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秋を少し買って帰る、何でもない休日   たっちー男の料理#5


少し涼しい日が混じるようになると、食べたいものも変わってくる。

秋鮭、さつまいも、舞茸。それに鶏もも肉と、たっぷりのニラ。

予定のない休日。思わぬ掘り出し物まで見つけて、今日はゆっくり家ご飯を作ることにした。




まだ「秋が来た」と言うには少し早い。

昼間は暑いし、半袖でも全然いける。

それでも朝の空気や夕方の風に、

「あれ、ちょっと変わったな」

と思う日が出てきた。


そんな休日、いつもの近所の店へ買い物に行った。

店名は八百屋ということになっているけれど、僕の中ではほとんど小さな市場だ。

野菜と果物が安くて、肉も魚も新鮮で種類が豊富。

だからここでは、献立を決めてから買うというより

並んでいるものを見て今日の晩ご飯を決める。



魚売り場には、きれいな生鮭

野菜を見ると、さつまいもに舞茸、ニラ、小松菜が安かった。

「今日は秋でいきますか~🎵」

鶏もも肉と油揚げもカゴへ入れた。


野菜売り場を歩いていると、5歳くらいの女の子がお母さんと一緒にいた。

「ママー、ユミちゃんミニトマト食べた~い。ミニトマト買って~」

何度もお願いしている。



お母さんは、

「この前も買ったでしょ、まだ家にあるよ~」

と言いながら、結局カゴへ入れた。

その光景を見て、娘にもあんな頃があったなと思った。

小さな手で買い物カゴを持ちたがって、途中で重くなると、

「パパ、持って」 となる。

欲しいものを見つけると、なぜ必要なのか一生懸命説明する。

だいたい説明にはなっていない。

それでも結局、買ってしまう。

親なんてそんなものだ。

今ではもう、あの頃の面影を探さないと見つからないくらい大きくなった。

ほんの数秒の光景なのに、昔のことは突然戻ってくる。


そのまま魚売り場へ行くと、今度はおばあちゃんに声をかけられた。

特売になっていた鯛の刺身を手に持って、

「お兄ちゃん、これおいしいかなぁ。どうやって食べたらいいと思う?」



お兄ちゃん

50歳を過ぎた僕に、お兄ちゃん・・(笑)


