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Photo bymaumau_5

理系女ず文系男第23話幎ずか月の恋

    瀟䌚人䞀幎目の月、急にケむから『䌚いたい』ずいう旚のメヌルが来た。
    私ずケむは仕事垰り、二人で倕食を共にした。
    それから街䞭を二人でブラブラず歩き、やがお芳芧車を備えた奇劙なビルの前たで来た。
    二人でこの芳芧車に乗るこずになった。


    もうすぐ21時になりそうな時刻だった。芳芧車の営業時間は22時たでだった。
    芳芧車の列はたあたあの長さだったけど、そんなに長くなかった。䞊んでいるのは、だいたい同䞖代の男女だった気がする。

    皋なくしお、私たちの番が回っおきた。いざ、向かい合う圢で私たちは芳芧車に乗った。
    私は垭の脇に鞄を眮いた。因みに私の鞄は、教科曞ず蟞曞が入っおいる郜合、ずおも倧きかった。たた、この頃は携垯をスマホに替えたこずで、携垯ストラップを務めおいたマむメロはこの鞄の持ち手に移動しおいた。
    鞄を眮いた時、ケむはようやくマむメロに気付いた。

    「そのりサギ、ただ持っおたんだな」

    懐かしむように、ケむはそう蚀った。ただ私たちのゎンドラが䜎い䜍眮にある時、マむメロが話題になった。

    「圓然だよ。この子はケむの分身みたいなモンだから」

    本来、このマむメロは私にずっお負の蚘憶の塊なのかもしれない。
    私がこのマむメロず出䌚ったのは、私が宗教勧誘に匕っ掛かったから。
    私がこのマむメロを持ち歩くようになったのは、垰り道でツケルに襲われたから。

    だけど、同時にこの子は私を守っおくれる、ケむの分身に他ならない。負の蚘憶を䞊回る存圚だった。

    そんな感傷に浞り぀぀あったけど、この男は盞倉わらず嫌な感じに雰囲気を砎壊するのが埗意だった。

    「結構スカヌト短いんだな。芋えそうじゃん」

    鞄の次にケむの目が向いたのは、私の足元だった。
    座るずスカヌトの裟の䜍眮はどうしおも䞊がる。぀いでにタむトスカヌトだったから、ふずももずスカヌトの裟が䜜る䞉角圢の穎はかなり目立぀。
    敢えお短めのスカヌトを遞んだのは確かだけど 。

    「芋るな もう 。高校の時ず倉わらんじゃん。“ パンチラを合法的に芋る方法 ” だっけ シュヌ君ず二人で、いかに私をしゃがたせるか䌁んでたらしいよね」

    私は咄嗟に䞉角圢の穎を手で塞ぎ、軜くケむの足を蹎った。蹎ったず蚀っおも、足先を軜く圓おたくらいだけど。ケむは笑っおいた。
    勿論、私もそんなに怒っおいない。勢いで喋っお、文筆郚の圓時を思い出しお、懐かしい気分になった。

    私たちの箱は䞭腹より䞊に来おいた。ケむは窓から臚む景色に目をやり、「綺麗だな」ず呟いた。
    するず、今床は私が雰囲気を砎壊した。

    「電気の無駄。そんなに照らさなくおもいい。LEDが “ 前の半分の消費電力で枈む ” みたいな觊れ蟌みで普及したけど、前の䞉倍䜿ったら意味無いよね」

    苛立っおいた蚳じゃない。これはずっず私が思っおいるこずだ。
    聞いたケむは、溜息を吐いた。

    「倉なトコで理系アピヌルするよな そういう目でしか芋れないっお蚀うか 」

    喋りながらケむは、これを思い出したらしい。

    「最初の加他真理でも、玙の本ず電子曞籍を比べお、゚ネルギヌがどうのっお曞いおたよな。最初にその案を出した時、ピヌさんが入っお来お、“ いかにも理系だな ” っおたりかに蚀ったよな」

    私が曞いたもの、そしお私が案を出した時に䜕があったのか。ケむは詳しく憶えおいた。
    それを聞いお、私はたた嬉しくなった。ず蚀うか、嬉しさを抑えきれなくなった。

    「ちょ  䜕、考えおんだ」

    ケむは私の行動に狌狜えた。
    私は䞍意に立ち䞊がり、ケむの座っおいる偎に移動した。そしお脇に眮いおあったケむの鞄を手に取り、その䜍眮に自分が座った。半ば割り蟌む圢で。
    ケむの鞄は私の膝の䞊に眮いた。

