データを整える前にダッシュボードを作って失敗した話

正直に言います。見える化のためにアプリを試作して、見事に失敗しました。データがバラバラのまま器を作っても、準備の手間が増えるだけだったのです。この失敗から学んだ「整える順番」を、チェックリスト付きでお伝えします。
予測と実績を並べてみたら、"見えただけ"だった
業務の「予測値」と「実績値」を並べて見えるようにしました。
目的は単純で、ズレを早めに見つけて手戻りを減らすためです。
やってみると、見える化そのものは達成できました。
数字が散らばっていた状態から、ひとつの画面で追えるようになったからです。
ただ、そこで安心できませんでした。
見えるようになった途端、「予測との差」が毎回気になり始めたからです。
予測が外れているのか。
実績の取り方がブレているのか。
それとも、途中の前提が変わっているのか。
見える化はスタートラインで、ゴールではない。
この当たり前を、体感として理解しました。
アプリを作ってみた → つまずいた3つのポイント
仮説は「可視化アプリで差の議論が進む」でした。
そこで、Webアプリで試作品(PoC)を作りました。
やったことを、できるだけ具体的に書きます。
1) まずは画面に出す項目を決めた
予測値、実績値、差分(予測−実績)を基本にしました。
さらに、差が大きいものを上に出す並びにしました。
この時点では「これで議論できそう」と思っていました。
差が大きい順に並ぶだけで、確かに見やすくなるからです。
2) 元データを取り込む流れを作った(ここが重かった)
ところが元データが集約できていませんでした。
置き場所も形式もバラバラで、揃える作業が毎回発生しました。
表の形が日によって違う
項目名が微妙に違う
欠けている値があり、手で埋める必要がある
そもそも最新がどれか分からない
予測の元になった前提がどれか分からない
実績の数字がいつ確定したのか追えない
途中で条件が変わった記録が残っていない
アプリ側で吸収しようとすると、作り込みが必要です。
作り込むほど、試作品のはずが"開発案件"になっていきます。
3) 使い勝手でつまずいた
入力や更新の手順が増えました。
「見るだけ」のつもりが、「整形して投入する」が前提になったからです。
結果、現場の感覚としてはこうなります。
「見えるようになったけど、準備が大変」
「今までより手間が増えた」
「毎日は回せない」
試作品としては、ここで失敗でした。
失敗から引き出した教訓
良かった点も、ちゃんとありました。
予測と実績を同じ画面に置いたことで、会話の起点は作れました。
「どれがズレているか」を探す時間は減りました。
差が大きい箇所がすぐ目に入るのは、やはり強いです。
ただ、失敗した点のほうが学びが大きかったです。
失敗1:データが揃っていない状態でアプリを作ると、手間が増える
アプリが悪いのではなく、順番が違いました。
"可視化の器"を先に作ると、データを後追いで整えることになります。
後追い整備は、必ず「例外対応の沼」になります。
試作のスピードも落ちますし、運用も続きません。
失敗2:使い勝手は最後に直すものではなく、最初の要件
毎日触るものは、操作が少ないほど正義です。
クリック数、入力回数、更新の待ち時間。
このどれかが重いと、継続が止まります。
「正しい可視化」より「続く可視化」。
ここを軽く見てはいけないと痛感しました。
実は、作っている途中では気づけませんでした。
「良いものを作れば使ってもらえる」と思い込んでいたのです。
使う人の"毎日の負担"を先に想像することが、最初の設計だったと今は思います。
失敗3:「全部見せたい」が、誰も見ない画面を作る
せっかく作るなら情報を全部載せたい——その気持ちで項目を増やした結果、画面が"数字の壁"になりました。
「どこを見ればいいか分からない」と言われ、最初に戻ることに。
表示項目は引き算で決めるほうが、結局は使われます。
明日から試せる6つのチェックリスト
同じ失敗を踏まないために、明日やれる一歩をチェックリストにします。
まず「予測」と「実績」の定義を1枚に書き出す(ズレる理由の半分がここ)
例:予測=月初時点の見込み件数。実績=月末の確定件数
元データの置き場所を1つに寄せる(フォルダでもスプレッドシートでもOK)
項目名を固定する(表の"列名"だけ先に揃える)
差分が出たときの原因候補を3つに絞る(例:前提変更/計上タイミング/分類)
ダッシュボードは最小にする(「差が大きい順」+「確認すべきメモ欄」から始める)
週1でもいいので、差分を見て"次に確認する人"を決める(見ただけで終わらせない)
アプリを作るのは、その後でも遅くないです。
先に「揃う」「続く」を満たすほうが、結局早いと感じています。
次の実験
次は、アプリ作りより手前に戻ります。
差分が出たときに"原因に当たりをつける"ための、最小のデータ形を決めます。
たとえば「差分が大きい上位10件だけ、原因候補のタグを付ける」など。
この運用が回ったら、初めて可視化の器を選びます。
#AI活用100本ノック 進捗:3/100
次回の実験:差分の原因候補(前提変更/計上タイミング/分類)をタグ化し、週1で回る最小フォーマットを作る