メインコンテンツへスキップ
見出し画像
Photo bykeiko0131

眉間をひらいて書きたい

    スーパーマーケットでおそろしい顔を見てしまった。

    考えごとをしながら買い物していて「どうしようかなあ」とでも呟こうとしたときだったと思う。チーズ売り場の鏡に、眉間にしわを寄せた、それはそれは不機嫌そうな顔をした私が映っていたのだ。

    ひえええ、こっわ。世のほとんどの人に逃げられそうな形相である。

    そのときの私は、やっかいごとに対処しなくてはならない状況だった。「ああ、もうなんで私が」「誰も言うこと聞いてくれへんやん」「疲れた」、胸のうちには愚痴ばかりが渦を巻いていた。

    不満がさらなる不満を呼び、なにもかも気に入らないような心境で、思わず眉間に深いたてじわが刻まれていたらしい。ちょっと棘とげのあることまで言いたい気分だった。

    頻繁にではないけれど、文章を書いているときにも棘を含ませたくなることがある。目に余る言動の人をチクリと刺すひと言、嫌いなあの人をこっそり揶揄するひと言、マナー違反を遠回しに非難するひと言。そんな言葉の群れをひそませたいと思ってしまう。

    たいていそういうときは疲れていたり行きづまっていたりして、本来は自分に向けなければならないものを違う方向へ放とうとしていることに気づく。あわてて棘のある枝を引っこ抜くと、文章も落ち着いていくのを感じる。

    眉間にしわを寄せた私に話しかけようとする人はたぶんとても勇気が要るだろうし、棘たっぷりの文章を読んで気分のいい人も少ないだろう。「きれいな薔薇ばらには棘がある」なんて言うけれど、薔薇じゃない私には棘はどうにも使いこなせない。

    生活していると心がやさぐれることも、イライラすることもある。でも、書くときは眉間を開いていよう、と思っている。

     
     
     
    ライター、9歳双子の母。小さな幸せを大切にする、40代関西人。連続更新1300日超。|育児日記|思い出話|読書記録|ひとり井戸端会議|モノとわたし|自省のひと言| ご連絡は「クリエイターへのお問い合わせ」、またはDMにお願いいたします。

    あなたへのおすすめ