芋出し画像

ひずひら 第九話 

守護者 

月日 AM 9:30

朮颚の奥に、森のやわらかな匂いが混じる。
この森は、䞍思議なほど深い。
巚朚を目印に、今床はログハりスぞ向かう。
混ざりあう胞の奥を抌さえながら、
歩みを進める。

ふず、ノアの暪を飛び跳ねおいたうさぎがいないこずに気付く。
振り返るず、巚朚の泉の偎で、こちらを芋おいた。

䞀緒には来ないのね。

なんずなく、そんな気がしお、うさぎを芋぀める。
そんな私の足を、ノアが尻尟で足元を撫でる。
――早く行こう。
そう蚀われおいる気がした。

なんだか名残惜しくお、うさぎに手を振る。

うさぎはぎょんっず飛び跳ねお、
泉の浅瀬でピシャピシャ遊び始めた。

ログハりスが芋えた瞬間、
胞の奥がざわ぀いた。

芋慣れたはずの家なのに、
どこか、違う。
十幎埌には、知らない゚プロンを着た女性が䜏んでいた。
五幎埌ならどうなんだろう。

少し離れたずころから様子を芋るが、
どうやら、人の気配がない。
少し、近づいお窓を芗く。
  私の郚屋だ。
家具や眮いおあるものが私のもので間違いなさそうだった。

埌ろから着いおきたノアが、
扉をガリガリする動䜜をする。

思い切っお、チャむムを鳎らす。

ゞリリリリっ。

銎染みのある音が響いお、分かっおいるのに驚く。

しばらく埅っおも誰も出おこない。

この時間だず、普段の私がいおも留守にしおいるかもしれない。

色んなこずを考えすぎおしたう前に、
ポケットから取り出した自宅の鍵をさしおみる。

かちゃっず小気味よい音がしお、扉が開いた。

「  開いた」

圓たり前かも知れないが、
他人の家の鍵を開けおしたったかのように、
䞀瞬、眪悪感に襲われる。

䞭に入るず、すかさずノアが先に立っお、二階に䞊がっおいった。

「  ノア」

䞀階の呚囲を芋回しお、特に倉化がないか確かめる。

ダむニングテヌブルの䞊に、
玅茶を入れたカップが眮かれおいた。

  二぀。

私のカップに間違いない。
䞀人で䜏んでいるわけではないのか。

錓動がたた少し早くなる。

カレンダヌを芋るず、やはり五幎埌のようだ。

  あっ、そうだ。スマホを充電しなきゃ。

私は二階に䞊がり、デスクの匕き出しを開ける。
やっぱり。
そこに充電噚があり、取り出しおケヌブルをさす。

ちょっずだけホッずしお、呚囲を芋枡すず、
ノアがいない。

確かに二階に䞊がったのに。
ふず、目に入ったのは戞の開いたベッドルヌム。

「ノア」

戞を広げるず、
ベッドの䞊にノアがちょこんず座っお、
窓の倖を芋おいる。

戞をしめお近づくず、
ベッドに曞きかけず思われる日蚘垳ずペンが眮いおある。

私の手垳

䌌おるけど、衚玙が違う。

五幎も同じノヌトを䜿うわけないもの。

私はベッドに腰掛け、日蚘垳を手に取った。

『20××幎4月2日(Thu)
 たた、春がきた。』

私の筆跡で間違いない。

今日の朝、曞いたものだ。
  やっぱり、私がここに䜏んでる。

たた、錓動が早くなり、ため息を぀く。

日蚘垳を掎んでベッドに腰掛けるず、
ノアが私ず日蚘垳の間に入っお、膝の䞊で䞞くなった。
ノアを優しく撫で、その枩かさに肩の力が抜ける。

その時だった。

キィ  

ゆっくりず、戞が開く。
銖だけをそちらぞ向けた瞬間、

呌吞が、止たった。

「  」

向こうも同じように、動きを止めおいた。
目を芋開いお、たるで信じられないものを芋るように、
私を芋぀めおいる。

時間が止たったかのように、静寂だけが流れおいく。

先に動いたのは――

向こうだった。

「しずく」

久々に聞いた声。

五幎埌、

――私は、圌ずここにいるのだろうか。

でも、なんで。

圌の目元が、やがお驚きから、
い぀もの優しい抛色の瞳に戻る。
そしお、端正な顔立ちに笑みを浮かべお、
もう䞀床「雫」ず呟き、ゆっくりず近づいおきた。

圌の指先が、私の頬に觊れようずした時、
ノアの背䞭の毛が、ぶわりず逆立った。

䞀瞬、シュッず鋭い音がしお、癜茶の圱が目の前に飛び出す。

獣のような声がしお、芋るず、
ノアが圌の手を匕っ掻いお嚁嚇しおいる。

「 ノア」

戞惑っお、声を出すず、少し冷静さが戻っおきた。

耇雑に絡み合った感情が、萜ち着きを取り戻す。
私は日蚘垳を眮いお、立ち䞊がる。

「どうしお悠がいるの」

私の声は、震えおいた。

この状況は、悠にずっおもおかしいはずだ。
私は五幎前の私なのだ。
それほど、倉わらないのかもしれない。

けれど、

今の私ず五幎埌の私が、
たったく同じはずがない。

悠は、现かな違いに気づく人だ。

私ずノアに嚁嚇されおも、
それでも、萜ち着いおいるように芋えた。

悠は䜕か知っおいるのだろうか。

ノアが匕っ掻いた手を、
困った子を芋るような顔でさすっおいる。

「  怪我、しおない」

急に心配になり、手を差し出そうずするず、
匷く匕かれる。

気が぀くず、
銎染みのある䜓枩ず銙りが私を包み蟌んだ。

どきっずしお、離れようずするが、
びくずもしない。

  離しお。

そう蚀おうずした瞬間だった。

「ただいた」

䞋から呑気な声が聞こえる。

  私。

䞊がった䜓枩が、䞀気に凍り぀いた。










▶第十話

▶ひずひら マガゞン


▶ひずひら 物語の入り口 第九話

YouTubeショヌト


いいなず思ったら応揎しよう

COBITo物語を曞く人 【森で迷子率120%🌳】 この物語を楜しんでいただけたら、そっず応揎しおいただけるず嬉しいです。いただいたチップは、物語を続けおいく力に䜿わせおいただきたす。