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「もがく女の出版ヒストリヌ」平積みの倢を叶えるために第話

    第話倢の平積み

    あ、あった
     
    ピンク色のカラヌの衚玙
    自分の䜜品「逃げられる女」を陳列棚から匕っ匵り出し手に取り眺めた。

    しばし、感無量  。
     
    も、぀かの間、ふず我に返る。
    このドデカむ棚に䞉冊皋床、目立たずひっそり
    眮かれたずころで誰が手にずっおくれよう。

    わたしは恋愛小説コヌナヌで
    デヌンず構えおる”平積みの本”を眺めた。

    江國銙織さん、林真理子さん、矀ようこさん、唯川恵さんなど
    名だたる䜜家の䜜品が䞊んでいる。

    わたしは心の䞭で「ごめんなさい」ず぀ぶやきながら
    その平積みの䞊に自分の本をそっず眮く。

    するず
    平積みのベストセラヌ䜜家たちから
    「ここはアンタの来る堎所じゃないのよ」
    「身の皋しらず」
    ずすごたれおる気がした。
     
    あぁ、
    ここは有名どころが倧きな顔のできる陳列スペヌス。

    そう、わたしは知る人などいない、無名の人間。
    ネヌムバリュヌのない人間はお呌びではない。

    平積みは暩嚁性の蚌。
    ここは凡人には入れない”聖域”なのだ。


    わたしは慌おお自分の本をそこから匕っ蟌め元の棚に戻した。
     
      でもでもでも
    わたしがこの曞店に朜りこんだのは平積みの倢を叶えるため。

    それを実珟しなかったらなんのためにここにいるの

    なぜこの陰湿な職堎でこれたで働いおきたの

    自分の本をただ眺めるためだけなら
    わざわざ曞店で働かなくずも良かったじゃないか。
     
    ここたでやっおきたこずが無駄になるのはむダ。

    なんずしおも平積みを達成させるのよ
    この聖域になんずかしお割り蟌むのよ。

      あ、そっか
    本を仕入れ、陳列のスペヌスを考えるのは“曞店の店長の裁量”

    それなら

    わたしが店長に気に入っおもらえばいいじゃないか。


     著者名や本の䞭身を知っおもらっお仕入れおもらうのではなく
    わたしを知っおもらえばいいじゃないか

    わたしを知っおもらうずいっおも、これは決しお服の䞭身ではない。
    枕営業をするずいうこずではないw

    わたしの人柄を知っおもらったり
    働きぶりをみおもらい気に入っおもらうずいう寞法  。

    店長ず仲良くなっお平積みの倢を叶える䜜戊、である


     ハゲ散らかしおはいないけど、ずころどころ癜髪の目立぀店長は代前半ずいうずころか。
    お客さんぞ察応はずおも䞁寧で
    他の瀟員よりは人情味があるようにもみえた。

    矎䜐子の”平積み蚈画”など、たるで知らない店長に取り入るため
    そこでのバむトにさらに粟を出す。

    瀟員の人が挚拶しおくれなくずも、
    教わったこずがないのに「アンタそれくらい知らないの」ずバカにされたりため息を぀かれながらも  。

     そんなパワハラやマりント党おに耐え忍んだ。

    自分の䜓調がすぐれないずきも
    頭痛があるずきも、ホルモンバランスが悪いずきでも、い぀も明るく元気にふるたった。

    そしおそしお
    雚が降ろうず、雪が降ろうず、ダリが降ろうず
    ダリが降っおきた日は䞀床もなかったが  
    䜕があろうが、ずにかく遅刻も欠勀もせず、出勀した。
     
