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「どこから何を動かす?」を毎回悩まない仕組み:GPTsで横持ち判断を型化した

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    横持ち便の判断を、ずっと経験と勘でやっていました。

    「足りなくなったらまずい」と多めに動かして、別の倉庫が溢れる。
    逆に慎重になりすぎて、欠品ギリギリ。

    この繰り返しを止めたくて、まず試したのは予測モデル――ではなく、GPTsで「判断のルール」を固めることでした。

    横持ち便の判断、なぜ毎回しんどいのか

    横持ち便の意思決定って、実は同時に複数の条件を見ています。

    • 送り先の欠品リスク(いつまでに必要?)

    • 送り元の余裕(移したら送り元が枯れない?)

    • 便の制約(締切・到着・容量・費用)

    • 倉庫キャパ(どこが圧迫している?)

    • 返却在庫の扱い(先に入れる?後で判断?)

    これだけの条件が分散していて、結局「わかってる人」に寄る。
    忙しい日は"安全側に多め"が続いて、別の歪みが出る。

    しんどいのは「量」じゃなくて、判断に必要な情報が毎回バラバラなことでした。

    「予測を当てれば解決する」と思っていた

    本当は「在庫予測→最適な横持ち便手配」まで一気にやりたい。
    でも、ここに壁がありました。

    • 予測は外れる(販促・季節・突発対応でブレる)

    • データ整備が重い(粒度が揃わない、欠損が出る)

    • 予測精度が出ないと判断も揺れる

    予測に寄せるほど、着地が遠のく。
    精度を上げる前に、現場は次の横持ちが来てしまう。

    予測の前に「判断の型」を作る、という方針転換

    ここで方針を切り替えました。

    予測は難しい。
    でも横持ち便の判断には「守るべきルール」と「比較の型」がある。
    ならば、まず 横持ち最適化(判断の型) だけ先に固めよう。

    いきなり自動発注や数理最適化の話ではなく、
    **判断のブレを減らすための「ルール化」「手順化」「出力の固定」**が狙いです。

    GPTsで作った「事故らない判断の枠」

    そこで作ったのが、横持ち便・在庫運用を支える GPTs最適化アシスタント。
    ポイントは「賢い答え」より、事故らない答えを出す設計にしたこと。

    1)禁止ルール:最初に「やってはいけない」を決める

    指示文の核はここでした。

    • 出荷維持ルール(保護品目は動かさない)
      在庫日数が少ない品目や、移動すると残が薄くなるものは移動禁止

    • 返却在庫ルール(例外なくメイン入庫)
      返却は必ずメインへ。反映後に横持ちを判断

    • 移動単位ルール(100PL単位)
      端数移動禁止。提案が現場オペレーションに直結する

    • 廃却判断は根拠必須
      "なんとなく不要"を排除する

    なぜ禁止ルールを最初に書いたのか。
    AI活用で一番怖いのは、もっともらしい誤提案が混じることだからです。
    「この品目、移動しましょう」という提案が正しそうに見えて、実は欠品を起こす。
    それを防ぐために、先に「絶対にやってはいけない」を固定しました。

    2)判断の優先順位を固定する

    次に、迷った時の軸を決めました。

    1. 供給維持(保護品目は動かさない)

    2. 倉庫圧迫削減(在庫枚数×滞留日数で優先度を出す)

    3. 需要継続性(需要なし→整理対象)

    4. 倉庫配置ルール(メイン→サブ→…の優先順)

    ここを固定しておくと、AIが「コスト最小」や「移動量最小」だけに寄る事故が減ります。

    3)考える順番を縛る

    さらに、AIが必ずこの順で考えるようにしました。

    1. 返却予定を全てメインに加算

    2. 保護品目を分類

    3. 残りを圧迫指数で並べ替え

    4. 100PL単位で移動候補抽出

    5. 倉庫配分ルールでFrom→To決定

    6. 移動後の容量バランス再評価

    7. 表形式で出力

    AIは「順番」が曖昧だと、平気でステップを飛ばします。
    だから順番を決めて、ショートカットできないようにしました。

    実際に効いた3つのこと

    効いた①:確認漏れが減った

    横持ち判断は「見落とし」が事故になる。
    GPTsが"聞き返し役"になって、最低限の確認が揃うようになりました。
    以前は確認が複数人に分散していたのが、GPTsの出力を見れば抜けがわかる。

    効いた②:便の比較が速くなった

    便A/便Bの比較で、人はどうしても都合の良い情報だけ見がちです。
    固定した物差しで比較されるだけで、「なんとなくA」が「この基準でA」に変わりました。

    効いた③:理由が残る(振り返りできる)

    「なぜそうしたか」が文章で残る。
    これは属人化対策として地味に効きました。
    後から見返して「あの時なぜこう判断したか」がわかるのは、思った以上に大きかったです。

    壊れた。そこから学んだこと

    ただ、実際に壊れた場面もありました。

    GPTsに在庫データを渡して提案を出させたところ、ある品目について「サブ倉庫へ300PL移動」と出てきた。
    一見まともな提案です。

    でもよく見ると、その品目は日あたり出荷が少なく、300PL動かすとメインの在庫残が危険なレベルまで減る。

    原因は、指示文に「保護品目の閾値」をまだ入れていなかったこと。
    AIは与えられた条件で"最適"を出しただけで、欠品リスクという条件が抜けていたのはこちらのミスでした。

    ほかにも、運用で見えた落とし穴がありました。

    • 単位の混線(PLと枚の関係が曖昧だと、移動量の誤提案が出る)

    • "需要ゼロ"の定義が曖昧だと、廃却判断が乱暴になる

    • 稼働率算出の前提(許容量)がないと、サマリーの数字が信用できない

    これらは「単位定義」「需要ゼロの定義」「不足データ時の挙動」を指示文に追記して対処しました。

    結局わかったのは、AIの賢さより「前提の固定」が運用品質を決めるということ。
    壊れて直して、また壊れて直す。この繰り返しで指示文が育っていきます。

    AIがなくても、まずこの5項目を揃えてみる

    GPTsを作らなくても、横持ち判断を"型"にするだけで楽になります。
    次の5項目を、判断のたびに埋めるだけ。

    • いつまでに、どれだけ必要?(到着希望日と量)

    • 欠品影響(高/中/低)

    • 送り元は移しても大丈夫?

    • 便の選択肢(締切・到着・容量・費用)

    • 迷った時のルール(欠品回避優先…など1行)

    たとえばこんなイメージです。

    到着希望:水曜AM / 量:200PL / 欠品影響:高 / 送り元残:十分 / 迷った時:欠品回避優先

    この5点が揃うだけで、「人の頭の中だけにあった判断」が外に出ます。

    次にやること

    次は、判断ログを項目固定して溜めていきます。

    記録する項目は「判断日・品目・From/To・理由・結果」の5つ。

    • どの情報が毎回欠けるのか

    • どの例外が多いのか

    • どこで判断が揺れるのか

    これが見えると、次にやるべきは「予測精度の向上」ではなく、
    例外ルールの追加か、入力データの整備かが決められます。


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