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    <title>いっちゃん</title>
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詩やエッセイ、掌編を書いています。
言葉にならなかった気持ちや、時間が経ってから見えてくるものを、日々の中から拾って書いています。

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    <copyright>いっちゃん</copyright>
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      <title>ただの娘でいたかった</title>
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      <description><![CDATA[<p name="82BF045C-85FE-45F9-891D-98A842E8A326" id="82BF045C-85FE-45F9-891D-98A842E8A326">私は、もともと看護師になりたかったわけではない。<br><br>就職氷河期だった。<br><br>母に、<br><br>「手に職をつけたほうがいい」<br><br>と言われ、看護の道に進んだ。<br><br>どうせなら使える資格は取っておこうと思い、看護師だけでなく、保健師や養護教諭の資格も取った。<br>強い使命感があったわけでもない。<br>子どものころからの夢だったわけでもない。<br><br>それでも卒業すれば、私は新人看護師になった。<br><br>「勉強してきてね」<br><br>プリセプターに言われ、家に帰れば疾患について勉強した。<br>患者さんには病気だけでなく、これまでの人生がある。<br>そんな背景にまで、頭は回らなかった。<br><br>「看護とは何か」を考える以前に、目の前の業務を覚え、こなすことで精いっぱいだった。<br><br>先輩たちには、いろんな人がいた。<br><br>天使みたいだけど、ちょっとそそっかしい人。<br>患者さんには笑顔なのに、私には一ミリも笑いかけてくれない人。<br><br>仕事のことで先輩に聞きたいことがあっても、疲労と緊張で声すら出なかった。<br><br>「何を考えているかわからない新人」<br><br>自分がそう見られているのを、肌で感じていた。<br><br>一番しんどかったのは、夜勤だった。<br>人が眠っている時間に起きたまま、十六時間働く。<br>そんな生活そのものが、私にはカルチャーショックだった。<br>夜勤の日は、睡魔と緊張で食事もとれなかった。<br>なぜか私が夜勤をした翌朝には、点滴が漏れている患者さんがいた。<br><br>まただ。<br><br>どうして私は、こんなことにも気づけないんだろう。<br>向いていない。<br>早く辞めよう。<br>そんな思いが、少しずつ大きくなっていった。<br><br>そんなころ、母からの電話で父が病気になったことを知った。<br><br>父は、早くに両親を亡くしていた。<br><br>「兄弟で助け合ってきた」<br><br>と、よく話していた。<br>早くから働き、弟の学費も出していた。<br><br>何でも自分で決めて、自分でする人だった。<br>だからか、母や子どもには上から目線の言動をしがちだった。<br>弱いところを見たことがなかった。<br>母は、<br>「お父さんが決めてくれるから」<br>と言い、我が家の大きなことは、ほとんど父が決めていた。<br><br>患者さんの病気なら、仕事として向き合える。<br>でも、父となると話が違った。<br>医療を知っているからこそ、予後を想像してしまう。<br>父が病気になり、変わってしまった未来が怖かった。<br><br>医療のことをあまり知らない姉や弟が、羨ましかった。<br>病院では、患者さんや家族に、<br>「きついですね」<br>「つらいですね」<br><br>と声をかけていた。<br><br>けれど家に帰れば、自分が家族だった。<br><br>一人暮らしの寮に帰っても、迎えてくれるのは、脱ぎっぱなしにしたパジャマだけだった。<br><br>友人の好きな人の話を聞くことさえ、苦痛になった。<br>そんなことで悩めて羨ましい。<br>その友人には、もう会いたくないとさえ思った。<br><br>職場では、自分の仕事すら満足に回せない半人前だった。<br>それなのに家族からは、<br>「看護師だから、先生の説明がある日は来て」<br>と言われた。<br><br>父のしんどさより、自分のしんどさのほうが、そのころの私には大きかった。<br><br>父や家族を支えることより、自分がどうやって明日も仕事に行けばいいのか。<br>それさえ、わからなかった。<br><br>看護師だから？<br><br>いや、なりたくてなったわけじゃない。<br><br>なのに資格だけは、立派に取りそろえている。<br><br>もしかしたら父や母には、一人暮らしをして看護師として働いている私は、「ちゃんとした娘」に見えていたのかもしれない。<br><br>父の手術の日、搬入時間が早まった。<br><br>手術室へ向かう前、十分に声をかけることができなかった。<br><br>父の顔は、こわばっていた。<br><br>その日の夜、私と母は病院に呼び出された。<br><br>父が、せん妄になったのだ。<br><br>病衣を着た父は、手足を看護師さんたちに押さえられていた。<br>父の身体からは、ドレーンや点滴のルートが何本も伸びていた。<br>視線が合わない。<br>表情は虚ろで、目が白く濁って見えた。<br>私と母の顔を見ても、すぐには私たちだとわからなかった。<br>母が、<br><br>「お父さん、怖かったね。一人で頑張ったね」<br>と声をかけ、腕をさすった。<br>しばらくして、ようやく目の焦点が合った。<br><br>私は何も言えず、父の目をまっすぐ見ることができなかった。<br><br>数日たち、歩けるようになったころ、父はさっそく担当の看護師さんに言った。<br><br>「娘は看護師なんです」<br>「点滴の種類もわかるよ」<br><br>看護師さんは笑って、<br><br>「娘さんが看護師さんなら、よかったですね」<br><br>と言った。<br><br>悪気がないことは、わかっていた。<br><br>そういうことは、その後も何度か言われた。<br>でも、そのたびに思った。<br>何がよかったんだろう。<br>私は、全然よくなかった。<br>なんで父は勝手に、私が看護師だって言うんだろう。<br>職場では、できそこないの新人看護師なのに。<br><br>ここでは、ただの娘でいたいのに。<br><br>父の点滴の滴下を見ながら、私はぎこちなく笑った。<br><br>結局、私は三年目で看護師を辞めた。<br><br>父の病気だけが理由だった、とは思わない。<br>でも辞めるとき、私は父の病気を理由にした。<br>看護師という仕事を好きなのか、嫌いなのか。<br>それすら、まだよくわかっていなかった。<br><br>看護師でなくなれば、ただの娘として父の病気に向き合える。<br><br>あのころの私は、そう思っていたのかもしれない。<br><br>二十年たった今、あのころの父と自分を思い返す。<br><br>父は、ほとんど弱音を吐かなかった。<br><br>ただ一度、夜中に一人でリビングに座り、ぼーっとテレビを見ている父を見たことがある。<br><br>「眠れない夜もあるんだよ」<br><br>私が声をかけると、ぽつりと言った。<br><br>それ以上、何と声をかければいいのかわからなかった。<br><br>私も、本音を友人たちや家族に言えなかった。<br>看護師が嫌だと言っていた。<br><br>でも、それだけじゃなかった。<br>周りから「看護師だから」と頼られることが嫌だった。<br><br>あのころは、気づかなかった。<br>私たちは、少し似ていたのかもしれない。<br><br>今なら、あのときの父が、どれほど不安で、怖かったのか。<br>もう少しだけ、想像できる気がする。<br><br>そして、あのとき看護師を辞めた私も、しょうがなかったのかもしれないと思える。<br><br>そのときは、もう看護師に戻るつもりなんてなかった。<br><br>なぜか私は今、あれほど嫌だった看護師をまだしている。<br><br></p><br/><a href='https://note.com/clever_camel739/n/n571662cd2d8a'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>いっちゃん</note:creatorName>
      <pubDate>Wed, 07 Oct 2026 22:46:55 +0900</pubDate>
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      <title>誰かの誕生日</title>
