メインコンテンツへスキップ

誤飲とリリィ

    もうすぐで20歳になろうとしている。当の本人はニュースでアンケートなどの結果を見るたび、自分が20代女性と表記されるようになることから目を背けるように10代女性の欄ばかりに目を向けているが。

    今日は大学の授業がない日だった。しかし、本を借りる用事があったので大学図書館に行くことを決めていた。家から近くの大学にいつものごとくイヤホンをはめて音楽を聞きながら図書館へ向かった。もう目の前に図書館が見えてきたところで流れていた音楽はThee Michelle Gun Elephantのリリィだった。

    こめかみ指でこじ開けてから 意識トバして帰るよリリィ
    <♪>
    ゆるいカーブ 鈍い音の バケツの中
    ゴックン。この時私はもうすぐ20歳になるというのにのど飴を誤飲したのである。

    実は家を出る前、のど飴を一粒口に放り込んだ。こののど飴は先日飛行機に乗った際、耳が痛くなることを避けるために所持していたものの余りだった。机の上に放り投げられていたのど飴をみて、のど飴なんていつ舐めてもいいだろうとなめ始めたのである。別にのどの調子が悪いわけでも、声がかすれていたわけでもない。ただ、なめ始めたのである。なので私が先ほどイヤホンを装着したときも、図書館までの道を歩いている時も私の口内にはのど飴が存在していた。ただ、それは私の舌の上を滑り落ち、飲み込まれてしまった。その時ののど飴はちょうど半分ほどのなめ具合だったと記憶している。

    ではなぜ、私はのど飴を誤飲したのか。本当に一瞬の出来事で私も最初は戸惑った。何が起きたのかわからず、図書館の前で立ち止まった。だが、先ほど言った通り私はリリィを聞いていたのである。私が飲み込んだタイミングをもう一度思い出してほしい。

    こめかみ指でこじ開けてから 意識トバして帰るよリリィ
    <♪>
    ゆるいカーブ 鈍い音の バケツの中
    ゴックン。

    お分かりいただけただろうか。私は「バケツの中」という歌詞の後に誤飲をした。一度、リリィという曲を聞いてみてほしい。「バケツの中」のあとに「ahahahah」という声が聞こえるだろう。私はリリィのこの部分が何よりも好きなのである。この部分はこの後の歌詞である

    あふれかえるパスタの山 かきわけてた ahahahah
    あふれかえるパスタの山 泳いでいた  ahahahah
    窓から見る空はそこでくもっていた (aの降下)

    に続く大きな布石パートなのである。最初が肝心をモットーに生きている私からしたら、いくら外を歩いていようが、「バケツの中 ahahahah」をのどで再現せざるを得ないのである。この時に完全にのど飴の存在を忘れてしまったのが今回の敗因だった。

    その後、何事もなかったかのような涼しい顔をして苦しみながら、図書館の階段を駆け上る様は何よりも滑稽だっただろう。

    意識トバして逃げるよ リリィ

    あなたへのおすすめ