「鯛なら漬けにしてもおいしいですよ」

醤油とごま油、すりごま。酒とみりんを少し。

ご飯にのせて、最後にカツオだしをかければ鯛茶漬けにもなる。

「まあ、それなら私にもできそうねぇ。孫も食べるかしら」

「たぶん喜びますよ」

それだけの会話だった。

名前も知らないし、もう会わないかもしれない。

でも、こういう何気ないやり取りがあるのも、この小さな店が好きな理由なのかもしれない。


最後に果物売り場を覗く。

そこで足が止まった。

クイーンニーナ


赤紫色の大きな粒のぶどう

高級スーパーで2000円以上の値段で売ってるのを見たことがある。

普段なら値段を確認して、

「今日はいいか」

となるぶどうだ。


ところが値札は999円

これだけでも安い。

さらに近づいてみると、

やけくそ!半額 の札が

ちょっと待て、999円の半額

500円くらい

もう一度見る

やっぱり半額

店員さんに、

「これ、本当に半額なんですか?」

と聞いた。

「今日、決算なんですよ。数字が欲しいんで、今日は売り切っちゃいたくて」

なるほど

店には店の事情がある

そして僕にも事情がある。

500円なら買うという事情だ

即、カゴへ。

さっき女の子を見ながら、

「子どもって欲しいものを見つけると分かりやすいな」

なんて思っていた。


その数分後、ぶどうを抱えて喜んでいる50歳過ぎ

やっていることは、ほぼ同じだった。




家に帰ったら、料理にとりかかる。

まずは、黒い特大まな板を出す

アマゾンで探して買った、デカいやつ。

包丁はいつものダマスカスの牛刀

肉も魚も野菜も、ほぼこれ一本でいく。


最初に作るのはニラだれ

ニラを5ミリ幅くらいの小口切りにして、醤油、酢、ごま油、砂糖、白ごまと合わせる。

混ぜたら冷蔵庫へ

作ってすぐより、少し置いたほうがニラと調味料がなじんでうまい。

だから先に作って、あとは放っておく。



その間に炊き込みご飯

さつまいも、舞茸、鶏もも肉

味付けは白だしと酒、塩

鮭のニラだれがしっかりしているので、ご飯は少し控えめな味付けにする。


炊飯器に入れてスイッチ

あとは任せた。

僕より時間に正確で、文句も言わず働いてくれる。




副菜は、小松菜と油揚げの煮びたし。

水に酒、醤油、みりん、顆粒だし。

煮立ったら、小松菜と油揚げを入れる。


本当なら油揚げは油抜きする

分かっている。

でも、

油抜き、めんどくさい

今日はそのまま入れる。

これが意外とうまい

油揚げの油が少し煮汁に出て、むしろコクになる。

最後に、フライパンでしらすを乾煎り

水分が飛んで香ばしくなったところを、煮びたしの上にパラパラ。


油抜きは省略したのに、しらすはわざわざ炒る。

自分でも基準がよく分からない。

でも、家の料理なんてそれくらいでいい。



最後は生鮭

水分をしっかり拭いて食べやすく切り、軽く塩をして片栗粉を薄くまぶす。

フライパンで油を熱して

鮭を並べると、

ジュッ

この音だけで腹が減る。

表面をこんがり、特に皮目は香ばしく焼く。



皿に盛ったら、最初に作っておいたニラだれ

たっぷり

いや、もう少し

遠慮せず、たっぷり。

鮭の皮と脂の香ばしさに、ニラと醤油、ごま油

そこへ酢が少し入るので、見た目より重くない。

片栗粉をまとった鮭にニラだれもしっかり絡む。

これは本当にうまい。ぜひ一度、作ってみてほしい!

炊飯器の蓋を開けると、舞茸と鶏の香り

さつまいもの黄色もきれいだ。



秋鮭のたっぷりニラだれ

鶏もも肉とさつまいも、舞茸の塩炊き込みご飯

炒ったしらすをのせた、小松菜と油揚げの煮びたし

食後には、500円で手に入れたクイーンニーナ



特別な日ではない

いつもの店へ買い物に行っただけだ。


小さな女の子を見て、昔の娘を思い出した。

知らないおばあちゃんと鯛の食べ方を話した。

500円のぶどうを見つけて、子どもみたいに喜んだ。

そして家に帰って、晩ご飯を作った。

秋を少し買って帰る、何でもない休日

そんな一日も、なかなかいい。






あとがき


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

今回は、少しずつ秋を感じるようになった休日に作った、気取らない3品の男の料理でした。

旬のものを買って、ゆっくり料理する。そんな何でもない休日も、なかなか悪くありません。

また「これはうまい」と思ったものができたら、男の料理編で紹介します。




★今回作った3品のレシピ


◆秋鮭のたっぷりニラだれ【2人分】

材料

生鮭 2切れ(塩鮭はダメよ)
塩 少々
片栗粉 適量
油 適量

ニラ 1/2束
醤油 大さじ2
酢 小さじ1
ごま油 大さじ1
砂糖 大さじ1/2
白いりごま 大さじ1

作り方

ニラを5ミリ幅くらいの小口切りにし、醤油、酢、ごま油、砂糖、白ごまと混ぜ、冷蔵庫でなじませておく。

生鮭の水分をキッチンペーパーでしっかり拭き取り、3〜4等分に切る。軽く塩を振り、片栗粉を薄くまぶす。

フライパンに油を熱し、鮭を両面こんがり焼く。特に皮目は香ばしく。

皿に盛ったら、なじませておいたニラだれをたっぷりかける。


◆鶏もも肉とさつまいも、舞茸の塩炊き込みご飯

材料

米 2合
鶏もも肉 150g
さつまいも 150g
舞茸 100g
白だし 大さじ2
酒 大さじ1
塩 小さじ1/3
黒ごま 適量

作り方

米を研ぎ、さつまいもと鶏もも肉は食べやすい大きさに切る。舞茸は手で裂く。

炊飯器に米、白だし、酒、塩を入れ、2合の目盛りまで水を加える。

具材を上にのせて普通炊飯。

炊き上がったら、さつまいもを崩しすぎないよう大きく混ぜ、黒ごまを振る。

◆小松菜と油揚げ、炒りしらすの煮びたし【2人分】

材料

小松菜 1束
油揚げ 1枚
しらす 30g程度
水 200ml
酒 大さじ1
醤油 大さじ1
みりん 大さじ1
顆粒和風だし(ほんだしなど) 小さじ1

作り方

小松菜は食べやすい長さに切り、油揚げも細めに切る。

鍋に水200ml、酒、醤油、みりん各大さじ1、顆粒だし小さじ1を入れて煮立たせる。

生の小松菜と油揚げを加え、小松菜がしんなりするまでさっと煮る。

油揚げは油抜きしてもいいけれど、面倒ならそのままでOK。油が煮汁に出て、ほどよいコクになる。

別のフライパンでしらすを油をひかずに乾煎りし、煮びたしを器に盛ってから上にのせる。





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