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      <description><![CDATA[<p name="C93385F9-05BE-4915-99E2-4F1469212B87" id="C93385F9-05BE-4915-99E2-4F1469212B87"><br><br>中学校から、バス通学になった。<br><br>真新しいセーラー服を着て、眠い目をこすりながらバスに乗り込む。<br><br>なぜか、下級生は座ってはいけないという暗黙のルールがあった。<br>たった15分のバス通学だった。<br>その時間になると、必ず流れるラジオ番組があった。<br>その日、誕生日を迎えた人へのメッセージが読まれ、その人の好きな曲が流れる。<br>保育園の先生から園児へ。<br>父から娘へ。<br>恋人へ。<br>10分ほどの短い番組だった。<br><br>転校生だった私は、正直、バスに乗るのが嫌だった。<br>学校に着けば、痛くなるお腹を抱えて、愛想笑いをしなきゃならない。<br><br>そんな私にとって、ラジオから流れる明るいハッピーバースデーのメッセージは、最初はただのノイズだった。<br><br>バスの窓から見える田んぼの青い稲が、風になびく頃、私は吹奏楽部に入った。<br>できたばかりの吹奏楽部。<br>ほとんどが、楽器を触ったことのない人たちだった。<br><br>私は金管楽器に憧れていたけれど、小柄だったからか、クラリネットに配属された。<br>新品の、黒くてつやつやしたクラリネット。<br>リードを口にくわえると、木の味がした。<br><br>クラリネットは手強かった。<br>最初は、音すら出なかった。<br>出たとしても、音色というより、ヤカンのお湯が沸いたような音だった。<br>それでも、同じ部活の子たちとは少しずつ話せるようになった。<br>最初はとても怖かった先輩からも、髪型が白玉団子に似ているという理由で、「白玉」と呼ばれるようになった。<br><br>ヤカンみたいな音しか出せない私は、経験者の先輩が吹く音色をよく聞いた。<br>どうしたら、あんな柔らかい音が出せるんだろう。<br>うまく音が出せなくて、何度もリードを噛みしめた。<br>それでも、少しずつ音は出るようになった。<br><br>気がつけば、朝のバスに乗ることも、前ほど嫌ではなくなっていた。<br>相変わらず教室では、愛想笑いしかできなかったけれど、部活では仲間と笑い合うことができるようになった。<br><br>自分の音だけを聞いていても、ひとつの曲にならなかった。<br>ほかの人の音を聞いて、合わせる。それが難しくて、楽しかった。<br><br>朝のラジオから流れる、誰かへのハッピーバースデーのメッセージ。<br>流行の曲が流れる日もあれば、童謡が流れる日もある。<br><br>いつの間にか私は、<br>「今日は誰の、どんな曲が流れるんだろう」<br>と思うようになっていた。<br><br>田んぼの稲はすっかり刈られ、セーラー服の首元にマフラーを巻くようになる頃、私はようやく一曲を通して吹けるようになった。<br><br>私の誕生日の朝。<br><br>ラジオからは、いつもと変わらず、誰かを祝うメッセージが流れていた。<br>バスに揺られながら、同じ誕生日の知らない誰かを心の中で祝って、流れてくる曲を小さく口ずさんだ。<br><br>バスを降りると、田んぼは真っ白な霜に覆われていた。<br><br></p><br/><a href='https://note.com/clever_camel739/n/n7f6f8a6600ac'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>いっちゃん</note:creatorName>
      <pubDate>Mon, 05 Oct 2026 06:21:29 +0900</pubDate>
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      <title>生まれた日　【シロクマ文芸部】</title>
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      <description><![CDATA[<p name="A940CA02-1D09-4FB6-86E3-B55D67DFCF14" id="A940CA02-1D09-4FB6-86E3-B55D67DFCF14"><br>生まれた日はもう覚えてない。<br><br>初めてだった。<br><br>いつもの帰り道で偶然、<br>隠されたコインをみつけてしまった瞬間。<br><br>あなたの顔を見て<br>その目の中に住みたくなった。<br><br>わたしの中の水は<br>重力に逆らえなくなる。<br><br>深海の魚が知るはずもない光を見るように<br>あなたの背中をさがした。<br><br><br></p><br/><a href='https://note.com/clever_camel739/n/nf0ab052b38e7'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>いっちゃん</note:creatorName>
      <pubDate>Sun, 04 Oct 2026 19:42:02 +0900</pubDate>
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      <title>道草</title>
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      <description><![CDATA[<p name="160cd5eb-95e7-4890-b55f-7312f2982285" id="160cd5eb-95e7-4890-b55f-7312f2982285">橙子とは、小学生の頃からの付き合いだ。<br>一人っ子で、YouTubeが好きで、<br><br>「これさ、私、流行る気がする」<br><br>と、見つけたものをすぐに教えにくる。<br><br>中学生になってからは、YouTubeの話だけじゃなく、クラスの男の子のことや、担任の先生の愚痴、進路のことなんかも話すようになった。<br><br>今日は、公園の隣にあるカフェで道草をしていた。<br>橙子のスマホが鳴る。<br>「あ、ママからだ。『18時30分の電車に乗ります』だって」<br><br>そう言って、橙子はまたスマホを触る。<br><br>「パパにLINEしとこ。ご飯炊いといてって」<br><br>橙子のスマホカバーには、スワロフスキーみたいなキラキラしたデコレーションがついている。<br>私はそれを見るたび、なんとなく安心する。<br><br>橙子のパパは、少し前に入院していた。<br>詳しいことは知らない。<br>ただ、その頃、橙子が髪の毛を指にくるくる巻きつけながら、<br>「ママがちょっと焦ってた。初めて見た」<br>と、ぽつりと言ったことを覚えている。<br><br>橙子のママには、何度か会ったことがある。<br>私は、けっこう面白い人だと思っている。<br>進路の話になったときも、<br>「私が決めることじゃないでしょう。橙子が自分で決めること。私は、決めた道を後押しするだけ」<br>と、さらっと言った。<br><br>橙子は最近、ヘアメイクの仕事が気になるらしい。<br>「私さ、天パで苦労したし。誰かをきれいにしたり、きれいなもので飾ったりするの、楽しそうじゃない？」<br>橙子らしいと思った。<br>私はまだ、何も決められない。<br>だって、将来のことなんてわからない。<br>自分が何を好きなのかだって、はっきりしない。<br>「由美はさ、わからなさがいいんだよ」<br><br>橙子が言う。<br>「最初から答えなんかないじゃん。とりあえずやってみないとわかんないし」<br>それから、少し笑った。<br><br>「今はまだ、人生のはじまりじゃん。ウチら」<br>橙子の背中を見る。<br><br>私は、橙子が持ってくる新しい情報より、その裏側を覗くほうが好きだった。<br>ストローで、オレンジジュースの氷をカランと回す。<br><br>「由美、帰ろう。パパから連絡きた」<br>「なんて？」<br>「米の場所がわからないって」<br>「橙子さあ、パパ教育したほうがいいよ」<br>橙子が笑う。<br><br>あと何回、こうして道草できるんだろう。<br>私はサンキャッチャーに頭がつかないよう、少し屈んで店を出る。<br><br><br>※連作短編『ヒカリモノ』の第四編です。<br><a href="https://note.com/clever_camel739/n/nba4bdef7b04d" target="_blank" rel="nofollow">第一編　「背中の虹」</a><br><a href="https://note.com/clever_camel739/n/nd21d5d02d3eb" target="_blank" rel="nofollow">第二編　「カラスの娘」</a><br><a href="https://note.com/clever_camel739/n/nc57b5782b16e" target="_blank" rel="nofollow">第三編　「桜色の小瓶」</a></p><br/><a href='https://note.com/clever_camel739/n/nd48ef8a0f5c1'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>いっちゃん</note:creatorName>
      <pubDate>Fri, 02 Oct 2026 20:37:08 +0900</pubDate>
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      <title>10月</title>
