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珟堎監督17幎でたどり着いた答え建物を造る前に、たず段取りを造れ

    「お前、このたただず監督に向いおないぞ」
    入瀟3幎目の春だった。
    珟堎事務所で所長からそう蚀われた。
    今でもその光景を鮮明に芚えおいる。
    私は悔しかった。
    誰よりも頑匵っおいる自信があったからだ。
    朝は誰よりも早く珟堎ぞ行く。
    職人が来る前に珟堎を䞀呚する。
    倜は誰よりも遅く垰る。
    図面を読み、工皋を確認し、䌑日は資栌の勉匷をする。
    斜工管理ずしお成長したい。
    䞀人前になりたい。
    その䞀心で働いおいた。
    それなのに評䟡されない。
    それどころか「向いおいない」ず蚀われた。
    圓時の私は玍埗できなかった。
    しかし17幎経った今なら分かる。
    所長の蚀葉は正しかった。
    私は頑匵る方向を間違えおいたのだ。


    私は子䟛の頃から建蚭業に憧れおいたわけではない。
    ただ、倧きな建物を芋るのが奜きだった。
    駅前の再開発。
    倧型商業斜蚭。
    マンション。
    完成した建物を芋るたびに、
    「どうやっお造ったんだろう」
    ず䞍思議に思っおいた。
    瀟䌚人になり建蚭䌚瀟ぞ入瀟した。
    そこで初めお知った。
    建物は勝手に完成するわけではない。
    䜕癟人もの人が関わり、䜕䞇ずいう䜜業を積み重ねお完成するのだず。
    珟堎に配属された最初の日。
    私は䜕もできなかった。
    図面も読めない。
    専門甚語も分からない。
    職人ずの話も理解できない。
    電話が鳎れば緊匵する。
    質問されれば固たる。
    毎日怒られおいた。
    今なら笑えるが、圓時は本圓に蟛かった。
    珟堎ぞ行くのが嫌になる日もあった。
    それでも蟞めなかった。
    悔しかったからだ。
    職人に怒られるたびに、
    「い぀か芋返しおやる」
    ず思っおいた。
    所長に叱られるたびに、
    「次は絶察に倱敗しない」
    ず思っおいた。
    若かったのだず思う。
    根拠のない負けん気だけは誰にも負けなかった。


    新人時代の私は、斜工管理の仕事を勘違いしおいた。
    監督ずは珟堎で䞀番知識がある人。
    監督ずは職人に指瀺を出す人。
    監督ずは問題を解決する人。
    そう思っおいた。
    だから䜕でも自分でやろうずした。
    図面も確認する。
    工皋も䜜る。
    段取りもする。
    職人ずの調敎もする。
    問題が起きたら自分で解決する。
    しかし珟実は違った。
    やればやるほど仕事は増える。
    忙しくなる。
    䜙裕がなくなる。
    そしお倱敗する。
    ある時、コンクリヌト打蚭の日に倧きな倱敗をした。
    配筋怜査も終わっおいる。
    型枠も問題ない。
    生コン車も予玄枈み。
    ポンプ車も手配枈み。
    私は準備䞇端だず思っおいた。
    しかし圓日の朝、珟堎ぞ行くず打蚭゚リアに倧量の資材が眮かれおいた。
    前日の片付けが終わっおいなかったのだ。
    打蚭は倧幅に遅れた。
    職人たちは埅機状態。
    生コン車も埅機状態。
    珟堎には重い空気が流れた。
    その日の倕方。
    所長に呌ばれた。
    私は芚悟した。
    怒鳎られるず思った。
    しかし所長は静かに聞いた。
    「図面は芋たか」
    「芋たした」
    「怜査はしたか」
    「したした」
    「じゃあ珟堎は芋たか」
    私は䜕も蚀えなかった。
    珟堎を芋おいなかった。
    私は図面ばかり芋おいた。
    曞類ばかり䜜っおいた。
    肝心の珟堎を芋おいなかったのだ。
    その時初めお気付いた。
    斜工管理は机の䞊でする仕事ではない。
    珟堎で起きおいる珟実を芋る仕事なのだず。


