
【建築への興味の入り口】 近隣説明資料から間取りミステリーが始まった
こんにちは。しゅんです。
タイトルの雰囲気がいつもと違うかもしれませんが、実際に僕の身に起きたことを書くので、ストーリー仕立てなタイトルになってしまいました。笑
この記事を読んでいている方、ご自宅のすぐ近くに空き地があったりしますか?
もしあるなら、チャンスです。笑
何のチャンスかというと、これから建築計画が立ち上がった時に、近隣説明会が行われたり、近隣説明資料を手に入れられるからです!
何が嬉しいの?と思われるかもしれませんが、僕は実際に昨日、恋人と一緒にうちに届いた近隣説明資料を読んでみて、これから近所に建つ集合住宅の姿を想像して遊んでみました。
そこで、事件が起きたんです。
この間取り、、どうなってるんだ、、?
そんな小説が少し前に流行りましたよね。
ホラーとかではないので、安心してください。
純粋に、"図を見て立体を想像する"という行為の楽しさを知ってほしいと思って記事にしました。
よかったら、最後まで読んでみてください。
序章: プロローグ
僕が帰宅したとき、ふとテーブルの上に置かれた資料に目が止まりました。
いつもはすぐに捨ててしまうチラシではなく、A4のホチキス止めされた数枚の資料。
僕が気になるだろうと、恋人がとっておいてくれたみたいです。
見てみると、建築計画の近隣説明用の資料でした。
建築を新しく建てる際、集合住宅や10mを超える建築をする場合には建築主に近隣説明の義務が発生するんです。
家のすぐ近くに空き地があるので、すぐにそこだと理解できました。
最初に建築概要のページがあり、次に工事の近隣への配慮の説明、そのうしろに間取り図が載っていました。これがこの物語の始まりです。

建築概要の欄から、どうやらこの集合住宅は6戸の部屋を持つ「賃貸併用住宅」とのこと。
賃貸併用住宅?あまり聞き慣れなかったのですが、オーナーが住む家を含む集合住宅みたいです。
大家さんが同じ集合住宅に住んでる感じのイメージですかね。
さて、では6戸ということで、どう分かれていてそれぞれがどんな間取りになってるのでしょうか?
もしよかったら、考えてみてください。
第一章:全ての玄関は一階にあり

まずは一階を確認してみました。
なるほど、「玄関」の表記が4つ。
あと2つの外と繋がる扉もおそらく玄関でしょう。

これは全ての住戸が一階からアクセスするタイプの集合住宅みたいです。
しかも、1階の全ての部屋にロフトがついている。
個人的にロフトは好きです。前までロフト付きの部屋に住んでました。
大きく分けて縦に3つの列で住戸が並んでいる。
つまり、玄関が2つずつセットになっているのは、片方は一階もう一方は2階につながる、比較的わかりやすい間取りかもしれない!
このときはそう思っていました。。
まず、僕が短絡的に想像した6戸はこちら↓です。

あれ?3階は?と。
ま、まぁ、まだ慌てる時間じゃありません。
一階のすべての部屋にロフトがついてるように、基本は縦に積み上げる形が基本のようなので、
2階からアクセスするんでしょうと。
しかし、その考えは甘かったんです。
第二章:3階へのアクセス
3階の平面図をよく見てみましょう。
やはり階段があるぞ。これを辿っていけば2階につながるはず、、!

ん?
一階まで降りて玄関に到着。
ほう、珍しい計画ですね。
建物の中を貫通する長い階段によって一気に3階まで到達するんですね。
これは想像が難しい、、!間取りミステリーだ!
この3階の部屋は他の部屋よりもだいぶ広いみたいですね。
賃貸併用住宅のオーナーさんが3階に住むのか!とわかったところで、もう一度3階をよく見てみましょう。
あれ、、?
一つだけ3階から入れない部屋が区切られている?

第三章:2階の住人の格差
この3階からアクセスできない部屋には階段の表記が、、!
つまり、、2階は、、?