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      <description><![CDATA[<p name="27798E8B-6860-4946-B7AF-2B1F0055223B" id="27798E8B-6860-4946-B7AF-2B1F0055223B">彼岸花枯れたその脇栗が落ち<br>隣の部屋の黄色の毛布<br></p><p name="2039BFA6-4BE2-4CBD-8B15-E8BDD1E711A5" id="2039BFA6-4BE2-4CBD-8B15-E8BDD1E711A5"><br>隣の家に黄色い毛布が干されているのを見て、浮かんだ歌です。<br><br></p><br/><a href='https://note.com/clever_camel739/n/n9a502ae33d5d'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>いっちゃん</note:creatorName>
      <pubDate>Thu, 01 Oct 2026 16:54:05 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/clever_camel739/n/n9a502ae33d5d</link>
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      <title>桜色の小瓶</title>
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      <description><![CDATA[<p name="50EC02F2-C15E-41B9-8AC5-32A4FAFA05F4" id="50EC02F2-C15E-41B9-8AC5-32A4FAFA05F4"><br>橙子が言う。<br><br>「あたし、絶対カラスの娘だよ。<br>じゃなきゃ、こんなにヒカリモノに惹かれないよ」<br><br>生後三か月の健診で、腹這いの姿勢から一人だけすっくと首を持ち上げて、周りをきょろきょろしていた。<br><br>保健師さんに、<br>「好奇心旺盛なんですね」<br>と言われたことを、今でも思い出す。<br><br>あれから十年以上たち、今では目線がほとんど同じになった。<br><br>橙子が好きなカフェがある。</p><p name="81C15C53-B182-4FA3-A14E-24379C611A13" id="81C15C53-B182-4FA3-A14E-24379C611A13">今日はカフェまで、電車で来た。<br>夫が、「送るよ」<br>と言ってくれたが、あの人の運転する車に乗ると、私はいつも車酔いしてしまう。<br><br>私はそこで、サンキャッチャーというものを知った。<br>光を浴びて、小さな虹を空間に生み出す。<br><br>橙子はすぐに欲しがった。<br>「必要ないでしょう。そんなのつけて、何になるの」<br><br>仕事は、責任が増えれば増えるほど面白い。<br>橙子と初めてそのカフェに行った頃、私は管理職になった。<br>コーヒーを飲みながら、サンキャッチャーがつくる虹を見つめる。<br>明日の仕事の段取りや、一か月後が締め切りの資料について、ぼんやりと考えていた。<br><br>橙子は、目を輝かせながら窓辺に吊るされたサンキャッチャーを見ている。<br>コーヒーを飲んでも、頭痛は治らなかった。<br>いつも持ち歩いている鎮痛剤をポーチから出して、口に運ぶ。<br>早く家に帰って、明日の準備をしなければ。<br><br>次の日の朝。<br><br>橙子を学校へ送り出したあと、自分の支度を始める。<br>化粧は、武器なのだ。<br>目の下のクマ。<br>小鼻の赤み。<br>丁寧にコンシーラーで隠して、赤いリップを塗る。<br>そうすると、少しだけ守られている気がする。<br><br>桜色の小瓶を手に取る。<br>つけようか、迷う。<br>この香水は、偶然見つけた。<br><br>橙子だと思った。<br><br>五月に生まれた橙子。<br>葉桜の横で、蜜柑の白い花が咲いていた。<br>あの時の日差しの匂い。<br><br>でも、今日はつけないことにした。<br>赤いリップが、顔から浮いているのがわかったからだ。<br><br>※連作短編『ヒカリモノ』の第三編です。<br><a href="https://note.com/clever_camel739/n/nd21d5d02d3eb" target="_blank" rel="nofollow">第二編「カラスの娘」こちら</a><br><a href="https://note.com/clever_camel739/n/nba4bdef7b04d" target="_blank" rel="nofollow">第一編「背中の虹」こちら</a></p><br/><a href='https://note.com/clever_camel739/n/nc57b5782b16e'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>いっちゃん</note:creatorName>
      <pubDate>Tue, 29 Sep 2026 20:36:01 +0900</pubDate>
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      <title>カラスの娘</title>
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      <description><![CDATA[<p name="7679F013-1B30-48EF-AC2F-133EA7216F10" id="7679F013-1B30-48EF-AC2F-133EA7216F10"><br>あたしは、カラスの娘だ。<br><br>だって、そうじゃなきゃ、なんでこんなにヒカリモノに惹かれるのかわからない。<br>ママは、<br>「そうかもね」<br>と、別に興味もなさそうに言う。<br><br>ママとたまに行く、公園の近くにあるカフェ。<br>味は普通だけど、そこにはたくさんのサンキャッチャーがある。<br>おひさまの光が反射して、小さな虹をつくる。<br>あのキラキラが見たくて、あたしはママに、<br>「また行きたい」って言う。<br><br>窓辺には、たくさんのサンキャッチャー。<br>爪には、本物の宝石がついたネイル。<br><br>そんなキラキラしたものに囲まれた部屋で暮らしたい。<br><br>YouTubeを見て、流行っているものを探して、学校のみんなに広めるのも好きだ。<br><br>ママは、<br>「何がおもしろいの」<br>って、不機嫌な顔で言う。<br>あたしから見たら、ママって何が楽しいのかなって思う。<br><br>ネイルも、キラキラしたものも興味がない。<br>「仕事だからしょうがない」<br>って言うけど。<br>お休みの日くらい、ネイルすればいいのに。<br>パパからもらった指輪くらい、つけたらいいのにな。<br><br>あたしがYouTubeで知ったことを教えてあげると、ママは、<br>「嘘の情報かもしれないでしょう。自分で確かめなさい」<br>と言う。<br>面白いから教えてあげただけなのに。<br><br>あたしは思う。<br>本当に、ママの子なのかなあ。<br><br>ママに似ているのは、雨が降る前になるとすぐクルクルする、天然パーマの髪くらいだ。<br><br>ママがいない日に、ママの部屋にこっそり入るのが好きだ。<br>お仕事の本が並んでいる本棚。<br>黒や白の服が多いクローゼット。<br>その中でも、あたしはお化粧品が並んでいる棚を見るのが好き。<br><br>ママは、意外とたくさんお化粧品を持っている。<br>「身だしなみを整えることは、マナーの一つ」<br>って、ママなら面白くなさそうに言うんだろうな。<br><br>でも、よく見ると、リップは違う色のものが何本もある。<br>香水の瓶も並んでいる。<br>その中に、一つだけ気になる瓶がある。<br><br>桜色で、花びらみたいな形。<br>まあるくて、陽に当たると虹ができる。<br><br>「ママ、あの香水の瓶、使い終わったらちょうだい」<br>「いいけど。あまり使わないから、まだまだ先よ」<br>ママは、少し笑って答えた。</p><p name="989CA7FF-3AB1-49F7-9B63-EBF44FCE3C2E" id="989CA7FF-3AB1-49F7-9B63-EBF44FCE3C2E"><br><br>※連作短編『ヒカリモノ』の第ニ編です。<br><a href="https://note.com/clever_camel739/n/nba4bdef7b04d" target="_blank" rel="nofollow">第一編　「背中の虹」はこちら</a></p><br/><a href='https://note.com/clever_camel739/n/nd21d5d02d3eb'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>いっちゃん</note:creatorName>
      <pubDate>Sun, 27 Sep 2026 20:33:41 +0900</pubDate>
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      <title>背中の虹</title>