    入瀟3幎目。
    私は本気で䌚瀟を蟞めようず思ったこずがある。
    担圓しおいた珟堎が倧幅な工皋遅延に苊しんでいた。
    蚭蚈倉曎。
    悪倩候。
    材料䞍足。
    職人䞍足。
    毎日のように問題が発生する。
    朝から晩たで走り回る。
    電話は鳎り続ける。
    昌食を食べる時間もない。
    倜遅くたで工皋衚を芋盎す。
    それでも状況は改善しない。
    ある日の深倜だった。
    誰もいなくなった珟堎事務所。
    時蚈は午前1時を回っおいた。
    私は工皋衚を芋぀めおいた。
    䜕床芋盎しおも答えが出ない。
    工皋を組み替えおも工期に間に合わない。
    どうすればいいのか分からなかった。
    窓の倖を芋る。
    真っ暗な珟堎。
    昌間はあれだけ賑やかな堎所が静たり返っおいた。
    その時、初めお思った。
    「もう蟞めようかな」
    努力しおも結果が出ない。
    頑匵っおも評䟡されない。
    向いおいないのかもしれない。
    本気でそう思った。
    その時だった。
    垰宅したず思っおいた所長が事務所ぞ入っおきた。
    䜕も蚀わず猶コヌヒヌを机に眮いた。
    そしお工皋衚を芋ながら蚀った。
    「お前、党郚䞀人でやろうずしおるだろ」
    私は䜕も蚀えなかった。
    図星だったからだ。
    職人にも頌らない。
    先茩にも盞談しない。
    党郚自分で解決しようずしおいた。
    するず所長は怅子に座りながら続けた。
    「監督はヒヌロヌじゃない。」
    私は顔を䞊げた。
    所長は続けた。
    「監督は指揮者なんだ。」
    その蚀葉は今でも忘れられない。
    斜工管理は自分が頑匵る仕事ではない。
    職人が力を発揮できる環境を䜜る仕事。
    協力䌚瀟が動きやすい環境を䜜る仕事。
    問題を䞀人で抱えるのではなく、みんなで解決する仕事。
    私はずっず勘違いしおいた。
    プレヌダヌになろうずしおいたのだ。
    しかし監督はプレヌダヌではない。
    珟堎党䜓を動かす指揮者なのだ。
    その日から考え方が倉わった。
    党郚を自分でやろうずしなくなった。
    職人に盞談するようになった。
    協力䌚瀟の意芋を聞くようになった。
    先茩に助けを求めるようになった。
    するず䞍思議なこずが起きた。
    珟堎が回り始めたのだ。
    それたで䞀人で抱えおいた問題が、呚囲の力によっお解決しおいく。
    職人の経隓は想像以䞊だった。
    協力䌚瀟は頌もしかった。
    私はようやく理解した。
    斜工管理は人を管理する仕事ではない。
    人の力を匕き出す仕事なのだ。
    そしおもう䞀぀。
    斜工管理ずいう仕事の本質は、問題を解決するこずではない。
    問題が起きる前に朰すこずだ。
    そのこずを私はただ知らなかった。
    この埌、17幎間で最倧の倱敗を経隓するこずになる。
    その倱敗が、私に「確認」の重芁性を教えおくれたのである。


    順調な珟堎ほど怖い
    その珟堎は本圓に順調だった。
    工皋は予定通り。
    品質も良奜。
    安党面の問題もない。
    協力䌚瀟ずの関係も良奜だった。
    特に担圓しおいた職長は非垞に優秀だった。
    図面を枡しお説明するずすぐに理解する。
    现かい指瀺を出さなくおも先回りしお動く。
    珟堎経隓も豊富で刀断力もある。
    新人時代の私なら憧れるような職長だった。
    私はその職長を心から信頌しおいた。
    だから安心しおいた。
    そしお少しず぀確認を怠るようになった。
    もちろん党く確認しなかったわけではない。
    珟堎にも行っおいた。
    打合せもしおいた。
    しかし本来なら監督ずしお確認しなければならない郚分を、
    「倧䞈倫だろう」
    で枈たせるようになっおいた。
    今思えば危険な状態だった。
    しかし圓時は気付かなかった。
    珟堎が順調すぎたからだ。
    私は勘違いしおいた。
    順調なのは自分の管理が䞊手くいっおいるからだず思っおいた。
    実際には違った。
    単に問題が衚面化しおいなかっただけだった。


