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【短線小説】 眪深いおずなこども

    「なあ、聞いおるのかよ。」
    ベッドの䞊に転がされた受話噚の向こうから甘えた声が埮かに聞こえおくる。
    かれこれ䞀時間。
    優垌のどうでもいいような恋愛話を聞かされ続けた私は受話噚を持぀のも煩わしく、䞀人で勝手に話し続けさせおいた。
    それでも䞀方的に話し続けおいる優垌には党くバレおいない。
    時折挟たれる同意の問いかけに適圓に答えおいればそれでよかった。

    「聞いおるよ。どうしようもないじゃん。圌女、仕事で倧阪なんでしょう遠距離か別れるかしかないじゃん。」
    「そんな簡単に蚀うなよ〜。友達だろ芪身になっおくれよ〜」

    優垌はバむト先の先茩だった。
    最初は軜くお銎れ銎れしい圌にちょっず距離を眮いおいたが、䜕かず䞖話を焌いおきおは私にちょっかいを出しおくる。
    それに加え空気を読たない自分䞭心なずころもあるため、そういった行為が呚りに誀解を生むこずも気が぀かない。
    先日も、バむト前に圌氏ず近くの公園で話をしおいるず優垌がやっおきお「おい行くぞ 」ず私の手を匕いお連れお行こうずした。
    「誰だ、お前」
    圌が声をかけるず優垌が
    「俺の圌女だ離れろ」ず圌に蚀った。
    「はあどういうこずだよ」
    ず圌氏が私に聞くので
    「違うわよ。䜕蚀っおるのよ。この人はバむト先の人だよ。」
    ず蚀い、優垌には「この人は私の圌氏です。」ず蚀った。
    案の定、優垌の早ずちりで、私がナンパでもされおいるず思ったらしい。
    「そうか もうすぐバむトだろ遅れるなよ」
    そう蚀っお去っおいった。
    おかげでしばらくの間圌氏の機嫌が悪く、䜙蚈な勘違いをした優垌を恚めしく思っおいた。

    そんなある日、バむト先からだず母が私に電話を取り次いだ。
    優垌だった。
    明日のシフト倉曎を知らせるだけだった。
    それならLINEで枈むじゃないか。
    そう思ったが、優垌にはちょっず叀颚な事柄に惹かれる倉なずころがあったので、昭和の頃のヌ家の電話にかけるヌず蚀うこずをしおみたかったらしい。
    そしおその魅力にたんたずハマった。
    それ以来毎晩のように優垌から電話がかかっおきた。

    こんな感じの優垌だったがれっきずした圌女がいた。
    同じフロアの別の店で働く女性だった。
    私は毎晩かかっおくる優垌のどうでもいいような恋愛話に付き合っおいくうちに二人の銎れ初めなどもい぀の間にか知識ずしお蓄積されおいた。
    元々、盞手からの告癜だったらしい。
    優垌自身は圌女のこずをその時初めお知ったくらいだったが、元来叀颚な優垌のこずなのでヌ女子が勇気を出しお告癜しおくれたのに付き合うか吊かなど答えはすでに出おいるヌず二぀返事で付き合ったらしい。
    䞇事がそんな感じなので、初めおの時もわざわざ優垌が二人で旅行ぞ行く蚈画を立おお、やっず結ばれたらしい。
    そんなこずたで躊躇せず私に話しおくる優垌に半ば呆れおいた。

    そんなある日だった。
    「圌女が倧阪の店舗に転勀になるんだ。」
    受話噚の向こうから沈んだ声が響いた。
    「そうなんだ 。」
    私は二人のこずは盎接は知らないからアドバむスも䜕もできるこずはない。
    「やっぱり無理だよな。俺にはどうするこずもできないし。」
    意倖な答えに面くらった。
    叀颚な優垌なら倚分、
    「なんずかなるよ。俺たちの愛なら遠距離だっおなんおこずはない」
    くらいのこずを蚀うだろうず思っおいたからだ。
    「そうか それなら仕方ないじゃん。」
    そう蚀う私に
    「軜く蚀うなよ〜。俺だっお苊しいんだよ。簡単に決めるなよ〜」
    ヌどうするこずもできないっお蚀ったのはそっちじゃん
    ず心の䞭で舌打ちした。
    それからしばらくの間、優垌のどっち぀かずの話を毎晩聞かされ続けた。
    そしお぀いに圌女が倧阪ぞ旅立぀日がやっおきた。

    気にはしおいないず思っおいながらヌ新幹線の時間をさりげなく聞かされおいたヌ私はさっきから時蚈をチラチラ芋おいる。

    その倜、優垌から電話がかかっおきた。
    「圌女ずは別れた。」
    どうやらホヌムで別れを切り出したようだ。
    しかし、ホヌムで圌女が泣きだしおしたい倧倉なこずになったらしい。
    それでも発車時間になるず圌女を新幹線に乗せるず、そのたた家に垰ったらしい。

    それからしばらくの間、優垌からの電話がパタっず来なくなった。
    鬱陶しいずはいえ、毎晩かかっお来おいたものがなくなるず少し寂しい。
    優垌はバむトも䌑んでいたのでどうしおいるのかもわからない。

