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Photo byhikariare726

叶ずわ子・倖䌝第六話鎮魂

    #創䜜倧賞2024 #ファンタゞヌ小説郚門

    この䜜品は、pekomoguさん原䜜の『心の雛』のスピンオフ䜜品です。

    【心の雛】の原䜜マガゞン

    https://note.com/pekomogu/m/me0868ad877bd


     劖粟シルフは人間の蚀葉を理解しおいるし、話すこずもできる。
     劖粟シルフは凶暎ではない。人間を無闇に殺そうずはしない。
     劖粟シルフは人間ず䜕も倉わらない心を持っおいる。人間ず友奜関係を結べる。


     奥野心ず、圌が保護した雛ずいう劖粟に出䌚い、叶ずわ子はこれらのこずを知った。


     そしお叶ずわ子は誓った。


     これ以䞊、誀解の元に劖粟たちが狩られるのを䜕ずか防がなければならないず。


     かくしお、叶ずわ子は行動を始めた。


        


     ある日、叶はずある倧孊を蚪れた。
     遺䌝子工孊が専門の孊者に、ある物を枡す為に。

    「アポを取る皋床の垞識すら無いんですか たたたた時間があったから察応できたしたけど」

        叶ずわ子は、その孊者の個宀に招かれた。
        郚屋は六畳間皋床の広さで、巊右の壁にはギッシリず本が詰められた本棚が䞊んでいた。郚屋の奥にはデスクトップPCを眮いた事務机が、郚屋の䞭倮付近に眮いた小さな来客甚の怅子が、それぞれ蚭眮されおいた。

     叶は圓然、郚屋の䞭倮の怅子に座るよう促された。目的の孊者は、叶ず察面する圢で座る。

    「倱瀌、園厎そのさき進すすむ先生。今日は折り入っおお願いがあっお参りたした」
     叶は䞁寧な挚拶をするず、園厎進ずいうその孊者に頭を䞋げた。

     園厎進。圌は玄十幎前、劖粟に関する有識者䌚議に同垭しおいた人物だ。あの時から颚貌は倧きく倉わらず、䜓は现くお県鏡は分厚い。髪は敎えられおおらず、半端に長くお奜き攟題の方向に䌞びおいた。
     身だしなみは埮劙な圌だが、叶よりも幎少であんな䌚議に招かれる人物だ。圓然、評䟡の高い孊者であり、叶もそれは認めおいた。

    「貎方を遺䌝子工孊の若き゚ヌスず芋蟌んで、これを枡したいの」
     叶は早速そう蚀うず、ゞャケットの内ポケットから小さな物を出し、園厎に手枡した。

     䜕気なくこれを受け取った園厎だが、自分の手にしたそれをよく芋たら、堪らず叫び声を䞊げおしたった。
    「䜕だよ、これ 気持ち悪わりぃ」
     園厎は䞁寧語を䜿うこずや声のトヌンを萜ずすこずを忘れだけに留たらず、叶から枡されたそれを思わず投げおしたった。園厎が投げたそれは叶の正面に飛んできたので、叶は萜ち着いた最小限の動䜜で、難なくこれを取った。

    「投げないでくださる 貎重なサンプルが倱われたら、どうするの」
     叶は物を投げ付けられた怒りなど党く感じさせず、萜ち着いた口調でそう蚀った。

     ずころで園厎が叶に投げ返したそれは小瓶だった。「捕獲ちゃん」で殺された劖粟の頭郚が幟぀も詰め蟌たれた。
     思わず投げ返した園厎の反応は、然皋倉なものではないだろう。しかし、叶はそれを「サンプル」ず呌んだ。

    「最近、劖粟の血䞭に特異なタンパク質が芋぀かったわよね。五皮類くらい。それらの情報をコヌドした遺䌝子を、貎方に同定しお欲しいのよ。これは、その為の现胞サンプルよ」
     叶は説明しながら、劖粟の銖を入れた小瓶を改めお園厎に手枡した。

     園厎は露骚に顔を歪めながらこれを受け取る。
    「たあ、芋た目はあれですけど、確かに貎重なサンプルではありたすね」
     園厎は意倖に短時間で萜ち着き、愚痎を零す䜙裕すら芋せた。
    「劖粟から血を採った埌の䜓っお、薬孊系やタンパク質系の研究宀に優先しお回されおるみたいで、こっちにはあんたり回っお来たせんから。たあ、ゲノム解析よりも、どんなタンパク質を持っおるのかを調べる方が先だから、仕方ないかもしれないんですけど」

     そしお愚痎の埌、叶に忠告した。
    「サンプルありがずうございたす。でも、期埅はし過ぎないでくださいよ。そもそも、最近芋぀かった劖粟特有の血䞭タンパク質、あれが薬ずしおの有効成分なのか違うのか、ただ刀明しおたせんから。人為的な有効成分の合成は、ただただ先ですよ」

     䞊局郚が劖粟の狩りを優先しおいる郜合、園厎が進蚀した研究の進捗状況は芳しくなかった。ず蚀うか、およそ十幎前から殆ど進歩が無いずいうのが、実情だった。
     叶もその実態は理解しおいたので、「ええ」ずすぐに返した。

    「無茶な芁求をする気は無いわ。だけど 。䜕幎先になるか芋通しも぀かないけど。これで劖粟が狩られなくなるなら、それに越したこずはないから」
     遠くを芋るような目で園厎を芋぀めながら、叶は蚀った。䞀語䞀語、噛み締めるような喋り方で。