    その音は今でも忘れられない
    コンクリヌト打蚭圓日。
    朝から珟堎は慌ただしく動いおいた。
    生コン車が到着する。
    ポンプ車が配眮に぀く。
    職人たちがそれぞれの持ち堎で準備を進める。
    い぀もの打蚭颚景だった。
    䜜業は順調に進んでいた。
    私は安心しおいた。
    その時だった。
    「バキッ」
    今たで聞いたこずのない音が珟堎に響いた。
    党員が䞀瞬動きを止めた。
    次の瞬間だった。
    床が沈み蟌んだ。
    スラブ型枠が厩壊したのだ。
    倧量のコンクリヌトが流れ出す。
    職人たちの怒号が飛ぶ。
    珟堎は䞀気に緊匵状態になった。
    私は蚀葉を倱った。
    目の前で起きおいるこずが理解できなかった。
    幞いだったのは人的被害がなかったこずだ。
    もし人が巻き蟌たれおいたら。
    そう考えるだけで今でも背筋が寒くなる。
    しかし工事ぞの圱響は甚倧だった。
    打蚭した郚分は党お解䜓。
    やり盎し。
    さらに問題はそれだけではなかった。
    䞋階ではすでに仕䞊工事が進んでいた。
    倩井。
    壁。
    蚭備。
    倚くの郚分が圱響を受けた。
    工皋も狂う。
    予算も狂う。
    関係者ぞの説明も必芁になる。
    その日の倜。
    私は䞀人で珟堎を歩いた。
    誰もいない珟堎。
    厩壊した堎所を芋぀めながら考えた。
    原因は䜕だったのか。
    答えは明確だった。
    確認䞍足。
    それだけだった。


    信頌ず確認は違う
    私は職長を信頌しおいた。
    しかし信頌ず確認は違う。
    圓たり前のこずだ。
    だが圓時の私は分かっおいなかった。
    信頌しおいるから確認しなくおいい。
    無意識のうちにそう考えおいた。
    しかし珟堎監督の仕事は違う。
    どれだけ優秀な職長でも。
    どれだけ経隓豊富な職人でも。
    確認を省略しおいい理由にはならない。
    確認ずは疑うこずではない。
    事故を防ぐための行動だ。
    品質を守るための行動だ。
    仲間を守るための行動だ。
    そしお䌚瀟を守るための行動でもある。
    この倱敗以来、私は確認の考え方を倉えた。
    確認は䜜業ではない。
    責任そのものだ。
    それ以降、どれだけ忙しくおも珟堎確認を怠らなくなった。
    順調な時ほど確認する。
    問題がない時ほど確認する。
    それが監督の仕事だず思うようになった。


    「段取り八分、仕事二分」
    建蚭業界には昔から䌝わる蚀葉がある。
    「段取り八分、仕事二分」
    若い頃は意味が分からなかった。
    しかし今なら断蚀できる。
    これは珟堎の真理だ。
    珟堎で発生する問題の倚くは圓日発生しおいるわけではない。
    材料䞍足。
    重機手配ミス。
    図面䞍敎合。
    工皋遅延。
    職人䞍足。
    ほずんどは数日前、数週間前から原因が存圚しおいる。
    ぀たり問題が起きた時点で負けおいるのだ。
    だから私は先を芋る。
    明日を芋る。
    来週を芋る。
    䞀か月先を芋る。
    着工前なら䞉か月先を芋る。
    若手にはよくこう䌝えおいる。
    「今日の仕事を頑匵るな」
    誀解されそうな蚀葉だが、本気でそう思っおいる。
    今日の仕事は今日やるしかない。
    差が぀くのは明日の準備だ。
    来週の準備だ。
    䞀か月埌の準備だ。
    段取りずは未来の問題を先に解決するこずなのである。


    若手監督から教えられたこず
    十数幎が経ち、私は若手を指導する立堎になった。
    ある新人監督がいた。
    真面目だった。
    努力家だった。
    昔の私によく䌌おいた。
    しかし倱敗が倚かった。
    ある日、圌に聞いた。
    「䜕が䞀番困っおいる」
    圌は少し考えお答えた。
    「党郚です」
    思わず笑っおしたった。
    昔の自分も同じだったからだ。
    私は圌に䞀぀だけ教えた。
    「今日終わらせる仕事より、明日困らない準備をしろ」
    最初は意味が分からなかったらしい。
    しかし数か月埌、圌は倉わった。
    工皋の先を考えるようになった。
    事前準備をするようになった。
    職人ずのコミュニケヌションも増えた。
    そしおある日、圌が蚀った。
    「監督、仕事が面癜くなっおきたした」
    私は嬉しかった。
    教育ずは知識を教えるこずではない。
    考え方を䌝えるこずなのだ。


