
AIは1台ずつ使うものだと思っていた。同時に5つ動かした日、私の1日は終わらなくなった
AIに仕事を頼むときは、1つ頼んで、返ってくるのを見て、それから次を頼む。私はずっとそうしていました。それをやめた日から、1日の景色が変わりました。同じ時間帯に5つの仕事が別々に動いていて、私は戻ってきたものを受け取って突き合わせるだけ。今日は、AIを何台も同時に動かすための「切り分け」「同時指示」「合流点」の3つを、道路工事の区間割りにたとえて書きます。

AIを1台ずつ、順番に使っていた
少し前の私の午前中を、正直に書きます。
パソコンを開いて、まずAIに提案書の骨子を頼む。画面に文字が流れはじめる。私はそれを見ている。骨子が出そろったので少し直して、次に見積の根拠になる過去案件を洗ってもらう。また画面を見る。また待つ。直す。次を頼む。
これを1日繰り返して夕方に振り返ると、頼んだ仕事は5つか6つ。ずいぶん進んだ気がしていました。実際、AIを使う前よりは確実に速い。以前なら、提案書の骨子をひとつ書き上げるだけで午前中がまるごと消えていたのですから。だから疑いもしませんでした。
厄介なのは、この「速くなった」という実感が本物だったことです。間違ったやり方をしていれば、どこかで違和感が出ます。ところが1台ずつでも、以前の自分よりは確実に速い。比較の相手が過去の自分しかいないと、伸びしろがあることに気づけません。
1台ずつでも困らない、という感覚には理由があります。AIに頼んでいる間、人は完全に手を止めているわけではありません。メールも見るし、電話にも出る。だから待っている自覚がない。待ち時間が細かく散らばっているぶん、痛みとして感じないのです。私が自分の午前中を疑えなかったのは、そのせいでした。
疑うきっかけは、社員の一言でした。「例の見積の根拠、まだですか」。私は「今やってる」と答えました。嘘ではありません。ただ正確に言えば「今、順番待ちの3番目にある」でした。私の手元には、私が着手するのを待っている仕事が列をつくっていて、その列は私が1つ終えるまで1ミリも動きません。
AIが遅いわけではありませんでした。遅いのは、AIを1台しか動かしていない私のほうです。もっと言えば、AIは待っていません。待っているのは、私の返事を待っている社員と、私の着手を待っている案件のほうでした。
先に断っておきます。この記事は「どのAIにどの役割をやらせるか」という話ではありません。役割分担については以前に別の記事で書きました。今日書くのは、役割ではなく本数の話です。同じ時間帯に、何本の仕事を同時に走らせているか。 扱うのはそこだけです。
止まっていたのは、AIではなく私だった
道路工事にたとえます。1キロの道を直すのに、班をひとつだけ用意して、端から順に進んでいく。舗装が終わった区間から順に車が通れるようになるので、進んでいる実感はあります。ただ、道全体が使えるようになる日は、班がひとつである限り変わりません。
区間を5つに割って、5つの班が同時に着工したらどうなるか。掘る場所も、使う重機も、責任者も別。互いの完成を待つ必要がない。だから同じ日に5区間の工事が始まります。班をひとつしか用意しなかったのは、そのほうが管理しやすいからであって、そうしなければならない理由があったわけではありません。
AIの使い方も同じ構造でした。私が唯一の着工口になっていたのです。仕事は私の前で列をつくり、私がひとつ手をつけて、終わって、次を呼ぶ。列の長さは、私の処理速度でしか縮まりません。どれだけ賢いAIを使っても、着工口がひとつなら、道全体が仕上がる日は変わらない。
やっかいなのは、この列が誰の目にも見えないことです。ホワイトボードにも、タスク管理ツールにも書かれていない。列は私の頭の中と、待っている相手の期待の中にしかありません。だから社員は「まだですか」と聞くしかなく、私は「今やってる」と答えるしかない。どちらも嘘をついていないのに、話が噛み合わないのはそのためです。
社員の側から見ると、この状況はもっと不透明です。自分の依頼が社長の机の何番目にあるのか分からない。急ぎだと伝えるべきか、割り込むと他の誰かに迷惑がかかるのか、判断する材料がない。結果として、催促するか、黙って待つかの二択になります。どちらを選んでも会社は前に進みません。
私はこれを長らく「自分の処理能力の問題」だと思っていました。もっと早く判断すれば、もっと早く着手すれば、列は短くなる。けれど列の長さを決めていたのは能力ではなく、着工口の数のほうでした。
最初にやったのは、列を紙の上に引きずり出すことでした。改善案はいりません。いま何が、誰の手元で、何を待って止まっているのか。それだけを機械的に並べます。

