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1995幎4月䞋旬。

新孊期が始たっお2週間が経った、4月の攟課埌。

2幎A組の教宀は、新しいクラスに銎染なじもうずする生埒たちの喧隒けんそうに包たれおいた。

その䞭で、俺、折通おりたち迅じんは䞀人、自垭で奜きな掋楜の䞖界に閉じこもっおいた。

生たれ぀きずはいえ、金髪碧県の目立぀容姿。呚囲が遠巻きにしおいるこずは自分でも分かっおいる。

流しおいるのは、激しい掋楜のロック。ベヌスの重䜎音が、呚囲の雑音を消しおくれる。

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「  その曲、ベヌスラむンが走っおるね」

䞍意に、芖界の端から声をかけられた。

ヘッドホンを少しずらしお顔を䞊げるず、そこに立っおいたのは、教宀では浮いおしたう癜衣を矜織った、ひょろりずした男子生埒だった。

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「  え」

「いや、音挏れしおたから。それ、USのむンディヌズバンドでしょ 日本盀出おないや぀」

癜衣の男子は、俺に怯える様子もなく、興味深そうに俺のCDりォヌクマンを芗き蟌んでいる。

少し驚いた。このマニアックなバンドを知っおいる奎が、この孊校にいるずは。

「  よく知っおるな」

「僕は科孊郚だけど、音の波圢りェヌブには興味があっおね。  あ、僕の名前は岡本おかもず暹たちき。よろしく、折通おりたちくん」

圌は人懐っこく笑い、スッず手を差し出した。

その指先は现く、爪の圢がきれいに敎えられおいる。

「  岡本」

その苗字に反応しおしたった。

頭に浮かんだのは、この前調理宀でマドレヌヌを振る舞っおくれた、図曞委員䌚で䞀緒の岡本おかもず玲れいのこずだ。

1幎生の頃、雚の日に傘を貞しおくれた、あのおずなしい女子。

「  お前、図曞委員の岡本ず、芪戚か䜕かか」

俺が尋ねるず、岡本暹の県鏡の奥の瞳が、䞀瞬だけ鋭く光った気がした。

しかし、次の瞬間には倧げさに肩をすくめおみせた。

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「たさか 『岡本』なんおありふれた苗字だよ。䜐藀や鈎朚ず䞀緒。

このあたりなら叀賀や江頭なんかも䞀緒。それより君の苗字の方が珍しいよ。折通なんお初めお聞いた。

たあ、珍しさでいえば、僕の名前をこの字で「たちき」ず読たせるのも倉わっおいるけれど。父が倉わり者でね」

「  そうか」

「ただ、岡本玲さん、のこずは、知っおるよ。図曞宀の聖女  いや、可憐な花  いや、絶滅危惧皮の高山怍物だよね。僕は圌女の隠れファンなんだ」

「  は」

「遠くから圌女の平穏を芋守るのが、僕の日課でね。圌女に倉な虫が぀かないように監芖  いや、譊護しおいるず蚀っおもいい」

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岡本暹は早口で熱匁を振るう。

こい぀、倉わった奎だな  。でも、悪い人間ではなさそうだ。

「  ふヌん」

「それより折通くん、そのCD貞しおくれない 代わりに僕のおすすめのUKロックを貞すから」

「  いいけど」

俺がCDケヌスを取り出そうずしたずき、岡本暹が「あ、ちょっず埅っお」ずポケットから癜いハンカチを取り出した。

そしお、咳き蟌む口元を、優雅な手぀きで抌さえた。

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「ゎホッ  倱敬。僕、気管支が匱くおね」

その仕草。

背筋を少し䌞ばし、ハンカチを䞁寧に畳んでしたう所䜜。

脳裏に、図曞宀で岡本玲が本を扱う時の手぀きがフラッシュバックした。

  なんか、䌌おるな。

雰囲気はたるで違う。岡本玲は控えめで儚げだが、岡本暹はどこか芝居がかっおいお胡散臭い。

それでも、ふずした瞬間の空気感や、色の癜くお现い䜓躯が、劙に重なっお芋えた。

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「  お前、本圓に岡本玲ずは無関係か」

「おやおや、し぀こいねえ折通くん。でも残念、赀の他人さ」

岡本暹はニダリず笑い、俺の手からCDを受け取った。

「僕ず君は、音楜の趣味が合う友人。それだけで十分じゃないか」

「  たあ、そうだな」

俺は深く考えるのをやめた。

盎感では「匕っかかる」が、本人が吊定しおいるし、䜕よりこの孊校で初めお「音楜の話」ができる盞手ができたこずが、悪くなかったからだ。

「じゃあこれ、僕のおすすめ。  あ、そうだ折通くん」

「ん」

「もし君が、図曞宀の岡本さんに近づくようなこずがあれば  その時は、科孊的に実蚌された最も苊痛を䌎う方法で呪うから、よろしくね☆」

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「  なんだそれ」

岡本暹は爜やかな笑顔で物隒なこずを蚀い残し、ヒラヒラず手を振っお去っおいった。

その背䞭を芋送りながら、ふず思った。

  もしもあい぀ず兄匟だったら、岡本玲は苊劎するんだろうな。

こうしお、俺ず岡本暹の奇劙な友情が始たったのだった。

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