メインコンテンツへスキップ
見出し画像

【夢見る宇宙人女優】着ぐるみの中のホントの私

    地球の映画やドラマに憧れて、はるか遠い星からやってきた彼女。目標はズバリ、「地球で誰もが知る一流の女優になること」!

    しかし、芸能界の現実はそう甘くありませんでした。現在、彼女に舞い込んでくる仕事といえば……皮肉なことに、「宇宙人の着ぐるみ」を着るエキストラ仕事ばかりなのです。

    過酷な下積みと、マストアイテム

    「はい、オーケー! 宇宙人役、お疲れ様でしたー!」

    監督の声がスタジオに響くと、彼女はホッと息をつき、急いで重たい「宇宙人の頭」をスポンと脱ぎました。

    「ふぅ〜っ、今日もムレたぁ……!」 かぶりものはとにかく通気性が最悪です。頭がどうしてもムレてしまうため、彼女にとって汗拭き用のタオルは、現場に絶対に欠かせないマストアイテム。タオルで丁寧に頭を拭いながら、彼女は大きく息を吐き出しました。

    プロ意識と使い捨て

    彼女の右腕には、たった今脱いだばかりのグレーの「宇宙人の頭」がしっかりと抱えられています。一流の女優たるもの、たとえどんな役であっても、頭のパーツだけは絶対に雑に扱わず、大切にケアするのが彼女のポリシーです。

    一方で、足元にペラッと脱ぎ捨てられた黒いタイツのような胴体部分は、「1度きりの使い捨て」。この扱いのギャップの激しさに、予算の少ないB級映画のリアルな裏側が透けて見えます。

    夢のレッドカーペットへ

    「ぷはーっ! 仕事の後の栄養ドリンク、体に染み渡るわね!」

    緑色の栄養ドリンクをぐいっと飲み干し、彼女は小さく結んだおさげの赤いリボンを揺らして、鏡に向かってニッと笑いかけました。

    本物の宇宙人なのに、偽物の宇宙人の着ぐるみを着て汗を流す毎日。 いつかこの着ぐるみを完全に脱ぎ捨てて、自分の素顔でレッドカーペットを歩くその日まで。彼女の涙ぐましくもたくましい下積み生活は、今日も力強く続いていくのでした。

     
     
    日々の暮らしや家族とのあれこれを綴っています。 最近は、HSP(非常に敏感な人)気質の日常をRPG風のエンタメに仕立てたエッセイシリーズ「HSP勇者の冒険の書」も気まぐれに連載中。HP1でも会社というダンジョンを生き抜く戦友の皆さん、どうぞよろしくお願いします。

    あなたへのおすすめ