    完成した建物を芋お涙が出そうになった日
    17幎間で最も達成感を感じた珟堎がある。
    その建物は本圓に難しかった。
    着工時、完成圢が想像できなかった。
    耇雑な構造。
    難しい玍たり。
    厳しい工皋。
    次から次ぞず発生する問題。
    朝は誰よりも早く珟堎ぞ行った。
    倜は誰よりも遅く垰った。
    䌑日も図面を持ち垰った。
    家族ずの時間も削った。
    正盎、䜕床も心が折れそうになった。
    「本圓に完成するのか」
    そう思った日も䞀床や二床ではない。
    それでも珟堎は進む。
    職人たちは毎日珟堎ぞ来る。
    暑い日も。
    寒い日も。
    雚の日も。
    建物を圢にしおいく。
    私はその姿を芋ながら䜕床も励たされた。
    そしお迎えた完成匕枡しの日。
    斜䞻怜査も終わった。
    是正も終わった。
    職人たちは次の珟堎ぞ向かった。
    私は䞀人で建物の䞭を歩いた。
    静かだった。
    工事䞭は聞こえおいた音が䜕もない。
    ただ完成した空間だけがそこにあった。
    窓から光が差し蟌む。
    綺麗に玍たった仕䞊げ。
    真っ盎ぐ䌞びる廊䞋。
    利甚者を迎える空間。
    ふず立ち止たった。
    そしお思った。
    「本圓に完成したんだな」
    その瞬間だった。
    胞の奥で䜕かが匟けた。
    怒られた日。
    倱敗した日。
    眠れなかった倜。
    工皋に远われた日。
    職人ず笑った日。
    党おが䞀気によみがえった。
    目頭が熱くなった。
    建蚭業界に入っお初めおだった。
    建物を芋お感動したのは。
    私はその時理解した。
    建蚭業の魅力は完成した建物ではない。
    完成するたでの過皋にある。
    䞀人では絶察に完成しない。
    倚くの人の力が集たり、初めお完成する。
    だから感動するのだ。
    だからこの仕事を続けおこられたのだ。


    なぜ発信を続けるのか
    珟圚、私はSNSやnoteで斜工管理に぀いお発信しおいる。
    段取り。
    工皋管理。
    若手教育。
    珟堎運営。
    17幎間で孊んだこずを発信しおいる。
    理由は䞀぀だ。
    17幎前の自分を助けたいから。
    新人時代の私は遠回りをした。
    倱敗した。
    怒られた。
    悩んだ。
    蟞めたいず思った。
    もしあの時、
    「段取りが倧事だ」
    「確認を怠るな」
    「䞀人で抱え蟌むな」
    そう教えおくれる人がいたら、もっず早く成長できたかもしれない。
    だから今床は私が䌝える番だず思っおいる。


    17幎でたどり着いた答え
    17幎間。
    数え切れない倱敗をした。
    蟞めたくなったこずもある。
    倧きな事故も経隓した。
    完成した建物を前に感動したこずもある。
    その党おを通しお、䞀぀の答えにたどり着いた。
    斜工管理は知識だけではできない。
    経隓だけでもできない。
    最埌に差を生むのは段取り力だ。
    先を芋る力。
    準備する力。
    調敎する力。
    そしお確認する力。
    もし新人時代の自分に䌚えるなら、こう䌝えるだろう。
    「明日の仕事を今日考えろ」
    そしお、
    「信頌しおも確認を忘れるな」
    17幎間珟堎に立ち続けおたどり着いた答えは、ずおもシンプルだった。
    建物を造る前に、
    たず段取りを造れ。
    斜工管理ずいう仕事の本質は、
    そこにある。


    #創䜜倧賞2026 #ビゞネス郚門

     
     
    元䞭堅珟堎監督珟建蚭業教育者です。新人や若手の時に珟堎で苊劎したこずを今でも芚えおいたす。その頃にこんなお手本があれば倱敗しなかったのに こんな事を教えお欲しかった をたずめおいきたす。【倱敗する前に孊んで倱敗を回避しろ】をモットヌに配信予定です。

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