自己紹介391〜恍惚老人〜
まぁね、たとぇば、
80歳くらいのご老人が、
最後の数年は
病院とか老人ホームに入っていて、
この世のあれこれについて
ほとんどなにも認識できなくなってから
死を迎える。
この現象について、
①この世にいる
②健常者
の立場からは、
痴呆とかボケとか呼ぶわけだが。
たしかに、
認知能力が著しく低下しているのだから
その呼び名じたいが
まちがっているわけではないのだが。
ほんとはね?
亡くなってゆくご老人自身は、
じつはまったく異なる見方をしていて、
この世とは別の世界を
あまりにも明確に認識できるようになってしまったため、
そのぶんだけ、
この世界に対する関心が
大幅に減ってしまっているだけなのだ。
この世の健常者が考える
『ボケ老人』の実態とは、
本人はこの世に対する強い関心を持っているのに、残念ながら物事を正しく認識する能力が失われてしまった、というものだろうが、
じつは、かならずしも、そうではない。
ほんとうは順番が逆で、
この世界に対する関心が失われすぎているゆえに、正しく物事を認知することができなくなっているのだ。
もちろんこれは、死の準備。
生身の肉とともに生きてきた
“物質世界”なる場所に対する
認知能力が失われたぶんだけ、
ほかのなにかを明確に認識しているのだから
それで何の問題もない。
この世の“親しい人たち”の名前を
思い出せなくなったかわりに、
この世はしょせん幻想にすぎないことを
明白に思い出すのだ。
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