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      <description><![CDATA[<p name="804062CF-D557-445E-A14A-7A9CAEC0A3BD" id="804062CF-D557-445E-A14A-7A9CAEC0A3BD">なんか、ヒカリモノが増えている。<br><br>家に帰ってきた時、風鈴の横に何かぶら下がっているのが気になった。<br><br>キッチンにいる真奈美に声をかけた。<br><br>「ああ、あれ？<br>橙子が欲しいって。サンキャッチャー。<br>なんかキラキラしてるから」<br><br>面白くなさそうな声がした。<br><br>ああ、やっぱり。<br>橙子だろうと思った。<br>去年くらいから、俺と一緒に出かけることを渋り始めた。<br><br>「もう、おまけは欲しくない」<br><br>そう言って、あんなに好きだったハンバーガーショップにも行きたがらなくなった。<br>目は俺に似ているが、すっと細い顎と、短い髪が似合うところは真奈美によく似ている。<br><br>真奈美は最近、<br><br>「何かを足すより、引いたほうが身体にいい気がして」<br><br>と言って、俺が好む揚げ物や、こってりした味付けのおかずを作らなくなった。<br><br>確かに体調は良くなった。<br><br>でも、たまには胃がなんとなく寂しくなる。<br><br>唐揚げが無性に食べたくなる。<br><br>橙子と真奈美が行くカフェには、俺も一度行ったことがある。<br><br>橙子が好きそうだなと思った。<br>自分が何を食べたのかは思い出せない。<br><br>ただ、ヒカリモノの中で橙子が嬉しそうにパフェを食べていたことは覚えている。<br><br>真奈美はコーヒーを飲みながら、ぼんやりと窓の外を見ていた。<br><br>俺は落ち着かなかった。<br>陽に当たるヒカリモノ。<br>小さな虹たち。<br><br>真奈美は最近、指輪をつけない。<br>　<br>「サイズが合わなくて。それに、汚したくないし」<br><br>そんなことを悪びれもせず言う。<br><br>付き合っていた頃から、あまり愛想がなかった。<br>ただ、笑った瞬間、目がきらっとする。<br>俺はその瞬間をずっと見たくて、真奈美のそばにいたくなった。<br><br>ビールを飲むと、そのままリビングで寝てしまう。<br>昨日も橙子の星座の話を、最後まで聞けなかった。<br><br>「なんて言ったっけ。このヒカリモノ」<br><br>「サンキャッチャー。太陽の光を反射すると、たくさん虹ができるのよ」<br><br>虹か。<br><br>俺はビールを取りにキッチンへ向かう。<br>真奈美の背中に、小さな虹ができていたのを見つけた。</p><p name="C8743307-4156-48FC-B219-F23623F5F5D2" id="C8743307-4156-48FC-B219-F23623F5F5D2"><br><br>※連作短編『ヒカリモノ』第一編<br><a href="https://note.com/clever_camel739/n/nd21d5d02d3eb" target="_blank" rel="nofollow">第二編「カラスの娘」こちら</a></p><br/><a href='https://note.com/clever_camel739/n/nba4bdef7b04d'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>いっちゃん</note:creatorName>
      <pubDate>Sat, 26 Sep 2026 22:11:05 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/clever_camel739/n/nba4bdef7b04d</link>
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      <title>月を見る【シロクマ文芸部】</title>
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      <description><![CDATA[<p name="77952489-E7C2-4A4D-B024-4BAE68614091" id="77952489-E7C2-4A4D-B024-4BAE68614091"><br><br>「気をつけて」<br><br>学童の先生の声をランドセルの背中に受けながら、僕は暗くなりかけたいつもの道を急ぐ。<br>振り返ると、学童の窓の明かりは消えていた。<br><br>「翔太、頑張ろうね」<br>ふいにお母さんの声が聞こえる。<br><br>お母さんは、今日も残業なんだろう。<br>すっかり慣れっこになった、誰もいない家。<br><br>僕は、靴を脱ぎ、踵の向きを揃えた。<br><br>電気をつけると、イシガメの亀吉が気配を察して、暴れ出す。<br><br>「わかったよ、ちょっと待って」<br><br>亀吉は僕が一年生の頃、近所のおじいさんがくれた。田んぼに迷い込んでいたらしい。<br><br>去年までは、亀吉の世話はお父さんの仕事だった。<br><br>今は月に一度しか会えないけど、会うと必ず、<br>「亀吉は元気か」と最後に言う。<br>僕は亀吉の口にピンセットでエサを運ぶ。<br><br>お腹がクウとなる。<br>お母さんはまだ帰ってこなかった。<br><br>「残業したくないんだけど、翔太も頑張ってるから、私も頑張らないと」<br>とお母さんは言う。<br><br>頑張らないと。<br>お腹をさすり、反射的に僕も呟く。<br><br>冷蔵庫には、卵、ハム、牛乳、ネギ。<br>僕は戸棚から、インスタントラーメンを取り出す。<br><br>ヤカンに火をかけ、すっかりお腹が膨れて甲羅干しをしている亀吉に目をやる。<br>あの甲羅に乗って、どこかに行けたらいいのに。<br><br>その瞬間、ヤカンが鳴った。<br><br>ラーメンを丼に移す。<br><br>少し乾いた麺が飛び出した。僕は構わず拾って、亀吉にやる。<br>こんなこと、お母さんの前では絶対できない。<br><br>「翔太、世の中には食べられない人もいるのよ。粗末にしたらいけない」<br><br>お母さんはいつも正しい。<br>お母さんは時々、帰ってきてビールを飲みながら、誰かに泣きながら電話していた。<br><br>正しいことをしたって、泣くんなら、たまにはしなくてもいいじゃないか。<br><br>亀吉を迎えにこないお父さんにも、時々腹がたつ。<br>亀吉が好きならずっと一緒にいたら良かったんだ。<br><br>丼の中に、卵を一個落とし、お湯をかけて蓋をする。<br><br>その間にネギを刻み、ハムを取り出す。<br><br>今日は豪華版にしよう。<br>3分経って、蓋を開ける。<br>ネギを散らして、ハムをのせる。<br><br>丼の中に月がいる。<br><br>僕は湯気の中で卵をつついた。<br>食べ終わり、亀吉を見る。<br>満足そうに窓の外を見ている。<br><br>すっかり乾いて、白くなった甲羅に<br>真ん丸い月がのっていた。</p><br/><a href='https://note.com/clever_camel739/n/n5eab742c5aed'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>いっちゃん</note:creatorName>
      <pubDate>Fri, 25 Sep 2026 07:27:56 +0900</pubDate>
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      <title>アセンダントの贈り物</title>
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      <description><![CDATA[<p name="1348CDC2-2F3B-404D-8598-99937B24EC58" id="1348CDC2-2F3B-404D-8598-99937B24EC58"><br><br>ホロスコープに興味を持ったのは、コロナ禍の頃だった。<br><br>自分の先行きがどうしてもわからなくて<br>ホロスコープ鑑定をしてもらった。<br>そのなかで、人には太陽星座、月星座があり<br>アセンダント星座もその人を形づくる<br>大切な要素であることを知った。<br><br>私はアセンダント魚座。<br><br>占星術では、アセンダントは外見などにも反映されるという。<br>ちょっとおっとり、ふわっとした外見などと書かれていることが多い。<br><br>私は自分が真面目でどちらかというと完璧主義。<br>そして甘え下手なことをよく理解している。<br>たしかに、自分がおっとりとした、癒し系の外見に見えるらしいことには気づいていた。<br><br>アセンダントという言葉を知り、私は腑に落ちた。<br>そうか、私の外見は、星の配置で表れていたのか。<br><br>見た目と中身のギャップで<br>若い頃からあまりいい思いはしてこなかった。</p><p name="2580992E-FD29-4BF8-BF95-AECDB1E497F7" id="2580992E-FD29-4BF8-BF95-AECDB1E497F7">なぜ、自分はこんな見た目なんだろう。<br>なぜ、本当の自分との違いに苦しむのだろう。<br><br>優しそう、いい人そう。<br>初対面ではかなりの確率で好印象。<br>知らない人から道を聞かれたことは、何十回あっただろうか。<br><br>傍から見たら<br>「第一印象いいっていいじゃん」と言われてきた人生だった。<br><br>でも、そのぶんしんどくなることも多かった。<br>頼られる。話を聞かされる。なぜか期待される。<br><br>この人ならわかってくれるだろう、拒まれないだろう。<br>この人になら秘密を話せる。感情をぶつけても受け入れてくれる。<br>ある意味、嬉しかった。自分を頼ってくれる人がいることは。でも、だんだんとキツくなっていった。<br>人の感情を受け入れ続けることが。それを当然のように期待されることが。<br>ちがうのに。<br>本当は毒舌だし、世の中の不条理に怒ることだってある。<br>でも、そんな自分を隠すことが多かった。