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ベテランの判断を3行メモにしたら、AIが使えるデータになった

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    在庫判断をAIに任せたい。そう思って動き始めたのに、最初にぶつかったのはAIの問題ではありませんでした。「ベテランが何を根拠に判断しているか、誰も説明できない」。この状態でAIを入れても機能しない。まず人の判断を言語化する実験をした記録です。

    在庫判断が属人化したまま、AIを入れようとした

    在庫・調達の仕事には「通常パターン」と「例外パターン」の2種類があります。

    通常パターンは発注点に達したら発注する、というシンプルな動きです。一方で実際の現場では、例外が頻繁に起きます。急ぎの引き合いが来た、特定資材の納期が延びた、季節要因で需要が跳ねそうだ。こうした状況での判断は、ベテランの経験則に依存していることが多い。

    気になったのは、そのベテランが退職・異動になった瞬間、同じ判断ができる人がいなくなることです。記録もなく、後任が「どうすればよかったか」を学ぶ場もない。

    在庫の判断が属人化したままだと、AIを入れる以前にそもそも引き継ぎができない。まずここに気づいたのが出発点でした。

    ぶつかった2つの壁

    「じゃあ、まず判断基準を整理しよう」と動いてみると、すぐに壁にぶつかりました。

    1つ目の壁:何を記録するかがわからない

    「例外が来たら判断する」とは言えても、「その判断の根拠は何か」を言語化できる人が少ない。「経験でわかる」「その場の雰囲気で」という回答が続きました。

    2つ目の壁:判断の条件が多すぎる

    季節、顧客の引き合い状況、仕入れ先のキャパ、社内の優先順位。これらが複合的に絡んでいるため、「A→B」という単純な条件表では表現しきれません。整理しようとするほど複雑になり、作業が止まりました。

    AIエージェントに渡す前提条件が整っていないと、AIはただのオートメーション装置にしかなれない。その事実が、壁にぶつかってはじめて腑に落ちました。

    整理できないのは判断が複雑なのではなく、判断の出発点が言語化されていないからだった。

    メモ→分類→条件表:実際に試した3ステップ

    属人的な判断を「AIが読めるデータ」に変える。そのために試したのが、3つのステップです。

    ステップ1:例外が起きたときのメモ習慣を作る

    担当者に「何が起きて、何を根拠に動いたか」を3行以内でメモしてもらいました。ツールはチャットツールのスレッドでも、スプレッドシートでも何でもよい。とにかく「書いた事実」を作ることを優先しました。

    最初の2週間は、メモの粒度がバラバラでした。「ある取引先の件で追加発注した」だけでは、後から見ても意味がわかりません。そこで「何の在庫が、何の理由で、どれだけ動いたか」の3点を明示する形式に切り替えました。

    ステップ2:1ヶ月分のメモをパターンに分類する

    メモを集めて分類したところ、「納期起因」「需要増見込み」「仕入れ先リスク」「優先顧客対応」の4パターンに整理できました。ここではじめて条件表の素材ができました。

    なお、整理の途中でAIに「どうパターン化すべきか」を相談してみたこともあります。大量のメモを貼り付けて「共通点を分類してほしい」と依頼したところ、最初の分類案が出てきました。完璧ではありませんでしたが、「この分類は現場感がない」と突っ込むことで会話が深まり、最終的には使える4分類に着地しました。

    ステップ3:AIに「この条件で何を確認すべきか」を問いかける

    パターンが整理された状態でAIに問いかけると、これまでより具体的な返答が得られるようになりました。AIが動くには、まず人の判断のパターンが言語化されている必要がある。この工程を通じて実感しました。

    うまくいったこと、失敗したこと

    うまくいったこと:
    例外メモを1ヶ月続けると、「繰り返し起きている例外」と「一度きりの例外」が明確に分かれてきます。繰り返し起きる例外が条件表の候補になり、整理の優先順位が自然に決まりました。

    失敗1:全パターン網羅で止まった
    最初に「全パターンを網羅しよう」として一覧表を作ろうとしたことです。複雑すぎて途中で止まりました。「頻度の高い5パターンだけ先に整理する」に切り替えてから、一気に動き出しました。完璧な条件表より、使える5行の条件表の方が価値がありました。

    失敗2:記録する人を決めずに始めた
    「例外の記録を誰が書くか」を決めずに始めたところ、記録好きな1人に偏り、他の担当者の判断パターンが抜け落ちました。1ヶ月後に分類してみたら、納期起因の例外が極端に多く、需要増の例外がほぼゼロ。偏りに気づいて担当者を割り当て直したところ、翌月にはパターンのバランスが変わり、条件表の精度が一気に上がりました。

    「誰が書くか」を決めないと、データの偏りがそのままAIの偏りになる。

    明日から試せる一歩

    • 今週、通常と違う判断をした場面を1つ思い出して、チャットツールに「何の在庫が/何の理由で/どう動いたか」の3行を投稿する

    • そのメモを1ヶ月続けたら、パターンに分類できそうか確認してみる

    • 繰り返し起きている例外を1つ選び、「条件・判断・結果」を表形式で書き出してみる

    AIエージェント導入を考えているなら、まずこの3ステップから。導入後に機能する土台が整います。

    次の一手(#AI活用100本ノック)

    次は「レポート設計をAIと人の共同判断インターフェースとして作り直す」テーマを試します。在庫判断の標準化と同じで、まず「何を記録すべきか」を変えるところから始める予定です。


    💬 あなたの現場では、ベテランの判断をどうやって残していますか?
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    #AI活用100本ノック 進捗:40/100

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