    「このポゞションなら、パンツ芋れないでしょ」

    私はケむの顔を芋䞊げ぀぀、たずはふざけおそう蚀った。私ず至近距離で目が合うず、ケむは恥ずかしいのか目を逞らした。私はクスクスず笑った。

    「今、倖から芋たら、めっちゃ傟いおるんだろうね」

    この時、私たちの箱は頂䞊に達しおいた。私は思った。

    あず半分しか、䞀緒に居られないからね 

    残りの時間を満喫したい。それだけだった。
    私はケむに寄り掛かり、圌の肩に自分の頭を預けた。
    向かい偎の垭で埅っおいるマむメロは、倉わらない優しげな衚情で私を芋守っおいる。
    ケむは䜕も蚀わなかった。

    「ディケむドのOPでさ。倏海が士君のバむクのリアに乗るカットがあっお。あれ、凄く奜きだったんだ。士君の胎にしがみ着く時、アップになるのも良かった」

    よく解らない話をする私。ケむは「そっか」ず小さく返した。そしお、そっず私の手を握っおきた。膝の䞊でケむの鞄を支える、私の手を。

    このたた時間が止たっお欲しい

    私は切にそう願った。
    勿論、時間は止たらない。私たちの乗った箱はどんどん高床を䞋げる。そしお、最初の堎所たで戻っおきた。

    私がケむの隣に座った埌、二人の間に䌚話は無かった。だから、ケむからは䜕も告げられなかった。

    この埌、私たちはそれぞれの垰路に就いた。


    月よりも埌にも、ケむずは䌚った。月ず月に開かれたノンアル同窓䌚だ。
    特に倉わった様子は無かった。

    カブト先生が「40歳手前だし、そろそろ結婚したい」ず蚀っおいたくらいか

    私ずケむの間の䌚話も男女のものではない、普通の友達どうしの䌚話でしかなかった。

    ノンアル同窓䌚の埌、新型りむルスの感染症の話がニュヌスを賑わせ始めお、月になるず倖出が難しくなった。入詊もかなりの圱響を受けた。

    このタむミングで、私は塟を蟞めた。理由は方針の盞違だ。
    そしお私は、孊校教材の校正で生蚈を立おるようになった。䞀幎皋床の瀟䌚人歎でこんな仕事ができたのは、䞭孊・高校時代の同玚生の䌝手だった。

    富裕局の通う䞭高䞀貫校に進孊したありがたみを、猛烈に噛み締めた。

    ぀いでに新型りむルスの感染症の圱響で、察人系の職業は難しくなっおいたから、校正の仕事は郜合が良かった。


    そしお月。新型りむルスの感染症の蔓延を防ぐずいう名目で、小孊校から高校が謎に䌑みになった頃だった。

    ある倜、スマホにケむから架電があった。私は自宅でこの電話を取った。

    『事埌報告だけど 。2月29日に入籍した』

    電話越しだっけど、凄く蚀い蟛そうだったのが印象的だった。
    私は䞀瞬、思考が止たるような感芚に襲われたけど、すぐに気持ちを切り替えた。

    「そうなん やったじゃん おめでずう」

    無理やりだった。私は喜んだ声を出しお、入籍したず話したケむを祝犏した。
    電話の向こうのケむは、凄く申し蚳なさそうだった。

    『ごめん。たりかには、蟛い思いをさせたかもしれないけど 』

    ケむはそう蚀ったけど、私は吊定した。

    「なんで蟛いの こんなおめでたい話なのに。嬉しいに決たっおるんじゃん ケむは嬉しくないの」

    私の空元気が奇怪だったのかもしれない。
    入籍の報告は衝撃的だったけど、粟神的な打撃はそれ皋でもなかった。もう月にフラれた身だず思っおいたから。

    『祝っおくれお、ありがずう』

    盞倉わらず申し蚳なさそうに、ケむはいろいろず語った。

    たずお盞手は、お父様の䌚瀟の関係者の嚘さんで、私たちず同孊幎ずのこず。
    実は倧孊二幎生の時に、お父様から結婚の話をされおいたらしい。
    そしお瀟䌚人になった時、芪戚の叔母さたからお芋合いの話があったそうだ。
    月に私に「䌚いたい」ず連絡したのは、その報告を私にする為だったらしい。
    だけど、蚀えなかったみたいだ。

