いするより、定規で測って直せる場所は測って直すこと。私は4回頼んで直らなかったずれを、測って1回で直しました。AIは万能ではありませんし、万能である必要もありません。機械が正確にできることは機械に任せて、AIには雰囲気を作ってもらう。線引きができると、途端に安定します。
第三に、うまくいったやり方を、その場で保存すること。1回きりの成功は経験にしかなりませんが、保存すれば会社の資産になります。そして保存する作業こそ、いまのAIがいちばん得意な仕事です。

もし今日から何か1つ始めるとしたら、私がおすすめするのは「1枚のお手本を選ぶ」ことです。
過去に自分が作った資料でも、どこかで見て良かった資料でも構いません。「この見た目が好きだ」と思える1枚を選び、その画像をAIに見せて、何が良いのかを言葉にしてもらう。この記事の1つめのプロンプトが、そのためのものです。
その言葉が手に入った瞬間、あなたの会社のデザインは、頭の中の感覚から、誰でも再現できるルールに変わります。そこから先は、今日書いた3段ロケットの通りです。
朝の私は、届いたファイルが夕方にどうなるか知りませんでした。ただ「実装して」と打っただけです。始まりなんて、その程度のもので構いません。
あわせて読みたい
経営ダッシュボードは、買うものではなく、育てるものだった
https://note.com/comix_ceo162230/n/n0479829076fd
AIをうまく使う社長ほど、AIに指示を出さなくなる
https://note.com/comix_ceo162230/n/n594d0c799832
Codexを使いこなす社長は、コードを1行も読まない
https://note.com/comix_ceo162230/n/n8ef5eb2043ea
鈴木章裕
株式会社コミクス 代表取締役https://note.com/comix_ceo162230/n/n0479829076fdhttps://note.com/comix_ceo162230/n/n594d0c799832https://note.com/comix_ceo162230/n/n8ef5eb2043ea