<br>それでも、周りが求めている自分を崩したくなかった。<br><br>いい人に見られたい、癒し系でいたい。<br>社会でも、家庭でも、地域でも。<br>いろいろなコミュニティのなかで、アセンダントの仮面をかぶり、いわゆる『いい人』にみえることは、ある意味では過ごしやすかった。<br><br>こんなことを言ったら変に思われるだろうか。イメージと違うと思われて、嫌われたらどうしよう。<br>心の底では、誰にも嫌われたくないと思っていたのだろう。<br><br>嫌われてもいい、もっと自分を出したい。<br>そう思うきっかけの一つもホロスコープだった。<br>自分の星の配置を知るうちに、なぜ自分がこんな思いを抱きやすいのか、どこか納得できるようになった。<br><br>真面目な自分、責任感のある自分<br>不条理に怒る自分。嫉妬深い自分。<br>そういうのが私の偽らざる芯だと思えるようになってきた。<br><br>アセンダント魚座の自分を、そんなに嫌だと思わなくなっていた。<br>癒し系にみえて、実は毒が含まれている自分が少し好きになった。<br><br>アセンダントは出生時間がわからないと、はっきり特定できない。<br>私は自分の母子手帳で知った。<br>母がとっておいてくれたのだ。<br><br>アセンダントは一番最初の贈り物かもしれない。</p><br/><a href='https://note.com/clever_camel739/n/n7669592f3dc9'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>いっちゃん</note:creatorName>
      <pubDate>Wed, 23 Sep 2026 18:34:20 +0900</pubDate>
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      <title>マッチョ華道【毎週ショートショートnote】</title>
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      <description><![CDATA[<p name="8951491D-C1DB-4B0D-B903-5C1CC6233BEB" id="8951491D-C1DB-4B0D-B903-5C1CC6233BEB"><br><br>今日はたてるかたちです。<br><br>先生が言う。この華道教室に入って四ヶ月。僕は一つずつ華道のかたちを覚えている。まあ、先生の顔がタイプだったというのは余談だ。<br><br>先生は結構厳しい。「この枝いるかしら」「余白がないです」<br><br>ある日、先生に花展に誘われた。実質デートみたいなものか。僕は浮き足立つ。<br><br>会場に着くと、中心にまだ作品がない。<br>先生は言う。「あなたに花器になってもらいたい」<br><br>え？　頭が真っ白になる。<br><br>「その大腿二頭筋にこのユリを刺して、その大胸筋に珊瑚水木」<br>「あなたは才能があるの。花器の。私の目指す肉体といけばなの融合」<br><br><br>会場を見回すと、どの作品にも花器がなかった。代わりに花を生けられたマッチョたちが静かにポーズをとっていた。<br><br>僕はもう一度、花展の名前を見た。<br>「花展〜筋肉といけばなのマリアージュ」<br>僕はゆっくりシャツを脱いだ。</p><br/><a href='https://note.com/clever_camel739/n/ndc8146329cff'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>いっちゃん</note:creatorName>
      <pubDate>Tue, 22 Sep 2026 16:32:45 +0900</pubDate>
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      <title>父のコーヒー</title>
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      <description><![CDATA[<p name="9EAA6E3B-7AF4-40E7-B651-0EE52CEA4667" id="9EAA6E3B-7AF4-40E7-B651-0EE52CEA4667"><br>母が入院した。<br>足の炎症で、入院は二週間ほどになりそうとのこと。<br><br>私はため息を吐いた。<br><br>母のことではない。<br>入院中は衣食住の心配もないし、こまめにLINEもしてくる。病状は気にかかるが、ひとまず大丈夫だろう。<br><br>問題は父だ。<br><br>後期高齢者ど真ん中の父。<br>正直、台所に立ったところを見たことがない。<br><br>大病を何度か経験しており、<br>「俺は、何回も死にかけた」<br>と、武勇伝にいとまがない。<br><br>母が入院して三日後、私は貴重な休みを使い、父の様子を見に行った。<br><br>案の定、コンビニやインスタントもので済ませている。<br><br>棺桶に片足突っ込んでいる父には、ちょっと塩分が気になる食生活だ。<br><br>私はチャッピーに聞いた。<br><br>高齢者向けの薄味のおかずを参考に、<br><br>夏野菜のラタトゥーユ<br>かぼちゃの煮物<br>鶏の酢煮<br><br>を作って持っていった。<br><br>父は嬉しそうだった。<br><br>一緒にラーメンを食べ、メジャーリーグ中継を見た。<br>翌日、母に届ける荷物もつくった。<br><br>また様子を見にこなきゃな、と思っていたそのとき。<br><br>「おい、コーヒーをいれてくれ」<br><br>実家のコーヒーメーカーとコーヒー豆。<br><br>コーヒーメーカーの使い方も、豆のありかも父は知らない。<br>私も機械を前にしてみたが、さっぱりわからない。<br><br>「いつも母ちゃんが淹れとったから」<br><br>「なんでお父さん知らないのよ。私が淹れられるわけないでしょ。インスタントで我慢して」<br><br>とピシャリと言って、たっぷりとインスタントコーヒーを淹れてあげた。<br><br>「やっぱり、コーヒーメーカーで淹れたほうがいいな」<br><br>父がポツリと言ったが、私は聞こえないふりをした。<br><br>このコーヒー淹れられない事件を、さっそく母にLINEした。<br><br>母からは、<br><br>「あー、私が全部しとったからねぇ」<br><br>と、なんだか申し訳なさそうな返事がきた。<br><br>しばらくして母が退院した。<br>私はまた実家へ様子を見に行った。<br><br>母が淹れたコーヒーを、父はゆっくり美味しそうに飲んでいた。<br><br>その二人を見ながら飲んだコーヒーは、やけに苦かった。<br><br>ところが、母の足はまた悪くなり、再入院になった。<br><br>私は二度目の大きなため息をついた。<br><br>また薄味を心がけたおかずを持って父を訪ね、一緒に昼食を食べた。<br><br>「おい、コーヒー飲むか？<br>俺が淹れてやる。母ちゃんに聞いといた」<br><br>少し誇らしげな父の背中を見ながら、<br>私は父が淹れてくれるコーヒーの味が妙に気になった。</p><p name="621E4BEE-0A39-4B35-881D-DEEDD62636F9" id="621E4BEE-0A39-4B35-881D-DEEDD62636F9"><br>数ヶ月後。<br>姉家族、私家族が集う秋の日。<br>母が淹れたコーヒーをのみながら、<br>「俺が、淹れたコーヒーのほうがうまいからな」<br>と、父が言う。</p><br/><a href='https://note.com/clever_camel739/n/n76b7893e27c6'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>いっちゃん</note:creatorName>
      <pubDate>Mon, 21 Sep 2026 21:24:16 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/clever_camel739/n/n76b7893e27c6</link>
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      <title>いとをかし</title>
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      <description><![CDATA[<p name="063B906D-172A-4D01-B472-2D1B6062345D" id="063B906D-172A-4D01-B472-2D1B6062345D"><br><br>ちいかわのくりまんじゅうをみると<br>君を思い出す<br><br>眉間に皺をよせ、「これ、あまり美味しくない」<br>と言ってる顔<br><br>サモエドの白いふさふさをみると<br>君を思い出す<br><br>いつも朝一時間かけて<br>天パの髪と真剣に戦っている顔<br><br>いとをかし<br><br>いとをかし</p><p name="761E5DD9-6E41-4ED6-AC0F-17EC4F97215E" id="761E5DD9-6E41-4ED6-AC0F-17EC4F97215E"><br></p><br/><a href='https://note.com/clever_camel739/n/nb2d84cea6433'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/279494226/profile_b917722f8260da7f76bfa8a36f1cdeb5.png?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>いっちゃん</note:creatorName>
