メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

「非日垞アナログシティ」 あらすじ

    かわうそ


    画像
    アナログシティ 遠景

    #創䜜倧賞2025 #ミステリヌ小説郚門

     あらすじ●

     幎、私の䞭に倧きな倉化が起きた。
     自分が働いおきた仕事が䞖の䞭からいらなくなる。業界すら存続の危機。こんな経隓をしおみるず、䞖の䞭から自身の存圚たで吊定された感芚になる。
     野口はレコヌド針メヌカヌに勀めおいた。
     針の芁らないレコヌドの出珟ず普及の速さに野口のレコヌド針メヌカヌ等はなす術がなかった。そしお、その埌すぐ、音響補品問屋の倉庫䌚瀟に出向ずなり、勀めおいたレコヌド針メヌカヌが正匏に解散したのは幎平成幎月のこずだった。
     圓時、たさか病気だずは思わなかったが、自身の意識の䞭に止たっおしたった蚘憶をかかえながら、この䜙幎を暮らしおきた感芚がある。
     それが぀い先ごろ、その止たっおいた感芚が動き出した様子なのだ。

     家電量販店のレコヌドプレヌダヌ売り堎だった。久々にレコヌドプレヌダヌが䞊んでいる光景に足を止めたのだった。プレヌダヌのバックに立おかけたあるフリップを読み始めた。
    「ハむレゟHigh Resolutionずは、盎蚳するず高解像床のこず。事の起こりから説明したすず、初めおが発売された圓時蚭蚈者は理論䞊ノむズが無く、『音がいい』ず科孊的な説明ずずもに販売されたした。しかし、アナログレコヌドの音質ずは違い、埮劙な衚珟に劣り぀぀、その取り扱いの䟿利さだけで普及したした。・・・
     そしお、今、アナログレコヌドが䞖界的にブヌムを呌んでいたす。アナログレコヌドの音質は音域が広く、耳にやさしい゜フトな音ず芋盎され囜内でも人気アヌティストが新䜜のアナログ盀を発売するこずが倚くなり、レコヌドを知らないデゞタル䞖代も泚目されるようになっおきたした。・・・」
     フリップの脇に皮類近くレコヌドプレヌダヌが展瀺され、䞭にはアナログレコヌド専甚のハむレゟプレヌダヌたで玹介されおいたのだ。
     それ以来、私の無意識の䞭でもうひず぀の文化、暮らし振りが動き出したのだ。
     それはふずした通勀電車の居眠りであったり、眠れない倜、朝方になっおうずうずした瞬間に垣間芋る皋床からだったが、倚分、このトリックのような情景は、レコヌド文化が消えるこずなく継承され、我々の唯䞀のミュヌゞック゜ヌスずしお珟圚たで楜したれおいたら。あの圓時のたた䞖の䞭がデゞタル化にたるで取り憑かれたように急がなかったずしたら。そんな私の䞭の淡い期埅が芋させおいるうたかたの倢なのだろう。

     私の「アナログシティ」での新しい生掻が始たった。シティは倚少蟺ぎな高台の盆地にあるらしかった。
     先ず、䞍思議に思ったのは、ここのシティの亀通手段ずは自転車か遠出にはバス。バスに乗っお改めお気付くのはスマホを取り出しおいる人間がいない。倧䜓‐も携垯の電波も飛んでいない。電力・氎道・郵䟿・ケヌブルテレビ・スチヌム等むンフラすべおはチュヌブず呌ばれる地䞋トンネルから䟛絊されおいお、新たに造成された近未来蚈画郜垂なのだった。パ゜コンはあるがむンタヌネットは存圚しない。嫌煙暩もなくダむオキシンも問題芖されない。そのせいか皆さんのんびりした衚情で、パン屋に行ったり、魚屋に行ったり、肉屋でコロッケを食べたり、コヌヒヌも飲みたければお店に行く。スヌパヌもない事もないが、コンビニは䞀軒もない。
     それだけここの䜏民の暮らしぶりは単玔で、玠朎な人皮が倚い
     どうやっおこの限られた゚リアだけが独自性を保っおいられるのかをご近所に尋ねるず
    「䞍䟿なら䜏み着かないし、匕っ越すね」
    「あなたは兞型的な䜏民のお顔ですよ」
     私は唖然ずし぀぀も玍埗したものだった。次第に私は䜏民に溶け蟌み、隣の岡文子さんずいう䜜家業を営むおばあさんや飌い猫のモモ、倚くのシティの䜏民から玠朎な「スロヌラむフ」を孊んでいくのだった。

     シティを突然地震が襲った。地震は深倜地䞋深くで矀発的に発生し、地䞊にさほど被害はなかったものの地䞋を走るむンフラは倧打撃を受けた。ほずがりが冷めた頃、シティの数カ所にタワヌが建おられ、アンテナが蚭眮された。町の商店を䞭心に様々な携垯䌚瀟が抌し寄せたのだ。地震以来、䞍䟿を匷いられおいた䜏民達はひずたたりもなかった。隣の岡さんたで、「ボタンを抌せばガヌドマンが飛んで来おくださるの」ず介護セキュリティのリモコンを手に説明しおくれた。若者はスマホから目を離さなくなり、䞍思議ず私は「アナログシティ」の倢を芋るこずが無くなった。

     しばらく。い぀もの生掻に戻った私は郜心の曞店で岡文子の本を手にした。私の気たたなスロヌラむフずいう挿絵付き゚ッセむ。飌い猫の目から芋たシティでの日々を綎った日垞グラフティだった。その巻末には䞹那盆地に「岡文子蚘念通」ずあり、さっそく私は䌑日バむクでその地を蚪ねたのだ。
     蚪ねおみるず䞹那盆地は牧歌的な里山情景でしかないが、確かに倢の䞭に出おくるい぀ものシティなのだ。岡さんの家のあった方向に向かっおみるず、果たしおそこに「岡文子蚘念通」ず看板があり、螏み蟌むず、生前の懐かしい圌女のスナップが展瀺されおいるのだった。
     圌女がクラシックをよく聎いおいた「OTTO」のステレオ、自慢のダッチオヌブン「 」、そしお、モモの剥補。
    「岡文子は代から晩幎たでこの䞹那盆地を愛しお、日垞をテヌマに数々の創䜜、゚ッセむを残したした。い぀しか圌女は『日本のビアトリクス・ポタヌ』ず呌ばれるようになり、䞹那の自然の姿を埌䞖に残そうず、生涯、『スロヌラむフ』ずいうラむフスタむルを提唱し、本囜に根付かした第䞀人者で、晩幎は愛猫を䌎䟶にした心枩たる暮らしぶりをテヌマに倚くの曞籍を残したした。」
     そしお、「岡文子」の履歎ずあっお、幎幎ずあり、すでに幎以前に亡くなっおいるのだ。
     私はしばらくその事実がどういう意味を持぀のかが理解できないでいた。
     スナップ写真の圌女はい぀もの埮笑みの衚情で、傍らには必ずモモが䞀緒に写っおいお、シティの日垞が事実ずしお残されおいた。
     ようやく私は圌女の䞖界に呌ばれたひずりだったず実感した。呌ばれる条件は、時代の䟿利さに぀いお行かれず、心に空虚な隙間のある人間。そしお、い぀の日かたた䟿利さに疲れたら、居眠りの内に戻っお来れる堎所ずしお「シティ」を確認するのだった。
    そしお、私は定幎を機に珟圚の䞹那盆地に暮らしながら私もこの䞍思議な経隓、私の「スロヌラむフ」を曞いおいる。

    あなたぞのおすすめ