社員10人前後の会社で、社長が「自分がボトルネックかもしれない」と薄々感じているとき。週の頭の朝、まずこれを走らせてみてください。改善提案を禁止しているのがポイントです。
あなたは、私の手元で止まっている仕事の「行列」を書き出す記録係です。
以下の材料を読み、いま誰の手元で何が止まっているかだけを並べてください。
改善案・優先順位・やるべきことの提案は一切書かないでください。
【ここに、今週の未返信メール・チャット、社内から催促された件、
自分が抱えたままの案件を、順不同で貼る/話す】
出力は次の表だけにしてください。
| 止まっている仕事 | いま誰の手元にあるか | 何を待っているか | 待たせている相手 |
表のあとに1行だけ、
「このうち、私の返事だけが理由で止まっているもの」を列挙してください。
その1行に何も書けなかった場合は「なし」と書いてください。私が最初にこれを見たとき、最後の1行に4件並びました。4件とも、内容が難しかったから止まっていたのではありません。私の手が空くのを待っていただけでした。
同時に着工できる仕事の見分け方
すべての仕事を同時に着工できるわけではありません。橋桁が架かる前に舗装はできない。順番が決まっている工程は、どうやっても順番どおりです。
見分ける基準はひとつで、「互いの結果を待っているかどうか」だけを見ます。私はここを3種類に分けて考えるようにしました。
ひとつめは材料待ちです。前の仕事の結果が、次の仕事の材料そのものになっている場合。基本設計が固まらないと数量が拾えず、数量が出ないと積算できない。これは分けられません。順番にやるしかない工程です。
ふたつめは判断待ちです。同じひとつの結論を取り合っている場合。「A案で出すかB案で出すか」を決めないと先へ進めない仕事を2つ同時に走らせると、片方は必ず捨てることになります。
ただしここには大きな例外があります。「どちらの案にするか決めるための材料集め」なら、A案側とB案側を同時に走らせて構いません。決めるのは人ですが、材料は同時に集められます。私が最初に勘違いしていたのはここでした。判断が絡む仕事はすべて順番にやるものだと思い込んでいて、判断そのものと、判断に必要な材料を分けて考えていなかったのです。分けてみると、判断そのものは一瞬で終わり、時間がかかっていたのは材料集めのほうでした。
みっつめが手待ちです。中身としては何も待っていないのに、ただ私の手が空くのを待っている仕事。打合せメモの要点化、過去の類似案件の条件洗い出し、想定される質問の書き出し。これらは互いに一切関係がありません。同時に着工できるのはここです。
手待ちを見つけるコツは、「この仕事、私がやらなくても着手だけはできるか」と自問することです。着手だけはできる、けれど誰も着手していない。そういう仕事が手待ちです。私の会社でも、行列の半分近くが「私が最初の一行を書き出せば動くのに、その一行を誰も書いていない」という状態でした。

先ほどの行列を眺めると、多くの会社で手待ちが半分以上を占めます。私の場合もそうでした。難所で詰まっていたのではなく、平場で並んでいただけだったのです。
もうひとつ、判定に加えている条件があります。戻ってきたものを、人が見て選べるか。 AIに5本走らせると5本分の答えが返ってきます。それを読んで「これは使える、これは捨てる」と判断できる仕事でなければ、同時着工しても意味がありません。判断できないものを増やしても、散らかるだけです。
5つ同時に着工した日
ここから具体的な話をします。なお、以下は複数の支援先の事例をひとつのモデルケースとして再構成しています。特定の一社の記録ではありません。
社員22名の測量・設計事務所。所長は50代後半で、現場にも打合せにも出ます。技術者が15名、事務が4名。仕事は途切れていないのに、所長の机の上だけが常に渋滞していました。図面のことは技術者が判断できる。けれど見積の考え方、提案の書き方、住民説明の言い回しは、全部所長を経由します。
「自分がいないと決まらないことが多すぎる」と所長は言っていました。その通りなのですが、原因はもう一段下にあります。決めることが多いのではなく、決めるために自分で材料を集めていたのです。過去の似た案件を思い出すのも、条件の違いを確かめるのも、全部所長の頭の中で行われていました。頭の中でやっている限り、それは1台ずつと同じです。
ある案件の準備日に、5つの仕事を同時に着工しました。
ひとつめ、見積の根拠になる考え方の整理。ふたつめ、過去の類似案件で条件がどう違ったかの洗い出し。みっつめ、前回の打合せメモの要点化。よっつめ、提案書の骨子づくり。いつつめ、住民説明会で出そうな質問の想定問答。