      <pubDate>Sun, 20 Sep 2026 19:33:57 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/clever_camel739/n/nb2d84cea6433</link>
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      <title>明日の朝日を見るまで</title>
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      <description><![CDATA[<p name="453074B0-755E-4A71-96BA-639F6518D367" id="453074B0-755E-4A71-96BA-639F6518D367"><br>ひとり、またひとりと消えていく<br><br>最後の電気が消えた<br><br>スーパーの陳列棚には<br><br>明日の朝日を見るまで<br>眠りにつく洗剤たち<br><br>まだまだ話したい牛乳たち<br><br>隅で震えている豆腐たち<br><br>ひとりでも平気な鰹節パック<br><br>常夜灯の灯りをたよりに<br>みんなで朝を待とう<br><br>店の前の信号が<br>赤く点滅している<br><br>猫が悠々と<br>横断歩道をわたっている</p><br/><a href='https://note.com/clever_camel739/n/n0d9de05b413d'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>いっちゃん</note:creatorName>
      <pubDate>Sun, 20 Sep 2026 00:07:28 +0900</pubDate>
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      <title>待つ時間　【シロクマ文芸部】</title>
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      <description><![CDATA[<p name="4D25F3A7-C210-4825-832B-9A9C765143E6" id="4D25F3A7-C210-4825-832B-9A9C765143E6"><br><br>同じだったの、生まれたときは。<br><br>あなたと私はこんなに似ているのに<br>なんで中身は違うのかなって。<br><br>あなたには<br>全てを生み出すことができるのに<br>熱の中で私は全てを焼き切ってしまう。<br><br>夕暮れも、朝霞も、熱帯夜も、霜の朝も<br>何かが生まれ、死んでいくことも<br>私はいつもみているの。<br><br>でも待ってるね。<br><br>最近あなたもゆっくり私に近づいている気がして。<br>あと何億年か後には私そっくりになっているかもね。<br><br>キレイでしょう？私の硫酸で覆われた姿。<br>それまで私はあなたの<br>1番星としていつも現れるから。<br></p><br/><a href='https://note.com/clever_camel739/n/n1f4e26c41ac7'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>いっちゃん</note:creatorName>
      <pubDate>Fri, 18 Sep 2026 17:15:51 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/clever_camel739/n/n1f4e26c41ac7</link>
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      <title>朝五時の弁当屋</title>
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      <description><![CDATA[<p name="B7389BC5-B560-407B-A685-2F4498FBC9BA" id="B7389BC5-B560-407B-A685-2F4498FBC9BA"><br><br>少しずつ朝起きるのが苦じゃなくなってきた四月、弁当屋は開店する。<br>冬の間は、寒すぎるのと、店主のあかぎれがひどくなるため、どうしても閉店しがちだ。<br><br>卵焼きは店主の担当だ。<br>こだわりの白だしの比率があるらしい。<br>助手の私は、黙って冷凍ブロッコリーを冷凍庫からとりだし、卵焼きを受けとるための皿を準備する。<br>店主は何も言わずに、卵焼きを皿に移す。<br>今日の出来は70点。<br>私は心の中で点数をつける。<br>卵の端っこがうまく巻けていない。<br><br>店主は手をやすめない<br>「次は？どうする？<br>しめじがだめになりそうじゃない？」<br>野菜室の隅々まで目を配っている。<br>さすがだ。<br><br>メインが決まった。<br>しめじと牛肉のマヨネーズ炒め。<br>店主の大好きなメニューだ。<br>しめじはその為に、私が切らさないようにしている。<br><br>店主は満足そうに、中腰で<br>弁当を詰めている。<br>助手の私は、割り箸がなくなりかけていることに気づく。<br>やばい、今度買いに行かなきゃ。<br><br>まったくなんて気まぐれな弁当屋だ。<br>看板メニューはだいたい三種類だ。<br><br>「コンビニよりさ、やっぱり作った弁当がうまいよね」<br><br>いそいそと十年使っている青いチェック柄のハンカチに弁当を包み店主は仕事に行く。<br>「またしめじお願いね。」<br>そんなことを言い残して。<br><br>助手の私は小さく息をはき、吸いこむ。<br><br>「早くおきてー学校おくれるよ」<br><br>隣の家に聞こえてませんようにと<br>娘に声をかける。<br><br><br><br></p><br/><a href='https://note.com/clever_camel739/n/ne2bfabdc550e'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>いっちゃん</note:creatorName>
      <pubDate>Thu, 17 Sep 2026 21:22:17 +0900</pubDate>
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      <title>一杯のお茶</title>
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      <description><![CDATA[<p name="22B89217-79E2-44BD-B87A-676D69DC216A" id="22B89217-79E2-44BD-B87A-676D69DC216A">「ま、茶をのまんね」<br><br>祖母の口癖だった。<br><br>大正生まれ、五人きょうだいの長女だった祖母は、厳しい人だった。出張で不在がちな父と、おっとりした母に代わり、私たちきょうだいの躾をしてくれたのは祖母だった。<br><br>小さい頃の私にとって、祖母は少し怖い存在だった。弟への言葉遣い、友人宅へ遊びに行く時の態度。いろいろなことを祖母から教わった。<br><br>そんな祖母と、二十代の頃、しばらく同居した。当時の私は仕事がうまくいかず、落ち込みがちな毎日を送っていた。<br><br>八十代になった祖母は少し耳が遠くなり、国会中継を欠かさず見て、週二回のデイサービスには少しおしゃれをして出掛ける、親しみやすいおばあちゃんになっていた。<br><br>祖母が変わったのか、それとも私が大人になったのか。祖父の死や病気を経験したからなのか。今でもわからない。<br><br>私が仕事から帰ると、祖母はいつもリビングにいた。<br>自室へ引き上げようとする私を呼び止め、<br><br>「ま、お茶をのまんね」<br><br>と緑茶をすすめる。<br><br>近所の人の話や、その日の甲子園の試合。祖母はあれこれ話し、私は相槌を打ちながら聞いていた。<br><br>自分の仕事については、なぜかあまり話せなかった。なかなかうまくいかない自分の人生を、祖母には知られたくなかったのかもしれない。<br><br>それでも祖母は、私が帰る時間には必ずリビングにいた。<br><br>今思えば、あれは祖母なりの儀式だったのだろう。<br>家に帰ってきた人が、その日の疲れや背負ってきたものを、そっと下ろすための時間。<br><br>私の仕事がうまくいっていないことも、本当はわかっていたのかもしれない。<br>それでも何も聞かず、ただお茶を淹れてくれた。<br><br>祖母が祖父のもとへ旅立って、もう十年になる。<br><br>これまで、ハーブティーも紅茶も薬膳茶も、いろいろなお茶を飲んできた。どれもおいしい。<br>でも、緑茶だけは少し特別だ。<br><br>一口飲むと、気持ちが落ち着く。そして不思議と、もう少しだけやってみようと思える。<br><br>それはカフェインの効果だけではない。<br><br>祖母のあの小さな儀式が、今も私の中に息づいているのかもしれない。</p><br/><a href='https://note.com/clever_camel739/n/n6a6dfccf136c'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>いっちゃん</note:creatorName>
