社内にAIニュースを自動配信したのに、誰も読まなかった。それでも続ける理由

社内でAI活用を広めたいとき、「いい情報を届ければ動いてくれる」と思っていませんか。
私もそう思っていました。だから調査も要約も配信も自動化しました。
結果は、反応ゼロ。👍もコメントも「見たよ」の一言もつきません。
この記事は、それでも配信をやめずに「設計」を変えた記録です。
読み終えるころには、反応が出ない社内発信を続ける意味が、少し見えるはずです。
「届けた」と「読まれた」は、別の話だった
社内でAI活用の旗振り役をしていると、ある問題にぶつかります。
「自分は情報を追えているけど、現場には届いていない」
外のAIニュースは毎日更新されます。でも現場の人は忙しい。
自分でキャッチアップする時間も、探す習慣もない人が大半です。
そこで考えたのが「自動でニュースを集めて、要約して、社内に配信する仕組み」でした。
AIで調査と要約を自動化し、定期的に社内へ流す。やることは明快です。
でも始めてすぐに気づきました。
「届けた」と「読まれた」は、まったく別の話だと。
壁はシステムの外にあった
仕組みづくり自体は、それほど難しくありませんでした。
AIで最新のAI関連情報を自動収集し、要約してMarkdownで出力。
それをNotionに保存し、Power Automate(マイクロソフトの自動化ツール)でTeamsの指定チャンネルへ自動投稿する。
「調査→要約→Notion→Teams自動配信」という流れが完成しました。
問題はその後でした。
投稿は毎週きちんと流れる。でも、反応がない。
最初は「始めたばかりだから」と思っていました。
でも1週間経っても、2週間経っても、変わりません。
そこで気づきました。壁はシステムの中ではなく、外にあったのです。
現場の人は「情報を追いたい」のではなく、「目の前の仕事を終わらせたい」。
どれだけ便利な仕組みを作っても、読むための時間を新しく作ることはできません。
つまり、「情報を届ければ動いてくれる」という前提そのものが間違っていたのです。
狙うのは「行動」ではなく「記憶」
読まれる、リアクションがある、行動につながる。
この3つを「配信すれば達成できる」と思っていました。でも、どれも甘かった。
整理すると、現実はこうです。
情報が流れてきても、忙しければスクロールする
「で、うちの業務では何に使えるの?」が分からないと止まる
「よさそう」と思っても、明日には忘れる
だから「すぐ行動させる」を目標にするのは、無理な設定でした。
でも、無意味かというと、そうではありません。
狙えるのは「記憶に残すこと」です。
人は困ったとき、過去の記憶から解決策を探します。
手作業がしんどくなったとき、ミスが続いたとき。
そのときに「そういえばAIで何かできるって話があったな」と思い出す。
そのフックを置いておければ十分なのです。
これが「遅効性リマインダー」という考え方です。
即効性はないけれど、いざというときに効いてくる仕掛け。
この一行に切り替えたことで、配信を続ける意味が立て直せました。
実際に作った仕組み(3ステップ)
ステップ1:情報収集と要約
AIで最新のAI活用事例や新機能リリースを自動収集します。
そのまま流すのではなく、要約に「業務視点での解釈」を一言添えました。
「〇〇というAIが登場した」ではなく、「〇〇を使うと、△△のような作業が短縮できるかも」という書き方です。
技術の説明より「うちの業務でいうと?」を優先する。
ここが一番大事な設計判断でした。
ステップ2:Notionへの保存
要約をMarkdownでNotionのデータベースに保存します。
後から編集しやすく、URLで共有もできるからです。
フォーマットは統一しました。
今週のトピック(1〜3本)
各トピックの要点(3行以内)
「うちの業務でいうと」の一言解釈
長くなるほど読まれないので、1スクロールで終わる量を意識します。
ステップ3:TeamsへのPower Automate連携
Notionにページができたのをトリガーに、Teamsの指定チャンネルへ自動投稿されます。
Power AutomateはMicrosoft 365環境なら追加費用なしで使え、一度作れば毎週自動で動きます。
投稿はあえてシンプルにしました。
タイトル
3行要約
NotionへのリンクURL
「詳しく見たい人はNotionで」という構造にして、Teams投稿を短く保ちます。
反応がなくて、設計を変えたこと
最初は「なるべく多くの情報を届けよう」と思っていました。
でも反応がないことを受けて、設計を3つ変えました。
件数は増やさない(週1〜3本が上限)
「使えるかも」という一言解釈を必ず入れる
反応を期待しない(測るより、続けることに集中する)
「読まれなくてもいい、流れ続けることが大事」に切り替えてから、気持ちが楽になりました。
やってみて分かったこと(失敗2つ)
よかった点
毎週の情報収集と要約にかけていた時間が、ほぼゼロになりました。
「何か発信しなければ」というプレッシャーも消えました。
派手な反応はなくても、「ちゃんと発信している」という実績が静かに積み上がります。
失敗1:リアクションを期待しすぎた
最初は「反応がなければ改善しよう」と思っていました。
でも反応がないこと自体が普通の状態なので、改善のインプットになりません。
「反応ゼロ=失敗」という定義を持ち込んだのが間違いでした。
成功の定義を「流し続けること」に変えてからは、また動けるようになりました。
失敗2:最初から豪華にしすぎた
初回は「週5本+詳細解説」で配信していました。
3週目には準備が重くなり、更新が2回飛びました。
週1〜3本・3行以内に絞ってからは、止まらずに続いています。
完成度より継続性を優先する、という判断は正解でした。
明日から試せる一歩
大がかりな仕組みが難しければ、まず手動で小さく試せます。
「今週気になったAI活用事例」を1つだけ選ぶ
「うちの業務でいうとこれが楽になるかも」を一言書き添える
チームの誰かに、テキストかメールで送ってみる
反応がなくても、来週もう1回やる
3回続いたら、そこで初めて自動化を検討する
最初は手動で十分です。
「続けられる量・続けられる形」を先に見つけるほうが、ずっと大事です。
次の一手
今回の実験で分かったのは、「届ける」より「残す」を設計するほうが現実的だということです。
次は、わずかでも反応があったコンテンツの傾向を手集計で分析し、「何が記憶に残りやすいか」を探っていきます。
この記事が参考になったら「スキ」で教えてください。次の実験の励みになります。
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