大事なのは、この5つが互いの結果を一切参照していないことです。提案書の骨子は、見積の答えを待っていません。想定問答も、過去案件の洗い出しを待っていない。素材はどれも同じ「案件のフォルダにある資料と、前回の打合せメモ」です。同じ素材から、別の切り口で5本を出す。それだけの構造です。

所長は5つの指示を出したあと、手が空きました。本人いわく「自分が何もしていない時間が怖かった」そうです。それまでの働き方では、手が空いている=サボっている、でしたから。落ち着かなくなって、つい6つめを頼みそうになったと言っていました。それをこらえたのは正解です。着工した区間を見て回らずに新しい区間を掘りはじめると、結局どこも完成しません。
戻ってきた順番が面白かった。最初に返ってきたのは打合せメモの要点化でした。素材がはっきりしていて、切り口も単純だからです。次に過去案件の洗い出し。ここで「前回の類似案件は道路幅の条件が違う」という指摘が出て、所長が想定していた見積の前提がひとつ崩れました。次に提案書の骨子。見積の考え方の整理は、そのあとでした。
いちばん最後に返ってきた住民説明の想定問答は、正直に言って薄いものでした。当たり障りのない質問が並んでいるだけで、実際の説明会で飛んでくるような鋭さがない。理由ははっきりしていて、前回の打合せメモに住民側の反応がほとんど書かれておらず、素材が足りなかったのです。
けれど所長は、これを失敗と受け取りませんでした。「住民側の情報をうちが持っていない、ということが分かった」。5本同時に走らせなければ、この抜けは提案書を書き終わったあと、説明会の前日に気づいていたはずです。慌てて現場担当に電話をかけ、記憶をたどってもらう夜になっていたはずです。
しかも面白いのは、その気づきが「想定問答が薄かった」という失敗のほうから来ていることです。順番にやっていたら、薄い想定問答は最後に出てきて、他と比べるものがないまま「まあこんなものか」で通っていました。5本を横に並べたからこそ、1本だけ質が落ちている理由を探す気になったのです。
その日に感じた変化は、量ではなく順番でした。それまでは、自分が着手した順にしか進まなかった。同時着工にしてからは、戻ってきた順に自分が手を出すようになりました。私が列を作るのではなく、成果物のほうが並んで待っている。この逆転が本題です。
そしてこの逆転は、社員から見た景色も変えました。所長が「今やってる」としか答えられなかった案件について、「素材が足りないから、現場のメモをもらえますか」と具体的に頼めるようになる。待たせている理由が言語化されると、待っている側も動けます。
なお、何本が適正かは会社によって変わります。ある月に5本が回っていたからといって、それが正解というわけではありません。所長も最初は2本から始めています。
同時指示の出し方
同時着工でつまずくのは、たいてい発注のしかたです。5本を思いつくままバラバラに頼むと、素材の説明を5回書くことになり、それだけで疲れて2本目でやめます。
型は3つだけです。
ひとつ、素材をひとつにそろえる。 案件のフォルダから「これを見て考えてほしい」という材料を1セット決め、5本すべてに同じものを渡します。素材が違うと、戻ってきたものを突き合わせられません。同じ現場の同じ地質データを、5つの班が共有しているのと同じことです。
素材をそろえる作業は、面倒に見えて実は一度きりです。案件のフォルダにあるものを全部渡す必要もありません。打合せメモと、見積の前提が書かれた1枚と、前回の提案書。それくらいで足ります。むしろ渡しすぎると、5本とも同じ無難な答えに寄ってしまいます。
ふたつ、切り口を先に決める。 素材が同じなら、違いは切り口だけになります。私がよく使うのは、事実の整理・抜けの指摘・相手の反応、の3つです。同じ議事録から、書いてあることの構造化、書かれていない前提の洗い出し、受け取った相手が返してきそうな質問。この3本は互いを参照しませんし、どれか1本が空振りしても他の2本は成立します。
切り口が思いつかないときは、「誰の目で見るか」を変えるだけでも成立します。自社の目、相手の目、第三者の目。同じ資料でも、見る人が変われば拾うものが変わる。3人の担当者に同じ資料を渡して感想を聞くのと同じ発想です。区間ごとに違う班が入っているから同時着工なのであって、同じ班に同じ作業を5回させても意味がありません。
みっつ、戻り値の形をそろえる。 見出しの数、行数、書き出しの形式を指定しておきます。バラバラの形で戻ってくると、あとで並べたときに読み比べができません。片方が箇条書き、片方が長い文章では、どこが食い違っているのかを人の目で追えなくなる。合流点で困らないように、着工前に形を決めておく。これが後半で効いてきます。