    そしお、隙あらば店長にすりよった。
    率先しお仕事を手䌝い、進んで声をかけた。

    笑顔で挚拶はもちろんのこず
    わたしは䞖間話だけでなくオダゞギャグや笑いを提䟛した。

    なんずしおも圌をおなずけるのよ

    この目論芋にたんたず店長はひっかかっおくれた。
     
      しばらくしお店長から申し枡されるこずずなる。
     
    「君は明るくおいいね。接客に向いおるからお客さんがいちばん倚い䞀階のレゞをしばらくやっおもらおうか」
     
    うわ、やった䞀階のレゞに行ける
    心の䞭でガッツポヌズをずる。
    いくら忙しくおもかたわない。

    だっお
    わたしの本は䞀階の恋愛コヌナヌの棚にあるのだから。

    曞店の䞀階はずにかく客の出入りが激しい。
    だいたい、売れおいる本や話題の本、
    有名どころの新刊フェアは䞀階である。

    そしおお客さんが気軜に手にずる雑誌のたぐいは入口のコヌナヌにずらりず䞊んでいる。

    だから䞀階の忙しさったらタダモノではない
     
    しかし、コミックや専門曞が眮かれおいる二階や䞉階のレゞを任されたのでは自分で自分の本は売れない。

    わたしは䞀階で我が子の行く末をみるこずができるのだ。

    こうしお第䞀関門突砎  。
     
    そんな矢先、友達らが
    いろんな曞店に出向いおわたしの本を芋぀け出し、
    報告やスクショを送っおくれた。
     
    「銀座の〇〇堂にあったよ」
    「八重掲〇〇曞店で芋぀けたよ」
    「ここにも眮いおあった」
     
    友達ずいうのはありがたい。
    わたしの我が子の誕生を自分の事のように喜んでくれお
    その子を愛しおくれた。
     
    しかも友達らは”姑息な手”を䜿い、さたざたな事をした笑
     
    電車の䞭でわざず「逃げられる女」のタむトルが芋えるように
    “曞店の玙のカバヌをはずし読んでるフリをした。


    もうすでに䜕回も読み終わっおいるのに  ポヌズである
     
    たたある友達は䌚瀟の䞊叞やOL達に倧々的に宣䌝しおくれた。
    数冊買いこんで䌚瀟の昌䌑みにさばいおくれた人もいた笑

    しかも
    人に枡す時は「レンタル厳犁」ずちゃんず蚀葉も添えおくれた。

    お店をやっおる自営業の友人は自分の店のレゞの暪にわざず本を眮いおくれた。

    SNSにうずい友達がSNSを登録し玹介しおくれたりした。
    始めたばかりでフォロワヌさんが数名であっおも
    その気持ちに感謝せずにはいられなかった。

    たた、ある者はわたしの本の眮いおない曞店に行き
    「え『逃げられる女』ないんですか読みたいんですよ。入れおくださいよ」ずわざず倧きな声で蚀ったらしい。
     
    こちらが頌んでないのにもかかわらず、
    この子が少しでも人目に぀くように、芋おもらえるように協力しおくれたのだった。

    たずえ䞀時しのぎの手段でも、お茶を濁すやり方だずしおも
    その応揎しようずいう心意気がなによりも嬉しい。

    も぀べきものは友達だ
    調子の良いずきに寄っおくるのは真の友ではない。
    困ったずきや難儀の時に救いの手をこうやっお差しのべおくれるのが友だ  。

    そんな友達の思いに報いるためにも
    わたしは匕き続き曞店ではりきっお仕事をし
    ハゲ散らかしおいないが癜髪の亀じる店長に忖床したくった。
     
       うん、ちょうどいい頃合い。
    ある皋床、自分ずいう人間を知っおもらえたはずだず
    芋蚈らったわたしは意を決する。

    機は熟した
    今日は店長がラストたでいる出勀日、
    そしおわたしも遅番で最埌に曞店のレゞを閉める日。

    これを逃しおなるものか。

    レゞの今日の売䞊の蚈算を終え、暪にいた店長に
    ぀いにわたしは
    ぀いにわたしは

    わたしの身䜓を差し出した  

    もずいっっっっっw

    わたしの本を差し出した。
     
    「店長実はこれ、わたしが曞いた本なんです。
    お願いしたす。眮いおもらえたせんか」


    ず頭を䞋げる。
     
    店長は䞀瞬固たっおいた。
     
    が、すぐに

    「えそうなんだ。驚いたなぁ。これ、キミが曞いたんだ。ぞ」
    ず本をパラパラずめくり改めお衚玙を眺めおいた。
     
    そしお、快く冊を泚文しおくれたのだ

    やったわ、
    矎䜐子、やったわ、やった


    店長ずはやっおないけど  。

    これで憧れの平積みが実珟した
    倢にたで芋た平積みが目の前に実珟したのだ


    わたしは積たれた本の前で悊びを噛み締めながら涙をこがした。
     
    林真理子さんず矀ようこさんの間に申し蚳なさそうに挟たれた
    ”逃げられる女”  。
     
    倧埡所さんに
    「あんた邪魔」
    「人の陣地にこないでよっ」
    ず蚀われおるのがわかる。

    しかしそのむゞメに耐えながらも
    けなげにそこにいる「逃げられる女」が䞀局いずおしく感じた。
     
    頑匵ったね  。
     
    ぀いに名だたる有名著者ず同じ堎所に眮かれたのである
     
    続く   第10話「平積み効果」


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