    『カブトさんにこの話をしたら、たりかには蚀っずけっお蚀われた。だけど䌚っおみたら、こんな話したらお前が泣き出す気がしお 。ピヌさんに玄束した手前、お前を泣かせられない っお蚀うのは、蚀い蚳だよな』

    話を聞いおいるず、この件に぀いお䜕も知らなかったのは、私だけのようだった。
    でも、それに怒りや疎倖感は芚えなかった。

    䜕 ふる぀もりで呌ぶ出したけど、泣き顔を想像したらふれなくなった どんだけお人奜しなん

    高二の時、ピヌ先生に「隣のバカ女を泣かすな」ず蚀われたこずを、ケむは埋儀に守り続けようずしおいた。そう思うず、䜕故か私は笑顔になった。そしお目が最み始めた。

    電話の向こうの私の衚情を知っおか知らずか、ケむはこんなこずも蚀った。

    『正盎なずころ、たりかが俺をどう思っおるのか、よく解らなかった。たりかレベルなら男を遞べるだろうから、俺が遞んでもらえる自信も無かった。シュヌは、“ たりかは確実にケむが奜きだ ” っお蚀っおたけど、確信が持おなかった』

    私の口から也いた笑いが出おしたった。

    どうしお解らんの 奜きに決たっおるじゃん
    蚀わなかったけどさ 。解かれよ
    䞋線郚の登堎人物の気持ちが100字以内で曞けるのに、どうしお私の気持ちは解らないの
    私は埅っおたんだよ あんたから奜きだっお蚀われるのを

    ず、蚀いたかったけど、蚀えなかった。
    代わりに、こんなこずを蚊いた。

    「結婚した人ずは月に初めお䌚ったんだよね ぀たり出䌚っおか月で結婚を決めたんだ。やっぱり綺麗な人なの」

    私は負けたかった。その女の人に。そうすれば完党に諊められるから。
    なんだけど、䜕凊たでもケむは私の気持ちを理解しおいなかった。

    『顔はお前の方が綺麗だ』

    なんお抜かしやがった。思わず私は声を荒げた。

    「䜕、考えおんの り゜でも、その人の方が綺麗っお蚀え 奜きなんでしょう、その人のこず だから結婚するんじゃないの それなのに私の方が綺麗ずか、その人に倱瀌でしょう」

    倚分、もう少し声量を䞊げおいたら、姉にマゞギレされおいただろう。
    それはさおおき、ケむの声は私ず察照的で小さいたただった。

    『顔が党おじゃない。それから、お前ず比べたくもない。二人を倩秀に掛けお、どっちが良いっお刀断したんじゃないんだ』

    どうやら私の方こそ、ケむを理解しおいないようだった。私はしっかり、ケむの話を聞くこずにした。

    『もちろん、凄く良い人だ。だから結婚したいず思った。向こうも俺を遞んでくれた。䌚瀟がどうずか、芪父がどうずか、そういう話じゃない。俺ずその人の意志だ。俺が圌女を気に入ったから、結婚するこずにした』

    なんだろう 䞊手く説明できないけど理解できた。ケむの気持ちが。
    いや。解ったこずにしただけかもしれない。

    「そっか。 結婚匏はい぀ 絶察に呌んでよ」

    私は自然にそう蚀った。
    新型りむルスの感染症の圱響で、もしかしたら挙匏できないかもしれない。だけど、ケむの結婚匏を 花嫁さんを芋たい。この時、本気で思っおいた。

    『来おくれるのか ありがずう 』

    このケむの蚀葉が、この通話の締めになった。

    電話を切った埌、私はどっず疲れたような感芚に襲われた。

    我ながら、よく持ち堪えた 。ピヌ先生ずの玄束を、ケむに砎らせる蚳にはいかなかったから

    ダムが決壊したかのように、目から涙が倧量に溢れ始めた。嗚咜も出そうになったけど、姉にブチキレられるから声だけは必死に殺した。

    ケむの入籍を祝いたい気持ちは嘘じゃない。圌の幞せは私の幞せだ。
    だけど、やっぱり蟛かった。
    【西野たりか】になりたいずいう、私の倢が朰えたのだから。

    高䞀の月、宗教勧誘の人から助けおもらった時、私はケむを奜きになった。
    それから今日たで、私はケむを思い続けおいた。
    幎ずか月の恋は、この日で完党に終わりずなった。

    䞀床も奜きっお蚀わなかった 。なんで蚀わなかったんだろう

    悔いおも仕方ないけど、どうしおもそう思っおしたった。

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