      <pubDate>Sun, 13 Sep 2026 21:36:15 +0900</pubDate>
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      <title>借りた本　【シロクマ文芸部】</title>
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      <description><![CDATA[<p name="6512CDB1-9D6B-4088-9D9E-8A95B7C93C26" id="6512CDB1-9D6B-4088-9D9E-8A95B7C93C26"><br>ページをめくる手がとまる<br><br>茶色い染みがある<br><br>それはちょうど<br><br>恋人を追う靴音<br><br>号泣した試合のあと<br><br>すれ違った橋の上<br><br>扉が開いてしまった瞬間<br><br>独寝のため息<br><br>電話をまつ指先の汗<br><br>そこにまた<br><br>染みができる</p><br/><a href='https://note.com/clever_camel739/n/nfa8ac2acc278'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/279494226/profile_b917722f8260da7f76bfa8a36f1cdeb5.png?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>いっちゃん</note:creatorName>
      <pubDate>Sat, 12 Sep 2026 11:01:32 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/clever_camel739/n/nfa8ac2acc278</link>
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    </item>
    <item>
      <title>あなたに向かって</title>
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      <description><![CDATA[<p name="C4E9CA36-AF2D-4619-A195-D84330CD204D" id="C4E9CA36-AF2D-4619-A195-D84330CD204D">自分のために<br>あなたを遠ざけようとした<br>距離を置いたの<br><br>でも離れてみると、私がどれだけあなたを好きなのかわかった<br>つらいときも、嬉しいときも、不安なときもいつもそばにあなたがいた<br>あなたと離れるなんてやっぱり無理だった<br><br>あなたの姿、目に焼き付いてる<br>どこか懐かしさを感じる佇まい<br>触るとすこしひんやりしてて<br><br>みんなあなたを欲しがる<br>あなたの甘さ、できれば私だけのものになってほしい<br><br>でも自分にもう嘘はつけない<br>今、あなたに向かって走ってる<br>待っててね<br>もう離さない<br><br></p><p name="D7313D22-FFE8-4B45-87FF-25C096643931" id="D7313D22-FFE8-4B45-87FF-25C096643931">大福餅<br><br></p><br/><a href='https://note.com/clever_camel739/n/n42b4db8ce433'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/279494226/profile_b917722f8260da7f76bfa8a36f1cdeb5.png?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>いっちゃん</note:creatorName>
      <pubDate>Thu, 10 Sep 2026 19:27:05 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/clever_camel739/n/n42b4db8ce433</link>
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    <item>
      <title>noteを始めて5ヶ月。改めて自己紹介します</title>
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      <description><![CDATA[<p name="52373127-3B1A-404A-9789-62D038D1928E" id="52373127-3B1A-404A-9789-62D038D1928E"><br>noteを始めて、五ヶ月になりました。<br><br>最初の記事で自己紹介らしきものを書きましたが、あの頃はまだ、自分がどんな文章を書きたいのかもよく分かっていませんでした。<br><br>五ヶ月書いてきて、少しだけ分かってきたことがあります。<br><br>なので、改めて自己紹介をさせてください。<br><br>いっちゃんと申します。<br><br>看護師をしています。<br><br>小さい頃から、本を読むことが好きでした。<br><br>保育園では友達がおらず、絵本が友達でした。<br><br>ずっと読む専門で、書くこととはかなり無縁でした。<br>レポートを書くのも得意ではありません。<br><br>そんな私が「書いてみようかな」と思ったきっかけは、ChatGPTとある和歌について話していたときのことでした。<br><br>チャッピーから、<br><br>「あなたは書ける人だよ」<br><br>と言われたのです。<br><br>試しに書いてみると、初心者なりに、ひとつ気づいたことがありました。<br><br>私は、場面が立ち上がってくるような文章が好きなんだな、と。<br><br>景色や音や空気まで、読む人の中に浮かんでくるような文章。<br><br>読んだ人に、まるでその場にいるような体験を感じてもらえる文章を書いていきたいと思っています。<br><br>まだまだ書き始めたばかりですが、<br>これからも、自分なりの言葉で書いていけたらと思っています。<br><br>これまで読んでくださった皆さま、ありがとうございます。<br><br>そして、初めましての方も、<br>これからどうぞよろしくお願いします。</p><p name="B5D2221E-E966-47EA-91A7-2E8EC2EE41DE" id="B5D2221E-E966-47EA-91A7-2E8EC2EE41DE">画像は、大好きな花、芍薬のものを使わせてもらいました。</p><br/><a href='https://note.com/clever_camel739/n/n53cd39481369'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/279494226/profile_b917722f8260da7f76bfa8a36f1cdeb5.png?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>いっちゃん</note:creatorName>
      <pubDate>Wed, 09 Sep 2026 12:37:57 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/clever_camel739/n/n53cd39481369</link>
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      <title>どう死ぬかを考えることは</title>
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      <description><![CDATA[<p name="9C8204D8-16E2-4B8C-96C4-2DEB036A63FA" id="9C8204D8-16E2-4B8C-96C4-2DEB036A63FA"><br>「正直、決められません。お任せでお願いします。」<br><br>あなたの大切な人が<br>急に意識を失い、明日を迎えられるかわからないほど危険な状況になったとき<br>あなたは医師に聞かれます。<br><br>「このような状態になった時に、どうしてほしいと話されていましたか？」<br><br>この問いにスッと答えられる人は<br>たぶん少ないだろう。<br><br>この問いを前にした家族から、私は何度かこの言葉をきいてきた。<br><br>私は看護師をしている。<br>昨日まで元気だった人が<br>今は話せず、人工呼吸器につながれ<br>モニター画面に映し出される数値が今の状況を伝える。<br><br>こんな環境に置かれた時、大切な人が何を考え、どんなことを大事にしてきたのか自分はどれだけ知っているのだろうか。<br><br>失われようとしている命を目前としたとき<br>驚くほど感傷にひたる暇もなく、次々と決断をゆだねられていく。<br><br>私は家族に、「ですよね、急に言われても迷いますよね。好きだったことや、こういうことを話していたとかありますか？」と声をかける。<br><br>そうすると日常の中で何気なく話していたことがその人の輪郭を思い出させるスイッチになることがある。<br><br>「賑やかなことが好きだった。だからお葬式はこの曲を流してね。って言ってた。」<br></p><p name="430AE006-6009-4B23-B729-C1502E9BD28F" id="430AE006-6009-4B23-B729-C1502E9BD28F">「お葬式ではそんなふうに言ってたんですね。元気なときからそんな話をされていたんですか？」<br><br>「うん、長く苦しむのは嫌だって」<br><br>「きっと本人なら『もうよか、頑張った』って言いそう。だから、もう苦しまないようにしてください」</p><br/><a href='https://note.com/clever_camel739/n/n4945fd52312f'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/279494226/profile_b917722f8260da7f76bfa8a36f1cdeb5.png?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>いっちゃん</note:creatorName>