そして最も大事なのが、互いを参照させないことです。「Aの結果を踏まえてBをやって」と書いた瞬間、それは同時着工ではなく順番待ちに戻ります。これは指示文の中に紛れ込みやすく、私も何度もやりました。「先ほどの整理をもとに」と書いてしまうと、もうその区間は前の区間の完成を待つことになります。
設計事務所でも工務店でも、素材となる議事録やメモが1本ある会社なら、その日のうちに試せます。次の指示文は、素材を1回貼るだけで3本分の指示が出てくるものです。
あなたは、1つの素材から3本の別々の指示文を書き分ける発注係です。
下の素材を読み、同じ素材を使いながら切り口の違う3本の指示文
(レーンA・B・C)を作ってください。
3本は互いの結果を参照してはいけません。
どれか1本が空振りしても、残り2本が単独で成立するようにします。
【ここに素材を貼る:議事録/打合せメモ/過去の資料/メール本文など】
レーンの切り口は次の3つで固定します。
A: 事実の整理(素材に書いてあることだけを構造化する)
B: 抜けの指摘(素材に書かれていない前提・条件・数字を洗い出す)
C: 相手の反応(この内容を受け取った相手が返してきそうな質問を想定する)
各レーンについて、そのままコピーして使える指示文を次の形で出力してください。
■レーンA
1行目:役割の指定
2行目:素材の入れ方
3行目以降:出力の形式(見出しの数・行数・書き出しの形)
――以下B、Cも同じ形で。
最後に1行だけ、3本の戻りを見比べるとき私が最初に見るべき点を書いてください。合流点には、関所をひとつだけ置く
5区間を同時に着工した工事は、必ずどこかでつながります。つなぎ目の高さが合っていなければ、段差になって残ります。同時着工をやって失敗する会社は、ほぼここです。走らせるところまでは上手くいって、戻ってきたものが机の上に散らかったまま終わる。
私も最初の月に一度やりました。3本走らせて、3本とも読んで、なんとなく満足して、そのまま画面を閉じた。翌週にもう一度同じ素材を触ったとき、先週の3本がどこにあるのか分からなくなっていました。走らせるのは簡単で、集めるのは難しい。同時着工の本当の難所は前半ではなく後半です。
だから合流点に関所を置きます。関所はひとつだけ、そして人が立ちます。ここだけは委ねません。関所を2か所に置くと、どちらを通ったのか分からない成果物が出ます。時間帯も決めてしまうのが良くて、うちは戻ってきた翌朝と決めています。
関所でやるのは、良し悪しの採点ではありません。一致と食い違いを見つけることです。
同じ素材から3本走らせると、たいてい面白いことが起きます。3本とも同じことを言っている部分は、素材にはっきり書かれている事実です。ここは信用してよい。一方、1本だけ違うことを言っている部分は、素材の書き方が曖昧か、そもそも情報が足りていない箇所です。食い違いは失敗ではなく、そこに穴があるという合図でした。
この見方に慣れると、読む速度が上がります。以前は3本を1本ずつ丁寧に読んでいました。今は3本を横に並べて、揃っているところを飛ばし、ずれているところだけを見る。工事でいえば、舗装面を端から歩いて確かめるのではなく、つなぎ目だけを見て回るようなものです。見るべき場所が決まっているぶん、読み終わるまでが短くて済みます。
先ほどの設計事務所でいえば、住民説明の想定問答だけが薄かったことがまさにそれです。関所で3本を並べたから、「うちは住民側の情報を持っていない」という結論が出ました。1本ずつ順番に見ていたら、単に「今回のAIの出来が悪かった」で終わっていたはずです。

戻ってきた原稿を並べて突き合わせるときに使います。採点をさせないのがコツで、点数をつけさせると、いちばん整った文章が選ばれてしまい、いちばん重要な食い違いが消えます。
あなたは、別々に戻ってきた複数の原稿を突き合わせる照合係です。
下に貼る3本の内容を読み、良し悪しの採点や順位づけはせず、
「どこが一致し、どこが食い違っているか」だけを表にしてください。
【ここにレーンAの戻りを貼る】
【ここにレーンBの戻りを貼る】
【ここにレーンCの戻りを貼る】
出力は次の表のみ。
| 論点 | Aの内容 | Bの内容 | Cの内容 | 一致/食い違い | 決めるために必要な情報 |
・3本とも一致している論点は、まとめて1行にして構いません
・食い違いの行では、どちらが正しいかを決めないでください。
決めるのは私です。あなたは「決めるために必要な情報」だけを書いてください
・3本のどれにも出てこなかったのに重要そうな論点があれば、