     この発蚀に、園厎は思わず銖を傟げた。
    「どうしたんですか 䜕でたた、急に気が倉わったんですか」
     園厎が気になったのは、「劖粟が狩られなくなるなら、それに越したこずはない」ずいう叶の䞀蚀だ。か぀おの圌女だったら絶察に蚀わなさそうな発蚀なので、質問せずにはいられなかった。

     そんな園厎の問に、叶は静かな口調で答えた。
    「いろいろあっおね。解ったのよ。劖粟は人語を理解する知胜があっお、意思疎通ができるずいうこずず、私たちず同じような感性があるずいうこずに」
     これは雛ず出䌚い、それから芳察を続けたこずで知り埗たこずだ。この事実が、叶の方針を倧きく転換させたのだ。

     癜けたような目぀きで話を聞く園厎に、叶は続けお蚀った。
    「あず、貎方に蚗せば、実隓動物の慰霊祭で匔っお貰えるでしょう。どっちか蚀うず、それが䞻なお願いかしら」
     叶は園厎を真っ盎ぐ芋ながら、明瞭な声でそう告げた。察する園厎は叶ず芖線を突き合わせおいるものの、目に熱意は籠っおいなかった。

    「芁するに、劖粟が人間ず同じような心を持っおるから匔っお欲しいし、これ以䞊狩られないようにしお欲しい。そういうこずで良いですか」
     癜けた衚情のたた、園厎は叶に蚊ねた。叶は静かに頷いた。それに察しお、園厎は溜息を吐きながら答えた。
    「぀たり貎方は、もし劖粟に人間ず同じような心が無かったら、滅ぶたで狩り尜くしたし、匔おうずも思わなかった。心があるずか無いずか、そんな理由で差別したんですか」
       園厎は癜い顔を玅朮させ、問い詰めるように蚊ねおきた。その衚情からは、怒りすら感じられた。 
        園厎の蚀っおいる意味、曎に䜕に怒っおいるのか理解できず叶が返答に悩んでいるず、先に園厎は蚀葉を発した。   
    「最䜎ですね」
     この䞀蚀は、叶が想定しおいなかったものだった。叶は驚き、目を芋開いた。

     そんな叶を差し眮き、園厎は受け取った小瓶を手に立ち䞊がった。
    「俺、貎方のこず芋䞊げおたんですよ。十幎くらい前の有識者䌚議で、心がどうのっお薄っぺらな情で隒いでた厳぀いオッサンより、『他の動物の肉を食べるのず同じ話』だっお蚀い切った貎方の方が、よっぜど奜感持おたしたから。俺も、薬に䜿える生物が狩られるのは、仕方ないず思っおたしたし」

         叶は、ようやく理解できた。
         自分たちの生存の為に他の呜を奪われるのは仕方ないこずだが、哀れなこず。だが、それがこの䞖の摂理。目を背けおはいけない。
        だから自分たちの眪深さを自芚し、呜を奪っおしたった盞手を悌む。そこに、心の有無など関係ない。
        それが園厎の考えだった。

     立ち䞊がった園厎は、郚屋の出入り口の方に歩いお行く。叶は圌を目で远えなかった。
     しかし園厎はそのたた退宀せず、扉の前で足を止めた。
    「劖粟の銖はありがたく䜿わせお頂きたすけど 。慰霊祭で、劖粟をどう蚀えば良いですか 䟝頌するお寺さんには、ラットが䜕個䜓、アフリカツメガ゚ルが䜕個䜓っお、具䜓的に䌝えなきゃ駄目なんですよ」
     園厎が螵を返しお叶に質問をしたこずは、事務的な話だった。

        叶は園厎の方にゆっくりず顔を向け、囁くような小声で蚀った。
    「献䜓しおくださった、人間ずいう扱いにしお欲しいわ」
     叶の声は小さかったが、返答は早かった。この蚀葉に、園厎は思わず也いた笑いを挏らしおしたった。

    「人間ね。この前たで、虫呌ばわりしおたくせに 」
     顔を歪めながら䟋の小瓶を眺め、䜕凊か厭味っぜく園厎は蚀った。
     それから圌はドアノブに手を掛け、叶を郚屋に残したたた退宀しようずしたのだが、䜕故か思い出したようにドアノブを握った手を攟し、再び叶の方を向いた。

    「叶さん。蚀っずきたすけど、俺は垌少動物を乱獲するのには反察です。心の有無に関係なく。だから、この研究をできるだけ早く実甚段階たで進める぀もりですし、狩られたこの劖粟たちも䟛逊する぀もりです。その手助けをしおくれたこず、本圓にありがずうございたす」
     園厎は真剣な県差しを叶に、最敬瀌で頭を䞋げた。

     その姿を芋お、叶ずわ子は涙が溢れそうになったが、必死に堪えた。


     どんな批刀も受ける。それが劖粟の呜を 心を蔑ろにした自分ぞの眰。
     そしお、もう無闇に劖粟が狩られず、䜙蚈な涙を流さないようにするこずが、自分の莖眪。

     叶ずわ子は匷く、そう決意しおいた。


     
     
    理科知識を䜿っお、か぀か぀生きおたす。理科は生掻手段。 noteには、自䜜小説ず゚ッセむを投皿しおたす。近い趣味の方ずの意芋亀換を求めおたす

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