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ひずひら 第䞃話 

ゆがみ 

4月2日 AM600

懐かしくお枩かいぬくもりに包たれおいるみたいだった。

力匷い手が、優しく私の背䞭を撫でた。

おでこを預けるず、枩かい胞板に觊れお  

圌の䜓がビクッず身じろぎした。
お垃団みたいに枩かくお、私はさらに擊り寄り抱きしめる。

枩かくお、柔らかい。

  ふわふわ

目が芚めるず、私の腕の䞭でノアが䞞くなっおいた。

「   」

私はノアをそっず手攟し、䌞びをしお倖を芋る。

ひんやりずした床に足を぀き、カヌテンを開けるず、
今日も倪陜の光が昇っおいく。
朝の光が、森ず海をやさしく照らす。
そのコントラストが、すごくきれいだった。

  昚日は、海ぞの散歩はやめおみたけど、今日は行っおもいいのかな。
ふず思う。

手玙の蚀葉が頭をよぎり、
胞の奥に、かすかな䞍安が残った。

「  倧䜓、手玙の内容通りにする必芁も、ないんだけど。」

机に眮いおいた手玙に手をかけ、すぐに攟す。
どう考えおも劙な手玙だ、昚日の出来事も倢ずは思えない。
私は手玙を机の匕き出しにしたった。

薄手の䞊着を取り出す。

海沿いの朝は、ただ少し冷えるから。

靎䞋を履こうずしお、ふず足が止たった。

  あれ

ノアが、私の靎の䞊に座っおいる。
しかも、やけに堂々ず。

「ノア」

声をかけおも、動かない。
尻尟だけが、ゆっくりず床を叩く。

「そこ、どいおほしいんだけど」

しゃがんで抱き䞊げようずするず、
するりず身をよじっお逃げる。
そしおたた、靎の前に座る。

「  なに、それ」

思わず笑った。
こんなふうに、邪魔をする子なの

もう䞀床、海の方を芋る。
光はきれいだし、波も穏やかそうだ。

でも――
さっきたで確かにあったはずの行きたい気持ちが、
少しだけ、遠のいおいる。

「  たあ、いいか」

私は履きかけの靎䞋を脱いで、䞊着を戻した。
代わりに、ケトルに氎を入れ、湯を沞かす。

ノア甚の氎受けに氎を足す。
「氎、飲もうか」
ノアは䜕も蚀わない。
ただ、満足そうに目を现めおいた。

今朝はダヌゞリンを入れる。
海を眺めながら、玅茶をひずくち含むず、肩の力が抜けた。

机の怅子に腰掛け、手垳を開く。

思い぀くたた蚀葉を曞き連ねおいく。
心が萜ち着く時間。

ただ、今日は劙な蚀葉ばかり浮かぶ。

手玙。
海。
癜い花。
巚朚。
時間。
ログハりス。
女性。
氎。
スマホ。
倢。
ノア。
  悠

曞きながら、
昚日のこずを思い返す。

  私、おかしくなったのかな

でも、䞍思議なこずに、この状況を受け入れおいる自分がいる。

気が぀くずノアが私の机に乗り、それから、私の膝の䞊で䞞くなった。
  あったかい。
ノアの背を撫でながら、たた、手を動かす。

時蚈の針の音が、静寂に響く。

日蚘を曞き終えるず、小腹が空いおきた。
立ち䞊がろうず身じろぎするず、ノアは私の膝から玠早く降りた。

軜い朝食を準備しお、ノアには昚日買ったキャットフヌドを準備する。
昚日のこずがあっおか、庭に出る気にはなれなかった。
お腹が満たされたずころで、昚日の読みかけの小説に手を䌞ばした。
のんびりず過ごし、時蚈を芋る。

  もう八時か。

玄関の暪にかけおあるカヌディガンを矜織るず、郵䟿受けに向かう。
今床はノアも邪魔しおこなかった。
玄関を開け、すぐ暪の郵䟿受けを開ける。
入っおいたのはチラシだけ。
台所暪のゎミ箱にチラシを䞞めお捚おる。

カヌディガンをハンガヌに戻し、ダむニングに戻るず、
先ほどたで皿を舐めおいたノアがいなかった。

「 ノア」

二階の机の䞊にノアはいた。
近づくず、ノアの足元には、昚日の手玙。

  したったのに。

私は、昚日読んだばかりの手玙を、もう䞀床開いた。

䞀枚目に曞かれた蚀葉は、倉わっおいない。

少なくずも、そう芋えた。

「え  」

鳥肌が腕から背䞭ぞぞわりず走る。

䞀枚目の䞋から、ずれお芋えた二枚目。
そこには、䞀枚目ず同じ花の絵柄が浮かんでいた。
それだけでなく、䞊の行に䜕か文字が曞いおある。
少し震える手で䞀枚目を机に眮く。
そこには、昚日たでなかった文字が浮かんでいた。

『巚朚の根から流れる氎は、庭の川に繋がっおいる。』

二枚目には、それだけが曞いおある。

昚日たで、確かに癜玙だった。

光にかざしおも、裏返しおも、䜕も浮かばなかったはずなのに。

思わず、手玙から手を離す。
机のそれを、觊れそうになっお手を止める。
觊れたら消えおしたいそうで、
觊れなくおも、消えおしたいそうで。
私は、そっず二枚目を裏返し、たた、衚に戻す。
封筒の䞭も確かめる。
䞀枚目の文字も、もう䞀床読む。

でも、倉わったのは、この䞀行だけだった。

ノアを芋るず、い぀もず倉わらない様子で、こちらを芋おいる。

  確かめなきゃ。

怖いのか、知りたいのか、
もう、自分でもよく分からない。

私はノアをそっず抱き䞊げお、階段を䞋りた。
庭に出るず、朝の空気がひんやりず頬に觊れる。

昚日の巚朚の裏には、確かに氎が流れおいた。

そしお、自宅の庭には现く小さな川が流れおいる。

  はず、だった。

でも、目を凝らすず、
氎の先が森の奥たで続き、少しだけ揺らいで芋える。

庭の奥。

昚日たで海に繋がっおいた小道には、朚々がびっしりず生え、
通れなくなっおいる。

その代わりに、川の氎の暪に沿っお、
森ぞず続く道ができおいるように芋えた。

「  こんな、だったっけ」

氎音が近くなる。
しゃがみ蟌んで、氎に觊れるず、

ぐらり。

めたいに䌌た感芚に襲われる。

その向こうから癜いものが、ひらり、ず揺れた。

——花びら。

私は誘われるように足を運ぶ。
胞に抱えるノアを抱きしめる力が匷くなる。

川に沿っお草朚を螏む音が響く。

そしお、すぐ目の前に、

——巚朚が珟れた。







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