表の下に「誰も触れていない点」として並べてください関所を通ったあとの私の仕事は、食い違いの行を上から見て「こっちを採る」と決めていくことだけになります。ここは人の仕事です。決めるために材料を集めるところまでを同時着工し、決めるところは1か所に集める。順番にやる1日と、同時に動かす1日の違いは、結局この形の違いでした。

最初の一歩
いきなり5本は勧めません。所長も2本から始めました。
理由は単純で、本数を増やすと関所の負担が先に限界を迎えるからです。走らせるのはいくらでもできます。難しいのは戻ってきたものを見比べるほうで、そこは人の目でしかできません。2本なら並べて読めます。3本でも読めます。そこから先は、自分がどこまで裁けるかを確かめながら増やすのが安全です。
今日できることは2つです。ひとつは、いま抱えている仕事のうち「互いの結果を待っていないもの」がどれかを判定すること。もうひとつは、走らせた本数を毎日1行だけ残すこと。
判定のほうは、机に向かって書き出さなくて構いません。移動中でも、車の中でも、思いつくまま話すだけで済みます。音声入力でそのまま流し込んでください。
あなたは工程の順番を判定する進行役です。
私がこれから話す(貼り付ける)仕事について、
「どれが、どれの結果を待っているか」だけを判定してください。
仕事を新しく数え上げたり、やるべきことを追加したりはしないでください。
私が言っていないものを増やさないでください。
【ここに、いま抱えている仕事を思いつくまま話す/貼る】
判定のルール:
・Aの中身を決めるのにBの答えが要るなら、AはBを待っている
・同じひとつの結論を取り合う仕事どうしも、待っている扱いにする
・上のどちらにも当てはまらなければ「待っていない」
出力は次の3行だけ。表や装飾はつけないでください。
1行目:待っていない仕事(同時に着工できる)= ◯◯、◯◯、◯◯
2行目:待っている仕事 = ◯◯(◯◯の結果待ち)
3行目:判定に迷った仕事と、その理由(1つにつき1文)記録のほうは、1日の終わりに1行だけです。ここに時間や倍率を書かせないのが大事で、書かせるとその数字を追いかけはじめて、意味のない同時着工が増えます。見るのは本数と、そのうち使えた本数だけ。
あなたは、私の1日の進み方を毎日1行で記録する書記です。
私が話した内容から、その日の記録を1行だけ作ってください。
感想・励まし・改善提案は不要です。1行だけ返してください。
【ここに、今日走らせた仕事と、戻ってきたもの、
止まったものを話す/貼る】
出力は次の1行のみ。
日付 / 同時に走らせた本数 / そのうち使えた本数 /
私が最初に手をつけたのはどれか / 止まった理由(あれば一言)
例)8/14 / 5本 / 4本 / 打合せメモ / 想定問答は素材不足で戻りが薄い
同じ形式で30日並べたとき、私が自分で読み取れるように、
余計な語を足さないでください。この1行を1か月ためると、自分がどの曜日に何本走らせているかが見えてきます。数字を眺めていると、走らせられなかった日には決まって理由があることも分かります。素材がそろっていない、切り口を決めていない、そもそも関所に立つ時間を取っていない。どれも直せることでした。
まとめ
AIを1台ずつ順番に使っていた頃、私は自分が働いていると思っていました。実際は、自分の前に列をつくって、その列を自分の速度でさばいていただけです。
区間を割って同時に着工するようになってから、変わったのは仕事の量ではなく、私の立ち位置でした。列の先頭に立って処理する人から、戻ってきたものを見比べて決める人へ。決めるのは相変わらず私ですが、決めるための材料が、私を待たずに集まってくるようになりました。
必要なのは3つだけです。互いを待っていない仕事を見分けること。同じ素材から別の切り口で発注すること。合流点に関所をひとつ置いて、そこには自分が立つこと。新しい道具を買う必要も、社内の仕組みを組み替える必要もありません。今日使っているAIのまま、頼み方の順番を変えるだけです。
ひとつだけ補足すると、これは社員を増やす話とも違います。増えるのは人ではなく着工口です。むしろ、社長がひとりで抱えていた材料集めが外に出るので、社員から見て「社長が今どこで詰まっているか」が見えるようになる。うちでも設計事務所でも、副産物としてはそちらのほうが大きかった気がします。

まずは2本から。今日の午後、互いに関係のない仕事をふたつ選んで、同時に着工してみてください。手が空いた時間が少し怖く感じたら、それが変わりはじめた合図です。
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鈴木章裕
株式会社コミクス 代表取締役