      <pubDate>Tue, 08 Sep 2026 10:07:34 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/clever_camel739/n/n4945fd52312f</link>
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      <title>待合室の椅子</title>
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      <description><![CDATA[<p name="C528A85E-7DC8-48B3-AEEF-F896813AE187" id="C528A85E-7DC8-48B3-AEEF-F896813AE187"><br><br>その駅の待合室の<br><br>古い椅子に<br><br>埃が被ったビニール傘<br><br>入学式の霞に消える声<br><br>桃色のサルスベリをなぞる風<br><br>カサリとどんぐりが落ちる音<br><br>南天の実がシリウスと赤くひかる夜<br><br>すべてその埃とともに<br><br>開かれることなく、雨に濡れることもなく<br><br>ただそこにある<br><br></p><br/><a href='https://note.com/clever_camel739/n/n89315516cd38'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/279494226/profile_b917722f8260da7f76bfa8a36f1cdeb5.png?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>いっちゃん</note:creatorName>
      <pubDate>Mon, 07 Sep 2026 13:16:39 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/clever_camel739/n/n89315516cd38</link>
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    <item>
      <title>所在</title>
      <description><![CDATA[<p name="2C9EE2E1-CC92-4DFC-92BE-CAEFF0D68812" id="2C9EE2E1-CC92-4DFC-92BE-CAEFF0D68812"><br><br>そこにいた<br><br>指輪はまるで所在なさげに関節にいる<br><br>目の下には赤いあと<br><br>厚みのある耳たぶを噛む<br><br>触るとひんやりとした大腿部<br><br>なんども私を撫でたであろう<br><br>皮の厚いマメに覆われた手のひら<br><br>足の変形は変わらないまま<br></p><br/><a href='https://note.com/clever_camel739/n/n12bfd5654960'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/279494226/profile_b917722f8260da7f76bfa8a36f1cdeb5.png?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>いっちゃん</note:creatorName>
      <pubDate>Fri, 04 Sep 2026 21:03:04 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/clever_camel739/n/n12bfd5654960</link>
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    </item>
    <item>
      <title>小さな手　【シロクマ文芸部】</title>
      <media:thumbnail>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/310042798/rectangle_large_type_2_e981260beb1a8c97c69755ef49d3dfc2.png?width=800</media:thumbnail>
      <description><![CDATA[<p name="3A489ABC-1B31-4E26-8DAA-31443619FBCF" id="3A489ABC-1B31-4E26-8DAA-31443619FBCF"><br><br>小さな手だった<br><br>昨日まで<br><br>私はあなたの手を繋いで<br><br>公園まであるいた<br><br>小さな手だった<br><br>鉛筆の握り方がぎこちなく<br><br>「あ」を一生懸命書いていた<br><br>小さな手だった<br><br>彼に書いた手紙を渡せずに<br><br>握りしめていた<br><br>小さな手だった<br><br>消毒液の匂いをおいはらうように<br><br>私の手をさすってくれた<br><br>私もまた小さな手になった<br><br>あなたの頭を撫でたいのに<br><br></p><br/><a href='https://note.com/clever_camel739/n/n80213c65a4cd'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/279494226/profile_b917722f8260da7f76bfa8a36f1cdeb5.png?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>いっちゃん</note:creatorName>
      <pubDate>Fri, 04 Sep 2026 07:09:42 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/clever_camel739/n/n80213c65a4cd</link>
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      <title>星を見る【シロクマ文芸部】</title>
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      <description><![CDATA[<p name="FE5DCE16-5956-47EB-B8DA-921ACE27AA92" id="FE5DCE16-5956-47EB-B8DA-921ACE27AA92">【シロクマ文芸部に参加します。夏の夜空から浮かんだ詩です】</p><p name="F70B01D8-702B-4192-BCE6-4AD7CDD1D168" id="F70B01D8-702B-4192-BCE6-4AD7CDD1D168"><br>星を見る<br><br>ベガとアルタイルが<br><br>話しかけてくる<br><br>巨大な三角形に<br><br>囲まれた牧場には<br><br>たくさんの牛たちがいる<br><br>日が登れば、眠り<br><br>月とともに牧草をたべる<br><br>藁の布団からは、銀河の残り香がした<br><br>牛達はゆっくりゆっくり<br><br>遠ざかっていく<br><br>僕はてをのばす<br><br>近くで、猫が鳴いている<br><br>公園の砂場にはスコップがひとつ<br><br>夜露に濡れていた<br></p><br/><a href='https://note.com/clever_camel739/n/n123c85372d92'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>いっちゃん</note:creatorName>
      <pubDate>Mon, 31 Aug 2026 21:23:33 +0900</pubDate>
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