つまり、これこそ2階からアクセスするタイプの部屋なんですね。
なるほどなるほど。、、、ん?
そうすると、2階は3階とつながる真ん中の一部屋、上側はワンルームで一部屋、そして下の段にもう一部屋、、
あれ?と、このとき恋人が気づきました。
「この部屋、キッチンなくない?」

た、、、たしかに、、
キッチンの表記のし忘れか?
玄関の表記も6個中2個は抜けていたし、
近隣説明用で設計者が図面を見やすくするために情報を省略した際に抜けてしまったのか?(実際たまにあると思います。)
本当にキッチンがないとすると、2階の住人さんたちの住環境の格差がすごいぞ、、?
そんなことを思いました。
しかし、間違えていたのは僕の方だったんです。
いよいよ、僕らは断面図に手を出すことにしました。
第四章:突如あらわれた2人目のオーナー
次のページに断面図があることは薄々意識していましたが、
なにか、こう、平面図から読み切りたい自分がいたんです。
ただの意地ですね。笑
諦めて、ついに断面図に手を出しました。

断面図と平面図を組み合わせて想像するにあたって、恋人にもこの断面図がどの位置で切られた部分を表しているのか説明しました。

矢印のほうを向いた時のイメージになってます。
そこで、また恋人が言ったんです。
「オーナー1ってなに?」
ん?オーナー1?たしかにオーナー2も表記がある。
オーナーの部屋は3階のはずじゃ、、
ここが大きな落とし穴でした。
「賃貸併用住宅」という言葉から勝手にオーナーは1人だと思いこんでいました。
しかし、この物件にはオーナーが2人いるらしい。
そして、「オーナー1」の部屋は1〜2階で連続しているみたいだ。
もう一度、1階平面図をよく見てみたときに、ついに全ての謎が解けました。

下の段の部屋は2階に上がる階段が1階にも繋がっていて、メゾネットタイプの部屋だったんです。
正直、頭が少し混乱状態でした。笑

↑このように、気づけば僕の想像だと7戸の部屋になってしまっていたのを、
↓このように分けてみる。


これがこの集合住宅の真の姿、、!
ついに辿り着きました。
なかなか複雑な部屋の組み合わせ方をしている。
単純な区割りだ〜と思ってた最初の自分に教えてあげたい。
この物件、ちょっと癖あるよ、と。
第五章:残された謎
ふぅっと一息つき、このミステリーを解き終えた余韻に浸っていました。
何気なくもう一度図面に目を落とすと、あることに気づきました。
あれ?
道路斜線、超えてない?
建築の設計は"制約の中で踊る芸術"とよく書いていますが、
その大きな制約のひとつが「斜線制限」です。
道路や隣地から決められた角度で引かれた斜線。この線を超える建築物は建てることができません。
その線がこの↓道路斜線です。

これは建てて良いのだろうか、、?
近隣住民として問い合わせたほうがいいのか、、?
いや、違法な状態で近隣説明資料を出すはずがない。
なにか、なにかロジックがあるはずだ、、!
このミステリーは終わってない、、!
、、、と思いましたが、
おそらくこれは「天空率」という考え方をつかって、道路斜線を緩和しているんだと思います。
「天空率」というのは、道路から見上げたときに建物が空を遮る比率を計算し、それが基準以下であることを証明することで、斜線制限を緩和する考え方です。
反対側の「高度斜線」や「最高高さ」は10m以下で厳守しています。こちらは「高度地区」というエリアでかかる規制で、この規制には緩和条件がありません。
緩和規定を適用したり、入り組んだ部屋配置を成立させたり、この物件の設計者の方は色々工夫されたのだと想像します。
まだ会ったこともない設計者に思いを馳せながら、このミステリーは幕を閉じました。
これにて、すべての謎が解決しました。
一件落着です。
終章:間取りのミステリー
いかがでしたか?
一級建築士を名乗っておきながら翻弄されてしまい恥ずかしい限りですが、
建築の図面の楽しみ方ってこういう感じだと思います。
勝手に想像して遊んでただけなんですけどね。
2次元の情報を頭の中で組み上げて、立体空間を想像してみる。
そうすると、意外とうまく繋がらなかったり、想像しきれないところがあるんですね。
不動産屋さんで見る間取り図は、平たく言えば今日出てきた平面図の簡易版です。
その図だけで立体を想像することの難しさが伝わったらいいなと思い、記事にしてみました。
郵便ポストを確認してみてください。
あなたの家にもミステリーが届いてるかもしれません。
今日も最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。