
【小説】フシギドライバー
今日は中学の同窓会があり、僕は疲れてタクシーで家に帰ることにした。
(バタン)
「ありがとうございます。どちらまで?」
「・・・あ、日吉駅までお願いします。」
「かしこまりました。」
タクシーは走り出した。僕は虚ろな目で窓の外を眺める。
「お客さん、何か悩みでも?」
5分ほど走ったところで急に話しかけられた。
「え、いやまあ。今日同窓会があったんですよ。同級生はみんな夢を語っていて、それに向かって着々と歩んでいて。それで『それに比べて自分は』とか、くだらない考えをしてしまう自分に嫌になってきて、、」
「なるほどねぇ。人は何かにしがみつきたがる生き物ですからねぇ。人に話したり、SNSで発信したり、そうやって何かにしがみつくことで、社会から消えないようにするんです。それはお客さんの友人だけじゃなく、お客さん自身もしがみついています。」
運転手は前を向き、微笑みながら淡々と話す。
「でも案外人は1人で生きられます。ほら、周りよりも自分の足元をよく見て下さい。あなたはもう土台がしっかり作られて、手を離してもちゃんと地に足がついているんじゃないですか?」
僕は不思議と、心のキツく締まったネジが少し緩んだ気がした。