    連絡が途絶えお䞀週間経った倜、優垌から電話が来た。
    倧阪に行っおいたず聞いた。
    「圌女から倧阪にすぐ来おほしいっお電話がかかっおきお行っお来たんだ。」
    「離れられないから遠距離で頑匵りたいっお。俺、無理だっお蚀ったんだ。でも承知しないず離れないっお。圌女、䌚瀟たで䌑んで俺のそばから離れないんだ。寝おいる間に出おくるこずもできたんだけど、埌で䜕かあったらず思うず出られなかった。」
    䜕日か粘った末に根負けしお、仕方なしに了承しお来たず蚀うこずだった。
    話を聞くうちに私もだんだんバカらしくなっお来た。
    こんなアホな恋愛話でも少しは気になる。
    どうでもいいず思っおいたはずなのに、時蚈を芋るくらいには気にしおいた。
    その結果がこれかず思うず、急に銬鹿銬鹿しくなった。
    「圌女ずペリを戻したんだったら今床こそしっかり離しちゃダメ私ずの電話は今倜で終わり。圌女に尜くしおあげなよ。」
    するず圌は
    「なんでだよそれずこれずは別だろなあ、たた電話しおくれるだろ䞀週間連絡しなかったから拗ねおるのかよ。」
    ヌ呆れた。そんなこずじゃない。どうしお圌女ず電話しおあげないのだろう
    私なんかず話すより圌女を倧切にしおあげればいい。
    「俺、お前じゃなきゃダメなんだよ〜。」
    「どういう意味よ。それは圌女に蚀うセリフでしょ」
    「お前ず話しおるず安心するんだよ。」
    「圌女は圌女。お前はお前なんだよ〜」
    わけがわからない。
    ヌもう電話はしないでヌ
    ヌどうしおだよヌ
    そんな抌し問答が続き、私も根負けしお電話の関係は続行するこずになった。
    しかし、やはりずいうか案の定ずいうか二人の遠距離恋愛は䞀週間もしないうちに再び砎局した。

    ケロッずしおいる優垌をみお、初めからやり盎す気などなかったのだず思った。
    それから数日経ったある日、優垌から今たで盞談に乗っおくれたお瀌がしたいず誘いがあった。
    どこかでご飯でも食べるのかず思ったが、意倖なこずに葉山ぞドラむブがおら䜕か食べようずいうこずになった。
    圌氏のこずが頭をよぎったが、昌間だし倧䞈倫だろう。
    それに私も盞談された分の回収をしなくおはず、誘いをOKした。

    圓日はあいにくの雚だった。
    折角の葉山だ。
    爜やかな倏の海を期埅したのに、着いたのは雚に煙る誰もいない海だった。
    昌間だからず誘いに乗ったが、今は倜なんじゃないかず思うくらい浜蟺は暗かった。
    車内には降りしきる雚の音だけが響いおいる。
    気たずくなりカヌステレオのスむッチを入れようずした指を優垌の手が止めた。

    觊れ合う指先がやけに熱く感じた。
    私は手を匕っ蟌めるこずもできず、スむッチに觊れたたた動かせない。
    重なる優垌の指がだんだん私の指に絡たっおくる。
    優垌の指が私の腕に䌞びそしお肩を掎んだ。
    気が぀くず優垌が私に芆い被さっおいる。
    ヌ䜕どうしたんだろうなんでこんなこずに
    理解が远い぀かず固たっおいるずリクラむニングシヌトが倒されおいった。
    暗い海がだんだん斜めになり芖界から消えおいく。
    「慰めおくれよ」
    朮隒ず吐息に混じっお確かに聞こえた。
    私は我に返り、優垌を抌しのけお車倖に出た。
    途端にずぶ濡れになるが構わず走った。
    優垌が慌おお远いかけおこようずするが、タむダが砂にずられお思うように進たない。
    私はその隙に砂浜を抜け芋぀からないように囜道を避け、地図アプリを頌りに道を進んだ。
    ここからなら逗子が近かったが倧きな駅ではもしかしたら優垌が埅ち䌏せおいるのではず思い、京急線沿いの小さな駅に向かった。
    そこで私は圌氏に電話をかけた。
    「すぐに行くから埅っおろ」
    電話を切っお䞀時間もしないうちに圌はやっお来た。
    意倖に泣いおもいない私に安心したのか圌は䜕も聞かなかった。
    そうしおくれおいる圌に、私も安心しおいた。

    翌日、私はバむトを蟞めた。
    その倜、優垌から電話がかかっおきた。
    私は芚悟を決めお電話に出た。
    「昚日はごめん。俺、どうかしおたんだ。やっぱり寂しかったんだ。急にお前が愛おしくなっおあんなこずしちゃっお 。」
    「なあ、バむトやめたんだっお俺ずはその 今たで通り電話しおくれるよな」
    「 もう電話はしないで。私、あなたのママじゃないの。甘えられおも困るわ。」
    「それに 盞談はやたら誰にでもしないほうがいいわ。」
    優垌は電話口で䜕も蚀わなかった。
    私は電話を切った。

    それから二幎が過ぎた。
    私は圌氏ず婚玄しおいた。
    匏たで半幎に迫ったある日、私は匏の打ち合わせで䌚堎であるホテルの匏堎に来おいた。
    日曜日ずあっお䜕組かのカップルが匏を挙げおいる。
    私は埮笑たしく匏の様子を眺めおいた。

    するず、あるカップルの匏で足を止めた。
    ヌあの新郎、どこかで芋たような 。思い出した
    あの時のバむト先の店長だった。
    私は無意識に参列者を目で远う。
    いた 優垌だ。
    チャペルの䞀番埌ろで匏を芋守っおいるが、隣にいる女性の手をしっかり握っお離さない。
    ヌ盞倉わらずなんだわ。あれじゃどっちがカップルだかわからないわね。
    呆れおその堎を立ち去ろうずした時、䞍意に優垌が振り向いた。

    優垌は気づいたが私は気づかないふりで歩みを止めない。

    優垌は無邪気な顔で、握り合った手を私に振っおみせた。

     
     

    shosuke

     
     
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